アルバイトの過労死事件

 約15年間アルバイトとして,百貨店等への陳列什器の設置作業等の作業をしていた労働者が心臓性突然死した過労死事件(大阪地裁平成28年11月25日判決・労働判例1156号50頁)を紹介します。

 

 本件アルバイト労働者は,死亡前6ヶ月間,不規則な時間帯に働くことが多く,休日が少ない状況でした。さらに,死亡に近接した時期には,労働時間が増加しており,不規則かつ深夜の時間帯に働くことが増加し,十分な休息なく連続して働いていました。そのため,慢性的に疲労が蓄積し,致死性不整脈による心疾患を発症して死亡したとして,業務と致死性不整脈発症と死亡との因果関係が認められました。

 

 被告会社は,本件アルバイト労働者の労働時間数と労働する時間帯等を把握するととも,本件アルバイト労働者に過度の負担を生じさせることがないように労働時間数等を調整したり,働く時間帯について変更させるよう指導すべき義務を負っていたのにこれを怠ったとして,安全配慮義務違反が認められました。

 

 もっとも,本件アルバイト労働者は,ある程度主体的に仕事を選択できる立場にあり,自分で業務量を調整して,休みを十分にとることによって疲労回復に努めるべきだったとして,3割の過失相殺がされました。

 

 私は,最近,日々の仕事による疲労をどのようにして効率よく回復できるかについて,睡眠の本を読みながら勉強しています。ビジネスマン向けの睡眠の本を読んでいると,睡眠時間が5時間くらいだと健康を害する,交代勤務等の不規則な働き方や深夜労働は生態リズムを狂わせるので疲労が蓄積するといった科学的な知見が紹介されています。本件判決は,長時間労働で睡眠時間が削減されたり,不規則勤務や深夜労働で疲労が蓄積することを考慮して,業務起因性を判断している点で,過労死事件の弁護活動に役立つと思います。

 

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