NHKのワンワンワンダーランドコンサートに行ってきました

先日の参議院選挙において,NHKから国民を守る党,

通称N国党という政党が議席を確保したことが話題になっております。

 

 

「NHKをぶっ壊す」という過激な発言がされているようです。

 

 

学生のころの私は,NHKを見ていないのに,

どうして受信料を支払われなければならないのか疑問に思い,

受信料の集金係の方に,いろいろ文句を言ったことがあります。

 

 

しかし,子供が生まれて,子育てをするようになってから,

NHKに対する見方が180度変わりました。

 

 

NHKは,大切です。

 

 

 

特に,Eテレ,すなわち,NHK教育番組が,

子育て世代にとってなくてはならないと考えております。

 

 

子育てをしていると,どうしても

やらなければいけないことができたときに,

子供にテレビを見てもらって,

やらなければいけないことをすることがあります。

 

 

そんなときに,NHKのEテレが役に立ちます。

 

 

私の娘は,「いないいないばあ」→「お母さんといっしょ」

→「おしり探偵」という順番で,Eテレにはまり,

私達夫婦が手に負えないときに,

Eテレに子守をしてもらうことがあります

(あまりよくないのかもしれませんが・・・)。

 

 

というわけで,子育て世代にとって,NHKは重要な存在なのです。

 

 

そんな,NHK本社に先日行ってきましたので,報告します。

 

 

渋谷のNHKホールに行ってきたのですが,きっかけは次のとおりです。

 

 

「いないいないばあ」や「お母さんといっしょ」の番組では,

全国を巡回するコンサートを開催しています。

 

(NHKの外壁にはガラピコぷ~のキャラクターと記念撮影できるスポットがあります)

 

昨年,「いないいないばあ」の金沢公演と

「お母さんといっしょ」の富山公演に応募しましたが,見事に落選。

 

 

地方のコンサートは倍率が高く,

待っているだけでは当たらないので,

大都市のコンサートの方が募集人数も多く,

当たる可能性が高くなるのではないかとと私達夫婦は考え,

今年は,渋谷のNHKホールの3階席で応募しました。

 

 

すると,私達夫婦の作戦が的中したのか,なんと,

「いないいないばあ」という番組の「ワンワンワンダーランド」

の10周年記念コンサートのチケットが当たりました。

 

 

というわけで,0歳の息子を妻の実家であずかってもらい,

2歳の娘を連れて,東京へ旅立ちました。

 

 

電車移動のため,ベビーカーはもっていきませんでした。

 

 

本当は,抱っこひもを利用したかったのですが,2歳の娘は,

抱っこひもの中に入るのを嫌がったので,ずっと,

私が娘を抱っこしながら,東京を移動しました。

 

 

大きくなった娘を抱っこしていると,成長を実感できましたが,

ずっと抱っこしていると,腕の筋肉が痛くなりました。

 

 

子供と都会にいくのは大変なことだと実感しました。

 

 

さて,NHKの本社は,渋谷駅から

徒歩15分くらいのところにあり,

巨大などーも君の像が出迎えてくれます。

 

 

 

また,NHKのスタジオを見学でき,

「いないいないばあ」のワンワンや,

「お母さんといっしょ」のガラピコぷ~のキャラクター,

「おしり探偵」のキャラクターと記念撮影できるスポットがあり,

娘は,大喜びでした。

 

そして,NHKホールへ行くと,

大勢の親子連れが行列を作っていました。

 

 

NHKホールは,3,000人以上の人数を収容でき,

今回の「わんわんワンダーランド」のコンサートは,

7月の3連休の3日間の各日の午前と午後に実施されたので,

18,000人以上の家族が全国各地からコンサートを見るために,

NHKホールに集まってきたのです。

 

 

おそるべき集客力。

 

 

全国各地から集まった家族連れを見ていると,どこの親も,

子供の思い出のために,一生懸命努力しているとしみじみ思いました。

 

(全国各地から大勢の家族連れが集まっていました)

 

 

子供の思い出のために,がんばるのであれば,私の妻も負けていません。

 

 

この日のために,娘にウータンというキャラクターの

コスプレ衣装を作成し,ワンワンへの手紙を娘と一緒に作成しました。

 

(ウータンの格好をした娘)

 

ウータンの格好をして,ワンワンポストに手紙を入れて

喜ぶ娘の姿を見ていると,妻の娘に対する愛情が結実したようで,

微笑ましく思いました。

 

(ワンワンポストに手紙をいれる娘)

 

NHKホールの中は,撮影禁止だったので,

写真は撮れなかったのですが,3階席にも,

ワンワンやジャンジャンというキャラクターが駆けつけてくれて,

娘は,テレビに映っているキャラクターが目の前に来て,

とても興奮していました。

 

 

ワンワンワンダーランドのコンサートは,大人も,

子供と一緒に楽しめる仕掛けがたくさんあり,

私達夫婦も,とても楽しい時間を過ごせました。

 

 

ただ,娘は,コンサートの後半,飽きてきたのか,

機嫌が悪くなってしまい,泣き出して大変でした。

 

 

会場のあちらこちらからも,子供の泣き声が聞こえてきて,

どこの家庭も一緒に苦労しているのがわかりました。

 

 

小さい娘をずっと抱っこしながら,

都内を移動するのは大変でしたが,

妻と一緒に娘によき思い出を作ってあげることができ,

親子夫婦の絆が深まったと思います。

 

 

子育て世代の方は,ぜひNHK本社に一度いってみてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

8月2日金曜日に石川県女性センターで開催される,

トラブルのない明るい職場を目指す労働判例・政策セミナーin金沢

で講師をさせていただくことになりましたので,

2018年6月に成立し,2019年4月から逐次施行されている,

働き方改革関連法について,今一度勉強をしております。

 

 

 

 

ようやく,当日配布のレジュメが完成し,

最終の調整をしております。

 

 

当日は,正社員と非正規雇用労働者の

均等均衡待遇について解説します。

 

 

その関係で,本日は,パートタイム・有期雇用労働法14条

に規定された待遇に関する説明義務について解説します。

 

 

 

パートタイム勤務の労働者や契約社員のように

雇用期間が区切られている有期雇用労働者などの

非正規雇用労働者は,正社員に比べて

労働時間や職務の内容が多様であり,

その労働条件が不明確になりやすいことから,

正社員との待遇の違いを生じさせている理由がわからず,

不満を抱くことがあります。

 

 

このような非正規雇用労働者の不満を解消するために,

まずは労使間での対話を行い,

不合理な待遇差の是正につなげていくために,

会社に待遇差についての説明義務を課したのです。

 

 

パートタイム・有期雇用労働法14条1項において,

会社は,パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れるときに,

次のことを説明しなければならなくなりました。

 

 

①パートタイム・有期雇用労働者の待遇について,

正社員との間で不合理な相違を設けていないこと

 

 

②正社員と差別的な取扱いをしないこと

 

 

③職務の内容,職務の成果等のうち

どの要素を勘案した賃金制度なのかということ

 

 

④パートタイム・有期雇用労働者に対して

どのような教育訓練が実施されているのかということ

 

 

⑤パートタイム・有期雇用労働者が

どのような福利厚生施設を利用できるのかということ

 

 

⑥パートタイム・有期雇用労働者が

どのような正社員への転換推進措置を

実施しているのかということ

 

 

会社は,パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れるたびごとに,

上記①~⑥について,資料を活用して口頭で説明することになります。

 

 

 

 

次に,パートタイム・有期雇用労働法14条2項において,

会社は,パートタイム・有期雇用労働者からの求めがあった場合,

パートタイム・有期雇用労働者と正社員との待遇の相違の内容,

理由などを説明しなければなりません。

 

 

このとき,パートタイム・有期雇用労働者と

比較の対象となる正社員については,

会社が選定することができます。

 

 

会社は,比較対象として選定した正社員の賃金の額や,

賃金規程や等級表の支給基準などについて説明しなければならず,

「賃金は,各人の能力,経験等を考慮して総合的に決定する」

といった説明では不十分となります。

 

 

 

パートタイム・有期雇用労働者と正社員との間で

待遇に関する基準が同一の場合には,

同一の基準のもとで違いが生じている理由(成果,能力,経験の違い)

の説明が必要になります。

 

 

また,パートタイム・有期雇用労働者と正社員との間で

待遇に関する基準が異なる場合,待遇の性質・目的を踏まえ,

待遇に関する基準に違いを設けている理由

(職務の内容,職務の内容及び配置の変更の範囲の違い,

労使交渉の経緯など),及びそれぞれの基準を

正社員及びパートタイム・有期雇用労働者に

どのように適用しているのかについて,

説明が必要になります。

 

 

そして,パートタイム・有期雇用労働法14条3項により,

会社は,パートタイム・有期雇用労働者が

待遇の相違の説明を求めたことを理由として,

解雇などの不利益な取扱いをしてはなりません。

 

 

このように,会社は,パートタイム・有期雇用労働者から

待遇の相違について説明を求められれば,

説明しなければならない義務を負うことになりますので,

パートタイム・有期雇用労働者は,正社員との待遇に格差を感じ,

その根拠を知りたいときには,

積極的に説明を求めていくべきだと思います。

 

 

会社としては,パートタイム・有期雇用労働者から

説明を求められたときに,きちんと説明できるように

準備をしておく必要があります。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

フレックスタイム制の精算期間の延長

昨日は,フレックスタイム制の概要について説明しましたので,

本日は,働き方改革でフレックスタイム制が

どのように改正されたのかについて解説します。

 

 

 

今回の働き方改革によって,フレックスタイム制の精算期間が

1ヶ月以内から3ヶ月以内に延長されました。

 

 

精算期間とは,フレックスタイム制の適用の単位となる期間であり,

この期間に対して,労働者が労働すべき時間(総労働時間)

を定めることになります。

 

 

改正前であれば,精算期間が1ヶ月以内だったので,

使用者は,1ヶ月ごとに,実労働時間が総労働時間を超過した場合には,

超過時間分に応じた残業代を支払う必要があり,

実労働時間が総労働時間よりも少ない時間ですんだ場合には,

賃金控除される可能性がありました。

 

 

今回の改正によって,精算期間が3ヶ月以内に延長されたことで,

例えば6月から8月に精算期間が設定された場合,

6月に長く働いた分,総労働時間を満たす限り,

8月に短く働くことができるようになります。

 

 

6月に長く働いた時間と8月に短く働いた時間とを相殺して,

6月に残業代が支払われない代わりに,

8月に賃金控除をしないという調整が可能となります。

 

 

もっとも,実労働時間は,仕事の量に左右され,

労働者には,仕事量を調整する権限が与えられていないことが多く,

労働者が6月に長く働き,8月に短く働こうとしても,

8月の仕事量の軽減がなければ,

結局,8月も長く働かなければならなくなります。

 

 

その結果,全体として長時間労働なり,

フレックスタイム制の目的である

仕事と生活の調和が実現できないことになります。

 

 

 

さて,1ヶ月を超える精算期間を設定した場合,

所轄の労働基準監督署に労使協定の届出が必要となり,

1ヶ月あたりの実労働時間が週平均50時間を超えた場合には,

総労働時間にかかわらず,時間外労働に該当し,

36協定の締結と届出が必要となり,

精算期間の途中であっても,

各月の賃金支払日に残業代を支払うことが,

会社に義務付けられています。

 

 

例えば,精算期間を6月から8月とし,

総労働時間を525時間として,

6月に250時間,7月に200時間,8月に75時間

働いた場合,3ヶ月間の実労働時間は525時間であり,

総労働時間の枠内におさまっています。

 

 

しかし,6月の週平均労働時間は,

250時間÷30日×7日=58.33時間となり,

週平均50時間を超えています。

 

 

6月の法定労働時間の総枠は,

50時間×30日÷7日=214.2時間であり,

6月の実労働時間は,250時間であり,

250時間-214.2時間=35.8時間について,

6月分の給料の支給日に残業代が支払われなければなりません。

 

 

おそらく,精算期間を3ヶ月に延長した場合,

残業代の計算が複雑になります。

 

 

労働者は,フレックスタイム制が適用されても,

長時間労働であれば,残業代が請求できることを覚えておいてください。

 

 

今回の改正で,精算期間が

1ヶ月以内から3ヶ月以内に延長されましたが,

労働者は,始業時刻と終業時刻をコントロールできても,

仕事量をコントロールできないので,

長時間労働に陥る危険があります。

 

 

 

そのため,労働者としては,会社から

フレックスタイム制の精算期間の延長を提案されても,

無理に応じないようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

フレックスタイム制とは

8月2日金曜日に石川県女性センターで開催される,

トラブルのない明るい職場を目指す労働判例・政策セミナーin金沢

で講師をさせていただくことになりましたので,

2018年6月に成立し,2019年4月から逐次施行されている,

働き方改革関連法について,今一度勉強をしております。

 

 

 

現在,準備のラストスパートに突入しており,

もう少しで,当日配布するレジュメが完成しそうです。

 

 

今回は,フレックスタイム制の改正について説明します。

 

 

まずは,フレックスタイム制の改正の説明をする前提として,

フレックスタイム制がどのようなものかについて説明します。

 

 

フレックスタイム制とは,労働者が労使協定によって定められた

単位期間(精算期間)内に一定時間数(総労働時間)労働することを

条件に,自己の選択する時刻に労働を開始し,

終了することができる制度です。

 

 

 

1日8時間,1週間40時間の法定労働時間の規制を受けない

変形労働時間制の1つです。

 

 

通常,出勤時刻と退社時刻は,会社が指示するものですが,

フレックスタイム制では,出勤時刻と退社時刻を

労働者が自由に決定できるのです。

 

 

フレックスタイム制では,労働者が出勤時刻と退社時刻時刻を

自由に決定できないように,会社が時刻を指定して

業務命令を出すことはできないのです。

 

 

労働者の生活と業務の調和を図りながら,

効率的に働くことにより労働時間を短縮することを

目的として導入されました。

 

 

もっとも,フレックスタイム制を導入したからといって,

必ずしも労働時間の短縮に結びつくものではありません。

 

 

労働時間は,基本的に業務量に左右されるので,

業務量が同じであれば労働時間も同じままであり,

出勤時刻と退社時刻を労働者が自由に決められるだけで,

業務量が変わらないのであれば,

労働時間の短縮にはつながらないのです。

 

 

もともとの所定労働時間帯の中に,

業務がないのに拘束されていた無駄な時間があれば,

その時間を短縮して,労働時間を短縮できることになるのです。

 

 

 

フレックスタイム制では,精算期間というものを

労使協定で定める必要があります。

 

 

精算期間とは,フレックスタイム制適用の単位となる期間であり,

この期間に対して労働者が労働すべき総所定労働時間(契約時間)

を定めることになります。

 

 

精算期間における実労働時間と契約時間を比較し,

実労働時間が契約時間を上回れば,

その実労働時間に応じた賃金を

精算期間の賃金支払日に支払わなければなりません。

 

 

精算期間の精算とは,実労働時間と契約時間とを

精算するという意味なのです。

 

 

精算期間における契約時間は,精算期間をつうじて

1週間あたりの平均が法定労働時間である

40時間以下でなければなりません。

 

 

精算期間が1ヶ月の場合の契約時間の上限は,次のように計算されます。

 

 

週法定労働時間(40時間)×(1ヶ月の総日数/7日)

 

 

1ヶ月31日の月は177.4時間,

1ヶ月30日の月は171.42時間となり,

この法定労働時間を超えて労働した場合には,

労働基準法37条に基づき,

25%以上の残業代を請求できます。

 

 

 

例えば,精算期間1ヶ月で30日,

法定労働時間171.42時間,

契約時間150時間,

実労働時間200時間

のケースで考えてみましょう。

 

 

171.42時間-150時間=21.42時間については,

法内残業として,就業規則所定の残業代を請求できます。

 

 

200時間-171.42時間=28.58時間については,

法外残業として,労働基準法37条に基づき

25%以上の残業代を請求できます。

 

 

これまでは,フレックスタイム制の精算期間の上限が

1ヶ月以内とされていたのですが,今回の働き方改革によって,

精算期間の上限が3ヶ月以内に延長されました。

 

 

この精算期間の延長によって,規制も変化しました。

 

 

長くなりましたので,フレックスタイム制の改正の

ポイントの解説は,明日以降に行います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

吉本興業の岡本社長の宮迫博之氏に対するパワハラと録音問題

3日連続になりますが,宮迫博之氏の記者会見と

吉本興業の岡本社長の記者会見について記載します。

 

 

本日は,岡本社長の宮迫博之氏に対するパワハラと

録音について解説します。

 

 

 

まず,宮迫博之氏は,記者会見を開こうとしたところ,岡本社長から,

「やってもええけど,そしたら全員連帯責任,クビにする。

俺にはお前ら全員クビにする力があるんだ」

と告げられたことを記者会見で明らかにしました。

 

 

これに対して,岡本社長は,記者会見で,

「父親が息子に言う『勘当や』『ええかげんにせえ』という意味合いだった」

と説明しました。

 

 

岡本社長は,クビ発言を認めた上で,

その意味するところは宮迫博之氏が受け取ったところとは

違うことだったのだと言いたかったのでしょう。

 

 

しかし,岡本社長が,このクビ発言を認めた時点で,

パワハラを認めたことになります。

 

 

今年の通常国会で労働施策推進法が改正されて,パワハラの定義が,

「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,

業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

その雇用する労働者の就業環境が害されること」

と法律で明記されました。

 

 

 

吉本興業は芸能人と契約書を締結していないので,芸能人は,

どのような場合に,契約を解除されるのか分かりません。

 

 

また,社長の言うことを聞かないと,

仕事をまわしてもらえなくなるかもしれず,

そうなれば,食べていけなくなるので,社長の言うことは,

ほぼ絶対なのだと予想されます。

 

 

そのため,岡本社長は,宮迫博之氏に対して,

優越的な関係にあるといえます。

 

 

次に,不適切な言動があった宮迫博之氏だけの契約を

解除するならまだしも,その他の芸能人の契約を解除することで

圧力を加えることは,業務上必要かつ相当な範囲を超えていると思います。

 

 

個人的には,宮迫博之氏だけに対する処分のことを伝えたのであれば,

まだセーフかもしれませんし,

ここまで問題が大きくならなかったかもしれませんが,

「全員クビにする」は,さすがに行き過ぎであり,

宮迫博之氏に対して,世間が同情し,

吉本興業の対応がおかしいという世論を形成したのだと思います。

 

 

そして,宮迫博之氏としては,自分だけが契約解除になるならまだしも,

他の後輩芸能人も契約解除になると言われれば,

他の後輩芸能人の人生が自分の言動で暗転することになり,

多大な精神的圧力を加えられたと感じたはずで,

当然,吉本興業での就業環境が害されました。

 

 

以上より,岡本社長の言動は,上記の法律で明記された

パワハラの定義に該当すると考えます。

 

 

次に,宮迫博之氏は,岡本社長から「テープを回してないやろうな」

と言われたと記者会見し,岡本社長は,この発言のことを

「冗談だった」と説明しました。

 

 

宮迫博之氏が岡本社長の言動を録音していたかは不明ですが,

岡本社長の許可なく無断で録音しても,

営業上の秘密情報等が録音されていない限り,

法律上問題はありません。

 

 

むしろ,パワハラの言動は,録音されていないと

パワハラの事実を証明ができないので,

録音するべきなのです。

 

 

録音がなければ,パワハラ発言について,

言った言わないの論争となり,そうなれば,

パワハラの被害者の請求が認められなくなるのが現状です。

 

 

これを避けるためにも,パワハラを受けた被害者は,

パワハラ発言を録音するべきなのです。

 

 

録音するにあたり,パワハラ発言をした人の許可をとる必要はなく,

無断でこっそり録音すればいいのです。

 

 

ですから,宮迫博之氏が岡本社長の発言を録音していても,

営業上の秘密情報等が録音されていない限り,何も問題はありません。

 

 

岡本社長としては,「テープを回してないやろうな」

といって圧力をかけるのではなく,

宮迫博之氏から録音されていることを前提に,

後からパワハラだと言われないような

適切な言動をすべきだったのです。

 

 

宮迫博之氏と岡本社長の記者会見の報道を見て,

パワハラ事件では録音が重要であると改めて感じた次第です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

宮迫博之氏の記者会見から芸能人の労働組合の必要性を考える2~芸能人労働組合を結成すれば団体交渉ができる~

昨日のブログで記載した,吉本興業の芸能人が,

労働組合法の「労働者」に該当するかについて,

基本的判断要素である

①事業組織への組入,

②契約内容の一方的・定型的決定,

③報酬の労務対価性,

補充的判断要素である

④業務の依頼に応ずべき関係,

⑤広い意味での指揮監督下の労務提供,一定の時間的場所的拘束,

消極的判断要素である

⑥顕著な事業者性

に当てはめて検討してみます。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201907248343.html

 

 

①事業組織への組入について,吉本興業は,

所属している芸能人を,テレビ番組などに出演させて,

収益を得ていると考えられますので,芸能人は,

吉本興業の事業遂行に不可欠ないし枢要な労働力として,

組織内に確保されているといえそうです。

 

 

②契約内容の一方的・定型的決定について,驚くことに,

吉本興業は,芸能人との間で,契約書を締結していないようです。

 

 

通常,会社側が定型的な契約様式を用いていると,

この要素を満たすことになるので,吉本興業の場合は,

この要素は満たさないとも思えます。

 

 

 

他方,契約書の締結がないことによって,

吉本興業と芸能人との間の権利関係が不明確となり,

仕事が欲しい芸能人は,吉本興業の指定してくる

条件に従わざるをえないため,労働条件が一方的に決定されて,

芸能人には,事実上,個別交渉の余地がないと考えられます。

 

 

そのため,②の要素も満たす可能性があると考えます。

 

 

③報酬の労務対価性については,芸能人は,

吉本興業から指示された仕事をして,

興行先から吉本興業に支払われた金銭のうちの何割かを

報酬として受け取っていると思われるので,芸能人の報酬は,

労務提供に対する対価と評価されると思います。

 

 

④業務の依頼に応ずべき関係については,芸能人は,

吉本興業から指示のあった業務を拒否すれば,収入がなく,

食べていけなくなるので,事実上,

業務の依頼に応じなければならないと思います。

 

 

また,吉本興業からの業務の依頼を拒否すれば,

次から仕事をまわしてもらえなくなるという不利益が予想されますので,

吉本興業からの業務の依頼については,

基本的に応ずべき関係にあったといえると考えられます。

 

 

 

⑤広い意味での指揮監督下の労務提供,

一定の時間的場所的拘束について,大物芸能人であれば,

ある程度の裁量を与えられている可能性がありますが,

下っ端の芸能人であれば,吉本興業から指示される業務量や

業務の日時や場所について裁量はないと考えられます。

 

 

そのため,広い意味では,芸能人は,

吉本興業の指揮監督下で仕事をして,

ある程度,時間的場所的に拘束されているといえそうです。

 

 

⑥顕著な事業者性については,

芸能人が常に自分の才能で利益を得て,

リスクを引き受けているとはいえず,やはり,

芸能事務所のマネジメントに従って仕事をしているといえ,

芸能人には,顕著な事業者性は認めにくいと考えられます。

 

 

以上を総合考慮すれば,吉本興業の芸能人は,

吉本興業との交渉力に格差が生じており,

労働組合を組織して集団的な交渉による保護が図れる必要があるので,

労働組合法の「労働者」と判断される余地は十分にあると考えます。

 

 

ちなみに,宮迫博之氏の記者会見によると,

吉本興業の岡本社長から,記者会見するならクビにすると言われたようで,

これが事実であれば,クビ=解雇なので,

岡本社長は,芸能人を労働者として扱っていたと推認できます。

 

 

 

芸能人が,労働組合法の「労働者」に該当すれば,

労働組合を結成して,芸能事務所に対して,

団体交渉を要求できます。

 

 

芸能人が1人で芸能事務所と交渉しても弱いですが,

芸能人が団体で交渉すれば,交渉力は強くなり,

実質的に芸能事務所と対等な立場にたてます。

 

 

さらに,労働組合法7条2号により,使用者は,

正当な団体交渉要求を拒否できないので,

芸能事務所は,芸能人労働組合の要求を無視できなくなります。

 

 

団体交渉によって,芸能人の報酬をどのように設定するかなどについて,

芸能人労働組合と芸能事務所が協議し,

合意内容を労働協約という書面にまとめれば,

労働協約で定められた内容が,

個々の芸能人組合員の労働条件となります。

 

 

宮迫博之氏の記者会見を機に,芸能人の不満が爆発し,

芸能人の権利を守る機運が高まっているので,

ぜひ芸能人労働組合が結成されることを期待したいです。

 

 

そうすると,芸能人の権利が保障される結果,

よりよいエンターテイメントが生まれるような気がします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

宮迫博之氏の記者会見から芸能人の労働組合の必要性を考える

7月20日,雨上がり決死隊の宮迫博之氏が記者会見において,

吉本興業の社長から,記者会見を開こうとしたところ,

「やってもええけど,そしたら全員連帯責任,クビにする。

俺にはお前ら全員クビにする力があるんだ」

と告げられたことを明らかにしました。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASM7N4637M7NUCVL006.html

 

 

吉本興業は,宮迫博之氏に対して,

記者会見をさせないように,

契約解除をほのめかして,

圧力をかけていたようです。

 

 

 

また,ジャニーズ事務所がテレビ局に対して,

元SMAPのメンバーである稲垣吾郎氏,草彅剛氏,香取慎吾氏を

テレビに出演させないように,圧力をかけていた疑いがあるとして,

公正取引委員会がジャニーズ事務所に対して,

独占禁止法違反につながるおそれがあるとして,注意したようです。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190717/k10011996241000.html

 

 

これらの報道をみていると,芸能事務所は,

芸能人に対して,絶大な権力を握っており,

芸能人が芸能事務所の意に反する行動にでようものなら,

たちまちつぶしにかかる実態が明らかになりました。

 

 

おそらく,芸能人が芸能事務所の意に反する行動をすれば,

芸能事務所は,当該芸能人に対して,仕事を与えないような

不利益な取扱いをして,仕事がこなくなった当該芸能人は,

経済的に困窮します。

 

 

 

 

仕事を失いたくない芸能人は,

芸能事務所に逆らうことができず,

芸能事務所と芸能人の間には,

支配従属の関係が成り立っているように思います。

 

 

このような芸能人が,芸能事務所に対抗する手段として,

労働組合を結成して,集団で芸能事務所と交渉するという方法があります。

 

 

 

芸能人一人一人の力は弱くても,みんなで団結して交渉すれば,

芸能事務所も芸能人の集団の意見を無視できなくなり,

芸能事務所に対して,芸能人の意見がとおる可能性がでてきます。

 

 

芸能人は,芸能事務所との間で,

専属マネジメント契約を締結していることが多く,

契約の形式上は労働者とはいえないものの,その実態をみれば,

労働組合法の「労働者」に該当する可能性があります。

 

 

労働組合法3条には,「この法律で『労働者』とは,

職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって

生活する者をいう」と規定されています。

 

 

この労働組合法の「労働者」に該当するかについては,

次の要素を総合考慮して判断されます。

 

 

基本的判断要素

 

 

①事業組織への組入(労務供給者が相手方の事業遂行に

不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか)

 

 

②契約内容の一方的・定型的決定(契約の締結の態様から,

労働条件や提供する労務の内容を相手方が

一方的・定型的に決定しているか)

 

 

③報酬の労務対価性(労務供給者の報酬が労務供給に対する対価

又はそれに類するものとしての性格を有するか)

 

 

補充的判断要素

 

 

④業務の依頼に応ずべき関係(労務供給者が,

相手方からの個々の業務の依頼に対して,

基本的に応ずべき関係にあるか)

 

 

⑤広い意味での指揮監督下の提供,一定の時間的場所的拘束

(労務供給者が,相手方の指揮監督下に労務提供を行っていると

広い意味で解することができるか,労務の提供にあたり,

日時や場所について一定の拘束をうけているか)

 

 

消極的判断要素

 

 

 ⑥顕著な事業者性(労務供給者が,恒常的に

自己の才覚で利得する機会を有し

自らリスクを引き受けて事業を行う者とみられるか)

 

 

芸能人が,これらの要素にあてはまるかについては,

長くなりますので,明日以降に記載したいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

あめるんパークにいってきました

立花Beブログ塾のメンバーから,

1週間に1回はブログに家族のことを書いたらいいと

アドバイスを受けました。

 

 

1週間に1回,ブログに家族のことを書こうとすると,

家族のことに意識が向くようになり,妻に対して,

私が家族を大切にしていることが伝わるのではないかということです。

 

 

ありがたいアドバイスをいただいたので,

本日は,家族のことを書きます。

 

 

昨日,長女と2人で,金沢市磯部町に最近オープンした

屋内交流広場あめるんパークに行ってきました。

 

 

http://www.okunaikouryuhiroba.jp/index.html

 

 

 

昨日の午前中,ちょうど,立花Beブログ塾のメンバーの

鍼灸師の島田ひろみさんが,スタジオせりで開催される

モーニングせりで講演されるので,鍼灸の話に興味をもった妻を,

モーニングせりに行かせて,私が子供の面倒をみることになりました。

 

 

島田ひろみさんのブログ

https://hiromi5.com/archives/789?fbclid=IwAR2UsZmE-yoIZ2h-TzdN9ry5qoNgthpCmJWLINTTUBff_c_-321pOfuQmZ8

 

 

2歳の長女と0歳の長男を同時に面倒をみるのは大変なので,

0歳の長男を私の母にあずけて,

2歳の長女とあめるんパークにいってきました。

 

 

年間降水量が多い金沢市内に新しくできた

屋内で子供が思い切り遊べる場所なだけあって,

多くの親子が遊びにきていました。

 

 

1階の多目的ゾーンには,広大な人工芝の上を

子供が裸足で走り回れるスペースとなっていて,そこに,

平均台やマット,サッカースペース,

ボールを投げるスペース,フラフープをするスペースなど,

様々な遊びができるようになっています。

 

 

2階と3階のアスレチックゾーンは,

子供の年齢に応じたアスレチックの遊びができるようになっていて,

2階は小学生以上,3階は小学生未満というように

レベルがわかれています。

 

 

長女は,3階にいき,滑り台や平均台で体を動かしていました。

 

 

 

ボルダリングにも挑戦しましたが,まだ早すぎました。

 

 

 

3階には,木のおもちゃを使った遊びができるスペースがあり,

長女は,木のおもちゃにも夢中になっていました。

 

 

 

雨の多い金沢で屋内で子供が遊べるスペースは本当に貴重です。

 

 

雨が降ると近所の公園で遊べず,

家の中にいてもテレビをみてしまい,

体を動かすことができず,

睡眠が浅くなりがちです。

 

 

雨が降っても,体を動かせれば,

子供もストレスを解消できて,

睡眠をしっかりととれます。

 

 

しかも,利用料金が激安で,

大人は100円,未就学児は0円です。

 

 

これだけありがたい施設なので,

もっと利用料金を上げてもいいと思います。

 

 

なお,土日は,利用制限があり,

90分の時間を過ぎると,一度,施設を出て,

再入場する必要があります。

 

 

また,人気施設のため,午前中にいかないと,

駐車場が満杯になりますので,午前中にいくのがおすすめです。

 

 

平均台の上をバランスよく歩いたり,

かごの中にボールを投げている長女の姿を見て,

いつの間にこんなことができるようになったのかと驚きました。

 

 

子供と一緒に運動をすると,

子供の成長を実感できるので,嬉しいですね。

 

 

長女がとても喜んでいたので,

今後もあめるんパークを利用していこうと思います。

 

 

子育て世代にとって重要な情報だと思い,

紹介させていただきました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

正社員とアルバイト職員の労働条件の相違は不合理か?~学校法人大阪医科薬科大学事件その2~

8月2日金曜日に石川県女性センターで開催される,

「トラブルのない明るい職場を目指す労働判例・政策セミナーin金沢」

で講師をさせていただくことになりましたので,

セミナーで解説する裁判例の勉強をしています。

 

 

 

セミナーで解説する裁判例の中に,

学校法人大阪医科薬科大学事件の

大阪高裁平成31年2月15日判決があります

(労働判例1199号5頁)。

 

 

この裁判例については,今年の2月22日のブログで,

非正規雇用労働者と正社員の賞与の相違が不合理であり,

労働契約法20条に違反すると判断した画期的な判決であるとして,

紹介しました。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201902227581.html

 

 

改めて,この裁判例を読むと,他にも気づきがありましたので,

本日は,そのアウトプットをします。

 

 

この事件では,アルバイト職員と正社員の労働条件の相違が,

労働契約法20条に違反するかが争われた事件です。

 

 

 

労働契約法20条は,正社員と非正規雇用労働者の

労働条件に相違がある場合,業務の内容,業務に伴う責任の程度,

職務の内容及び配置の変更の範囲,その他の事情を考慮して,

その相違が不合理であってはならないと定められています。

 

 

正社員と非正規雇用労働者の労働条件に相違がある場合に,

その相違が均衡のとれたものでなければならず,

均衡がとれていないのであれば,

会社は,労働者から損害賠償請求される可能性があります。

 

 

まず,原告となる非正規雇用労働者と

比較すべき正社員は誰かが問題となります。

 

 

原告と同じような仕事をしている正社員と比較すれば,

同じような仕事をしているのに労働条件の相違があるのは

不合理と判断される傾向になりますが,

正社員全体と比較すれば,違う仕事をしているのだから

労働条件の相違があっても不合理ではないと判断される傾向になります。

 

 

この点について,大阪医科薬科大学事件の高裁判決では,

「比較対象者は客観的に定まるものであって,

有期契約労働者側が選択できる性質のものではない。」と判断され,

労働者全体と比較することとなりました。

 

 

以前ブログで紹介したメトロコマース事件の東京高裁の判決では,

原告の非正規雇用労働者が選択した正社員と比較すればよいとされたので,

比較対象労働者の判断がわかれました。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201906298250.html

 

 

同じような仕事をしてるなら,

労働条件も同じようにすべきという

同一労働同一賃金の考え方からすれば,

比較対象労働者は,正社員全体ではなく,

原告の非正規雇用労働者と同じような仕事をしている

正社員とすべきと考えます。

 

 

次に,この事件では,賞与以外の労働条件についても

不合理と判断されました。

 

 

夏期特別休暇について,正社員には夏期に5日間の

夏期特別休暇が付与されていましたが,

アルバイト職員には夏期特別休暇が付与されていませんでした。

 

 

この点,日本の蒸し暑い夏に仕事をすると体力的に負担が大きく,

休暇を与えて,心身をリフレッシュさせること,

お盆の行事で多くの国民が帰省し,

子供の夏休みに家族旅行にでかけることから,

夏期特別休暇が付与されている趣旨からすれば,

アルバイト職員に対して,夏期特別休暇を付与しないことは

不合理であると判断されました。

 

 

 

また,大阪医科薬科大学では,正社員は,

仕事以外の原因で負傷し,欠勤した場合,

6ヶ月間は賃金が全額支払われ,

6ヶ月経過後は休職が命じられて

賃金の2割の休職給が支給されますが,

アルバイト職員には,これらの制度が適用されていませんでした。

 

 

この制度の趣旨は,継続して就労する正社員の

生活の保障を図る点にあるところ,

アルバイト職員も契約期間が更新されて,

継続した就労をして,大学に対する貢献もあり,

そのようなアルバイト職員に対する

生活の保障の必要性があることから,

この制度をアルバイト職員に一律に適用しないのは

不合理であると判断されました。

 

 

そして,アルバイト職員が仕事以外の原因で負傷し,

欠勤した場合に賃金の1ヶ月分,

休職した場合に賃金の2ヶ月分を支給しないことは,

不合理と判断されました。

 

 

当該労働条件の趣旨や目的,労働実態をもとに,

不合理か否かが判断されています。

 

 

非正規雇用労働者の格差是正に役立つ裁判例ですので,

紹介させていただきました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

1ヶ月60時間を超える残業の割増率と代替休暇制度

8月2日金曜日に石川県女性センターで開催される,

トラブルのない明るい職場を目指す労働判例・政策セミナーin金沢

で講師をさせていただくことになりましたので,

2018年6月に成立し,2019年4月から逐次施行されている,

働き方改革関連法について,今一度勉強をしております。

 

 

 

本日は,その勉強のアウトプットとして,

働き方改革のうちの1ヶ月60時間を超える

残業に対する割増率について解説します。

 

 

労働基準法37条1項但書には,

「当該延長して労働させた時間が1ヶ月について

60時間を超えた場合においては,

その超えた時間の労働については,

通常の労働時間の賃金の計算額の

五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」

と規定されています。

 

 

労働者が1ヶ月60時間を超える残業をした場合,

会社から50%以上の残業代が支払われなければならないのです。

 

 

もっとも,この60時間超の残業の割増率は,

中小企業については,当分の間,適用が猶予されてきました。

 

 

残業代の割増率が50%以上になれば,

人件費が高騰して,中小企業の経営が苦しくなるからだと思います。

 

 

ところが,今回の働き方改革によって,

中小企業の1ヶ月60時間を超える残業の

割増率の適用猶予が廃止され,2023年4月1日から,

中小企業にも,1ヶ月60時間を超える残業に対して,

50%以上の割増率が適用されます。

 

 

これは,長時間労働に対しては,残業代の割増率を増加させて,

会社に対して,高額な残業代を支払わせることで,

長時間労働を抑制していこうという趣旨なのだと思います。

 

 

 

中小企業にも1ヶ月60時間を超える残業の割増率が

50%以上になれば,労働基準法37条3項に規定されている

代替休暇制度を導入する会社が現れてくることが予想されます。

 

 

代替休暇制度とは,1ヶ月60時間超の残業代の支払いに代えて,

年次有給休暇とは別に有給休暇を付与することで,

従来からの25%増しの残業代を超える部分についての

残業代を支払う必要がなくなるという制度です。

 

 

もともと,1日8時間,1週間40時間を超えて働いた場合には,

25%増しの残業代が支払われるのですが,

代替休暇制度が適用されれば,

1ヶ月60時間を超える残業の場合,

50%増しのうち,60時間を超えた追加の25%増しについて,

代替休暇を付与し,従来の25%増しについて,

残業代を支払わなければなりません。

 

 

ここでのポイントは,代替休暇制度を利用しても,

従来からの25%部分については,

必ず残業代を支払わなければならないことです。

 

 

例えば,1ヶ月60時間を超える残業の割増率が50%で,

代替休暇を取得した場合に支払われる残業代の割増率が25%で,

1ヶ月80時間の残業をした場合,次のように,

代替休暇の時間数を計算します。

 

 

(80時間-60時間)×(50%-25%)=5時間

 

 

代替休暇制度を導入すれば,会社は,

労働者に1ヶ月80時間残業させても,

60時間を超える20時間分について,

5時間の有給休暇を付与すれば,

20時間分の25%増しの残業代を支払わなくてもよくなり,

80時間分の25%増しの残業代を支払えばよいことになります。

 

 

 

80時間という過労死ラインで働いても,

5時間分の有給休暇しかもらえないのでは,

1日休むことができないので,労働者としては,

80時間のうち,60時間を超える20時間分について,

50%増しの残業代を受け取った方が得かもしれません。

 

 

この代替休暇制度を導入するためには,会社は,

過半数労働組合若しくは過半数の労働者の代表者との間で,

労使協定を締結しなければなりませんので,労働者としては,

代替休暇制度の導入には,慎重に対処したほうがいいかもしれません。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。