労働時間の把握義務

 厚生労働省は,労働安全衛生法施行規則を改正し,労働者の労働時間を適切に把握することを会社の義務として明記する方針を固めたようです。

 

 http://www.yomiuri.co.jp/national/20170806-OYT1T50030.html

 

 会社が労働時間の把握するのは当然ですが,おそらく,これまで労働時間の把握を義務付けている法律はなかったと思います。そのため,労働時間の把握義務を法律で明記することは,会社に労働時間の把握を強制させ,違反した場合には労働者に有利な労働時間が認定される可能性があるため,この改正は労働者にとって,とても重要になります。

 

 残業代を請求する場合や労災を申請する場合,労働者がタイムカード等の証拠を収集し,労働時間を立証しなければならないのですが,会社によっては,タイムカードもなく,労働時間の把握を全くしていないところもあり,その場合,労働時間をどうやって立証すればいいか悩むことがあります。

 

 今後,労働時間の把握義務が法律で明記されれば,会社が労働時間の把握をしていなかった場合,裁判において,会社が労働時間の把握義務を怠ったとして,労働者が主張する労働時間がそのまま認められる可能性があります。

 

 労働者にとっては,残業代請求や労災申請で強力な武器を得られることになると思いますので,労働安全衛生法施行規則の改正に注目したいです。