東大5年で雇止め

 朝日新聞の報道によれば,東大が有期労働契約の教職員約4800人を最長5年で雇止めにする就業規則を定めていたようです。その結果,来年平成30年4月までに,契約期間が5年を超える教職員は順次雇止めされることになりそうです。

 

http://www.asahi.com/articles/DA3S13100024.html

 

 そもそも,労働契約法18条では,有期雇用の労働者の労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合,期間の定めの無い労働契約に転換できる権利が付与されることになっています。要するに,契約の更新が2回以上あり,契約期間が通算5年を超えれば,契約社員から正社員に転換できるということです。

 

 労働契約法18条が平成25年4月に施行されて,来年平成30年4月でちょうど5年になるので,来年4月以降,無期転換できる労働者が現れてくるのです。

 

 しかし,使用者としては,契約期間が通算5年を超えれば,契約社員が正社員に転換されるのであれば,契約社員を雇用の調整弁に利用できなくなるので,契約期間が5年を超える前に,雇止めをしたくなります。そこで,東大は,就業規則で有期労働契約者の契約期間の上限を5年と定めたようです。そのため,東大の有期労働契約者は,契約期間が5年を超える前に雇止めされることになります。

 

 現在,東大の教職員組合が団体交渉を申し入れて,有期労働契約者の契約期間の上限を5年と定めた就業規則の撤廃を求めているようです。契約期間が5年を超える直前に雇止めになった場合,裁判で争ったとしたら,労働契約法18条の趣旨に違反しているとして,雇止めが無効になる可能性もありますが,雇止めの裁判では,労働者側が敗訴することも多いため,裁判結果がどうなるかは,見通しが立てにくいです。そのため,団体交渉で,有期労働契約者の契約期間の上限を5年と定めた就業規則を撤廃できれば,最も効果的です。東大の団体交渉に注目していきたいです。