GPSによる労働時間管理

GPSによって労働時間を管理されていたドーナツ店の店長が,長時間労働により過労死したとして,遺族が会社に対して損害賠償請求をした事件において,津地裁平成29年1月30日判決は(労働判例1160号72頁・竹屋ほか事件),遺族の損害賠償請求を認めました。

 

この事件で特徴的だったのは,店長は,日中30分ごとに位置情報を自動的に送信するGPSを携行し,店長が出社,退社のデータを送信することにより労働時間管理が行われていたことです。

 

未払残業代請求事件や過労死事件では,労働者が何時間働いていたのかが重要なポイントになり,労働者側が労働時間の立証をしなければなりません。この労働時間を立証するために,どのような証拠が残っているのか,証拠をどうやって確保するかについて,労働者側の弁護士は,日々頭を悩ませています。

 

本件事件では,GPSという最近利用が注目されている機器によって,労働時間の認定がされた点が参考になります。GPSのデータから,発症前6ヶ月間にわたり,月平均112時間の時間外労働をしていたことが立証され,店長の業務と死亡との間に因果関係が認められました。

 

本件事件のGPSは,データ送信をした時点に居た場所として記録される地名には誤差があったようですが,労働者が,出社と退社の時間をしっかりと送信していたのであれば,時間が正確に記録されることから,GPSに記録された労働時間は,客観的であり信用できると判断されたものと考えられます。

 

テクノロジーの進歩により,労働時間を立証するための証拠も進歩していきますので,様々な分野に関心を広げていきたいと思います。今は,タイムカードによる労働管理が主流ですが,GPSの精度がさらによくなれば,今後,GPSのデータが労働時間を立証するために必要不可欠になるかもしれません。

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