パワハラと労災申請

パワハラを受けたことによって,

うつ病などの精神疾患を発症したとして,

労災申請をする件数が増加しています。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/H29_no2.pdf

 

 

もっとも,労災申請をしても,パワハラなどの

仕事上の出来事が原因で,精神疾患を発症したと認められるのは,

約3割程度であり,狭き門です。

 

 

 

 

本日は,会社の代表者からパワハラを受けて,

うつ病に罹患したと主張する労働者が労災申請したものの,

労災とは認められなかったため,国を相手に,

労災の不支給決定処分の取消を求めて提訴した事件について紹介します

(国・さいたま労基署長(ビジュアルビジョン)事件・

東京地裁平成30年5月25日判決・労働判例1190号23頁)。

 

 

まず,精神障害の労災認定基準では,

労災認定を受けるためには次の3つの要件を満たす必要があります。

 

 

①対象疾病である精神障害を発病していること

 ②対象疾病の発病前おおむね6ヶ月の間に,

業務による強い心理的負荷が認められること

 ③業務以外の心理的負荷及び個体側要因により

対象疾病を発症したとは認められないこと

 

 

本件事件の原告の労働者は,うつ病を発症しているので

①の要件を満たします。

 

 

そこで,原告の労働者が,②と③の要件を

満たすのかが争点となりました。

 

 

②の要件については,精神障害の労災認定基準に

「別表1:業務による心理的負荷評価表」という資料がついており,

そこに記載されている具体的出来事のどこにあてはまり,

その具体的出来事の心理的負荷の強度はどれくらいなのかを検討します。

 

 

本件事件では,原告の労働者は,会社の会議において,

代表者から,「幹部の中で会社の手帳を使っていない馬鹿なやつがいる」

などと言われて叱責されたことについて,具体的出来事としては,

「上司とのトラブルがあった」にあたり,

上司から業務指導の範囲内である強い叱責を受けたに該当するので,

心理的負荷は「中」と判断されました。

 

 

 

次に,原告の労働者は,休暇中にすぐに

電話に対応しなかったことで叱責,罵倒されたことについて,

同様に,心理的負荷は「中」と判断されました。

 

 

そして,原告の労働者は,代表者に対して,

退職を申し出たのですが,思い直して,

退職の申し出を撤回したものの,代表者からは,

「一度辞めると言ったのだから辞めなさい。甘ったれた顔をしやがって」

などと言われて,退職の申し出の撤回は認められませんでした。

 

 

さらに,代表者の側近からは,

土下座をする気持ちで謝るように言われていたので,

原告の労働者は,土下座を強要されているように感じました。

 

 

この退職の申し出の撤回を拒否されたことは,

具体的出来事としては,「退職を強要された」にあたり,

退職の意思のないことを表明しているにもかかわらず,

執拗に退職を求められたに該当するので,

心理的負荷は「強」と認定されました。

 

 

 

 

②の要件については,心理的負荷が「強」の具体的出来事が

1つあれば要件を満たすことになり,

心理的負荷が「中」の具体的出来事が複数ある場合は,

総合評価を行い,「強」となれば,要件を満たす場合があります。

 

 

③の要件については,原告の労働者には,

プライドが高いなどの面はあるものの,

退職をめぐるやりとりの過程で代表者との人間関係が悪化するまでは,

良好な人間関係を築いていたことから,

平均的な労働者の部類に入り,

原告の性格傾向が精神障害の発症に主として

影響したとはいえないと判断されました。

 

 

結果として,原告の労働者のうつ病発症は代表者からの

パワハラが原因であるとして,労災認定がされたのです。

 

 

精神疾患の労災認定は,専門的な判断が必要となりますので,

弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただき,ありがとうございます。

保有個人情報開示請求で労災資料を取り寄せる

建設業や製造業の仕事場では,転倒や墜落・転落,

機械に腕を挟まれるなどの労災事故が発生することがあり,

4日以上の休業を伴う死傷事故が増加傾向にあります。

 

 

 

 

人手不足により,安全衛生管理体制が疎かになったり,

働く時間が長くなり,疲労がたまって,集中力の低下を招き,

労災事故が発生しているのかもしれません。

 

 

労災事故にあったならば,労働者は,

労働基準監督署に対して,労災申請をするべきです。

 

 

労災認定がされると,けがによる治療費が国から支給され,

仕事を休んでも,休業期間中は給料の8割が補償され,

後遺障害が残っても,障害年金や傷害一時金が支給され,

日々の生活の不安が軽減されます。

 

 

労災認定がされても,労災保険からは,

慰謝料は支給されませんので,

労災事故による慰謝料を請求するには,

会社に対して,別途,損害賠償請求をする必要があります。

 

 

また,労災と認定されなかった場合,

その決定に対して,不服申立てをすることができます。

 

 

このように,労災と認定されてもされなくても,

次の手続に進むためには,労働基準監督署が

労災事故の調査をした際に集めた資料を

検討しておくことが効果的です。

 

 

労働基準監督署が集めた資料を入手するための方法として,

保有個人情報開示請求という手続を利用します。

 

 

 

 

具体的には,下記URLにある所定の書式に

必要事項を記入した上で,労災の決定を行った労働基準監督署

のある都道府県の労働局長宛て(窓口は労働局総務部)に

書類を提出して行います(郵送も可能です)。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/jouhou/hogo06/dl/01.pdf

 

 

上記URLにある「保有個人情報開示請求書」の

「1 開示を請求する保有個人情報」には,

次のことを記載するといいです。

 

 

①私が~年~月~日に負傷した事故について,

~(事業者名)から~労働基準監督署に提出された死傷病報告書及び,

災害調査や是正指導などがなされていた場合はその書類一式

 

 

②私が,~年~月~日に負傷した事故について治療をした

~県内のすべての医療機関のすべてのレセプト(調剤薬局を含む)

 

 

③私が~年~月~日に負傷した事故に関して,

療養の給付・休業補償・障害給付などの請求書全て(添付資料も含む)

及び支給決定決議書,支給決定にあたり調査をしていれば

その調査書全て(添付資料含む)

 

 

保有個人情報開示請求をすると,1ヶ月程度で,

開示決定がでて,次の資料を入手できます。

 

 

・労働者死傷病報告

 ・災害調査復命書

 ・診療報酬明細書

 ・療養補償給付たる療養の給付請求書

 ・休業補償給付請求書・決議書とそれぞれの添付資料

 ・障害補償給付支給請求書・決議書とそれぞれの添付資料

 

 

開示される資料の中には,聞き取り内容など関係者の

個人情報に属する部分が黒塗りになるといった限界がありますが,

調査復命書の内容の一部が開示されるため,

労働基準監督署がどのような枠組みで判断を行ったか

などについて知ることができて,効果的です。

 

 

 

 

保有個人情報開示請求を利用して,労災の資料を取り寄せて,

不服申立てや会社に対する損害賠償請求の準備をしていくのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

アルバイト労働者は年次有給休暇を取得できるのか?

昨日,アルバイト労働者から次のような法律相談を受けました。

 

 

相談者は,平日の4日間は20時から24時まで,

日曜日は9時から17時までのアルバイトを

9年間ほど継続しています。

 

 

 

 

相談者は,県外に住む家族の体調がよくないため,

お見舞いにいくために,支配人の許可をもらって,

日曜日に休みをとりました。

 

 

すると,支配人からは,日曜日に出勤する条件で雇っているので,

今後日曜日に休むのであれば,もうこなくていいと言われました。

 

 

納得がいかない相談者は,年次有給休暇を取得すれば,

日曜日に休んでも問題はないのではないですか,

と質問したところ,支配人は,

うちには年次有給休暇制度はないと回答しました。

 

 

この支配人は,労働基準法に違反することを回答しています。

 

 

まず,日曜日に出勤することが労働条件となっていたか

について検討します。

 

 

この問題は,労働者と会社がどのような労働条件で,

労働契約を締結したのかということです。

 

 

労働基準法15条により,会社は,労働者を雇用する際に,

賃金や労働時間などの労働条件を明示しなければならず,

通常は,労働条件通知書を交付します。

 

 

 

 

この労働条件通知書に,勤務日は何曜日で,

労働時間が何時から何時までと記載されています。

 

 

しかし,相談者の話を聞くと,

労働条件通知書の交付を受けておらず,

日曜日が勤務日であるという文書は

見たことがないとのことです。

 

 

そうなると,相談者と会社との間で,

日曜日を勤務日とする労働契約が成立したのか不明です。

 

 

もっとも,長年,日曜日に勤務していた実績があるので,

日曜日を勤務日とする労働契約が成立したと

認定される可能性があります。

 

 

次に,日曜日が勤務日だとしても,アルバイト労働者は,

年次有給休暇を取得することができるのでしょうか。

 

 

所定労働時間や所定労働日数が正社員よりも短い労働者を

パートタイム労働者といい,アルバイトも

パートタイム労働者に含まれます。

 

 

パートタイム労働者であっても,

次の①~③のいずれかに該当すれば,

正社員と同じ年休日数を取得できます。

 

 

①所定労働日数が週5日以上の者

 ②所定労働日数が年217日以上の者

 ③週4日以下でも所定労働時間が週30時間以上の者

 

 

 

 

なお,週所定労働時間が30時間未満であり,

かつ,週所定労働日数が4日以下

(週以外の期間によって所定労働日数を定める労働者については

年間所定労働日数が216日以下)の労働者については,

下記のURLに記載されている表のとおり,

所定労働日数及び勤続年数に応じた日数の

年次有給休暇が与えられます。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf

 

 

相談者の場合,1週間に平日4日と日曜日の合計5日働いているので,

正社員と同じ日数の年次有給休暇を取得できます。

 

 

相談者は,9年ほど勤務しているので,

1年間に20日間の年次有給休暇を取得できます。

 

 

そのため,相談者は,日曜日に年次有給休暇を取得すれば,

勤務日である日曜日に休んでも賃金を請求できるのです。

 

 

会社から,うちには年次有給休暇制度はないと言われても,

6ヶ月以上継続勤務して,全労働日の8割以上出勤すれば,

権利として年次有給休暇を取得できますので,

休みたいときには,年次有給休暇を利用すればいいのです。

 

 

最後に,相談者が日曜日に年次有給休暇を取得して

休んだことを理由に解雇された場合,

その解雇は当たり前ですが,違法無効となります。

 

 

労働基準法136条には,会社は,

年次有給休暇を取得した労働者に対して,

不利益な取扱をすることを禁止していますので,

年次有給休暇を取得したことを理由に解雇することは,

この規定に違反して無効となります。

 

 

アルバイト労働者であっても,年次有給休暇は取得できますし,

会社から,うちには年次有給休暇はないと言われても,

労働者には,権利として年次有給休暇を取得できますので,

アルバイト労働者は,休みたいのであれば,

遠慮なく年次有給休暇を取得するようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

著者に会いに行く2~立花岳志先生~

「好き」と「ネット」を接続すると,あなたに「お金」が降ってくる

の著者立花岳志先生主催の立花Be塾金沢の

レベル1の第1回目の講座を受講しました。

 

 

 

 

知人の永栄康子さんから,立花岳志先生が金沢に

よくいらっしゃっているという情報を教えてもらい,

さらに,永栄康子さんの勤務先の会社の社長の高由紀さんから,

立花先生のセミナーは,本当に勉強になるよと教えてもらい,

立花先生にフェイスブックのメッセンジャーで連絡をしてみました。

 

高社長のブログ→http://www.frappu.co.jp/?cat=47

 

 

すると,立花先生から,返信をいただき,

3月17日から,立花先生のブログセミナーが

金沢で開催されることを教えてもらいました。

 

 

しかし,日曜日の午後にセミナーに参加するには,

妻の許可が必要になります。

 

 

そこで,先週は,大阪の阪急百貨店で,

アンジェリーナのモンブランや,ホワイトデーのお返しを買い,

昨日は,アイボリッシュという渋谷のフレンチトースト専門店が

東京駅に出店していたので,そこでクッキーとフィナンシェを買い,

妻にお願いしたところ,セミナーに参加することの許可をもらえました。

 

 

というわけで,念願の立花先生のセミナーに

参加することができましたので,

セミナーで学んだことをアウトプットします。

 

 

 

 

ブログをするにあたって最も大事なことは,

ブログを更新することを習慣化することだと,

立花先生はおっしゃりました。

 

 

習慣化するためには,未来の自分を遠くに設定し,

ほどよい負荷を自分にかけて,

適切な成長カーブを描くことにあります。

 

 

短期的なところに目標を設定しても,効果がでず,

効果がでないと挫折して,習慣化ができないのです。

 

 

ブログを毎日更新していても,すぐには効果はでません。

 

 

しかし,毎日更新を継続していくと,

ブログ筋力が鍛えられて,

ブログを更新することが楽しくなり,

長期間継続できるようになって,

ブログの文章の質と量が向上し,

自分の専門分野が深化していきます。

 

 

人は急には変われないので,

長いスパンで自分の成長を見守ることが,

習慣化のコツのようです。

 

 

 

次に,メンタリティを転換することの大切さを学びました。

 

 

ただの人では人気がでないので,

特別な人へ変わるために,

自分のメンタリティを転換する必要があります。

 

 

具体的には,自分の言葉で語る,

積極的に自分の意見を言う,

自分軸をもって行動する,

他人がどう言おうと自分の言動は変えない,

自分ブランドを積極的に構築する,

唯一無二の存在を目指す,などです。

 

 

これまで,私は,周囲の状況に合わせて

発言していたところがあったのですが,今後は,

人と違うことやNoと言うことを恐れずに,

書くべきことを書き,言うべきことを言う自分に変わります。

 

 

著者から直接指導を受けると,

著者のオーラやリズム感などを含む全人格的なものを体感できて,

本を読む以上に学びが倍増します。

 

 

著者が本に表現できなかった

非言語的な情報を入手できるのです。

 

 

そして,不思議なことに,人は,出会うべきときに,

必要な人と出会っているのだという実感をもてました。

 

 

 

 

今回のブログセミナーに集まった方々は皆,

向上心が高く,魅力的で素敵な人格者ばかりで,

とても刺激を受けました。

 

 

自分が次のステージに移行するタイミングで,

必然的に大切な出会いが人生にあるのだと実感できました。

 

 

ブログセミナーの仲間から,プライベートな記事も

投稿した方が人間味がでていいのではないか

というアドバイスをいただきましたので,

今後は,労働問題以外にもプライベートな記事も

投稿していこうと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

賃金から銀行の振込手数料を相殺することは違法です

求人票には,日当1万円と記載されており,

派遣元会社からも,日当1万円という説明を受けて,

日雇派遣や日々職業紹介で働くことになりました。

 

 

派遣労働者は,お金がなく,給料支給日まで待っていては,

生活が困難になるので,給料支給日よりも前に

給料を受けとりたいというニーズがあります。

 

 

すると,派遣元会社からは,給料支給日よりも前に

給料を受け取るには,105円から315円の振込手数料を

給料から天引きする即給サービスというシステムの紹介を受けて,

派遣労働者は,給料支給日よりも前に,

振込手数料を天引きされて給料を受け取っていました。

 

 

このように,給料から銀行の振込手数料を天引きすることは,

違法ではないのでしょうか。

 

 

 

 

本日は,給料から銀行の振込手数料を天引きすることの是非

について争われた東京高裁平成30年2月7日判決を紹介します

(判例時報2388号104頁)。

 

 

この問題は,労働者の同意がある場合に,

給料と銀行の振込手数料を相殺することは,

労働基準法24条1項の賃金全額払の原則

に違反するかというものです。

 

 

賃金は,労働者の生活の糧となるものなので,

労働者の生活の安定のために,

賃金全額が確実に労働者の手元に渡るように,

会社は,賃金全額を労働者に支払う義務を負っています。

 

 

他方,相殺というのは,会社が労働者に対して

金銭を請求する権利を有しているときに,

労働者が会社に対して,金銭を支払い,

その後に,会社が労働者に対して,給料を支払うのでは,

手間がかかるので,会社の労働者に対する債権と

労働者の会社に対する賃金債権を対当額で消滅させることです。

 

 

会社の労働者に対する債権と,労働者の会社に対する賃金債権とを

相殺すれば,労働者の手取り賃金が減少し,

日々の生活が苦しくなるので,

原則として賃金からの相殺は禁止されています。

 

 

 

 

例外的に,労働者が相殺に同意しており,

その同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると

認めるに足る合理的理由が客観的に存在している場合に限り,

賃金からの相殺が認められるのです

(最高裁平成2年11月26日判決・日新製鋼事件)。

 

 

本件事件では,原告の労働者は,会社から,

即給サービスを利用するには,

振込手数料105円若しくは315円が利用者負担となる

という文書を渡されて,同意していました。

 

 

しかし,被告会社は,即給サービスによって

現金による賃金支払の事務の負担を免れることができ,

原告の労働者は,不安定な雇用に置かれている者であり,

不本意ながら即給サービスを利用せざるをえない立場にあり,

被告会社から即給サービスの利用を誘導されて,

利用したという事情がありました。

 

 

そのため,原告の労働者の即給サービスを利用したときに,

給料から銀行の振込手数料が相殺されることの同意について,

労働者の自由な意思に基づいてされたものであると

認めるに足る合理的理由が客観的に存在する場合ではないと判断され,

給料から銀行の振込手数料を相殺することは違法と判断されました。

 

 

さらに,労働基準法24条1項の賃金全額払の原則に違反することは,

労働者の経済的利益だけでなく,人格的利益を侵害するものとして,

民法の不法行為における違法性を構成し,

被告会社は賃金全額を支払っていないことを認識していたので,

過失があるとして,不法行為に当たると判断されました。

 

 

 

 

原告の労働者の時給が800円であり,

即給サービスの1回の利用により315円を違法に

賃金から控除されていたことから,控除の額が

原告の労働者にとって小さくないことから,

原告に精神的苦痛があったとして,

慰謝料1万円が認められました。

 

 

賃金が相殺される際の労働者の同意を厳格に判断した上で,

賃金全額払の原則の違反が,労働者の人格的利益を侵害して

不法行為にあたり,慰謝料の支払いを命じたのが画期的です。

 

 

賃金からよくわからない控除がされていたときに,

労働者にとって参考になる判例です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

手当の不正受給による懲戒解雇と退職金の不支給

先日,アルバイトによる不適切な動画がSNSに投稿されたことで,

大戸屋が店舗を休業して,アルバイトに対して,研修を行いました。

 

 

 

 

このようなバイトテロに対して,会社は,

懲戒処分や損害賠償請求をすることが多くなる可能性があります。

 

 

労働者の不祥事について,会社が,労働者に対して,

懲戒処分をした場合,労働者が,

懲戒処分に該当する行為をしていない,

懲戒処分は重すぎるなどと主張して,

懲戒処分を争うことがあります。

 

 

本日は,労働者が会社の諸手当を不正受給して懲戒解雇されて,

退職金が不支給となったことが争われたKDDI事件を紹介します

(東京地裁平成30年5月30日判決・労働判例1192号40頁)。

 

 

この事件の原告は,もともと長女と同居していたのですが,

長女が大学に進学して,長女と別居していたにもかかわらず,

長女と同居したままとして,住宅手当を多く取得しました。

 

 

また,原告は,長女と別居していたので,

被告会社の単身赴任基準を満たしていないにもかかわらず,

被告会社に対して,異動に伴いそれまで同居していた長女との

別居を余儀なくされたと虚偽の事実を申告して,

被告会社に誤認させて,単身赴任手当を不正に受給しました。

 

 

その他にも,原告は,社宅の賃料を不正に免れたり,

帰省旅費を不正に受給したりして,被告会社に対して,

合計約400万円の損害を与えました。

 

 

 

 

原告の不正行為には,会社に対する届出を忘れたという性質

がある反面,積極的に事実を偽り,会社を騙した詐欺の性質もあり,

3年以上の期間にもわたって不正が行われていたことから,

原告と被告会社が雇用関係を継続する前提となる

信頼関係が回復困難なほどに毀損されたと判断されました。

 

 

さらに,原告には,過去に2日間の停職の懲戒処分歴があり,

被告会社に対して,明確な謝罪や被害弁償がないことから,

懲戒解雇は有効と判断されました。

 

 

会社の金銭の不正受給に対する懲戒処分の場合,

重い懲戒処分がなされても,有効となる傾向にあると思います。

 

 

懲戒解雇が有効の場合,多くの会社では,

退職金を不支給にするか減額する規定を設けていることが多いです。

 

 

本件事件でも,懲戒解雇の場合は,退職金を不支給にする

規定があったため,被告会社は,原告の退職金を不支給にしました。

 

 

しかし,退職金には,賃金の後払い的性格と功労報償的性格の2つ

があり,退職金の不支給や減額をするには,

労働者のそれまでの長年の勤続の功を抹消ないし減額してしまうほどの

著しく信義に反する行為があった場合に限られる

とするのが裁判所の立場です。

 

 

退職金の賃金の後払い的性格を重視すれば,

不支給や減額を否定する方向に働き,

退職金の功労報償的性格を重視すれば,

労働者の非違行為の内容によっては,

不支給や減額も肯定されるのですが,

それでも抑制的に判断されています。

 

 

 

本件事件においても,原告の非違行為の性質は悪質ではあったものの,

裁判所は,原告の30年以上の勤続の功を完全に抹消したり,

そのほとんどを減殺するものとはいえず,

退職金のうちの6割を不支給として,

退職金の4割を支給することを命じました。

 

 

これまでに,さまざまな事件で,

懲戒解雇と退職金の不支給や減額が争われてきましたが,

懲戒解雇の場合に,退職金を不支給とすることが

認められた裁判例はないと思います。

 

 

労働者としては,懲戒解雇が有効となっても,

退職金がいくらか支給される可能性があることを知っておいてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

トラック運転手の運行時間外手当は固定残業代として有効か?

未払い残業代請求の事件において,会社から,

よく固定残業代の主張がされることが多いです。

 

 

固定残業代とは,一定時間分の時間外労働,

休日労働及び深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金のことです。

 

 

 

 

固定残業代は,基本給に残業代を組み込んでいる場合と,

残業代を~手当という形式で支払う場合の2つがあります。

 

 

会社の固定残業代の主張が認められれば,

会社は,残業代を既に支払っていることになり,

労働者の残業代請求が認められなくなることが多いので,

固定残業代が争点になることが多いのです。

 

 

本日は,この固定残業代について争われたシンワ運輸東京事件

を紹介します(東京高裁平成30年5月9日判決・

労働判例1191号52頁)。

 

 

この事件では,トラック運転手の運行時間外手当が,

労働基準法37条に定める割増賃金の支払に

あたるかが争点となりました。

 

 

運行時間外手当は,トラック運転手が車両を運行することによって

会社が取引先から得る運賃収入の70%に

一定の率を乗じて得られる金額を割増賃金として

支給すると定められていました。

 

 

 

 

そして,基本給等をもとに労働基準法37条で定められた

計算方法で算出した残業代が,運行時間外手当よりも多かった場合,

その差額が支給されており,逆に,運行時間外手当が,

基本給等をもとに労働基準法37条で定められた計算方法で

算出した残業代よりも多かった場合であっても,

その差額をトラック運転手に取得させていました。

 

 

さて,固定残業代が有効となる要件は,最高裁の判例によれば,

①通常の労働時間の賃金に当たる部分と

割増賃金に当たる部分とに判別することができること(判別可能性),

②固定残業代である手当が時間外労働に対する

対価として支払われていること(対価性)です。

 

 

本件事件では,運行時間外手当は,基本給等の

通常の労働時間の賃金に当たる部分と

判別できるようになっていたため,

対価性の要件を満たすかが問題となったのです。

 

 

すなわち,固定残業代が時間外労働の対価であれば,

時間外労働が増えれば,それに比例して割増賃金も増加するという,

労働時間との比例という要素が考えられるのですが,

運行時間外手当は,労働時間と比例しない形で決定されており,

時間外労働の対価で支払われていることに疑問はあります。

 

 

しかし,被告会社では,就業規則や賃金規定において,

運行時間外手当を残業代として支給し,

労働基準法所定の計算方法により算定した残業代と差額が生じれば,

その差額支給すると規定されていて,実際に,給料明細書には,

運行時間外手当の金額と残業時間数をもとに算定した

時間外手当の金額が記載されており,

差額が生じれば差額が支給されていました。

 

 

 

 

さらに,原告らが加入する労働組合との間で,

運行時間外手当が割増賃金として支給されることを

確認する労働協約が締結されており,被告会社が,

基本給などを当初から意図的に低く設定したり,

基本給を減額して運行時間外手当に

振り替えたりしたこともありませんでした。

 

 

以上の事情を考慮して,運行時間外手当は,

時間外労働の対価として支払われていると判断されて,

固定残業代として有効であり,

労働者の未払い残業代請求は認められませんでした。

 

 

このように,固定残業代としての手当が,

時間外労働の対価といえるかについては,

就業規則や賃金規定の定め方,

労働基準法所定の計算方法により算出された残業代との差額の支払,

労働組合との協議の経過,固定残業代と基本給との比較

などの事情を考慮して判断されます。

 

 

専門的に分析する必要がありますので,

固定残業代を争う場合には,弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

仕事の報酬とは何か

田坂広志先生の著書「仕事の報酬とは何か~人間成長をめざして~

を読みましたので,アウトプットします。

 

 

 

 

「仕事の報酬とは何か」と問われれば,

多くの人は,「給料である」と答えると思います。

 

 

しかし,田坂先生は,給料という目に見える報酬ではなく,

目に見えない3つの報酬を,自ら求めて得るべきであると説いています。

 

 

その3つの報酬とは,能力,仕事,成長です。

 

 

この3つの報酬を求めることで,

「仕事そのもののなかに,大きな喜びがある」ことに気づきます。

 

 

私は,この本を読み,この3つの報酬の中でも,

能力という報酬について,よく理解できました。

 

 

能力という報酬は,仕事をしていく中で,

腕を磨いていく過程で得ることができます。

 

 

例えば,私の弁護士という仕事ですが,法律の専門知識に加えて,

次のような能力が必要とされます。

 

 

クライアントに安心して話してもらい,

必要な事実を聞き取るコミュニケーションの能力,

事件の相手方や裁判所と交渉して,説得する能力,

読み手に伝わる文章を書く能力,

証人尋問において,証人に質問して,必要な回答を引き出す尋問の能力,

講義を担当する時などには,聴衆に対して

分かりやすく伝えるプレゼンの能力など,

さまざまな能力が必要とされます。

 

 

これらの能力を身につけるための最も大切な方法とは,

「師匠」をみつけることなのです。

 

 

 

プロフェッショナルとしての能力やスキルについては,

言葉では言い表せない知恵なので,師匠と一緒に仕事をすることで,

体でつかみとっていくのです。

 

 

そして,師匠から学ぶための3つの基本があります。

 

 

それは,呼吸,着眼,心得の3つです。

 

 

呼吸とは,リズム感とバランス感覚のことです。

 

 

田坂先生は,師匠のリズム感とバランス感覚を掴み取る方法として,

師匠の電話を傾聴する方法を提唱しておられます。

 

 

師匠に電話がかかってきたときに,仕事の手はとめずに,

師匠が電話しているやりとりに耳を傾けて,

言葉のリズム感や会話のバランス感覚を,

体に染み込ませるという方法です。

 

 

私は,意識して,先輩弁護士の電話のやりとりに

耳を傾けていなかったので,今後は,

先輩弁護士の電話のやりとりを聞いて,

言葉のリズム感や会話のバランス感覚を学んでいきます。

 

 

次に,着眼とは,1つの経験における無数の問題の何に注目し,

何を問題とするかを見極めることです。

 

 

1つの仕事を経験したときに,その経験からどのようなスキルをつかみ,

どうすればスキルをつかめるかについて,反省をするためには,

何に着眼するかが重要になるのです。

 

 

そして,スキルを学ぶ前に,師匠の心得を身につける必要があります。

 

 

この心得の中で,私が感銘を受けたのが

「他人の中にある欠点は,必ず,自分の中にも,ある」ということです。

 

 

人は他人の欠点について批判的にみてしまいますが,

その他人の欠点は,自分自身が無意識的になんとかしたいという

欠点を投影していることがあります。

 

 

人は鏡なのです。

 

 

 

 

他人は,自らを映し出す鏡と考えれば,

他人を裁くという過ちから,免れることができるのです。

 

 

今後,私は,師匠からさまざまなプロフェッショナルとしての

能力やスキルをつかみ,仕事という作品をつうじて,

自己成長を続けていきたいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

最低賃金の業種別の全国一律化の議論

今年の4月から,外国人労働者の受け入れが拡大されます。

 

 

外国人労働者は,賃金の高い都市部にいくことが考えれますが,

そうなると,地方の人手不足を解消することができません。

 

 

人材確保の一環として,外国人労働者の受け入れが

拡大されたにもかかわらず,都市部に外国人労働者が流入し,

外国人労働者が地方に定着しないことが懸念されているようです。

 

 

 

 

そこで,厚生労働省は,建設や介護など,

外国人労働者を拡大する14業種を対象に,

業種別の全国一律の最低賃金を導入することを

検討することになりました。

 

 

しかし,人件費がふくらむことをおそれた

経済界が難色を示したところ,厚生労働省は,

この検討をすることを停止したようです。

 

 

厚生労働省は,統計不正問題で大変な中で,さらに,

最低賃金の問題が加わることをおそれたのかもしれません。

 

 

本日は,この問題を理解するために最低賃金制度について解説します。

 

 

最低賃金制度とは,国が,労働契約における賃金の最低額を定めて,

会社に対して,それを守ることを強制する制度です。

 

 

 

 

最低賃金制度が設けられた趣旨は,市場経済体制のもとでは,

経済情勢や労働市場の状況によっては,

著しく低額な賃金の労働関係が出現して,

労働者の生活を困難にするおそれがあることから,

国が労働市場のセーフティネットとして,

賃金額の最低限度を定めて,

これを会社に強制することにしたのです。

 

 

会社は,労働者に対して,最低賃金以上の

賃金を支払う義務を負うので,労働者は,

最低賃金以下の賃金しか受け取っていない場合,

会社に対して,最低賃金と実際の賃金との差額を請求できます。

 

 

最低賃金には,地域別最低賃金と特定最低賃金の2つがあります。

 

 

地域別最低賃金は,地域における労働者の生計費及び賃金

並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して,

都道府県ごとに定められる最低賃金です。

 

 

各地域の産業・賃金・生計費の実際的な違いを考慮して

全国一律の最低賃金ではなく,地域別の最低賃金を設定して,

賃金の低廉な労働者のための最低賃金を整備しているのです。

 

 

地域別最低賃金は,中央最低賃金審議会又は

地方最低賃金審議会の調査審議を経て,決定されます。

 

 

平成30年10月1日発行の地域別最低賃金は,

最も高いのが東京都の985円,

最も低いのが鹿児島県の761円で,

224円の差があります。

 

 

 

 

ちなみに,石川県の地域別最低賃金は806円で,

全国平均874円よりも低いです。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

 

 

会社が,地域別最低賃金以下の賃金を支払っていた場合,

50万円以下の罰金に処せられます(最低賃金法40条)。

 

 

もう一つの,特定最低賃金は,一定の事業または職業について,

地域別最低賃金を上回る最低賃金を設定することをいいます。

 

 

労働者または使用者の全部または一部を代表する者が,

厚生労働大臣または都道府県労働局長に対して申し出て,

最低賃金審議会の意見を聞いて,

厚生労働大臣または都道府県労働局長が決定します。

 

 

特定最低賃金については,罰則はありません。

 

 

現在の最低賃金制度では,地域別最低賃金がほとんどで,

特定最低賃金はそれほど利用されていません。

 

 

今回の,外国人労働者の受け入れ拡大に伴う

最低賃金の業種別一律化は,外国人労働者の受け入れを拡大する

14業種について,特定最低賃金を設定しようとするものでした。

 

 

しかし,14業種について,最も高い東京都の水準に

あわせようとすれば,労働者は嬉しいですが,経営側は,

人件費の高騰を理由に猛反発しますし,

最も低い鹿児島県の水準にあわせようとすれば,

経営側は喜びますが,労働者は,給料が減額されるので猛反発します。

 

 

基本的には,外国人労働者を地方に定着させるために,

地域別最低賃金よりも高い特定最低賃金を設定しようとすると,

東京都の水準にあわせることになると思いますが,そうなると,

地方の中小企業が人件費の高騰に耐えられるのかという問題が生じます。

 

 

そのため,この議論は,早々に幕を引きました。

 

 

とはいえ,外国人労働者の地方への定着をどうするのか

という問題は残ったままですので,

地方の最低賃金があがる方向になるのか注目していきたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

デジタルマネーでの給料の支払は認められるのか?~賃金の通貨払いの原則~

現在,厚生労働省は,デジタルマネーで

給料の支払いができるように検討しているようです。

 

 

もともとは,国家戦略特区において,

デジタルマネーでの給料の支払の解禁を考えていたようですが,

今は全国での解禁の話をしているようです。

 

 

デジタルマネーとは,電子情報で支払いに充てられるお金の総称で,

スイカなどのICカードやスマートフォンにチャージできる電子マネーや,

ラインなどのインターネット事業者が手がけるマネーなどのことです。

 

 

 

 

昨年あたりから,日本でも,ペイペイやラインペイなどの

スマホ決済が脚光を浴び,キャッシュレス社会へ動き出しています。

 

 

聞くところによると,中国では,

スマホ決済が既に主流で,

現金を使うことがほとんどないようです。

 

 

なぜ,デジタルマネーでの給料の支払いが浮上したかといいますと,

今後,外国人労働者が増加していくことが見込まれますので,

キャッシュレス社会が進んだ国から日本にきた外国人労働者に対して,

デジタルマネーで給料を支払った方が,

外国人労働者にとってメリットがあると考えられたようです。

 

 

ところが,このデジタルマネーでの給料の支払いについては,

労働基準法24条1項の賃金の通貨払いの原則

との関係で問題があります。

 

 

賃金の通貨払いの原則とは,貨幣経済の支配する社会では

最も有利な交換手段である通貨による賃金支払を義務付け,

これによって,価格が不明瞭で換価にも不便であり,

弊害をまねくおそれが多い実物給付を禁止したものです。

 

 

 

 

労働者は,会社から賃金を受け取って生活しているところ,

会社から受け取る賃金が通貨以外のもので支給されたら,

通貨以外のものの価値が不明であるため,

物と交換することができず,商品を買うことができなくなって,

日常生活に支障が生じることから,会社に対して,

賃金を通貨で支払うことを義務付けているのです。

 

 

そのため,会社は,給料を通貨ではなく,

自社商品で支給することは許されないのです。

 

 

もっとも,賃金の通貨払いの原則は,

労働者にとって不利益な実物給付を禁止する趣旨であることから,

公益上の必要がある場合や,労働者に不利益になるおそれが少ない場合

には,例外が認められます。

 

 

例えば,銀行口座への振込は,労働者の同意があり,

労働者が指定する銀行口座であれば,

賃金の通貨払いの原則に違反しません

(労働基準法施行規則7条の2第1項1号)。

 

 

銀行口座への振込であれば,労働者は,

給料日に,銀行へ行けば,給料を引き出せるので,

不利益はありませんし,計算の手間が省けることから,

給料を現金で手渡すよりも,銀行振込の方が,

会社にとっても,労働者にとっても,便利だからなのです。

 

 

退職金については,金額が高額になることから,

現金の保管や持ち運びに危険が伴うため,

銀行が振り出した小切手で支払うことが認められていますが

(労働基準法施行規則7条の2第2項),

毎月の賃金を小切手で支払うことは,

小切手が一般的に普及している支払手段ではなく,

受け取った労働者に若干の不便を与えるので,

適当ではないと考えられているようです。

 

 

では,デジタルマネーでの給料の支払はどうかといいますと,

労働基準法24条1項では,「厚生労働省令で定める賃金について

確実な方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては,」

通貨以外のもので支払うことが認められると規定されているので,

厚生労働省が賃金として確実に支払われると判断して,

厚生労働省令で定めれば,デジタルマネーでの給料の支払は

可能となります。

 

 

 

賃金の通貨払いの原則の趣旨からすれば,

労働者に不利益が生じないといえれば,

デジタルマネーでの給料の支払は認められると考えられています。

 

 

もっとも,会社が労働者の給料相当額を

資金移動業者へ支払ったものの,

資金移動業者が倒産したために,

労働者に給料が支払われなくなることだけは,

絶対に避けなければなりません。

 

 

そのため,デジタルマネーでの給料の支払を認めるためには,

金融庁が資金移動業者の監督を徹底し,仮に倒産した場合でも,

労働者に給料が支払われる仕組みを構築することが必要であると思います。

 

 

デジタルマネーでの給料の支払については,

今後の動向を注目していきたいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。