投稿

身体的暴力のパワハラ事件で損害賠償請求と未払残業代請求をして勝訴的和解が成立した事例

1 ひどい暴力のパワハラ事件

 

 

会社の社長から、あまりにもひどいパワハラを受けた事件で、

損害賠償請求と未払残業代請求をして、無事に和解で解決した事件を紹介します。

 

 

クライアントは、運送会社で働いていたところ、

社長から、次のような、暴力を受けました。

 

 

 

①鼻を頭突きされて鼻血がでた。

 

 

②顔を殴られて唇が切れた。

 

 

③髪の毛をハサミで切られる。

 

 

④腕にタバコの火を押し付けられてやけどする。

 

 

⑤マジックで額にバツを書かれる。

 

 

⑥顔面を蹴られて歯が折れる。

 

 

クライアントは、このような社長からの度重なる暴力に耐えられず、

会社を退職し、法律相談にこられました。

 

 

私は、労働弁護士として、多くのパワハラの法律相談を受けてきましたが、

本件の事案のように、ここまでひどい暴力を受けたパワハラは初めてでした。

 

 

最初は本当にそんなにひどいパワハラが起きていたのか信じられませんでしたが、

クライアントが、怪我をしたときの写真を撮っていたので、

その写真を見て、実際にひどいパワハラがされていたことを知りました。

 

 

クライアントの怪我の写真で、社長の暴力の事実を証明できると判断して、

会社と社長に対して、損害賠償請求をしました。

 

 

2 パワハラの損害賠償請求では未払残業代請求を一緒にする

 

 

また、クライアントの話を聞いていると、長時間労働をしているに、

残業代が全く支払われていないことがわかりましたので、

パワハラの損害賠償請求と共に、未払残業代請求をしました。

 

 

 

ひどいパワハラをしているブラック企業では、

残業代が未払のことが多いので、パワハラの損害賠償請求と共に、

未払残業代請求をすることで、

会社から多くの金銭の支払いを受けることが可能になります。

 

 

交渉では合意に至らず、裁判を提起しました。

 

 

相手方からは、残業の業務命令をしていない、

タイムカードの記載は信用できないので、

残業代は認められないなどの主張がされました。

 

 

しかし、会社から残業の業務命令がなくても、

会社は、労働者が残業していることを認識しており、

何も異議を述べていない場合には、

黙示の指示が認められて、残業代請求が認められます。

 

 

また、裁判例では、タイムカードには、

特段の事情がない限り、労働時間を事実上推定する力があるとして、

タイムカードの記載の時間は、労働していたと認定される傾向にあります。

 

 

本件事件でも、社長よる暴力のパワハラと残業が認められて、

当方の損害賠償請求と未払残業代請求が認められました。

 

 

結果として、会社から、クライアントに納得していただける

金銭を支払ってもらい、和解が成立しました。

 

 

パワハラの損害賠償請求事件では、未払残業代請求を一緒にすることで、

クライアントが納得できる解決にいたることができます。

追い出し部屋に異動させられたときの対処法

1 追い出し部屋とは

 

 

先日、追い出し部屋に関する法律相談を受けました。

 

 

会社からの退職勧奨を断ったところ、

ある日、会社から、倉庫で働くように指示を受けたものの、

倉庫での仕事はほとんどなく、

精神的に辛いという、法律相談でした。

 

 

このように、もともとの仕事よりもずっと程度の低い仕事を与え、

労働者の自尊心を傷つけて、退職に追い込むやり方を追い出し部屋といいます。

 

 

 

特定の労働者を窓際に追いやり、干すという手口です。

 

 

追い出し部屋については、パワハラの6類型である、

人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)、

過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い

仕事を命じることや仕事を与えないこと)に該当するため、

最近ではあまり聞かれなくなっていました。

 

 

そのため、このように、露骨に、

労働者を退職に追い込むためのパワハラが行われている実態を知り、

驚きました。

 

 

本日は、追い出し部屋の対処法について検討してみます。

 

 

2 追い出し部屋への配転命令が争われた裁判例

 

 

追い出し部屋について、参考になる裁判例を紹介します。

 

 

新和産業事件の大阪高裁平成25年4月25日判決

(労働判例1076号19頁)です。

 

 

この事件では、営業課長をしていた原告の労働者が、

倉庫への配転命令を受け、課長職を解く降格命令を受けて、

給料が半額に減額されたことから、

配転命令の無効確認や損害賠償請求をしました。

 

 

倉庫への配転命令が実施される前に、会社は、原告に対して、

退職勧奨が繰り返されていましたが、原告は、

退職に応じなかったという事情がありました。

 

 

倉庫での仕事については、もともと1人の従業員か担当していたところ、

原告を追加して2人の従業員を配置するほどの業務量はなく、

実際に、原告の仕事はほとんどありませんでした。

 

 

そのため、裁判所は、原告に対する倉庫への配転命令について、

原告が退職勧奨を拒否したことの報復として、退職に追い込むために、

または、合理性に乏しい大幅な賃金の減額を

正当化するために実施したものであり、業務上の必要性はなく、

不当な動機・目的によるもので、原告の不利益が大きいので、

権利の濫用に該当するとして、無効と判断されました。

 

 

そして、原告に対して、50万円の慰謝料が認められました。

 

 

この裁判例のように、追い出し部屋への配転命令が

権利の濫用であるとして、争う方法があります。

 

 

3 追い出し部屋はパワハラに該当する

 

 

もう一つは、追い出し部屋への配転命令が、前述した、

人間関係からの切り離しや過小な要求に該当する

パワハラであると主張して、会社に対して、

損害賠償請求をする方法があります。

 

 

 

パワハラを防止することが法律で明記され、

パワハラ防止指針が整備された今であれば、

パワハラの損害賠償請求が認められやすくなるかもしれません。

 

 

もっとも、追い出し部屋の事案では、

他の従業員から隔離されていたり、

仕事が与えられていないことを、

どのようにして立証するのかという難しい問題があります。

 

 

この点、倉庫などで一人でいて仕事がない状況を動画で撮影して、

立証するのがいいと思います。

 

 

スマートフォンなどで、一日中、

自分の倉庫での仕事の状況を撮影すれば、

仕事がないことを立証できます。

 

 

そして、従前の自分の仕事の状況を、

日報やメールなどで証明できれば、

いかに倉庫での仕事がなにもないかが明確になります。

 

 

仕事がないことの動画を確保できれば、会社に対して、

倉庫で仕事をさせないことがパワハラに該当するとして、

弁護士が交渉し、場合によっては、裁判手続をすれば、

損害賠償請求できる可能性があります。

 

 

追い出し部屋に異動させられた場合には、

労働問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

追い出し部屋は、労働者の尊厳を傷つけるものでするで、

早急になくす必要があると考えられます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

三菱電機のパワハラ防止対策を検討する

1 三菱電機のパワハラ防止対策

 

 

三菱電機が、2020年11月25日、

「労務問題の再発防止に向けた新たな取り組みについて」

という文書を公表しました。

 

 

https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2020/1125.pdf

 

 

三菱電機では、ここ最近、長時間労働によって

メンタル疾患を発症したり、過労自殺した労働者の

労災認定が5件ほどあったようです。

 

 

また、上司や先輩社員による新入社員へのいじめがあり、

新入社員が自殺した事件が2件ほどあったようです。

 

 

 

これらの問題については、私も過去のブログで記載しましたし、

マスコミでも報道されていましたので、

三菱電機の労働者からのイメージは悪化していたように思います。

 

 

このような問題を受けて、三菱電機は今回、

「労使共同宣言5か条」の採択と360度評価の導入など

新たな施策を導入したようです。

 

 

本日は、三菱電機のパワハラ対策について検討してみます。

 

 

2 会社のパワハラ防止措置義務とは

 

 

改正労働施策総合推進法によって、

パワハラの定義が法律に明記され、

会社は、パワハラ防止のための措置を

講じなければならないことになりました。

 

 

パワハラ防止のための措置の具体的内容については、

今年1月15日にパワハラ防止の指針が厚生労働省から公表されました。

 

 

このパワハラ防止指針では、会社がパワハラを防止するために、

雇用管理上次の措置を講じなければならないと規定されています。

 

 

①会社の方針等の明確化及びその周知・啓発

 

 

②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

 

 

③職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応

 

 

 

①の内容として、就業規則にパワハラに関する規定を整備する、

社内報などでパワハラの内容・原因などを労働者に周知する、

研修や講習を実施する、ことが挙げられます。

 

 

3 三菱電機のパワハラ対策で注目すべき点とは

 

 

今回、三菱電機が公表した労使共同宣言5か条は、

上記の①の具体的施策として注目できます。

 

 

 

注目すべき点は、会社が一方的に決めるのではなく、

労働者と共同してパワハラ対策を決める点です。

 

 

パワハラは、適切な業務指導との線引が難しく、

業務上不可避的に発生するものなので、

現場のひとりひとりの労働者の意識が変わらなければ、

パワハラの防止は困難だと考えます。

 

 

そのため、会社から一方的に決めるのではなく、

当事者である労働者も共同で決めることで、

労働者のパワハラに対する抑制の意識が芽生えることが期待できそうです。

 

 

次に注目すべき点は、全従業員が、

ハラスメントをしないことの宣言書を提出することです。

 

 

労働者が、自分でハラスメントをしないことを文書にすることで、

ハラスメントをしないという一貫した行動をさせることが期待できます。

 

 

人は、自分がコミットメントしたことについて、

一貫した行動をとる習性があるので、

ハラスメント防止の効果が期待できそうです。

 

 

そして、もう一つの注目すべき点は、

管理職に対する360度評価の導入です。

 

 

おそらく、管理職に対して、

部下からの評価も加わるということだと思います。

 

 

通常ですと、人事の評価をするのは、

上司なので、上司に強い影響力が生じて、

部下に対するパワハラが生じやすい土壌が生まれるのですが、

上司の評価を部下もできるようになれば、上司の影響力が低下し、

上司の部下に対するパワハラを抑止する効果が期待できそうです。

 

 

三菱電機から、厚生労働省のパワハラ防止指針よりも進化した

パワハラ防止対策が公表されましたので、

これが誠実に実行されて、パワハラを撲滅し、

これまでのマイナスの印象を払拭してもらいたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

パワハラの労働相談の増加とあっせん手続

1 パワハラの労働相談が増加しています

 

 

7月1日に厚生労働省から,

「令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が公表されました。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000643973.pdf

 

 

都道府県労働局には,総合労働相談コーナーという

労働相談の窓口があり,そこに寄せられた

労働相談の統計情報が毎年公表されます。

 

 

これを見れば,世の中でどのような労働問題が増えているのかが

よくわかるので,私は,毎年参考にしています。

 

 

さて,令和元年度の統計情報では,

総合労働相談コーナーに寄せられた相談のうち,

会社と労働者との間における個別労働紛争相談件数は

342,966件で,そのうち87,570件が

「いじめ・嫌がらせ」というパワハラに関する相談です。

 

 

 

個別労働紛争相談のうちの25.5%が

パワハラに関する相談ということになります。

 

 

このパワハラに関する相談は,年々右肩上がりに上昇しており,

今年は前年比5.8%で増加しました。

 

 

以前は,解雇の相談が最も多かったのですが,

平成24年度を境にパワハラが解雇を上回り,

以後パワハラが増加し続けています。

 

 

それだけ,パワハラの被害が蔓延しており,

深刻化していることが明らかとなっています。

 

 

そのような状況を受けて,今年の6月から

改正労働施策総合推進法が施行され,大企業に対して,

パワハラ防止措置義務が課されるようになりました。

 

 

今後は,パワハラ防止措置義務によって,

パワハラの相談件数が減少に転じるのかが注目されます。

 

 

2 あっせん手続

 

 

さて,この統計情報には,もう一つ興味深い情報が掲載されていました。

 

 

それは,都道府県労働局でのあっせん手続の処理件数です。

 

 

都道府県労働局では,労働紛争の当事者が話合いをして,

労働紛争を解決するためのあっせん手続が利用できます。

 

 

このあっせん手続の最大のメリットは,お金がかからないことです。

 

 

労働審判などの裁判手続を利用するときには,

基本的には弁護士を依頼することがほとんどですが,

弁護士に依頼するとどうしても費用がかかってしまいます。

 

 

これに対して,あっせん手続を申し立てる際に弁護士は不要で,

ほとんど個人で申立てをしていることが多く,

弁護士に依頼するための費用を節約できます。

 

 

ただ,あっせん手続には,大きなデメリットがあり,

相手方があっせん手続に応じなければ,終了してしまうのです。

 

 

裁判手続では,被告が裁判に応じなければ,

原告の主張が認められる判決がでるので,

被告は,裁判に応じることが多いです。

 

 

あっせん手続では,相手方があっせん手続に応じないと返事をすれば,

あっせん手続は打ち切られてしまいます。

 

 

また,あっせん手続では,最終的な和解が設立する

見通しがたてにくいというデメリットもあります。

 

 

今回の統計情報によりますと,和解が成立したのは36%で,

打ち切りになったのは59%で,和解が成立するよりも,

打ち切られる可能性の方が高いのです。

 

 

 

そのため,あっせん手続では,労働紛争は解決せず,

結局,裁判手続になるのであれば,

最初から裁判手続を選択した方がいいことになります。

 

 

このような事情があるため,私は,

これまであっせん手続を利用したことはありません。

 

 

3 パワハラの事案ではあっせん手続が活用できる余地がある

 

 

もっとも,今回の統計情報には,

あっせん手続がうまくいった事例が紹介されており,

パワハラの事案では,あっせん手続が

活用できるかもしれないと思いました。

 

 

紹介された事例では,45万円の慰謝料を求めて

パワハラ被害者の労働者があっせんを申請し,

会社が35万円の慰謝料を支払うことで和解が成立したようです。

 

 

言葉の暴力によるパワハラの場合は,

慰謝料の金額があまり大きくならない傾向にあり,

弁護士に依頼すると費用対効果が悪いので,

あっせん手続であれば,費用がかからないので,

多少低い金額の慰謝料でもなっとくできるのであれば,

あっせん手続を利用する価値はあると思いました。

 

 

弁護士に依頼する費用がもったいないけど,

会社に対して一矢報いたい場合に,

あっせん手続の利用を検討してみるといいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

パワハラの被害実態とは

1 パワハラ・コロナ・過労死110番に寄せられた相談

 

 

6月20日に実施された「パワハラ・コロナ・過労死110番」では,

全国で次のようなパワハラの相談がありました。

 

 

上司に話しかけても返事をしてもらえなかったり,

あいさつをしても無視されたりして困っている。

 

 

上司から人前で「バカヤロー」などと怒鳴られる。

 

 

上司が必要な情報を教えてくれなかったり,

こちらのプライベートを執拗に詮索してきて,

「あなたの仕事はなくなるからね」と言われる。

 

 

 

このようなパワハラ被害が後を絶たないのが現実です。

 

 

今年の6月1日から改正労働施策総合推進法が施行され,

大企業に対して,パワハラ防止措置が義務付けられましたので,

今後はますます,企業におけるパワハラ対策が重要になってきます。

 

 

2 パワハラの被害実態

 

 

さて,パワハラ被害について興味深い論稿を読みましたので,

アウトプットします。

 

 

ジュリストという法律家の専門誌の1546号で

パワハラに関する特集があり,その特集の中にあった

神奈川県立保健福祉大学講師の津野香奈美先生の

メンタルヘルスとハラスメント予防」という論稿です。

 

 

この論稿には,全国におけるパワハラの実態調査

の結果が記載されています。

 

 

この論稿に記載されている調査の結果によりますと,

雇用者の6.1%(17人に1人)が

過去30日間に職場でパワハラを受けており,

14.8%(7人に1人)が職場でパワハラがあると

認識しているようです。

 

 

日本の雇用者数は約6000万人であるため,

その6.1%とすると,全国で約360万人が

パワハラにあっているという計算になるようです。

 

 

パワハラの被害が拡大しており,

パワハラの被害にあう確率も高いことがわかります。

 

 

では,パワハラにあう人はどのような人なのでしょうか。

 

 

この論稿に記載されている調査によると,

若年者(29歳以下),高卒未満,

世帯収入250万円未満,主観的社会階層

(自分自身が日本社会の中でどの階層に属しているかどうかの認識)

が低い労働者が,よりパワハラを受けていることが

明らかになったようです。

 

 

立場の弱い方がパワハラを受けやすい可能性があるのです。

 

 

パワハラは弱い者いじめという側面があるので,

立場の弱い方がターゲットになりやすいわけです。

 

 

3 パワハラの健康被害

 

 

また,職場のパワハラによる健康被害についても,

興味深い記載がありました。

 

 

デンマークの研究では,時々パワハラを受けていた場合,

受けていない場合に比べて,2年後にうつ病を

新規発症するリスクが約2.2倍であるのに加えて,

より頻繁にパワハラを受けていた場合は,

受けていない場合に比べて,2年後の新規うつ病発症リスクが

約9.6倍であったようです。

 

 

 

ノルウェーの研究では,パワハラを受けていると,

受けていない人に比べて,2年~3年後に希死念慮を持つリスクが

約2.1倍であったようです。

 

 

津野先生の研究では,パワハラを受けていると,

受けていない場合と比べて約12倍もPTSD症状

(精神的不安定による不安,不眠などの過覚醒など)

を持つリスクが高い結果になったようです。

 

 

このように,パワハラを受けると,

被害者は直接,精神的な苦痛を受けて,

メンタルヘルスが害されるのです。

 

 

さらに,パワハラの被害がやっかいなのは,

周囲にも影響を及ぼすという点です。

 

 

パワハラの直接の被害者だけでなく,

パワハラ行為を目撃した人もメンタルヘルスの不調になるようです。

 

 

自分が直接パワハラの被害をこうむっていなくても,

「次は自分がターゲットになるのではないか」と怖くなったり,

「見ていて辛い。被害者がかわいそうだ」と思いながらも

うまく助けることができずに罪責感を感じ,

働きにくくなるのが原因と考えられています。

 

 

パワハラの被害は,間接的に広範囲に拡大することがわかります。

 

 

メンタルヘルスが害されると回復に時間がかかりますので,

被害者本人にとっても,社会全体にとっても大きなマイナスとなります。

 

 

このようなパワハラの被害実態からしても,

早急にパワハラを撲滅する必要があるのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

2020年6月1日から大企業にパワハラ防止対策が義務付けられました

1 パワハラ防止対策の義務付け

 

 

今年の6月1日から,改正労働施策総合推進法が施行されて,

大企業に対して,パワハラ防止対策が義務付けられました。

 

 

このパワハラ防止対策の義務付けは,

2022年4月から,中小企業にも適用されます。

 

 

まずは,大企業からパワハラの防止対策を始めて,

その後に中小企業にも広めていくことになります。

 

 

パワハラの被害が後を絶たない現状において,

今回のパワハラ防止対策の義務付けが

どこまで効果を発揮するのか注目していきたいです。

 

 

 

本日は,パワハラ防止対策の義務付けについて解説します。

 

 

2 パワハラの定義

 

 

まずは,改正労働施策総合推進法において,

パワハラの定義が明文化されました。

 

 

すなわち,パワハラとは,職場において行われる

優越的な関係を背景とした言動であって,

業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

その雇用する労働者の就業環境が害されること,

と定義されました。

 

 

実務で問題になるのは,違法なパワハラと適正な業務指導の線引です。

 

 

パワハラの被害者がうったえる,

パワハラの加害者の言動が,

「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」

と評価できるかが問題となるのです。

 

 

この「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」

言動に該当するかの判断にあたっては,

事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する

問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」において,

以下の要素を総合考慮するとされました。

 

 

①当該言動の目的

 

 

②当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や

内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況

 

 

③業種・業態

 

 

④業務の内容・性質

 

 

⑤当該言動の態様・頻度・継続性

 

 

⑥労働者の属性や心身の状況

 

 

⑦行為者との関係性

 

 

指針においては,パワハラの該当例と非該当例が記載されていますが,

それはパワハラだよね,それは適正な指導だよね,

と一般の方が読めば判断できるケースしかありません。

 

 

実際の実務では,上記の要素を総合考慮する必要があるので,

違法なパワハラと適正な業務指導の線引が難しいことがほとんどなのです。

 

 

「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動に該当するかの

勘所を磨くには,実際のパワハラの裁判例を

検討するのが最もよいと考えます。

 

 

3 パワハラ防止措置義務

 

 

さて,今回の改正の目玉は,企業に対して,

パワハラ防止対策を義務付けたことです。

 

 

 

企業は,パワハラ防止対策として,

以下のことを実施する必要があります。

 

 

①職場におけるパワハラの内容,

パワハラを行ってはならないこと,

パワハラを行った者に対して厳正に対処する

旨の方針を就業規則などに明確化し,

労働者に周知すること

 

 

②パワハラの相談窓口を設立して,労働者に周知すること

 

 

③パワハラの相談があった場合には,

事実関係を迅速かつ正確に確認し,

パワハラの事実が確認できた場合には,

被害者に対する配慮のための措置を行い,

加害者に対する適正な措置を行い,

再発防止に向けた措置を講ずること

 

 

④パワハラの相談をした場合には,

プライバシーは保護され,

解雇やその他の不利益な取扱いをされないことを

労働者に周知すること

 

 

そして,厚生労働大臣は,必要があると認めるときには,

企業に対して,助言,指導,勧告をすることができ,

勧告に従わない場合には,そのことを公表できます。

 

 

そのため,企業は,労働者に対して,

パワハラ対策の研修をしたり,

パワハラの相談窓口を設置したりといった

対策をしなければならないのです。

 

 

これらの企業の取り組みを通じて

パワハラが撲滅されることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

パワハラの労災認定基準が変わります

1 精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書

 

 

今年の6月から大企業では,パワハラを防止するために

必要な措置をとらなければならないことが義務付けられます。

 

 

パワハラを法律で定義した

改正労働施策総合推進法が施行されるのです。

 

 

この法律では,パワハラは,

①優越的な関係を背景とした言動であって,

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより,

③就業環境が害されるもの,

と定義されました。

 

 

 

このパワハラの定義をふまえて,

仕事が原因でうつ病などの精神疾患を発症した場合の

労災認定基準が見直されることになります。

 

 

5月15日に,「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書

が発表されましたので,本日は,この報告書について説明します。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11305.html

 

 

2 新しくパワハラの類型が追加されます

 

 

これまでの精神障害の労災認定基準において,パワハラは,

「(ひどい)嫌がらせ,いじめ,又は暴行を受けた」

という出来事で評価されていました。

 

 

今回の報告書では,パワハラを独立した出来事の類型として,

上司等から,身体的攻撃,精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた

として追加することになりました。

 

 

精神障害の労災認定基準では,労働者が仕事中の出来事から受けた

心理的負荷が「強」といえれば,労災と認定されることになり,

具体的な出来事ごとに,どのような場合に,

心理的負荷が「強」と評価されるかの具体例が記載されています。

 

 

3 心理的負荷が「強」になるパワハラの具体例

 

 

今回の報告書では,次のような場合に,

心理的負荷が「強」と評価されるとしました。

 

 

①上司等から,治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合

 

 

②上司等から,暴行等の身体的攻撃が執拗に行われた場合

 

 

③上司等による次のような精神的攻撃が執拗に行われた場合

 

 

・人格や人間性を否定するような,業務上明らかに必要性がない

又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃

 

 

・必要以上に長時間にわたる厳しい叱責,

他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責など,

態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃

 

 

 

これらの具体例で私が気になったことを指摘します。

 

 

①については,「治療を要する程度」としていますが,

暴行を受けても,そこまで大きなけがではなく,

病院で治療をしないこともありますが,そのような暴行でも,

心理的負荷は大きいと思います。

 

 

職場で暴行が行われることが,そもそも異常事態なので,

労働者が受ける心理的負荷は強いと考えます。

 

 

そのため,暴行を受けた労働者が,

病院を受診していなくても,労災と認定する必要があります。

 

 

②と③については,「執拗に」という文言が抽象的なので,

恣意的な解釈がされるリスクがあるので,

「継続して」に変更すべきと考えます。

 

 

特に,暴行等の身体的攻撃については,一回であっても,

労働者が受ける心理的負荷が強いことがありまし,

言葉の暴力である精神的攻撃についても,

「殺してやろうか」などのように一回言われただけでも,

心理的負荷が強いものもあります。

 

 

そのため,「執拗に」という表現ではなく,

せめて「継続して」という表現に改善すべきと考えます。

 

 

その他に,パワハラの被害を会社に相談したけれども,

適切に対応してくれなくて,改善されなかった場合には,

心理的負荷が「強」と評価されることになります。

 

 

この点は,会社にパワハラを予防させる方向につながりますので,

よい改訂だと思います。

 

 

報告書の内容に不満な点もありますが,

パワハラの労災認定基準が変わりますので,

しっかりと対応していきたいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

名ばかりのパワハラ相談窓口ではパワハラ防止措置義務を守ったことにはなりません

1 名ばかりのパワハラ相談窓口の実態

 

 

先日,朝日新聞に興味深い記事が記載されていましたので,紹介します。

 

 

https://www.asahi.com/articles/DA3S14394852.html

 

 

大手の企業におけるパワハラ被害の相談窓口の対応が

ずさんであるという問題です。

 

 

例えば,仕事が与えられずに同僚から隔離されていることを,

パワハラの相談窓口に相談したところ,担当者から,

「仕事がない状態はありえます」,「何ヶ月も待機した人もいる」

と回答されたようです。

 

 

また,別の会社では,「上司から過剰なノルマを与えられ,

残業時間の過少申告も指示された」と,

パワハラの相談窓口で相談したところ,担当者から,

「個人的な職場への不満と受け止めました」と言われ,

上司とよく話すように促されたようです。

 

 

 

さらには,残業代の未払が社内で横行していることを指摘した

報復として降格されたことを,パワハラの相談窓口で相談したところ,

「この窓口では法的見解を回答するためのものではありません」

と回答されたようです。

 

 

2 企業のパワハラ防止措置義務とは

 

これらのパワハラ窓口の対応は,今年の6月から大企業に施行される

(中小企業には2022年4月から施行)改正労働施策総合推進法

で定められた,企業のパワハラ防止措置義務に違反する可能性があります。

 

 

もう少し,具体的にみていきましょう。

 

 

大企業は,今年の6月から,次のような

パワハラ防止措置義務を履行しなければなりません。

 

 

①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

(就業規則などにパワハラを行ってはならない方針や

パワハラに対する懲戒処分の規定を明記して,

職場で広く知らしめることなどです)

 

 

 ②相談に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備

(パワハラの相談窓口を設置して,労働者に広く知らしめることなどです)

 

 

③職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応

(事実関係を正確に確認して,パワハラの加害者に対して,

適切な処分をすることなどです)

 

 

このうち①は,就業規則などに記載すればいいので,

容易に実行できますが,②と③はなかなか大変です。

 

 

3 名ばかりのパワハラ相談窓口を設置していたのでは

  パワハラ防止措置義務違反になる

 

 

名ばかりのパワハラ相談窓口を設置して,

不適切な事後対応をすれば,

上記の朝日新聞の記事のように不安をためた労働者が,

労働局に通報したり,会社に対して,

パワハラ防止措置義務を怠ったとして,

損害賠償請求をしてくる可能性があるのです。

 

 

とくに,②については,名ばかりのパワハラ相談窓口ではだめで,

パワハラ指針では,「相談窓口の担当者が,相談に対して,

その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること

と定められています。

 

 

 

パワハラ相談窓口の担当者が適切な対応をしなければならないのです。

 

 

弁護士でもパワハラの判断に迷うことが多いのに,

パワハラの相談窓口の担当者が適切に相談を聞き取って,

適切な事後対応につなげるのは,なかなか難しいと思います。

 

 

企業としては,弁護士などの外部の機関に

パワハラ相談の対応を委託するのがいいと考えます。

 

 

さて,労働者が会社のパワハラ相談窓口の対応が不適切だと感じたら,

労働局にそのことを通報すれば,労働局が,会社に対して,

助言,指導,勧告をする可能性があります。

 

 

そして,労働局が,会社がパワハラ防止措置義

を履行していないとして,勧告をしたのに,

会社が勧告に従わない場合は,労働局は,そのことを公表できます。

 

 

勧告に従わないことを公表されると,

ブラック企業という風評被害が生じるリスクがあるので,

企業は,勧告に応じることが期待されます。

 

 

パワハラ防止措置義務を守る企業が増えて,

一日でも早く,職場からパワハラがなくなることを祈っています。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

コロナハラスメントから職場のパワハラを検討する

1 コロナハラスメント

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大が収束する気配が感じられません。

 

 

 

そのような昨今,次のようなコロナハラスメントが実際にあるようです。

 

 

職場で花粉症のため,くしゃみをしたら,上司から

「お前,コロナだろ。会社に来るな」と言われた。

 

 

https://www.bengo4.com/c_5/n_10888/

 

 

なんとも悲しくなる話しです。

 

 

当然ですが,これはパワハラに該当します。

 

 

2 パワハラ指針

 

 

本日は,1月15日に公表された

事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動

に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針

をもとにパワハラについて解説します。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H200116M0020.pdf

 

 

労働施策総合推進法が改正されて,

パワハラの定義が法律に明記され,

パワハラについての指針が成立しました。

 

 

職場におけるパワハラとは,職場においておこなわれる,

①優越的な関係を背景とした言動であって,

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより,

③労働者の就業環境が害されるものであり,

①から③までの要素を全て満たすものをいいます。

 

 

パワハラについては,業務上の適法な指導との線引が難しく,

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたと

評価できるかが判断しにくいときがあります。

 

 

この判断をするにあたっては,当該言動の目的,

当該言動を受けた労働者の問題行動の

有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況,

業種・業態,業務の内容・性質,当該言動の態様・頻度・継続性,

労働者の属性や心身の状況,行為者との関係性など

のさまざまな要素を総合的に考慮します。

 

 

このように様々な要素を考慮して,総合判断するので,

どうしても判断が難しくなるのです。

 

 

3 パワハラの通達

 

 

ここで,2月10日に公表された

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び

職業生活の充実等に関する法律第8章の規定等の運用について

という通達において,②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

の判断について,次のような指摘があります。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200213M0030.pdf

 

 

「労働者に問題行動があった場合であっても,

人格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動

がなされれば,同然職場におけるパワーハラスメントに当たり得ること」

 

 

労働者に問題行動があった場合には,

きちんと指導すればよく,

労働者の人格を否定する必要は全くないので,

②の要素を検討する際には,

人格を否定する言動があったかがポイントになります。

 

 

また,上記の通達では,③労働者の就業環境が害されるについて,

「言動の頻度や継続性は考慮されるが,

強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合には,

一回でも就業環境を害する場合があり得る

と記載されている点が注目されます。

 

 

酷い態様のパワハラであれば,一回だけでも

③の要素を満たすことになるのです。

 

 

なお,上記の通達では,「職場」について,

勤務時間外の懇親会の場,社員寮や通勤中などであっても,

実質上職務の延長と考えられるものは職場に該当するとされました。

 

 

 

懇親会の席では,アルコールが入ることで,

普段よりも酷いパワハラが行われることがあることから,

この通達の考え方は,パワハラ被害の救済につながりそうです。

 

 

4 コロナハラスメントへのあてはめ

 

 

さて,冒頭のコロナハラスメントですが,

上司から部下への言動なので①の要素を満たします。

 

 

花粉症でくしゃみをした部下に対しては,症状の確認をして,

対策を講じるようにアドバイスをすべきなのに,

コロナウイルスに感染していると勝手に決めつけて,

会社に来るなと言って排除している点で,②の要素を満たします。

 

 

部下としては,この上司の言動で単なる花粉症なのに

職場に居づらくなるので,③の要素を満たします。

 

 

そのため,パワハラに該当します。

 

 

もっとも,パワハラに該当するからといって,

すぐに損害賠償請求できるわけではなく,

このような言動が継続的になされないと,

損害賠償請求は認められにくいと考えます。

 

 

コロナハラスメントのような悲しいことがなくなることを祈っています。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

パワハラ6類型の1つの過小な要求とはどのようなことなのか

1 すすむパワハラ防止対策

 

 

三菱電機は,社員の過労自殺や精神疾患による

労災認定が相次いだことを受けて,

パワハラ防止策を強化したようです。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200110/k10012241441000.html

 

 

また,人事院は,中央省庁のパワハラ防止対策を強化するために,

人事院規則を見直して,パワハラをすれば

懲戒処分を受ける可能性があると明記する方向になるようです。

 

 

https://www.jinji.go.jp/kenkyukai/pawahara-kentoukai/pawahara-kentoukai.html

 

 

今年の6月から,大企業において,

パワハラ防止措置が義務付けられることから,

民間企業でも中央省庁でもパワハラ対策が進んでいます。

 

 

 

2 過小な要求とは

 

 

さて,パワハラの6累計の中に,

過小な要求というものがあります。

 

 

 過小な要求とは,業務上の合理性なく能力や経験と

かけ離れた程度の低い仕事を命じることや

仕事を与えないことをいいます。

 

 

会社を辞めさせるために,草むしりをさせて

精神的に追い込むような場合です。

 

 

この過小な要求のパワハラについて,

判断された裁判例を紹介します。

 

 

食品会社A社(障害者雇用枠採用社員)事件の

札幌地裁令和元年6月19日判決です(労働判例1209号64頁)。

 

 

この事件では,うつ病で障害等級3級の認定を受けていた労働者が

自殺したことについて,会社が自殺した労働者の要望に応じて

業務量を増加させなかったことが原因であるかが争われました。

 

 

裁判所は,過小な要求の判断基準について,次のように判断しました。

 

 

まず,会社は,労働者の配置や業務の割当について,

業務上の合理性に基づく裁量権を有しています。

 

 

しかし,労働者に労働者に労務提供の意思と能力があるのに,

業務を与えず,または,その地位,能力,経験からして,

これらとかけ離れた程度の低い仕事しかさせない状態を継続させることは,

業務上の合理性があるのでなければ許されません。

 

 

会社には,労働者に業務の指示をするにあたり,

裁量権があるのですが,仕事を与えなかったり,

程度の低い仕事をさせる場合には,業務上の合理性が必要で,

業務上の合理性がなければ,違法なパワハラとなるのです。

 

 

そして,この過小な要求は,労働者に対して,

会社から必要とされていないという無力感を与え,

他の労働者との関係において,劣等感や恥辱感を生じさせる危険性が高く,

労働者に対して心理的負荷を与えることにつながるのです。

 

 

この事件では,被災労働者から,業務量が少ないという

申し出があった後,会社は,速やかに具体的な解決策を

検討して実行に移していたことから,会社には,

注意義務違反は認められませんでした。

 

 

3 うつ病に罹患している労働者に対する会社の注意義務

 

 

また,この事件では,うつ病に罹患している労働者に対する

会社の注意義務について,注目すべき判断をしました。

 

 

 

すなわち,うつ病に罹患している者は,心理的脆弱性が高まっており,

ささいな心理的負荷にも過大に反応する傾向にあることから,会社は,

うつ病に罹患している労働者に対して心理的負荷を与える言動を

しないようにすべき注意義務を負っていると判断されました。

 

 

この事件では,上司の障害者雇用枠を達成するために採用した

という発言は,うつ病を患っている被災労働者に対する

配慮に欠けたものであり,注意義務違反が認められました。

 

 

もっとも,この発言は一回だけでのものであり,

会社は被災労働者の対応を適切にしていたことから,

心理的負荷の状態は継続していないとして,

因果関係が否定され,遺族の損害賠償請求は認められませんでした。

 

 

労災民事訴訟において,うつ病に罹患していた労働者に対する

配慮を考える上で参考になる裁判例です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。