警備員の仮眠時間は労働時間

 平成29年5月17日,千葉地裁で,イオンディライトセキュリティ株式会社の警備員の未払残業代請求事件において,仮眠時間と休憩時間について労働者に有利な判決がなされたので紹介します。

 

http://www.asahi.com/articles/ASK5K4J0HK5KUDCB00J.html

 

 警備員やビル管理会社の従業員は,24時間勤務することがありますが,常に作業しているかといえばそうではなく,仮眠したり休憩したりしています。もっとも,警報が鳴ればすぐに駆けつけなければならず,仮眠をしていても完全に労働から解放されているわけではありません。

 

 仮眠時間が労働時間に該当するかについては,最高裁平成14年2月28日判決の大星ビル管理事件がリーディングケースで,「不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には,労基法上の労働時間に当たる」と判断されています。

 

 警備員の場合,仮眠時間であったとしても,緊急の呼び出しがあれば,すぐさま現場に駆けつけなければならず,警備員の仮眠時間は,労働からの解放が保障されていないとして,労働時間と認定される可能性が高いと考えます。

 

 本判決の特徴は,仮眠時間以外に,実作業の発生があまりない休憩時間について,指揮命令の性質が仮眠時間とほぼ同じで,異常発生に即対応しなければならなかったことから,労働時間であるとした点にあります。

 

 警備員が残業代を請求する場合に,参考になる判例ですので,紹介しました。