労働条件を変更するための合意とは2~山梨県民信用組合事件~

会社から,賃金や退職金などの重要な労働条件を,

労働者にとって不利益に変更することに合意を求められた場合,

労働者はどうすればいいのでしょうか。

 

 

労働契約法8条により,労働条件を変更するためには,

労働者と会社の合意が必要になりますので,

労働条件の変更に納得できないのであれば,

労働者は,合意しなければいいのです。

 

 

しかし,会社から合意を求められて,これを拒否し続けると,

会社から冷遇されるのではないかと恐れてしまい,

労働者が合意しないというのは,なかなか大変なことです。

 

 

 

また,会社から,きちんとした説明がなく,

なんとなく合意してしまうというケースもあると思います。

 

 

労働者が自分に不利益な労働条件の変更に合意してしまった場合,

この合意を争うことはできないのでしょうか。

 

 

本日は,合意による労働条件の変更が争われた,

山梨県民信用組合事件を紹介します

(最高裁平成28年2月19日判決・労働判例1136号6頁)。

 

 

この事件では,信用組合の合併に際して,

退職金が大幅に削減されたのですが,労働者は,

退職金の大幅な削減に合意したのかが争点となりました。

 

 

事案が複雑なので,簡単に説明しますと,

信用組合の合併により,退職金の総額を従前の2分の1以下として,

さらに,退職金総額から厚生年金給付額及び企業年金還付額が

控除されることとなり,結果として退職金額が

0円となってしまったのです。

 

 

 

 

通常であれば,退職金が0円になるのであれば,

労働者は,そのような不利益な変更に合意しないのですが,

本件事件では,会社側から,退職金の変更に合意しないと,

合併を実現することができないなどと説明を受けていたため,

原告ら労働者は,同意書に署名押印してしまいました。

 

 

その後,原告ら労働者は,合併前の退職金規程に基づく

退職金の支払いを求めて裁判を起こしました。

 

 

最高裁は,労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合,

労働者が変更を受け入れる行為をしていても,

労働者が会社から使用されて指揮命令に服すべき立場に置かれており,

自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることから,

直ちに労働者の合意があったとみるのではなく,

労働者の合意については慎重に判断するべきであるとしました。

 

 

そして,「当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度,

労働者により当該行為がされるに至った経緯及び態様,

当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして,

当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる

合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも,

判断されるべき」としました。

 

 

ようするに,労働者は,会社に比べて立場が弱く,

情報量が少ないので,労働者が自分にとって

不利益な労働条件の変更に合意していても,

その合意が有効となるかは,

慎重に判断されるということです。

 

 

 

本件事件では,合併による退職金の変更により,

自己都合退職の場合には退職金が0円になる可能性が高くなる

といった具体的な不利益の内容や程度について,

会社からの情報提供や説明が不十分であったとして,

最高裁は,高裁に審理を差し戻しました。

 

 

賃金や退職金が労働者に不利益に変更される場合で,

会社から,どれだけの金額が削減されるのかといった説明が

なされないまま,労働者が,不利益な労働条件の変更に合意しても,

その合意は成立していないと判断される可能性があります。

 

 

そのため,労働条件の不利益変更に合意してしまっても,

納得できない場合には,会社からの説明の状況や不利益の大きさ

を検討して,まだ争うことができるかを見極める必要があります。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

年次有給休暇付与の義務化が始まります

朝日新聞に,ベンチャー企業のユニークな休暇制度

が紹介されていましたので,シェアさせていただきます。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASM3N656QM3NPLFA00Z.html

 

 

京都市にある農業ベンチャーの「坂ノ途中」では,

知り合いの農家を手伝ったり,農産物の販売イベントに参加するための

「ゴーグリーン休暇」を導入するようです。

 

 

 

 

東京のコンサルティング会社の「レリック」は,

1つの事業を成し遂げた時にとる「プロジェクトお疲れ様休暇」,

読書や課外活動にあてる「インプット休暇」,

家族や友人との懇親に使う「リレーションケア休暇」

など9種類の休暇を導入するようです。

 

 

大阪市のソフトウェア開発会社の「ロックオン」は,

年に1度9日間の連休をとり,休暇中は仕事関係の連絡を禁止する

「山ごもり休暇」を社員に義務付けているようです。

 

 

 

「坂ノ途中」と「レリック」の休暇は,

年次有給休暇とはならないようですが,会社としては,

有給の取得を増やすきっかけや,

休みをポジティブにとってもらう仕掛けとして導入するようです。

 

 

会社としては,独自の休暇制度や高い有給取得率の実績は,

労働者を採用するにあたってアピールポイントになるようです。

 

 

私も含めて日本人は,休むことがあまり上手ではない

と思われますので,このような休暇を導入する企業が増えていけば,

休みやすい環境が整えられて,上手に休むことができる

のではないかと期待したいです。

 

 

このように,ユニークな休暇が注目されているのは,

明後日4月1日から施行される新しい

年次有給休暇制度の影響なのでしょう。

 

 

昨年成立した働き方改革関連法により,2019年4月1日から,

会社には,年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者に対して,

年次有給休暇のうち5日については,

基準日から1年以内の期間に付与することが義務付けられました。

 

 

 

基準日から1年以内に,会社が労働者に対して,

5日の年次有給休暇を取得させなかった場合,

会社には,30万円の罰金が課せられます。

 

 

この罰則は,1人1人の労働者に対する

年次有給休暇付与義務違反ごとに課せられるので,会社は,

労働者1人1人の年次有給休暇の取得状況を

管理していく必要があります。

 

 

なぜ,このような法改正がされたのかといいますと,

年次有給休暇の取得率が低迷しており,

正社員の約16%が年次有給休暇を1日も取得しておらず,

また,年次有給休暇をほとんど取得していない労働者については

長時間労働の比率が高い実態にあることを踏まえて,

年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に進む

仕組みを導入する必要があったからなのです。

 

 

労働者が自分から時季を指定して,

年次有給休暇を5日以上取得してくれれば,

会社は,年次有給休暇付与義務違反とはならないのですが,

労働者が自分から年次有給休暇を取得しないのであれば,

会社から,時季を指定して,労働者に対して,

5日以上年次有給休暇を取得させなければなりません。

 

 

会社が,時季を指定して,年次有給休暇を付与する場合,

その時季について,当該労働者の意見を聴かなければならず,

できる限り,労働者の希望に沿った時季指定となるように,

聴取した労働者の意見を尊重するように努める必要があります。

 

 

また,会社は,時季,日数,基準日を労働者ごとに明らかにした

年次有給休暇管理簿」を作成して,3年間保存しなければなりません。

 

 

このように,4月1日以降は,労働者から自発的に

5日以上年次有給休暇を取得してもらった方が,

会社の年次有給休暇の管理の手間が軽減されて,

会社に喜ばれますので,遠慮なく

年次有給休暇を取得していってもらいたいです。

 

 

 

 

これまでは,忙しい職場に遠慮して,

年次有給休暇がとりにくかったかもしれませんが,

今後は,会社から年次有給休暇をとるように

急かされる可能性がありますので,年次有給休暇を

取得しやすい雰囲気になっていくことを期待したいです。

 

 

ダラダラ働くよりも,しっかり休むことで,

メリハリがついて,仕事の生産性が向上しますので,

労働者は,ぜひ年次有給休暇を有効に活用していってください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

無期転換後の解雇通告

朝日新聞の報道によれば,日立製作所が,

5年を超えて有期労働契約を締結して働き,

無期労働契約への転換を求めた女性労働者に対して,

解雇を通告したようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASM3Q5FYDM3QULFA01X.html

 

 

本日は,この無期転換後の解雇通告の問題について解説します。

 

 

 

 

まず,有期労働契約とは,契約社員,嘱託社員,派遣社員

といった非正規雇用労働者のように,契約期間が

6ヶ月や1年などに区切られている労働契約のことです。

 

 

契約期間が満了になると原則として,

労働契約は終了し,労働者には,仕事がなくなります。

 

 

会社が労働契約を更新しれくれれば,

引き続き働き続けることができますが,

更新するか否かは,会社の意向によりますので,

雇用が不安定なのです。

 

 

これに対して,無期労働契約は,正社員のように,

契約期間の区切りがないので,会社から解雇されない限り,

労働者は,働き続けることができるのです。

 

 

そして,非正規雇用労働者は,正社員と比べて,

待遇が低く,雇用が不安定であることから,

これを是正するために,労働契約法18条で,

無期転換ルールが定められたのです。

 

 

無期転換ルールとは,有期労働契約が2回以上,

通算5年を超えて更新された場合には,

非正規雇用労働者の申し込みによって,

無期労働契約へ転換させる制度です。

 

 

ちなみに,「ムキテンカンの歌」というユーチューブ動画があります。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=ZzDSmipMylk

 

 

 

現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に,

非正規雇用労働者が,会社に対して,無期転換の申し込みをすれば,

有期労働契約が終了する日の翌日から無期労働契約に転換されます。

 

 

無期転換の申し込みは,口頭でもできますが,

会社から聞いていないと言われるリスクがありますので,

文書で申し込みをするようにしましょう。

 

 

5年の通算契約期間ですが,途中に育児休業期間や休職期間

があった場合でも,通算契約期間にカウントされます。

 

 

無期転換後ですが,労働条件については,

契約期間が有期から無期に変わるだけで,

その他の労働条件は,従前の有期労働契約のままとなります。

 

 

 

 

もっとも,無期転換の際に,会社との間で,

賃金を正社員並に近づけるような「別段の定め」を締結できれば,

有期労働契約の労働条件を改善することが可能となります。

 

 

無期転換後であれば,労働契約の契約期間はなくなりますので,

労働者は,解雇されない限り,働き続けることができるのですが,

日立製作所は,無期転換後に解雇をしてきたのです。

 

 

会社が労働者を解雇するためには,

客観的合理的理由があり,

社会通念上相当でなければできません。

 

 

ようするに,会社側に解雇を正当化できるよほどの根拠があり,

解雇以外に他に手段がなかったといえない限り,

解雇は無効になるのです。

 

 

よほどのことがない限り,解雇できないのですから,

日立製作所の無期転換後の解雇は,

無期転換を回避するための解雇であると批判されています。

 

 

実際に,解雇する理由があったか否かは,

最終的には裁判で決着することになるのですが,

無期転換後にすぐに解雇したのであれば,

無期転換逃れのための解雇ではないかと疑いたくなります。

 

 

無期転換後の解雇が安易に認められたのでは,

非正規雇用労働者の雇用を安定させるという

無期転換ルールの趣旨がないがしろにされてしまいます。

 

 

日立製作所の事件については,団体交渉において,

無期転換後の解雇が撤回されることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

労働条件を変更するための合意とは?

昨日に引き続き,労働条件を変更するための

合意について説明します。

 

 

本日は,合意による労働条件の変更が争われた

宮の森カントリー倶楽部事件を紹介します

(東京高裁平成20年3月25日判決・労働判例959号61頁)。

 

 

この事件では,被告会社が,ゴルフ場でキャディ

として働いていた労働者に対して,

正社員から雇用期間を1年間とする契約社員となること,

賃金について,基本給及び諸手当の大半が廃止されて,

ラウンドに出る場合に支払われるラウンド手当を中心とした

賃金に変更され,退職金が廃止され,

生理休暇が無給になることの説明を口頭でしました。

 

 

 

この説明の際,社長が事前に作成したメモに基づき

数分間の説明をして,その後,

部長による個別面談が行われましたが,

資料が交付されることはありませんでした。

 

 

キャディが,毎月の賃金がいくらになるのか,

雇用期間の1年が経過したら労働契約はどうなるのか,

といった質問をしても明確な回答がありませんでした。

 

 

その後,原告のキャディ達は,キャディ契約書を提出しましたが,

労働条件が不利益に変更されることに合意していないとして,

従前の労働条件の地位を確認するための裁判を起こしました。

 

 

労働契約法8条により,労働条件を変更するには,

労働者と使用者の合意が必要になりますので,

原告のキャディ達と被告会社との間で,

労働条件を変更することの合意が成立したかが争点となりました。

 

 

 

 

会社からの説明は,正社員から雇用期間1年の契約社員に変更すること,

賃金体系の変更による賃金の減額,退職金の廃止,

生理休暇の無給化など内容が多岐にわたっており,

数分間の社長の説明や個別面談での口頭説明によって,

その全体と詳細を理解して記憶に留めることは到底不可能です。

 

 

また,キャディ契約書には,賃金については

会社との契約金額とするという程度の記載しかなく,

いくらの金額となるのか不明な記載となっており,

原告らキャディが賃金がいくらになるのか質問しても

明確な回答がされておらず,キャディ契約書の提出が

契約締結を意味するという説明もありませんでした。

 

 

そのため,裁判所は,以上の事実を考慮して,

原告らキャディと被告会社との間に,

労働条件を変更する合意が成立したとは

認められないと判断しました。

 

 

次に,労働者と使用者による労働条件の変更について

合意がなくても,就業規則を合理的に変更して,

労働条件を変更することが可能です。

 

 

もっとも,就業規則の変更によって,労働条件を変更するには,

①労働者の受ける不利益の程度,

②労働条件の変更の必要性,

③変更後の就業規則の内容の相当性,

④労働組合等との交渉の状況等

が総合考慮されます(労働契約法10条)。

 

 

 

 

本件事件では,賃金規定が変更されていましたが,

①賃金減額率が約27%であり,年収300万円台の

原告らキャディの家計への影響が大きく,

退職金制度の廃止は将来的には実質的な賃金切り下げと評価でき,

②ゴルフ場の経営は赤字であったものの,

企業グループ全体の存立に影響を与えるほど差し迫った必要性はなく,

③原告らキャディらの労働条件を不利益に変更するための

代替措置はとられておらず,

④労働者に対して,十分な説明がなされていないとして,

賃金規定の変更は不合理であると判断されました。

 

 

そのため,原告らキャディについて,

従前の労働条件の地位が認められたのです。

 

 

このように,裁判所は,労働者にとって不利益に

労働条件を変更することについての

会社との合意を慎重に判断しています。

 

 

そのため,会社から,不利益な労働条件の変更を

提示されたとしても,納得できないなら,

合意をしないようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

使用者は労働者の勤務時間を一方的に変更できるのか?

ある日,アルバイト労働者が,雇用主から,

勤務時間を1時間削減すると言われたとします。

 

 

労働契約書には,平日の勤務時間が9時から17時で

1時間の休憩時間ありと記載されていますが,

これが10時から17時に変更になると言われました。

 

 

 

 

月給制の正社員の場合,勤務時間が1時間削減されても,

もらえる給料の金額が変わらないのであれば,

少ない労働時間で同じ給料がもらえることになり,

時間単価があがり,メリットになります。

 

 

しかし,アルバイト労働者の場合,時給制であるため,

勤務時間が1時間削減されると,その分時給が削減されるので,

給料が減ってしまいます。

 

 

さらに,アルバイト労働者は,年収が低いので,

給料が減らされてしまえば,

生活が困窮することになってしまいます。

 

 

労働契約書に定めれている勤務時間を一方的に変更されることに

納得のいかないアルバイト労働者は,

勤務時間を1時間削減することに反対したのですが,

最後は,雇用主から,決まったことですと言われて

押し切られてしまいました。

 

 

 

 

このような場合,1時間の勤務時間が

削除されてしまうのでしょうか。

 

 

本日は,労働条件の変更についての合意について解説します。

 

 

労働契約法8条には,次のことが記載されています。

 

 

労働者及び使用者は,その合意により,

労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

 

この条文を反対解釈すれば,労働者と使用者の合意がない限り,

労働条件を変更することができないことになります。

 

 

そのため,アルバイト労働者と雇用主が,

勤務時間を1時間削減することに合意すれば,

勤務時間を1時間削減することができるのですが,

アルバイト労働者が,勤務時間を1時間削減することに

合意していないので,雇用主が一方的に

勤務時間を1時間削減することはできないのです。

 

 

次に,労働契約書に,「本契約で定める勤務日,休日,勤務時間は,

業績,経済情勢などにより雇用主の判断により変更することがある。」

という条項があった場合,雇用主は,アルバイト労働者の合意なく,

勤務時間を1時間削減できるのでしょうか。

 

 

労働契約法3条1項には,「労働契約は,

労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し,

又は変更すべきものとする。」と規定されており,

このような事前の包括的な変更の合意は,

対等の立場で合意されたとはいえないので,

労働者が反対しているのであれば,

このような事前の包括的な合意に基づいて,

雇用主が一方的に労働条件を変更することはできません。

 

 

さらに,賃金や退職金といった重要な労働条件の変更についての

合意については,労働者の自由な意思に基づいてされたものと

認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することが必要となります

(山梨県民信用組合事件・最高裁平成28年2月19日判決)。

 

 

アルバイト労働者が勤務時間を1時間削減されれば

賃金を削減されることにつながるので,

アルバイト労働者の合意については,

慎重に判断されることになります。

 

 

 

 

このように,雇用主は,労働者の合意なく,

一方的に労働条件を変更することはできないので,

労働条件の変更に納得のいかない労働者は,

安易に合意しないようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

労災の時効

共同通信社の報道によりますと,埼玉県警の元職員が,

腰痛を理由とする地方公務員災害補償基金への請求書類を

県警本部に提出したところ,県警本部の担当職員が,

基金へ書類を送らず,請求が認められないことのみを伝えて,

不備の内容や修正点を示さずに返還したことについて,

公務災害の認定の判断を受ける権利を侵害したとして,

約3万円の損害賠償請求が認められたようです。

 

 

公務災害の請求を妨害されたことで

損害賠償請求が認められるのは珍しいです。

 

 

 

このように,労災の請求を妨害されてしまうと,

労災保険給付を受ける権利が時効で消滅するリスクがあります。

 

 

また,職場におけるパワハラやいじめによって,

うつ病などの精神疾患を発症し,何もする気力が起きず,

ようやく労災の請求をしようと思ったときには,

時効になっていたということもあります。

 

 

そこで,本日は,労災の時効について説明します。

 

 

まず,労災の認定がされれば,病院の治療費は,

労災保険から支給されます。

 

 

これを,療養給付といいます。

 

 

 

 

療養給付については,病院に対して治療費を支払った日の翌日

から時効が進行して2年で時効が完成します。

 

 

次に,仕事中にけがをして会社を休むことになった場合,

労災の認定がされれば,労災保険から,給料の概ね8割の金額が

休業給付として支給されます。

 

 

休業給付については,休業のため賃金を受けない日ごとにその翌日

から時効が進行して,2年で時効が完成します。

 

 

仕事を休んだ日ごとに時効が進行しますので,

2017年3月26日から休業のため賃金を受け取っていない場合,

2019年3月26日の時点で,2年前の2017年3月26日分

の休業給付は時効で消滅しますが,2017年3月27日以降の

休業給付はまだ時効で消滅していないので,

2019年3月26日に労災の申請をして労災の認定がされれば,

2017年3月27日以降の休業給付を受けられることになります。

 

 

労災申請が遅くなると,日が経つごとに,

休業給付を受ける権利が時効で消滅していきますので,

早急に労災申請をするべきなのです。

 

 

仕事中にけがをして治療を続けてきたものの,

これ以上治療を継続しても,

症状がよくならない状態となり(症状固定といいます),

労働者に後遺障害が残った場合,

労災保険から,障害給付を受けられます。

 

 

障害給付については,症状固定日の翌日から

時効が進行し,5年で時効が完成します。

 

 

仕事中の事故で労働者が死亡した場合,労災保険から,

労働者の遺族に対して,遺族給付と葬祭料が支給されます。

 

 

労働者が死亡した日の翌日から時効が進行し,

遺族給付については,5年で時効が完成し,

葬祭料については,2年で時効が完成します。

 

 

このように,時効が完成すると,

労災保険から給付を受けられなくなりますので,

なるべく早く労災の請求をするべきなのです。

 

 

 

会社には,労災請求にあたって,

労働者に協力する義務を負っていますので,

労災請求を妨害することはあってはならないのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

パワハラ防止対策法案の閣議決定

労働者側で労働相談を受けていて,

最も相談件数が多いなと感じるのはパワハラの案件です。

 

 

実際に,都道府県労働局の総合労働相談コーナーに寄せられる

職場のいじめやパワハラの相談件数は年々増加傾向にあり,

平成28年度には70,917件に到達しました。

 

https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/statistics/より抜粋

 

今年に入っても,パワハラをめぐる裁判の判決がなされています。

 

 

1月10日には,東京高裁で,日本郵便において,

上司が新入社員に対して,ミーアキャット,寄生虫,パラサイト

などと罵倒したというパワハラについて,

慰謝料120万円が認められました。

 

 

1月31日には,大阪高裁で,パチンコ店において,

上司が部下に対して,インカムマイクを通じて,

全従業員が聴こえる状態で,しばくぞ,殺すぞなどと

発言したというパワハラについて,損害賠償請求が認められました。

 

 

3月12日には,長崎地裁で,陸上自衛隊において,

上司が部下に対して,使えない,早く辞めろと暴言をはき,

顔を平手打ちしたというパワハラについて,

100万円の損害賠償請求が認められました。

 

 

このように,パワハラの問題は頻発しており,

裁判に発展することもあります。

 

 

 

 

現時点では,パワハラを禁止する法律はないのですが,

3月8日,職場でのパワハラの防止策を盛り込んだ

関連法改正案が閣議決定されました。

 

 

今の通常国会で法改正が成立すれば,

2020年度から施行される見通しです。

 

 

今回,労働施策総合推進法が改正されて,

パワハラの定義は次のようになりました。

 

 

職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,

業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

その雇用する労働者の就業環境が害されること

 

 

法改正後は,上司のパワハラと考えられる言動が,

「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」か否かが

争点になることが予想されます。

 

 

上司の言動が,許される指導の範囲なのか,

部下の人格を否定する違法なものかが認定されます。

 

 

業務上必要かつ相当な範囲かについて評価するためには,

上司の言動が正確に再現される必要がありますので,

やはり,録音が重要になっていくと考えます。

 

 

会社は,職場においてパワハラが生じた場合の相談体制の整備などの

雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。

 

 

具体的に,どのような措置を講じなければならないかについては,

今後,厚生労働省が指針を作成します。

 

 

会社が,パワハラの相談窓口を設置していない状況で,

パワハラが発生した場合,会社が損害賠償責任を負うリスクは高まります。

 

 

 

 

また,会社がパワハラを防止するための措置を講じていない場合,

厚生労働大臣は,その会社に対して,勧告をすることができ,

会社が勧告に従わない場合,厚生労働省は,

その旨を公表することができます。

 

 

さらに,厚生労働大臣は,会社に対して,

パワハラを防止するための措置について報告を求めることができ,

会社が,報告をしなかったり,虚偽の報告をした場合には,

20万円の過料が処せられます。

 

 

そのため,公表や罰則によって,

ブラック企業であるという風評が広がることをおそれる会社は,

パワハラを防止するための措置を講じていくことになる

のではないかと期待したいです。

 

 

法改正後は,会社においてパワハラを防止するための

研修が多く実施されていきますので,依頼がありましたら,

積極的に対応していきたいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

NHKの受信料集金人は労働組合法の労働者か?

昨日,コンビニ店主が労働組合法の労働者にあたるか

についてブログを投稿した関連で,本日は,

NHKの放送受信契約取次受託者,受信料集金人

である地域スタッフは労働組合法の労働者にあたるか

について解説します。

 

 

引越しシーズンがまっただ中なところ,

新居に引越した後,NHKに引越したことを

連絡しないでいると,夜中にピンポーンとインターホンがなります。

 

 

宅急便でも届いたのかなと思って,表へ出ると,

地域スタッフの人がいて,自宅にテレビを設置していますよね,

NHKの放送受信契約を締結してくださいと言ってきます。

 

 

 

 

子供が生まれて,NHKの教育テレビに

子育てを助けられている今なら喜んで受信料を支払っていますが,

大学生のころであれば,NHKを見ていなくても,

ましてやテレビを見ていなくても,テレビを設置しているだけで,

見てもいないのにNHKの受信料を支払うことに納得がいかず,

地域スタッフが自宅アパートにやってきて,

受信料を引き落とすことになって,

残念な気持ちになったのを覚えています。

 

 

地域スタッフは,夜に自宅アパートに戻ってくる

学生の動向などを把握して,テレビは見ていないから

受信料を支払いたくないと文句を言う人達を粘り強く説得して,

受信料を回収しなければならないので,

大変な仕事やなぁと思います。

 

 

このような地域スタッフですが,

NHKと労働契約を締結しているのではなく,

契約期間が定めれている委託契約を締結しており,

地域スタッフが労働者なのかが争われてきました。

 

 

労働基準法の労働者にあたれば,最低賃金が保障されたり,

よほどのことがない限り解雇されず,手厚く保護されるのですが,

高裁レベルでは,地域スタッフは,

労働基準法の労働者ではないという判断が定着しています。

 

 

高裁レベルでは労働基準法の労働者ではない

と判断されているですが,東京高裁平成30年1月25日判決は

(NHK全受労南大坂支部事件・労働判例1190号54頁),

地域スタッフは,労働組合法の労働者であると判断しました。

 

 

 

 

労働組合法の労働者は,会社との交渉上の対等性を確保するための

労働組合法の保護を及ぼすことが必要かつ適切と認められる者

が含まれるので,労働基準法の労働者よりも,範囲が広いので,

労働基準法の労働者ではなくても,

労働組合法の労働者にあたることがあります。

 

 

そして,労働組合法の労働者に当たるかについては,

契約の実際の運用などの実態に即して,

次の要素を総合考慮して判断されます。

 

 

1 基本的判断要素

 ①事業組織への組み入れ

 ②契約内容の一方的・定型的決定

 ③報酬の労務対価性

2 補充的判断要素

 ④業務の依頼に応ずべき関係

 ⑤広い意味での指揮監督下の労務提供・一定の時間的場所的拘束

3 消極的判断要素

 ⑥顕著な事業者性

 

 

NHKの事業収入の約96%が受信料収入で,地域スタッフは,

受診者の転居の移動状況や受信料の支払状況を把握することが

中心的な業務であり,NHKの事業活動の根幹を成す業務の一つを

担当しており,貢献度が高いことから,

NHKの事業の継続にとって不可欠な存在として

事業組織に組み込まれているとされました(①)。

 

 

地域スタッフに求められる契約取次業務の目標数は

NHKが一方的に決め,NHKから支払われる報酬額も

NHKが決めており,地域スタッフには交渉の余地がないので,

契約内容の一方的・定型的決定が認められます(②)。

 

 

地域スタッフの報酬は,基本給的な性格と歩合給的な性格があり,

全体として労務提供の対価として認められました(③)。

 

 

地域スタッフは,目標達成に向けて業務に関する

事細かな指導を受け,目標達成に至らなかったときには,

委託業務の削減や委託契約の解除につながり,

NHKの指揮監督下に置かれていたと判断されました(⑤)。

 

 

 

 

以上より,地域スタッフは,労働組合法の労働者に該当し,

NHKが団体交渉を拒否することは

不当労働行為に該当するとされました。

 

 

この裁判例をみると,地域スタッフは,

労働基準法の労働者にもあてはまるのではないかと思いますが,

高裁レベルでは否定されているが残念です。

 

 

このように,労働組合法の労働者は広く捉えられているので,

コンビニ店主の事件でも,裁判所において,

労働組合法の労働者と判断されることを願います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

コンビニ店主は労働組合法の労働者か2~中央労働委員会命令~

セブンイレブン東大阪上小阪店の店主が,

24時間営業を辞めて,セブンイレブンの本部と対立していた問題で,

セブンイレブン本部は,店主に対して,

時短営業を理由とする契約解除をしないことを伝えたようです。

 

 

 

 

とりあえず,現状は時短営業が事実上追認されたのですが,

セブンイレブン本部は,24時間営業を維持する方針に

変わりはないようで,今後,この問題がどのように

進展していくのか見守っていきたいと思います。

 

 

さて,コンビニ店主の働き方がクローズアップされている中,

3月15日に中央労働委員会において注目すべき命令をくだしました。

 

 

先日,ブログで紹介した,コンビニ店主を

労働組合法の労働者としたセブンイレブンの

岡山県労働委員会の命令と,ファミリーマートの

東京都労働委員会の命令の判断を覆し,

コンビニ店主は,労働組合法上の労働者ではないと判断されたのです。

 

 

 

 

コンビニ店主にとっては,残念な逆転敗訴でした。

 

 

本日は,3月15日の中央労働委員会の命令について説明します。

 

 

労働組合法の労働者は,相手方との個別の交渉において

交渉力に格差が生じ,契約自由の原則を貫いたのでは

不当な結果が生じる場合に,労働組合を組織して

集団的な交渉によって保護が図れるべき者が含まれます。

 

 

そのため,労働基準法の労働者よりも,

保護される範囲が広いのです。

 

 

労働組合法の労働者に該当するかについては,

次の要素を総合考慮して判断されます。

 

 

1 基本的判断要素

 ①事業組織への組み入れ

 ②契約内容の一方的・定型的決定

 ③報酬の労務対価性

2 補充的判断要素

 ④業務の依頼に応ずべき関係

 ⑤広い意味での指揮監督下の労務提供・一定の時間的場所的拘束

3 消極的判断要素

 ⑥顕著な事業者性

 

 

 

コンビニのフランチャイズ契約は,

本部が一方的定型的に定めており,

コンビニ店主が個別交渉で変更することは困難です(②)。

 

 

コンビニ店主は,本部から経営の助言・指導を受けて,

店舗において長時間働いています(⑤)。

 

 

そのため,都道府県労働委員会は,

コンビニ店主を労働組合法の労働者と認めたのでした。

 

 

しかし,中央労働委員会は,コンビニ店主は,

自ら資金調達をして事業の費用を負担し,

損失や利益の帰属主体として,

自らの判断で従業員の雇用や人事管理を行うことで

他人の労働力を活用し,自ら選択した場所で

コンビニの経営を行っているので,

経営者として相当の裁量を有する独立の小売事業者であり,

本部の労働力として組織に組み込まれていないと判断されました(①,⑥)。

 

 

フランチャイズ契約は,コンビニ店主の労働条件というよりは,

店舗経営という事業活動の態様について規定しており,

本部がその内容を一方的に決定していても,

労働組合法の労働者性を根拠付けることにはならず(②),

コンビニ店主が本部から受け取る金員については,

コンビニ店主の労務供給に対する報酬とはいえない(③),

と判断されました。

 

 

結論として,コンビニ店主は,

独立した小売事業者であって,

労働組合法の労働者に当たらず,

本部が,コンビニ店主が加盟する

コンビニ加盟店ユニオンからの

団体交渉申入に応じなかったとしても,

不当労働行為に当たらないと判断されたのです。

 

 

 

コンビニ店主は,コンビニの店舗を経営しているので,

「労働者」と捉えるのは多少違和感があるものの,

本部との間で,交渉力,資金,情報において,

圧倒的に格差があり,事実上長時間労働をしていることから,

コンビニ店主を保護すべき必要性があり,

現行法では,コンビニ店主を保護する仕組みは,

労働組合法以外にはないのです。

 

 

コンビニ店主個人では力がないのですが,

労働組合法の労働者と認められれば,

コンビニ店主が団体で交渉できて,本部は,

交渉に応じなければならず,対等に交渉でき,

本部に対して,自分達の要望を受け入れてもらえる

可能性がでてくるのです。

 

 

コンビニ店主の現状を見ると,

労働組合法の労働者として保護するか,

本部とコンビニ店主の法律関係を規律する

フランチャイズ法などを制定するか,

のどちらかが必要だと考えます。

 

 

コンビニ加盟店ユニオンは,

中央労働委員会の命令を不服として,

行政訴訟を提起するようですので,

裁判所において,コンビニ店主が労働組合法の労働者

として認められるのか,注目していきたいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

タクシー運転手に対する雇止め

イチロー選手がついに引退しました。

 

 

私は,イチロー選手が数々の記録を塗り替えていく

過程のインタビューにおいて,イチロー選手が語る

名言に勇気付けられてきました。

 

 

特に,イチロー選手の次の名言が好きです。

 

 

誰よりも自分が期待している。

自信がなければこの場にいない。

重圧のかかる選手であることを誇りに思う。

 

 

私は,司法試験の受験時代に,

この言葉を自分に言い聞かせて,

受験のプレッシャーを克服してきました。

 

 

 

 

イチロー選手,本当にお疲れ様でした。

 

 

さて,偉大な選手が引退する一方,

人生100年時代に突入した私達には,

引退はまだまだ先の話です。

 

 

本日は,定年後7年間契約が更新されてきた

タクシー運転手に対する雇止めが争われた

国際自動車事件を紹介します

(東京地裁平成30年5月11日判決・労働判例1192号60頁)。

 

 

原告の労働者は,65歳で定年を迎えた後,7年間,

契約期間を1年とする有期労働契約を締結,更新して,

フルタイムのタクシー運転手として勤務してきましたが,

会社からは,乗務日数が減少していたこと,

年齢及び健康状態を理由に,契約期間満了によって,

次の有期労働契約の更新を拒絶されました。

 

 

 

 

有期労働契約において,契約期間満了に際し,

会社から次の契約更新を拒絶することを,雇止めといいます。

 

 

有期労働契約は,契約期間の満了によって

終了するのが原則なのですが,

非正規雇用労働が正社員と同じ業務を行うことが多い現状において,

この原則を貫くと,労働者の地位が著しく不安定になります。

 

 

また,有期労働契約といっても,労使双方が,

契約期間を超えて労働関係を継続することを

予定して就労していることも多いです。

 

 

そこで,労働契約法19条では,労働者が,

有期労働契約が更新されると期待することについて

合理的な理由がある場合には,雇止めは,

客観的に合理的な理由を欠き,

社会通念上相当であると認められないときに無効となります。

 

 

ようするに,1有期労働契約が更新されると期待することについて

合理的な理由があるか否かという基準と,

2客観的合理的理由と社会通念上相当性の基準の2つを満たせば,

従前と同一の労働条件で,有期労働契約が更新されるのです。

 

 

1の基準については,次の要素が総合考慮されて判断されます。

 

 

①雇用の臨時性・常用性(仕事の内容が臨時的・補助的か,基幹的か)

 ②更新の回数

 ③雇用の通算期間

 ④契約期間管理の状況

(契約書を毎回締結しているか,手続が形式的となっていないか)

 ⑤雇用継続の期待をもたせる使用者の言動の有無

 

 

本件事件では,①原告のタクシー運転手の仕事は,

タクシーの運転業務であり,定年の前後で特に変化はなく,

被告タクシー会社の恒常的かつ基幹的な仕事であるため,

そのような仕事をしていた非正規雇用労働者は,

契約が更新されると期待します。

 

 

 

 

また,⑤被告のタクシー会社では,

65歳で定年退職になった後も75歳までの

再雇用が運用として行われており,過去の団体交渉において,

社長が75歳までの雇用継続を決定事項としており,

タクシー運転手に問題がなければ

自動的に再雇用となると述べていたことがあり,

この会社側の言動は,労働者の雇用継続の期待につながります。

 

 

そのため,原告の労働者が有期労働契約が更新されるものと

期待することについて合理的理由があると判断されました。

 

 

そして,原告の労働者には,健康状態に問題を抱えていたものの,

フルタイムの勤務ができないほどではないこと,

乗務日数が減少していたのは,有給休暇を取得していたからであること

の事情があり,被告の会社の雇止めには,

客観的合理的理由がなく,社会通念上相当ではない

と判断されて,無効と判断されました。

 

 

もっとも,本件事件は,労働者の地位を仮に定めることと,

賃金の仮払いを求める仮処分の事件であり,裁判所は,

仮の地位を定めることは認めず,

月額15万円の賃金の仮払いを認めました。

 

 

仮処分の事件では,なかなか,仮の地位を定める

ところまでは認められにくいのが現状です。

 

 

タクシー運転手の雇止めを争うときに

参考になる裁判例ですので,紹介させていただきました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。