令和元年度の過労死等防止対策白書の内容

1 令和元年度版過労死等防止対策白書

 

 

先日,令和元年度版の過労死等防止対策白書が公表されました。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html

 

 

過労死等防止対策推進法に基づき,

過労死や過労自殺に関する調査や研究の結果が,

毎年1回,厚生労働省から発表されています。

 

 

今年の過労死等防止対策白書のポイントは,

建設業とメディア業界についての過労死や過労自殺の

調査分析結果が記載されていることです。

 

 

2 建設業の過労死・過労自殺の状況

 

 

まず,建設業について,仕事上の過重な負荷によって,

脳や心臓の病気を発症した事案を調査分析した結果,

長時間労働が原因で労災認定されているケースが最も多いです。

 

 

 

建設業において,仕事上の過重な負荷によって,

精神疾患を発症した事案を調査分析した結果,

技能労働者については,墜落や転倒,重機への巻き込まれなどの

労働災害の被害や,嫌がらせ,いじめ,暴行が原因で

労災認定されているケースが多いです。

 

 

現場監督の精神疾患の事案では,自殺事案が多く,

長時間労働が原因で労災認定されているケースが多いです。

 

 

これらの結果から,建設業においては,

現場監督に対する労働時間の短縮と休日の確保,

技能労働者に対する労働災害の防止と

労働災害の被害に対するメンタルヘルスの実施が必要といえそうです。

 

3 メディア業界の過労死・過労自殺の状況

 

 

次に,メディア業界について,仕事上の過重な負荷によって,

脳や心臓の病気,精神疾患を発症した事案のいずれも,

長時間労働が原因で労災認定されているケースが多いです。

 

 

 

特に,20代から30代の若い世代において,

業務量が多いことによって長時間労働となり,

不規則勤務とあいまって,多大なストレスが生じて,

精神疾患を発症して,自殺に至るケースが多いです。

 

 

メディア業界においては,タイムカードなどで

客観的な労働時間を適正に把握している企業の割合が

約5割以下のようですので,長時間労働を削減させるために,

労働時間を把握する取組から実施していく必要があると思います。

 

 

4 改善点

 

 

報道をみていますと,過労死や過労自殺のニュースが

未だに散見されますが,過労死や過労自殺の対策として

よい傾向もあります。

 

 

1週間に60時間以上労働している労働者の割合は,

年々減少しております。

 

 

働き方改革が叫ばれ,多くの企業で

残業が制限されている効果が現れているのかもしれません。

 

 

また,年次有給休暇の取得率が改善しており,

労働者が休みやすい環境が整備されつつあります。

 

 

前の仕事と次の仕事との間に,一定時間の休息時間を

取得させなければならないという勤務間インターバル制度について,

この制度が広く知れ渡りつつあり,

この制度を導入する企業がわずかですが増加しています。

 

 

過労死や過労自殺を防止するための取組が拡大されていき,

一日でも早く過労死や過労自殺がなくなることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。