パワハラを理由とする解雇を争い、未払残業代800万円を勝ち取った事例

1 パワハラを理由とする解雇

 

 

パワハラをしたとして、懲戒処分や解雇をされる事案が増えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パワハラをしていないと主張していたにもかかわらず、会社からパワハラと認定され、厳しい処分をされたことに納得がいかないことがあります。

 

 

そのような場合、パワハラを理由とする懲戒処分や解雇が無効であるとして、会社と裁判で争うことになります。

 

 

今回は、パワハラを理由に解雇されたことに納得がいかない労働者が、解雇を争いつつ、未払残業代を請求した事件を紹介します。

 

 

クライアントは、営業所で仕事をしていたところ、総務部長と社長が来て、いきなり、パワハラをしていることを根拠に解雇を通告されました。

 

 

解雇通告の1ヶ月前に、クライアントは、パワハラに関する事情聴取を受け、社員との意見の相違があるだけであり、パワハラではないと主張していただけに、いきなりの解雇に納得ができませんでした。

 

 

クライアントは、労働基準監督署へ相談にいった後に、私のもとに法律相談へおとずれました。

 

 

クライアントの話を聞いていると、会社側が主張しているパワハラについて、いつの誰に対するどのようなパワハラなのかが不明でしたので、会社に対して、解雇理由であるパワハラの具体的内容を確認する必要がありました。

 

 

また、クライアントの話によると、管理監督者であるとして、長時間労働をしているにもかかわらず、残業代が全く支払われていませんでした。

 

 

そのため、パワハラの解雇を争うと共に、未払残業代を請求することにしました。

 

 

2 パワハラの具体的内容を明確にする

 

 

会社に対して、いつの誰に対するどのようなパワハラを根拠に、解雇したのかを問い合わせたところ、会社から、具体的な回答がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、会社に対して、未払残業代を請求したところ、会社は、クライアントが管理監督者であるとして、残業代の支払いに応じませんでした。

 

 

会社との交渉では解決できないと判断した私は、裁判を起こしました。

 

 

裁判の争点は、①クライアントがパワハラをしたのか否か、②クライアントが管理監督者か否か、です。

 

 

争点①クライアントがパワハラをしたのか否かについては、会社が主張している、パワハラの事実を否定できれば、クライアントに対する解雇は無効になります。

 

 

会社は、クライアントから言葉の暴力を受けた社員が6人いるとして、6人に対するパワハラの事実を主張していました。

 

 

そこで、当方は、6人が主張している、言葉の暴力について、クライアントは言っていない、または、必要かつ相当な指導の範囲であると反論しました。

 

 

なお、会社側のパワハラを受けたという社員は、録音をしておらず、会社は、6人の社員の証言で、パワハラの事実を立証してようとしていました。

 

 

3 管理監督者の争い方

 

 

争点②クライアントが管理監督者か否かについては、次のような判断基準が、裁判例において確立されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①事業主の経営上の決定に参画し,労務管理上の決定権限を有していること(経営者との一体性)

 

 

②自己の労働時間についての裁量を有していること(労働時間の裁量)

 

 

③管理監督者にふさわしい賃金等の待遇を得ていること(賃金等の待遇)

 

 

すなわち、管理監督者に該当すれば、残業代が1円も支払われなくてもよくなることから、管理監督者は、残業代が支払われなくてもよいくらい、十分な待遇を受けており、重要な職責と責任を有している必要があることから、上記3つの判断基準をもとに、管理監督者か否かを判断します。

 

 

上記3つの判断基準をクライアントにあてはめてみると、次のようになります。

 

 

①クライアントは、会社の経営会議等の事業経営に関する決定過程に一切関与しておらず、部下に対する採用、解雇、人事考課等の人事権限を与えられておらず、現場業務がほとんどであり、経営者との一体性はありませんでした。

 

 

②クライアントの労働時間は、タイムカードで管理されており、遅刻や早退、年次有給休暇の取得の際には、会社の勤怠管理システムで申請して、総務部の決済を受けていたことから、労働時間の裁量はありませんでした。

 

 

③クライアントの年収は、賃金センサスという、日本人の賃金の統計における、平均的な賃金よりも低かったことから、管理監督者としてふさわしい待遇を受けていませんでした。

 

 

以上より、クライアントは、管理監督者ではないと主張しました。

 

 

裁判の終盤に、会社から、LINEのトーク履歴が証拠として提出されました。

 

 

そのLINEのトーク履歴は、クライアントからパワハラを受けたと主張している社員が、別の社員に対して、パワハラの相談をしている内容でした。

 

 

そのLINEのトーク履歴と、クライアントからパワハラを受けたと主張している社員の証人尋問の結果から、裁判所は、クライアントがパワハラをしたと判断しました。

 

 

その結果、裁判所は、解雇は有効と考えました。

 

 

他方、未払残業代請求については、クライアントは管理監督者ではないと判断して、当方の主張を認めてくれました。

 

 

その結果、裁判所から、次のような和解案が提示されました。

 

 

会社は、解雇を撤回し、クライアントは、解雇日で、合意退職したことを確認し、会社は、クライアントに対して、解決金として800万円を支払う。

 

 

3年間分の残業代が認められ、裁判に1年くらい時間がかかっていたので、未払残業代に対する遅延損害金が膨れ上がり、合計800万円の大金になりました。

 

 

このように、解雇の事件では、最終的に、裁判官の判断で負けることはありえますが、未払残業代請求を追加することで、実質的に多くの解決金を回収して、勝つことがありえます。

 

 

特に、会社から、管理監督者だから、残業代が支払われなくてもよいと言われている場合、管理監督者と認定される可能性は低いので、残業代を回収できる可能性が高くなります。

 

 

解雇や残業代請求でお悩みの場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。

 

 

弁護士は、解雇や残業代請求について、適切な対処方法を提示してくれます。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

会社が解雇の手続に違反した場合、解雇は無効になるのか【弁護士が解説】

1 解雇は簡単にできない

 

 

会社から突然解雇を通告されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解雇を通告された際に、私の言い分を会社が聞いてくれる機会は一度もありませんでした。

 

 

このように、弁明の機会が全くない場合、解雇は無効になるのでしょうか。

 

 

結論から先に言いますと、会社が労働者に対して、弁明の機会を与えなかったことが、解雇が無効になる一要素となりえます。

 

 

今回の記事では、解雇の手続違反について、①解雇は簡単にできない、②解雇の手続違反、③裁判例の紹介の順番で解説しますので、ぜひ最後まで、お読みください。

 

 

まずは、①解雇は簡単にできないことについて、解説します。

 

 

会社が労働者を簡単に解雇できない理由として、大きく2つの理由が挙げられます。

 

 

1つ目の理由は、労働者が生活の糧である賃金を失い、労働者の生活が困窮するからです。

 

 

解雇されると、労働者は収入を失い、労働者の収入で生活している家族にとっても、生活がおびやかされることになりますので、労働者の生活困窮を防止するために、解雇には厳しい規制がかけられているのです。

 

 

2つ目の理由は、解雇によって、労働者は、人間としての成長や幸福追求の場を失い、人格的な不利益を被るからです。

 

 

働く場所は、単に給料を稼ぐだけでなく、仕事をつうじて、自己実現をする場所でもありす。

 

 

そのような自己実現の場所から強制的に排除する解雇は、簡単に認めるべきではないと考えられます。

 

 

このように解雇には厳しい規制がかけられていることの根拠となる条文として、労働契約法16条があります。

 

 

労働契約法16条には、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、無効とする、と規定されています。

 

 

この条文から、解雇が有効になるためには、①客観的合理的な理由があること、②社会通念上相当であること、の2つが要件を満たす必要があることがわかります。

 

 

まずは、①客観的合理的な理由について解説します。

 

 

解雇の客観的合理的な理由とは、具体的には、労働者の落ち度が労働契約関係を終了させてもやむを得ない程度に達している必要があることを言います。

 

 

すなわち、労働者の落ち度が、将来にわたって反復継続するのかを検討します。

 

 

たとえ、労働者に落ち度があったとしても、将来改善される余地があれば、解雇はできないのです。

 

 

また、会社には、可能な限り、解雇を回避して、雇用を維持すべき義務があります。

 

 

そのため、警告・指導、教育訓練、配置転換、休職など、解雇を回避するための措置を講じても、なお労働者の落ち度が解消されない場合に、解雇が許容されることになります。

 

 

例えば、労働者がミスをしても、教育指導したり、研修させることで、ミスが改善されるかもしれませんし、今の部署では、いまいちの成績でも、別の部署に異動したら、成績がのびるかもしれず、会社は、解雇を回避するための手段を尽くした後でないと、解雇は有効にならないのです。

 

 

次に、②社会通念上の相当性について解説します。

 

 

この社会通念上の相当性の要件では、問題とされた事由に対して、解雇は処分として重すぎないかについて、検討します。

 

 

例えば、会社で優秀な成績を残していたのに、軽微なミスを理由に解雇するのは、処分として重すぎて、無効になるのです。

 

 

解雇の社会通念上の相当性については、本人の情状、他の労働者に対する処分との均衡、労働者の反省の有無、弁明の機会の付与といった事情を総合考慮して、判断されます。

 

 

具体的には、これまで問題なく、優秀な成績をおさめていた労働者が、今回たまたまミスをしてしまったという本人の情状、同じミスをした労働者がいるのに、自分は、解雇で、他の労働者は、減給だけで、処分が不平等である、ミスを認めて真摯に反省している、労働者の言い分を伝える適切な手続きがとられたか、といったことを検討します。

 

 

2 解雇の手続違反

 

 

次に、②解雇の手続違反について解説します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

労働者に対する事情聴取や弁明の機会の付与は、解雇の手続的要件とはされていません。

 

 

他方、懲戒処分では、弁明の機会の付与がなかったという手続的な相当性に欠けるとして、懲戒処分が無効になることがあります。

 

 

懲戒処分と比較して、解雇は、労働者を会社から追い出すことになるので、懲戒処分以上に労働者に重大な影響を与えることになります。

 

 

そのため、会社が労働者を解雇するにあたり、労働者に対して、弁明の機会を与えないことは、解雇の社会通念上の相当性の判断の一要素になるのです。

 

 

すなわち、労働者に対して、弁明の機会を与えずに、解雇した場合、社会通念上の相当性がないとして、解雇が無効になる可能性があるわけです。

 

 

3 裁判例の紹介

 

 

最後に、③解雇の手続の相当性が問題となった裁判例を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校法人松蔭学園事件・東京高裁平成7年6月22日判決(労働判例685号66頁)です。

 

 

この事件では、労働組合の委員長の先生が、生徒の成績評価の誤りを理由として解雇されたことから、学校法人に対して、解雇が無効であるとして、裁判を起こしました。

 

 

裁判所は、次のように判断しました。

 

 

原告が求めていた話合いや釈明の機会も十分に与えないまま、解雇に至ったもので、今後の指導による原告の成績評価の改善の可能性など、適格性を真摯に検討した形跡が認められないとして、解雇に至る手続過程の相当性を考慮して、解雇を無効としました。

 

 

このように、解雇の際に、弁明の機会がなかった場合、社会通念上の相当性の一要素として考慮されて、解雇が無効になる場合があります。

 

 

不当解雇でお悩みの場合は、ぜひ弁護士へご相談ください。

 

 

弁護士は、不当解雇について、適切なアドバイスをしてくれます。

 

 

また、You Tubeでも、労働問題に関する役立つ動画を投稿しているので、ご参照ください。

 

 

https://www.youtube.com/@user-oe2oi7pt2p

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

不当解雇の撤回は許されない?方便的解雇の撤回の対処法3選【弁護士が解説】

1 会社が解雇を撤回する場合とは?

 

 

会社から突然解雇を通告されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解雇に納得できないので、解雇は無効であると会社に伝えたところ、会社は、あっさりと解雇を撤回してきました。

 

 

そして、会社に戻ってこいとは言うものの、仕事が減ったので、給料を減額するとも言われています。

 

 

会社から、解雇について、謝罪を受けておらず、給料も減額されるのでは、会社に戻れません。

 

 

このように会社が解雇を撤回してきたときには、どうすればいいのでしょうか。

 

 

結論から先に言いますと、会社に対して、謝罪や慰謝料請求の交渉をして、有利な条件を勝ち取って、会社を合意退職するべきです。

 

 

今回は、こういった会社の方便的な解雇の撤回の対処法について、わかりやすく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

 

 

今回の記事では、①会社が解雇を撤回する場合とは?、②裁判例の紹介、③方便的解雇の撤回の対処法3選、という順番で解説していきます。

 

 

1点目に、①会社が解雇を撤回する場合について解説します。

 

 

まず大前提として、会社は、労働者を簡単に解雇できません。

 

 

会社が労働者を解雇するためには、次の2つの要件を満たす必要があります。

 

 

①客観的合理的な理由と②社会通念上の相当性、の2つです。

 

 

①客観的合理的な理由とは、具体的には、労働者の落ち度が労働契約関係を終了させてもやむを得ない程度に達している必要があることです。

 

 

例えば、労働者のミスを理由に解雇する場合、会社が何度も指導しても、労働者がミスを改善せず、同じミスを繰り返して、会社に多大な迷惑をかけている程度に達していないと、解雇はできないことになります。

 

 

また、会社には、可能な限り、解雇を回避して、雇用を維持すべき義務があります。

 

 

そのため、会社は、労働者を解雇する前に、教育指導を行う、配置転換をするなどして、解雇を回避する措置をとる必要があるのです。

 

 

②社会通念上の相当性とは、問題とされた事由に対して解雇は処分として重すぎないかを検討することです。

 

 

会社で優秀な成績を残していたのに、軽微なミスを理由に解雇にするのは、処分として重すぎて、無効になる可能性があります。

 

 

以上より、解雇はよほどの理由がない限りできないのです。

 

 

そこで、会社が勢い余って、解雇した後に、労働者が解雇を争ってきて、このままでは解雇が無効になって、負けてしまうと考えて、解雇を撤回してくるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解雇を撤回すれば、労働契約はもとに戻るので、労働者は、原則として、会社に復職する必要があります。

 

 

そこで、会社は、解雇を撤回して、復職を求めたり、復職の際に労働条件を引き下げてくることがあります。

 

 

他方、自分を解雇した会社に、本気で戻りたいと考える労働者は、少ないのが現状です。

 

 

会社からお金は欲しいけれど、復職はしたくないと考える労働者がほとんどです。

 

 

労働者が復職をしないでいると、会社は、無断欠勤を理由に、2回目の解雇をしてくることがあります。

 

 

このように、会社が方便的に解雇を撤回してきた場合、復職したくない労働者は、どのように対処すればいいのでしょうか?

 

 

2 裁判例の紹介

 

 

ここで、2点目として、参考になる裁判例を紹介します。

 

 

ナカヤマ事件の福井地裁平成28年1月15日判決(労働判例1132号5頁)です。

 

 

この事件では、売上目標を達成できなかった労働者が、給料を10万円減額されるか、退職するか、の選択を迫られたものの、これに応じなかったところ、福井支店から長野支店に転勤を命令されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

労働者が弁護士をつけて、この転勤命令を争ったところ、会社は、転勤命令を撤回して、福井支店への出勤を命令しました。

 

 

労働者は、福井支店に出勤しても、再び不当に転勤させられる可能性があり、労働契約における信頼関係が確立していないとして、出勤を拒否しました。

 

 

出勤を拒否したので、この労働者は、働いていないことになります。

 

 

通常、働いていない場合には、賃金は支払われません。

 

 

しかし、労働者が働けない理由が、会社の責めに帰すべき事由にあるのであれば、労働者は、会社に対して、賃金を請求できます。

 

 

そこで、この事件では、労働者は、会社に対して、未払賃金を請求できるのかが争点となりました。

 

 

裁判所は、会社が権利を濫用して、配転命令を発令したことにより破壊された労働契約上の信頼関係は、会社が配転命令を撤回して、出勤命令を発令しただけでは、回復したものとは到底認めることができないと判断しました。

 

 

さらに、裁判所は、原告が配転命令後に出勤していないのは、会社の責めに帰すべき事由によるものであるとして、会社は、配転命令撤回後も、未払賃金を支払わなければならないと判断しました。

 

 

3 方便的解雇の撤回の対処法3選

 

 

これを解雇の事件に応用すれば、会社が解雇を撤回しただけでは、労働契約上の信頼関係は、回復していないとして、労働者は、復職していなくても、会社に対して、未払賃金を請求できる可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、会社が解雇を撤回してきたときには、次の3つの条件を提示して、会社が解雇によって破壊した、労働契約上の信頼関係が回復したといえるかについて、交渉します。

 

 

 ①真摯な謝罪と再発防止策を文書で誓約する

 

 

会社に、文書で解雇について、謝罪させ、二度とこのようなことをしないように、再発防止策を文書で提出させます。

 

 

②復職条件を提示する

 

 

会社が労働条件を引き下げてきたのであれば、当然、元の労働条件に戻すように請求します。

 

 

また、解雇時点にさかのぼって、雇用保険と社会保険の資格を回復させるように、求めます。

 

 

③慰謝料や未払賃金の支払を請求する

 

 

解雇によって被った精神的苦痛に対する慰謝料の支払と、解雇から復職までの未払賃金を請求します。

 

 

会社が①~③の提案に応じないのであれば、労働契約上の信頼関係が回復していないとして、会社に対して、未払賃金を請求します。

 

 

そして、交渉や裁判手続において、会社から解決金を支払ってもらい、最終的には、会社を合意退職します。

 

 

今回の記事をまとめますと、方便的解雇の撤回に対しては、労働契約上の信頼関係が回復していないとして、条件提示をしつつ、未払賃金を請求するべきです。

 

 

不当解雇でお悩みの場合には、ぜひ弁護士へご相談ください。

 

 

弁護士は、不当解雇について、適切なアドバイスをしてくれます。

 

 

また、You Tubeでも、労働問題に関する役立つ動画を投稿しているので、ご参照ください。

 

 

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今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

解雇の後に復職するためには裁判をするしかないのか?【弁護士が解説】

1 解雇後にするべきこと

 

 

不当解雇について、次のような質問をいただきました。

 

 

突然、会社から解雇を通告されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解雇には納得できません。

 

 

私は50代後半なので、次の就職先をみつけるのが困難です。

 

 

だから、解雇した会社に復職したいです。

 

 

解雇した会社に復職するにはどうすればいいのでしょうか。

 

 

結論から先にいいますと、解雇した会社に復職するためには、解雇が無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位の確認を求める裁判を起こすのがよいです。

 

 

今回は、解雇から会社に復職する方法について、①解雇後にするべきこと、②裁判を提起する、③失業給付の仮給付、という順番で、わかりやく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

 

 

まずは、①解雇後にすべきことについて解説します。

 

 

解雇後にすべきことは、①解雇理由証明書の交付を求める、②就労の意思を会社に伝える、③弁護士に法律相談をする、の3つです。

 

 

①解雇理由証明書の交付を求めることについて、解説します。

 

 

労動者が、会社の解雇が無効であるとして、争うためには、会社が主張している解雇理由を確認することが不可欠です。

 

 

会社が主張している解雇理由を、きちんと特定して、その解雇理由に対して、効果的な反論をして、解雇を無効にするのです。

 

 

会社が主張している解雇理由を、書面で明らかにさせることが重要になります。

 

 

なぜならば、会社が解雇理由を口頭で伝えているだけの場合、証拠に残らず、後から、言った言わないとなるので、解雇理由を書面にして、証拠にする必要があるからです。

 

 

そのため、解雇に納得できない場合、会社に対して、解雇理由証明書の交付を請求するべきなのです。

 

 

労働基準法22条1項には、労動者が、解雇理由証明書の交付を請求した場合、会社は、遅滞なく、解雇理由証明書を交付しなければならない、と規定されています。

 

会社が解雇理由証明書を交付しない場合、30万円以下の罰金に処せられます。

 

 

この根拠条文をもとに、会社に対して、解雇理由証明書の交付を求めます。

 

 

他方、会社は、解雇理由証明書に記載されていない解雇理由を、後から主張することは可能です。

 

 

もっとも、解雇した当時、会社は、後から追加した解雇理由を重要視していなかったと、裁判所は考えます。

 

 

その結果、裁判所は、会社が、後から追加した解雇理由を、争点から事実上はずすことになるわけです。

 

 

ようするに、会社に、解雇理由証明書を交付させることで、後出しの解雇理由の追加主張を、事実上防止できることになります。

 

 

②就労の意思を会社に伝えるについて解説します。

 

 

解雇が無効になれば、労働者は、会社に対して、労働契約上の権利を有する地位の確認と未払賃金請求ができます。

 

 

解雇後に未払賃金請求をするためには、労働者に就労の意思が必要になります。

 

 

労働者の就労の意思を会社に伝えるためには、本件解雇は無効なので、就労させることを求めます、と記載した文書を会社に送付すればよいのです。

 

 

3つ目は、③弁護士に相談する、です。

 

 

解雇が無効であるとして、復職を求める場合、これから説明する、裁判手続きをする必要があります。

 

 

裁判手続きをするためには、専門知識が必要になるので、弁護士に法律相談をすることをおすすめします。

 

 

2 裁判を提起する

 

 

次に、②裁判を提起する、について解説します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解雇を争う裁判手続として、よく利用するのは、労働審判と通常訴訟の2つです。

 

 

労働審判は、3回の期日で、労働紛争を、速く柔軟に解決する裁判手続です。

 

 

労働審判は、解雇には納得いかないけど、解雇した会社に復職したいわけではなく、会社から金銭を支払ってもらいたい時に、利用することが多いです。

 

 

労働審判では、給料の3ヶ月分から1年分くらいの解決金を会社から支払ってもらい、会社が解雇を撤回して、解雇日で、労働契約を合意解約して退職する、という解決がなされることが一般的です。

 

 

他方、通常訴訟は、解決に1年以上かかりますが、労働者が勝てば、労働契約条の権利を有する地位の確認と、解雇期間中の未払賃金を請求できます。

 

 

通常、会社は、解雇した労働者を復職させたくないので、金銭解決には応じることはあっても、労働者の復職には最後まで抵抗してきます。

 

 

そのため、解雇した会社に復職するためには、通常訴訟の判決で、労働契約上の権利を有する地位の確認を認めてもらうしかないといえます。

 

 

よって、復職を真に希望する場合は、通常訴訟を選択することになります。

 

 

3 失業給付の仮給付

 

 

最後に、③失業給付の仮給付について、解説します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解雇の無効を通常訴訟で争う場合、判決がでるまでは、給料が支払われませんので、当面の生活費を確保する必要があります。

 

 

そこで、解雇した会社に復職を求めて、通常訴訟で争う場合には、ハローワークで失業給付の仮給付の申請をします。

 

 

失業給付の仮給付とは、労働者が解雇を争っていても、とりあえず失業と扱って、失業給付を仮に支給する取扱のことをいいます。

 

 

失業給付の仮給付を受給するためには、裁判所の受付印のある訴状をハローワークに提出する必要があります。

 

 

そして、判決で、労働契約上の権利を有する地位の確認が認めれた場合、解雇した会社から、未払賃金が支払われるので、仮給付を受けた失業給付を、ハローワークに返還することになります。

 

 

今回の記事をまとめますと、解雇から復職したい場合には、通常訴訟を提起することを選択してください。

 

 

また、You Tubeでも、労働問題に関する役立つ動画を投稿しているので、ご参照ください。

 

 

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今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

解雇を争う時に失業保険を受給してもいいのか?【弁護士が解説】

1 失業給付とは

 

 

ある日突然、会社を解雇されました。

 

 

今回の解雇には納得がいかないので、解雇を争いたいです。

 

 

 

でも、当面の生活費が足りません。

 

 

そこで、雇用保険の失業給付の受給を考えていますが、

解雇を争う場合、失業給付を受給しても問題ないのでしょうか。

 

 

結論から先に言いますと、解雇を争って、

復職を求める場合には、雇用保険の基本手当の仮給付を受給し、

金銭解決を求める場合には、基本手当の本給付を受給します。

 

 

これから、解雇を争う場合の失業給付の受給について解説していきます。

 

 

失業給付とは、雇用保険の基本手当のことです。

 

 

雇用保険とは、労働者が失業したり、

雇用の継続が困難になったりした場合に、

労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、

その就職を促進することを目的とした、

国が運営する保険のことです。

 

 

ようするに、労働者が失業した時に、

生活が困窮しないように、国が失業給付を支給してくれる仕組みです。

 

 

労働者が解雇されれば、当然、賃金は支払われなくなります。

 

 

また、解雇を争う場合、裁判になることも多く、裁判になれば、

1年くらい時間がかかることから、解雇の解決には一定の時間がかかるのです。

 

 

そのため、当面の生活を維持するために、

雇用保険の失業給付を受給する必要があるのです。

 

 

ここで、雇用保険について説明します。

 

 

基本的に、雇用保険は、労働者を雇用している全ての事業所に適用され、

事業が開始された日に成立します。

 

 

そのため、会社が雇用保険の届出や保険料納付の手続を怠っている場合でも、

労働者は失業給付を受給できるのです。

 

 

次に、雇用保険の受給資格ですが、

解雇の場合は、離職日以前1年間に、

雇用保険の被保険者期間が通算6ヶ月以上あることが必要です。

 

 

ようするに、解雇された日から1年間に、

会社に6ヶ月間在職していたことが必要になります。

 

 

失業給付の受給期間については、原則として、

離職日の翌日から起算して1年間になります。

 

 

失業給付は、この受給期間内に、

所定給付日数に相当する日数分を限度として支給されるのです。

 

 

そのため、受給期間が経過した場合には、

給付日数が残っていたとしても、失業給付は支給されません。

 

 

失業給付を受給するためには、会社から離職票を受領し、

自己の居住地のハローワークに離職票を提出する必要があります。

 

 

会社から離職票を受け取った時には、

離職票に記載されている離職理由を、必ず、

チェックするようにしてください。

 

 

真実は解雇なのに、会社が、離職票の離職理由に、

自己都合退職と記載してくることがあります。

 

 

このような場合、離職票の下の欄に、

会社が記載している離職理由に対して、

労働者の異議の有無を記載する箇所がありますので、

「異議あり」にチェックして、ハローワークに提出してください。

 

 

また、会社が離職票を交付しない場合には、

ハローワークに相談して、ハローワークから、会社に対して、

早急に離職票を労働者に交付するように、指導してもらうのが効果的です。

 

 

ちなみに、解雇を争う場合、会社に対して、

働く意思があることを表明して、

労働者としての地位があることの確認を請求する関係上、

離職票を請求することは、退職を前提としているようで、

一見矛盾しているように見えます。

 

 

しかし、離職票は、当面の生活を支える失業給付を受給するために

必要になることから、解雇を争う期間の生活費のために、

やむを得ないことであり、離職票を請求することは、

解雇無効の主張と矛盾しません。

 

 

2 復職を求める場合

 

 

では、解雇を争い、復職を求める場合の失業給付の受給について

解説していきます。

 

 

 

解雇をされたとしても、どうしても解雇をした会社に戻りたい場合には、

解雇無効の主張をし、復職するために、

労働者としての地位があることの確認を請求します。

 

 

この場合、雇用保険の基本手当の仮給付の申請をします。

 

 

労働者が解雇を争っている以上、労働者の主張が認められた場合、

失業ではなかったことになるのですが、とりあえず失業と扱うことにして、

基本手当を受給させようという手続が仮給付です。

 

 

基本手当の本給付を受給すると、

求職活動をしてハローワークへの報告が必要になるのですが、

復職を求めているのに、別の会社で求職活動をするのはおかしいことになります。

 

 

基本手当の仮給付であれば、求職活動をしなくてもよいことになります。

 

 

そして、仮給付を受給した後に復職した場合、

仮給付を受けた基本手当を返還することになります。

 

 

もし、復職できなかった場合には、仮給付から本給付に変更すれば、

仮給付で受給した基本手当を返還する必要はなくなります。

 

 

この仮給付を受給するためには、

裁判所の受付印がある訴状等をハローワークに提出する必要がありますので、

仮給付を受給するまでには、多少時間がかかります。

 

 

3 金銭解決を求める場合

 

 

解雇には納得できないけど、解雇した会社に復職したいわけではなく、

一定額の金銭がもらえればいいと考える労働者は多いです。

 

 

 

そのような場合には、労働審判手続において、

解雇無効の主張をして、解雇日で合意退職し、

会社から解決金の支払いを受けるという内容の調停をすることが多いです。

 

 

解雇を争い、金銭解決を求める場合には、

基本手当の仮給付ではなく、本給付を受給すればよいです。

 

 

仮に、裁判において、判決で解雇無効となり、

会社から労働者に対して、未払賃金が支払われた場合には、

労働者は、この間に受給した基本手当をハローワークに返還すればいいのです。

 

 

他方、和解で、解雇日で合意退職したことにして、

会社から解決金を支払ってもらった場合、

会社から支給された金銭は、未払賃金ではないので、

労働者は、基本手当を返還しなくてよいことになります。

 

 

以上、まとめますと、解雇を争うときには、

基本手当の仮給付か本給付を受給して、

当面の生活費を確保して、生活を安定させるべきです。

 

 

解雇でお悩みの場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。

 

 

 

弁護士は、解雇について、適切なアドバイスをしてくれます。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

解雇だと思っていたら、会社から退職勧奨だと言われたら、どうすればいいのか?【弁護士が解説】

1 解雇と退職勧奨の違い

 

 

会社から辞めてくれないかと言われ、解雇だと思っていたら、

会社から退職勧奨なので、あなたは、自己都合退職になるといわれました。

 

 

 

解雇だと思っていたのに、自己都合退職になるのは納得がいきません。

 

 

このように、解雇だと思っていたら、

会社から退職勧奨だったと主張されることはよくあります。

 

 

解雇だと思っていたら、会社から退職勧奨だったと主張された場合、

どうすればいいのでしょうか。

 

 

結論から先に言いますと、会社から、

「明日から来なくていい」などと言われた場合には、

本当に解雇なのか、会社に確認することが重要です。

 

 

今回は、解雇と退職勧奨の違いについて解説し、

退職勧奨を解雇と勘違いしないための対処法をお伝えします。

 

 

1点目に、解雇と退職勧奨の違いを解説します。

 

 

まず、解雇とは、労働者の意向にかかわらず、

労働契約を終了させる会社の一方的な意思表示をいいます。

 

 

ようするに、会社が労働者をクビにすることです。

 

 

解雇の場合、会社が一方的に労働契約を終了させるので、

労働契約を終了させるにあたって、労働者の同意は不要です。

 

 

解雇には、厳しい規制があります。

 

 

労働契約法16条において、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、

社会通念上相当であると認められない場合は、無効とすると規定されています。

 

 

大ざっぱに説明すれば、労働者によほどひどい落ち度がない限り、

会社は、労働者を解雇できない、ということです。

 

 

なぜ、解雇には、厳しい規制があるのかといいますと、解雇によって、

労働者が生活の糧である賃金を失い、労働者の生活が困窮するからです。

 

 

すなわち、解雇されると、労働者は収入を失い、

労働者の収入で生活している家族にとっても、

生活がおびやかされることになりますので、

労働者の生活困窮を防止するために、

解雇には厳しい規制がかけられているのです。

 

 

他方、退職勧奨とは、労働契約の解約の申込若しくは申込の誘引のことです。

 

 

すなわち、会社から労働者に対する、

労働契約を合意で解約しましょう、

という申し入れや誘いのことをいいます。

 

 

ようするに、退職勧奨とは、労働者に対する、

会社を辞めてくれませんかというお願いのことです。

 

 

退職勧奨は、あくまで、会社から労働者に対する辞めてくれませんか

というお願いなので、労働者は、会社からのお願いに過ぎない、

退職勧奨に応じる義務はありません。

 

 

そのため、退職勧奨の場合、労働契約を終了させるためには、

労働者の同意が必要になるのです。

 

 

退職勧奨は、辞めてくれませんかという単なるお願いですので、

会社は、退職勧奨を自由にでき、よほど酷い態様でない限り、違法にはなりません。

 

 

ここまで説明してきたとおり、解雇には厳しい規制があるので、

会社は、規制が緩い、退職勧奨だと言い張って、

解雇の主張を認めないことがあります。

 

 

解雇通知書などが交付されている場合には、解雇であることは明らかですが、

解雇が口頭でなされた場合には、解雇の意思表示があったのか、

退職勧奨だったのかが争われることがあります。

 

 

2 解雇か退職勧奨かが争われた事例

 

 

2点目に、解雇か退職勧奨かが争われた事例をいくつか紹介します。

 

 

 

①丸一商店事件・大阪地裁平成10年10月30日判決・労働判例750号29頁

 

 

「来月から残業代を支払えない。残業をつけないか、それがいなやら辞めてくれ」

という使用者の発言が、実質的に解雇の意思表示に該当すると判断されました。

 

 

②医療法人光優会事件・奈良地裁平成25年10月17日判決・労働判例1084号24頁

 

 

「看護部を解散する」という発言は、

業務命令に従わない看護師を排除することを告げたものであり、

解雇の意思表示に該当すると判断されました。

 

 

③宝城建設事件・東京地裁平成22年2月26日判決・労働判例1006号91頁

 

 

「明日から来なくてよい。別の仕事を探しなさい」という発言は、

解雇の意思表示に該当すると判断されました。

 

 

④ベストFAM事件・東京地裁平成26年1月17日判決・労働判例1092号98頁

 

 

「成績があがらないなら辞めてくれ」という発言について、

労働者が自主的に退職したものではなく、

解雇の意思表示にあたると判断されました。

 

 

⑤全国資格研修センター事件・大阪地裁平成7年1月27日判決・労働判例680号86頁

 

 

「がんばってもらわないとこのままでは30日後に解雇する」

という通告について、業績をあげなければ1ヶ月後に解雇する可能性を示すものであり、

解雇予告の意思表示ではないと判断されました。

 

 

⑥印南製作所事件・東京地裁平成17年9月30日判決・労働判例907号25頁

 

 

「社内大改革、強いてはリストラにまで、手を染めなくてはならない現況になってしまいました」、

「そこで、誠に勝手な都合ですが、平成14年12月20日を目安に区切りをつけていただくことと致します」

と記載された文書の交付は、解雇の意思表示に該当しないと判断されました。

 

 

裁判例では、解雇か退職勧奨に応じた自主退職かを判断するにあたり、

次の事情が考慮されています。

 

 

①会社側の言動

 

 

②労働者の離職の経緯

 

 

③労働者が自己の意思で退職する同期の有無

 

 

④離職後の労働者の態度

 

 

⑤会社が労働者の労務提供の受領を拒否する意思の表れとみられる事情の有無

 

 

3 退職勧奨を解雇と勘違いしないための対処法

 

 

3点目に、退職勧奨を解雇と勘違いしないための対処法について説明します。

 

 

 

やはり、会社に解雇か退職勧奨かを確認するのが効果的です。

 

 

そして、会社に対して、解雇か退職勧奨かを確認する際には、

会社側の言動を録音してください。

 

 

録音をしておけば、後から言った言わないのトラブルを防止でき、

解雇か退職勧奨かについて争点になることを回避できます。

 

 

その上で、会社が解雇だと回答した場合には、会社に対して、

解雇理由証明書の交付を求めて、就労意思を表明します。

 

 

会社から解雇理由証明書をださせて、解雇の理由を特定することで、

会社が後出しで解雇理由を追加することを防止できます。

 

 

また、会社に対して、未払賃金を請求するためには、

会社に対して、働く意思があることを表明する必要があります。

 

 

もし、会社が退職勧奨だと回答した場合には、

会社を退職したくないならば、明確に退職勧奨を拒否してください。

 

 

退職勧奨を受けて、その会社で働く気持ちがなくなってしまい、

退職してもよいと考えた場合には、一定の退職条件を満たすなら、

退職を検討してもよいというスタンスで会社と交渉します。

 

 

素直に退職勧奨に応じるのではなく、

自分にとって有利な条件で退職できるように、

会社と交渉してみてください。

 

 

このように、退職勧奨を解雇と勘違いしないように、

会社に解雇か退職勧奨かをよく確認するようにしてください。

 

 

解雇や退職勧奨でお悩みの場合には、弁護士にご相談ください。

 

 

弁護士は、解雇や退職勧奨について、適切なアドバイスをしてくれます。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

看護師が能力不足を理由に解雇されて労働審判の申立をした事件

1 事件の概要

 

 

今回は、私が担当した解雇事件の解決事例を紹介させていただきます。

 

 

クライアントは、個人の医師が経営しているクリニックにおいて、

看護師として、働いていたところ、ある日突然、解雇を通告されました。

 

 

 

解雇の理由は、業務能力が不足していること、及び、勤務態度が悪いことでした。

 

 

確かに、クライアントは、経営者の医師との人間関係は、

うまくいっていませんでしたが、解雇されるほどのことではないと考えており、

今回の解雇には納得できませんでした。

 

 

解雇に納得できないクライアントは、私のもとに法律相談にこられました。

 

 

クライアントからは、経営者の医師にも、

様々な問題があるにもかかわらず、

自分だけが解雇によって不利益を被ることに納得できず、

解雇はなかったことにしてほしいという要望がありました。

 

 

また、クライアントは、解雇したクリニックに

復職することは望んでいませんでした。

 

 

そこで、労働審判の申立をして、労働審判の手続きにおいて、

クリニックに解雇を撤回させ、労働契約を合意解約し、

解決金を支払ってもらうことで、事件を解決できないかと考えました。

 

 

2 弁護活動

 

 

まず、解雇を争う事件では、解雇をした会社に対して、

働く意思があることを通知する必要があります。

 

 

これは、解雇が無効になった時に、未払賃金を請求するためには、

労働者に、働く意思があることが必要になるからなのです。

 

 

 

次に、解雇を争う事件では、会社が主張している

解雇理由を具体的に特定させていきます。

 

 

労働者としては、会社が主張している解雇理由に対して、

一つ一つに反論し、裁判所に、解雇理由はないのではないか、

この解雇理由では解雇できないのではないかと思わせればいいのです。

 

 

そのためには、会社が主張している解雇理由が抽象的な内容ですと、

反論に時間がかかりますので、

会社が主張している解雇理由を具体化させることが重要になります。

 

 

そこで、私は、相手方のクリニックに対して、

クライアントが働く意思があることを表明し、

クリニックが主張している解雇理由を具体的にするように求める

通知書を送付しました。

 

 

すると、相手方は、業務能力が不足していることについて、8つの解雇理由を、

勤務態度が悪いことについて、8つの解雇理由を主張してきました。

 

 

相手方が主張している合計16個の解雇理由について、

クライアントと打ち合わせを重ねて、反論を考え、労働審判の申立をしました。

 

 

3 結果

 

 

相手方の主張している解雇理由が多く、

反論の主張を作成するのに苦労しましたが、

クライアントが、的確に事実関係を整理してくれたおかげで、

効果的な反論ができました。

 

 

なにより、クライアントの話しを聞いていると、

クライアントは、しっかりと仕事をしているにもかかわらず、

そのことをクリニックの経営者の医師が、

適正に評価していなかったことがわかりました。

 

 

また、クライアントと経営者の医師との

コミュニケーションがうまくいっていなかったことが

根本的な原因だったのですが、そのことを、

クライアントだけの責任として、

解雇することは不当であるとわかりました。

 

 

労働審判の手続きにおいても、裁判所に対して、

コミュニケーションがうまくいっていない問題について、

経営者が真摯に向き合わず、

反省している労働者を解雇することはおかしいと主張したところ、

裁判所は、理解を示してくれました。

 

 

通常の裁判であれば、解雇が無効になり、

解雇期間中の未払賃金を全額請求できる事案でしたが、

クライアントは、既に、別のクリニックで就職しており、

この解雇事件をなるべく早く解決したいという要望がありました。

 

 

そこで、労働審判で解決するためには、

金銭的な請求については、ある程度の譲歩をすることが求められました。

 

 

その結果、相手方のクリニックが、解雇を撤回した上で、

クライアントと相手方のクリニックの労働契約を合意解約し、

相手方のクリニックがクライアントに対して、

解決金100万円を支払ってもらうことで調停が成立しました。

 

 

私としましては、解決金100万円という金額に不満がありましたが、

早く事件を解決したいクライアントの意向を尊重して、調停をまとめました。

 

 

不当な解雇が撤回され、

解雇によって傷ついたクライアントの尊厳が回復されたようで、

事件が解決した後のクライアントは、

清々しい表情になっていたのが印象的でした。

 

 

 

このように、不当解雇が無効になり、

金銭的な解決ができることがありえます。

 

 

解雇されて、納得がいかないときには、弁護士にご相談ください。

 

 

弁護士は、解雇について、適切なアドバイスをしてくれます。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

入社3日目で解雇されたクライアントの労働審判事件

1 事件の概要

 

 

今回は、私が担当した解雇事件の解決事例を紹介させていただきます。

 

 

40代男性のクライアントは、ハローワークの求人票を見て、

電子部品や電子機材の製造をしている会社に応募し、採用されました。

 

 

しかし、クライアントは、入社して3日目に、会社を解雇されました。

 

 

 

クライアントと会社の労働契約には、試用期間が設定されていましたので、

試用期間中に解雇されました。

 

 

解雇の理由としては、

①上司の指導に対して返事をしない、

②上司の指示に反発して従わない、

③無断でロッカーを使用した、

④会社のルールに従わずに勝手に行動をしている、

といったことがあげられていました。

 

 

クライアントとしては、会社が主張している解雇理由について、身に覚えがなく、

入社3日目で解雇されることに納得できず、私のもとへご相談にこられました。

 

 

2 弁護活動

 

 

まず、大前提として、解雇は、よほどのことがない限り、できません。

 

 

なぜならば、解雇されると、労働者は、

生活の糧である給料を失うことになり、

その労働者の給料で生活をしている家族を含めて、

生活が困窮することになるので、日本では、

解雇に対して、厳しい規制をかけています。

 

 

また、働くことは、人間にとって、自己実現の場でもあり、

解雇によって、自己実現の場を奪うことは、

抑制的であるべきということからも、

解雇に対しては、厳しい規制がかせられているのです。

 

 

そのため、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、

社会通念上相当であると認められない場合には、無効になります。

 

 

ここで、客観的に合理的な理由については、

①解雇の理由があるのか、

②解雇の理由が将来も存続すると予測できるか、

③解雇回避措置を尽くしたといえるのか、

の3つを検討します。

 

 

社会通念上の相当性については、労働者にとって有利な、

あらゆる事情(労働者の情状、他の労働者の処分との均衡、会社側の落ち度など)

を考慮して、解雇が労働者にとって過酷ではないかを検討します。

 

 

裁判実務では、この客観的合理的な理由と、

社会通念上の相当性の要件を満たすのは、

ハードルが高く、解雇が無効になることはよくあります。

 

 

法律相談で、クライアントの話しを聞いていますと、

会社が主張している解雇理由の①については、

クライアントは、上司から指導を受けた時には、

メモをとりながら、返事をして聞いていました。

 

 

会社が主張している解雇理由②については、

クライアントは、上司の指示に反発しておらず、疑問点を尋ねただけでした。

 

 

会社が主張している解雇理由③については、クライアントは、

会社から指定されていたロッカーとは別のロッカーを使用したものの、

会社から指導を受けて、それ以降は、

別のロッカーを使っておらず、改善していました。

 

 

会社が主張している解雇理由④については、

クライアントは、会社のルールにきちんと従っていました。

 

 

このように、クライアントの話しによりますと、

会社の主張している解雇理由は存在しないことになります。

 

 

そして、クライアントは、入社して3日で解雇されたのですが、

仮に、会社の主張している解雇理由があったとしても、

その後の会社の指導によって、

クライアントの問題点が改善される可能性が十分にあるにもかかわらず、

いきなり解雇しているので、会社は、解雇回避措置を尽くしていません。

 

 

そのため、会社は、客観的合理的な理由がないにもかかわらず、

クライアントを解雇しているので、この解雇は、

無効になる可能性が高いと考えました。

 

 

そこで、3日で解雇されたクライアントの無念な思いに応え、

解雇事件の依頼を受けて、会社に対して、解雇が無効であり、

クライアントには、働く意思があることを通知しました。

 

 

解雇が無効になれば、労働者としての地位が復活し、

解雇期間中の未払賃金を、会社に対して、請求できるのですが、

未払賃金を請求するためには、

会社で働く意思があることを表明する必要があるのです。

 

 

もっとも、会社からは、誠意ある回答がなかったことから、

労働審判を申し立てました。

 

 

3 結果

 

 

労働審判とは、3回の期日で終結する、迅速な裁判手続です。

 

 

普通の裁判ですと、1年くらい時間がかかるのですが、

労働審判ですと、申立をしてから3ヶ月以内で終結することが多く、

早く事件を解決できるのが魅力です。

 

 

 

特に解雇事件では、前の会社とのトラブルを早く解決して、

すっきりしてから、次の職場で働きたいと考える労働者が多いことから、

私は、労働審判を活用することが多いです。

 

 

今回の労働審判では、裁判所も、入社して3日で解雇したのでは、

全く解雇の要件を満たしていないと考えてくれ、会社を強く説得してくれました。

 

 

もっとも、労働審判では、迅速に解決するために、

労働者に有利な事案でも、金銭的な解決における金額を決定する際に、

譲歩を求められます。

 

 

最終的には、クライアントの給料の6ヶ月分の108万円を、

会社に支払ってもらうことで調停が成立しました。

 

 

入社して3日で解雇され、やるせない思いを抱いていたクライアントでしたが、

労働審判をして、会社から、解決金が支払われることで、

傷ついた尊厳を回復することができて、この解決に満足されました。

 

 

解雇は、よほどの理由がない限りできませんので、

解雇が無効になることはありえます。

 

 

解雇されて、納得がいかないときには、弁護士にご相談ください。

 

 

弁護士は、解雇について、適切なアドバイスをしてくれます。

 

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

労災事故による怪我の治療が終了した後の解雇が許されるのか

1 仕事中の怪我の治療終了後の解雇の有効性

 

 

仕事中にけがをしてしまい、治療を続けたものの、

もとの仕事ができるまでには回復できないことがあります。

 

 

このようなときに、会社は、精神または身体の障害により、

業務に耐えられないとして、労働者を解雇することがあります。

 

 

このような解雇は有効なのでしょうか。

 

 

治療が終了して1ヶ月後の解雇の効力が争われた

東京キタイチ事件の札幌高裁令和2年4月15日判決

(労働判例1226号5頁)を紹介します。

 

 

この事件では、原告の労働者は、仕事中に右の小指を負傷し、

何度か手術をしました。

 

 

 

負傷前の原告の仕事は、冷たいタラコをパック詰めするというものであり、

何度も手を入念に洗い、包丁を使うなど、

負傷した右の小指に負担がかかるものでした。

 

 

もっとも、負傷した右の小指に無理をかけないように注意をはらえば、

慣れた仕事は可能であり、仕事量を減らすなどの配慮をすればよい

との主治医の意見がありました。

 

 

被告の会社は、原告に対して、製造部から清掃部への配置転換を打診しましたが、

原告は、製造部での復職を求めました。

 

 

しかし、治療終了後1ヶ月後に解雇を通告されました。

 

 

原告は、解雇が無効であるとして、労働者としての地位の確認と、

未払賃金を請求する裁判を起こしました。

 

 

2 慣らし勤務をさせる必要がある

 

 

裁判所は、しばらくの間業務軽減を行うなどすれば、

原告が製造部へ復職することが可能であったと判断しました。

 

 

そして、本件事故が労災と認定されていることから、

慣らし勤務が必要であることを理由として、

解雇することはできないとしました。

 

 

プライベートな活動で負傷したならまだしも、

仕事中の活動で負傷した場合に、慣らし勤務を経ることで、

もともとの仕事ができる可能性があることを考慮しないことは、

労働者にとって酷であるという価値判断が背景にあると考えられます。

 

 

また、会社は、製造部から清掃部への配置転換を拒否すれば、

解雇がありえることや、製造部での仕事ができない理由を原告に説明しておらず、

原告は、解雇を回避する選択の機会が与えられていませんでした。

 

 

そのため、解雇の手続における、会社の説明が不十分であり、

会社は解雇回避の努力をしていないと判断されました。

 

 

 

解雇の過程を検討することも重要です。

 

 

その結果、解雇は無効となりました。

 

 

労災事故による怪我の影響で、すぐにはもとの仕事に復帰できなくても、

比較的短期間で復職が可能な場合には、会社は、

短期間の復帰準備時間を提供すべきであり、

それをしないでした解雇は無効になる傾向があります。

 

 

仕事中にけがをして、すぐにもとの仕事ができなくても、

慣らし勤務をすれば、もとの仕事ができる見込みがあるのであれば、

慣らし勤務をさせないで解雇することは無効になるわけです。

 

 

労災事故の治療後に解雇された場合、なっとくがいかないのであれば、

弁護士に相談するようにしてください。

 

 

本日もお読みいただき、ありがとうございます。

コロナ便乗解雇の争い方

1 コロナ便乗解雇とは

 

 

新型コロナウイルスの感染が再び猛威を奮っています。

 

 

連日、2000人を超える感染者が続出し、第3波が到来しています。

 

 

 

感染が拡大してる大阪市や札幌市では、

GOTOトラベルの利用中断がされる見通しとなってきています。

 

 

厚生労働省が公表している解雇等見込み労働者数も

増加の一途をたどっており、11月13日時点で、

71,121人となっています。

 

 

新型コロナウイルスの感染が拡大していくと、

経営難を理由とする解雇が増えてきます。

 

 

さらには、新型コロナウイルスを隠れ蓑にした

便乗解雇も増えてくることが予想されます。

 

 

建前は、新型コロナウイルスの感染拡大による

経営悪化を理由としているものの、本音は、

会社にもの言う労働者を排除する解雇のことを、

コロナ便乗解雇と呼ばれるようです。

 

 

このようなコロナ便乗解雇は認められるのでしょうか。

 

 

結論としては、コロナ便乗解雇においても、

整理解雇の4要件(4要素)を満たさない限り、

無効となります。

 

 

2 整理解雇の4要件(4要素)

 

 

解雇を争う事件では、会社が主張している解雇理由に

客観的合理性があるのかが争点となり、

コロナ便乗解雇では、会社側は、

新型コロナウイルス感染拡大による経営悪化を

解雇理由として挙げてくるので、

以下の整理解雇の4要件(4要素)を満たすかが問題となります。

 

 

①人員削減の必要性

 

 

②解雇回避努力

 

 

③人選の合理性

 

 

④労働者に対する事前の説明・協議

 

 

①人員削減の必要性については、

リストラ計画があるのか、

業績の回復の見込みはあるのか、

経営の見通しはどのようなものかについて検討します。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大の状況においては、

人員削減の必要性は認められやすいのですが、

雇用調整助成金や持続化給付金などの支援策を活用してもなお

人員削減の必要性があるのかを検討することが重要です。

 

3 雇用調整助成金を活用しているのかをチェックする

 

 

コロナ便乗解雇においては、②解雇回避努力義務として、

会社が雇用調整助成金を活用したかがポイントになります。

 

 

 

雇用調整助成金とは、経済上の理由により

事業活動の縮小を余儀なくされた会社が、

労働者に対して、休業手当を支払って一時的に休業させて、

労働者の雇用を守った場合に、

休業手当が助成される制度です。

 

 

そして、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、

雇用調整助成金が拡充されており、中小企業では、

会社が労働者に支払う休業手当のうち最大10/10が助成されます。

 

 

国は、労働者の雇用を守るために対策をうっているので、

会社が、雇用調整助成金を活用することなく、

労働者を安易に解雇した場合には、

解雇回避措置を尽くしていないとして無効となるのです。

 

 

センバ流通事件の仙台地裁の仮処分の決定では、

解雇に先立ち、雇用調整助成金の申請をしていないことから、

解雇回避措置の相当性は低いと判断されました。

 

 

また、④会社は、労働者に対して、

解雇を行う必要性や解雇を避けるために会社として

どのようなことをしてきたのかなどについて、

説明や協議をすることが必須です。

 

 

この会社の労働者の説明においても、

雇用調整助成金などの支援策の検討状況を伝える必要があります。

 

 

まとめますと、コロナ便乗解雇においては、

雇用調整助成金が活用されていなかったり、

労働者に対して、雇用調整助成金などの支援策の検討状況をふまえた

説明をしていなかった場合には、解雇は無効となるのです。

 

 

解雇が無効になれば、会社に対して、

未払賃金の請求をすることができます。

 

 

コロナ便乗解雇にあっても、納得がいかなかったら、

弁護士に相談して、解雇が有効になるのかの

アドバイスを求めるようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。