休職をしていた客室乗務員に対する整理解雇

日本航空の会社更生手続において,事業再生のために,早期の希望退職措置が行われ,それでも目標とする削減人員数に届かなかったことから,整理解雇が実施されました。日本航空の整理解雇の人選基準に,当該年度と過去2年5ヶ月の間に,病気欠勤日数,休職期間が一定数以上の者という基準がありました。原告は,当該年度に,顔面の皮膚の病気で数ヶ月間欠勤したことがあったため,この基準に該当し,整理解雇されました。そこで,原告は,この整理解雇は無効であるとして,地位確認の訴訟を提起しました。

 

整理解雇とは,リストラのことです。会社の経営が悪化したため,会社を存続させるために,余剰人員を削減する場合の解雇です。労働者に落ち度がないにもかかわらず,解雇されてしまうので,労働者が受ける不利益が大きいことから,整理解雇の有効性は厳格に判断されます。

 

整理解雇の有効性を判断する際には,①人員削減の必要性(企業の収益が減少する等して,労働者を減らす必要があったのか),②解雇回避措置の相当性(解雇以外に希望退職者を募集したり,配置転換等の措置がされているか),③人選の合理性(整理解雇する労働者を合理的な基準で選んだのか),④解雇手続の相当性(労働組合と誠実に交渉がされたか,労働者が理解できるように説明がなされたか)という4つの要件が総合考慮されます。

 

本件事件では,③人選の合理性において,過去に病気欠勤をしていた労働者を整理解雇の対象とする基準を設けることに合理性があるかが重要な争点となりました。

 

大阪高裁平成28年3月24日判決(労働判例1167号・94頁)は,会社更生手続を進めている日本航空が,整理解雇の人選基準を設けるにあたり,将来の貢献度に注目し,日本航空が再生していく過程の直近2~3年間に,労働者にどれだけの貢献が期待できるかを重視することは合理的であるとしました。

 

そして,将来の貢献度を判断するにあたり,過去の一定期間に病気欠勤や休職をしていた労働者が,そうでなかった労働者と比較して,日本航空に対する過去の貢献度が低いと評価することは合理的であり,現在職務に復帰していても,直近の時期に病気欠勤や休職があった労働者については,将来の貢献度が相対的に低いと評価しても合理的であると判断されました。

 

そのため,当該年度に病気欠勤していた原告に対する整理解雇が有効とされて,原告が敗訴しました。整理解雇の要件を検討するに際し,過去に病気で休職していた点をどのように評価すべきかについて,判断枠組みを示した判例として参考になります。

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