労働基準監督署の特別チーム

厚生労働省は,2018年度から,違法な長時間労働の監督や労働法制の啓発などを行う「特別チーム」を全国の労働基準監督署に新設することにしました。違法な長時間労働が疑われる企業への監督指導の強化,労働法制の知識が不十分な中小企業などへの啓発が目的とされています。

 

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6269651

 

労働基準監督署は,労働基準法が会社内で守られているかをチェックする行政監督機関です。石川県内には,金沢,小松,七尾,穴水に労働基準監督署があります。

 

http://ishikawa-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/kantoku/map01.html

 

労働者は,次のような場合に,労働基準監督署を利用できます。例えば,「残業代が支払われない」,「36協定を締結していないのに時間外労働や休日労働をさせられている」といった労働基準法違反があった場合には,労働基準監督署へ相談に行きましょう。労働者が,労働基準監督署に対して,労働基準法違反を申告すると(労働基準法104条),労働基準監督署が会社に対する調査を行い,指導(いわゆる行政指導で,指導標が会社に交付されます)や是正勧告(一定の期限を定めて,未払残業代の支払を勧告し,結果報告をもとめます。勧告に従わない場合には刑事手続に進むことがあります)をすることがあります。

 

労働基準監督署に真剣に動いてもらいたいのであれば,この労働者の申告を文書で行いましょう。また,この申告は,匿名で行うことも可能です。

 

もっとも,労働基準監督署が動いても,会社が,将来に向かっての是正を約束し,過去3ヶ月分の残業代を支払うという一応の対応をした場合,それ以上の是正がされない場合もあります。労働基準監督署に行っても,会社の対応が変わらないような場合には,早目に弁護士に相談にいきましょう。

 

労働者にとって,違法な長時間労働を監督してくれる「特別チーム」が労働基準監督署に設置されることは歓迎すべきことです。しかし,この「特別チーム」については,新たに職員の増員はせずに,今の人員を再編成してチームを組織するので,マンパワーが不足することが予想され,どこまで労働基準法違反を是正していけるのかは未知数です。

 

労働基準監督署の監督官の人員を増加させて,労働基準法違反を少しでも是正して,労働者が働きやすい環境を作っていくべきだと思います。今後の,労働基準監督署の「特別チーム」の活躍に期待したいです。