解雇に納得できないなら,解雇理由証明書の交付を求める

会社を解雇された(クビになったことです)場合,

労働者は,途方にくれてしまいます。

 

 

「なんで自分が解雇されたのだろう?」

「明日からの生活をどうしたらいいのだろう?」

「家族をどうやってやしなっていけばいいのだろう?」

 

 

 

 

途方にくれていても,解雇に納得がいかないのであれば,

労働者がやるべきことがあります。

 

 

それは,会社に対して,「解雇理由証明書」の交付を要求することです。

 

 

労働基準法22条で,労働者の求めがあった場合,

会社は退職の事由を記載した証明書を交付しなければらならず

解雇の場合には解雇理由を記載しなければなりません。

 

 

(労政時報の人事ポータルjin-Jourより抜粋)

 

なぜ,解雇理由証明書の交付が重要になるかといいますと,

解雇を争う場合,労働者は,会社が主張している解雇理由が

おかしいと主張していくのですが,解雇理由がわからなければ,

攻撃対象である,どういった解雇理由の,

どのような点がおかしいのかについて効果的な主張ができないからです。

 

 

ようするに,解雇理由が明らかでないと解雇が

有効か無効かの判断ができないのです。

 

 

通常,解雇された労働者が会社に対して,

解雇理由証明書の交付を求めた場合,会社は,

解雇理由証明書を交付してきます。

 

 

それでは,会社が労働者の請求を無視して,

解雇理由証明書を交付してこなかった場合,

労働者は,どうすればいいのでしょうか。

 

 

私は,もう一度,会社に対して,解雇理由証明書の交付を求める文書

を送付することをアドバイスします。

 

 

理由は3つあります。

 

 

1つ目の理由は,先ほども書きましたが,

解雇理由がわからないままですと,

解雇が有効か無効か判断できないからです。

 

 

 

 

解雇理由がわからないまま,裁判に突入してしまい,

会社から的確な解雇理由が主張されてしまい,

労働者がその解雇理由にうまく反論できなければ

裁判に負けてしまいます。

 

 

裁判の見通しをたてるためにも,裁判前に

解雇理由を知っておくことが必須と考えます。

 

 

また,裁判になってから解雇理由が分かると,

解雇理由の調査に時間がかかるため,裁判が長引きます。

 

 

裁判の前に解雇理由を明確にして,その解雇理由は有効なのかを

しっかり検討して,見通しをたてるべきです。

 

 

2つ目の理由は,解雇理由証明書に記載されていない解雇理由の

後出しを防止することです。

 

 

会社は,解雇理由証明書に記載されていない解雇理由を

裁判になって後出しすることは可能なのですが,

解雇理由証明書に記載されていない解雇理由は,

会社がその解雇理由を重視していなかったと判断されて,

裁判では重要な争点でなくなります。

 

 

 

 

そのため,会社は,解雇理由証明書に記載されていない解雇理由を

裁判で後出しで主張しても,余り意味がないことになるのです。

 

 

労働者としては,解雇理由証明書に記載された解雇理由だけ

を反論の対象にすればいいのです。

 

 

3つ目の理由は,労働者が2回,3回と解雇理由証明書

の交付を求めても,会社がこれを無視して解雇理由証明書

を交付しないということは,会社が自ら解雇理由がなかったと

認めていることにつながるという点です。

 

 

会社は,解雇理由がないからこそ,解雇理由証明書

を交付できないのだと考えられます。

 

 

もっとも,通常の会社は,なにかしら理屈をつけて,

解雇理由を主張することが多いので3つ目の理由を

主張することはあまりないと思います。

 

 

会社が,労働者から解雇理由証明書の交付を求める文書を

受け取っていないという言い訳をすることがあるかもしれないので,

会社へ解雇理由証明書の交付を求める文書を特定記録郵便で送付すれば,

このような言い訳はつうじなくなります。

 

 

解雇に納得できないときは,まずは

解雇理由証明書の交付を求めましょう