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在職中の労働者が約2ヶ月の短期間で約500万円の未払残業代を回収した解決事例

1 解決事例の紹介

 

 

先日、未払残業代請求事件でうまく解決できたケースがありましたので、

本日は、解決事例を紹介します。

 

 

今年の9月中旬ころに、石川県内のある企業に勤務する

労働者2名の方から、残業代が未払になっている

との法律相談を受けました。

 

 

相談内容としましては、1ヶ月の残業時間が

80時間を超えることが頻繁にあり、

労働基準監督署が調査や指導しているにもかかわらず、

残業代が支払われていないというものです。

 

 

 

1ヶ月の残業時間が80時間を超えると、

過労死ラインを超えるのですが、

幸い、クライアントは、脳心臓疾患や精神疾患を発症していませんでした。

 

 

また、相手方の会社では、

タイムカードで労働時間が管理されており、

クライアントがタイムカードの写しを確保していたので、

労働時間の立証は問題なくでき、タイムカードの打刻漏れがあっても、

パソコンのログデータとメールの送信時刻で補充できました。

 

 

そのため、未払残業代請求は問題なく認められるだろうという

見通しがたちましたが、一つ気がかりなことがありました。

 

2 在職中の未払残業代請求のメリットとデメリット

 

 

それは、クライアントがまだ会社に在職している点です。

 

 

通常、未払残業代請求をするのは、会社を退職して、

会社と後腐れない関係になってからがほとんどです。

 

 

なぜならば、弁護士に依頼して未払残業代を請求することは、

会社にけんかを売るようなものなので、

会社に在職したまま、会社にけんかを売ると、

会社内で有形無形の圧力を受けて、会社に居づらくなり、

会社を退職せざるをえない状況に追い込まれるからです。

 

 

 

そのため、私は、これまでに何件もの

未払残業代請求の事件を担当してきましたが、

会社に在職したまま、クライアントが未払残業代請求をしたのは、

1件だけでした。

 

 

そして、その1件の未払残業代請求事件のクライアントは、

事件が終了した後に、会社を退職しました。

 

 

会社に在職しながら、未払残業代請求をするのは、

かなり強いメンタルをもっていないとできないものです。

 

 

さて、本件事件のクライアントは、強い意思をもって、

会社に対して、未払残業代請求をするという

強靭なメンタルをもっておられました。

 

 

また、未払残業代請求を1人ではなく、2人でしたので、

会社内に仲間がいたので、会社から圧力を受けても、

2人で協力して、はねのけることができました。

 

 

なお、会社から不当な圧力を受けた場合に備えて、

クライアントに対して、会社で働いてる時間帯は、

常時、録音をするようにアドバイスしました。

 

 

他方、会社に在職中に未払残業代請求をする場合には、

メリットもあります。

 

 

それは、証拠を簡単に入手できることです。

 

 

会社で勤務しているので、タイムカードや就業規則のコピーをとったり、

パソコンのログやメールなどの電磁記録を簡単に入手できるのです。

 

 

退職した後に、未払残業代請求をする場合には、まずは、

労働時間を立証するための証拠を確保できるかに頭を悩ませられ、

パソコンのログやメールのデータを入手するために、

証拠保全という裁判手続を実施することもあります。

 

 

また、時効を中断しておけば、在職中も残業が続いていれば、

未払残業代の金額が増え続け、請求できる金額が多くなります。

 

 

さらに、会社が労働基準法に違反して、

違法に残業代の請求を免れようとしている証拠も入手することができ、

これは、在職中でないとできないことでした。

 

 

このように考えますと、会社からの不当な圧力に耐えられる労働者や、

複数人で団結できる場合には、

在職中に未払残業代請求をするのがよいと思います。

 

 

本件事件では、私がクライアントの代理人として、

相手方会社に対して、未払残業代請求をしたところ、

会社は、あっさりとこちらの請求を認めてくれて、

遅延損害金をカットした未払残業代の元金をほぼ満額回収できました。

 

 

クライアントは、給料が割と高く、長時間残業をしていたので、

未払残業代の金額は高く、クライアント1人当たり、

約500万円の未払残業代を回収することができました。

 

 

事件の依頼を受けて、約2ヶ月の短期間で

約500万円の未払残業代を回収できましたので、

クライアントに喜んでいただけました。

 

 

クライアントは、今も、相手方の会社で無事に、

勤務を続けています。

 

 

残業代の未払については、

労働問題に詳しい弁護士にご相談してみてください。

 

 

参考までに当事務所の未払残業代請求のサイトを紹介します。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/service/roudou/zangyou

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

富士そばの未払残業代請求事件から労働時間の適正把握義務を検討します

1 富士そばの未払残業代請求事件

 

 

立ち食いそばチェーンの富士そばを経営する

ダイタングループの労働者16人が

未払残業代など合計約2億4785万円の支払を求める

労働審判の申立てをしました。

 

 

https://www.bengo4.com/c_5/n_11999/

 

 

報道によりますと、富士そばでは

勤務表の改ざんが行われていたようです。

 

 

 

具体的には、土日出勤や8時間を超えた分の勤務を削除し、

1日の労働時間が8時間、1週間の労働時間が40時間

におさまるようにして、土日出勤はなかったように改ざんされたようです。

 

 

また、会社の役員から、タイムカードを押さずに

勤務するよう指示もあったようです。

 

 

このような改ざんをされたのは店長のようです。

 

 

上記のことが真実であれば、ダイタングループは、

労働時間の適正把握義務に違反したことになります。

 

 

本日は、労働時間の適正把握義務について解説します。

 

 

2 労働時間の適正把握義務

 

 

まず、平成29年1月20日、

労働時間の適正な把握のために事業者が講ずべき措置に関するガイドライン

が公表されました。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf

 

 

このガイドラインにおいて、会社は、タイムカードなどで、

労働者の労働時間を適正に把握しなければならない義務

を負っていることが明記されました。

 

 

もっとも、このガイドラインでは、

労働基準法41条2号の管理監督者や、

みなし労働時間制が適用される労働者は、

適用対象から除外されていました。

 

 

次に、平成30年6月29日に労働安全衛生法が改正されて、

労働安全衛生法66条の8の3という条項において、会社は、

労働者の労働時間の状況を把握しなければならないと規定されました。

 

 

労働時間の状況の把握とは、

労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間、

労務を提供し得る状態だったかを、

タイムカード等の客観的な記録で把握するということです。

 

 

この労働安全衛生法の労働時間把握義務の対象となる労働者には、

労働基準法41条2号の管理監督者や、

みなし労働時間制が適用される労働者も含まれることになります。

 

 

そのため、現時点では、管理監督者であっても、

労働時間を適正に把握しなければならないのです。

 

 

 

労働時間を把握するためには、

出社時刻と退社時刻を客観的に正確に記録することが必要でして、

タイムカードや勤務表を後から改ざんすることは、

労働時間の適正把握義務に違反することになります。

 

 

そして、会社が労働時間の適正把握義務に違反した場合、

労働者による労働時間の立証がうまくいかなかったとしても、

裁判所は、推計的な手法を用いて、

未払残業代請求を認めてくれる傾向にあります。

 

 

また、労働基準法41条2号の管理監督者とは、

経営者と一体的な立場にある者であり、

かなり厳格に判断されます。

 

 

そのため、店長だからといって、

労働基準法41条2号の管理監督者と認められるケースは

少ないと考えられます。

 

 

以上、まとめますと、そもそも労働基準法41条2号の

管理監督者に該当する者は少なく、

会社は、労働時間の適正把握義務を負っており、

これに違反した場合には、労働者の労働時間の立証が容易になるのです。

 

 

富士そばの労働審判において、

労働者の未払残業代請求が認められることを期待したいです。

 

 

なお、残業代請求については、

当事務所の次のホームページが参考になります。

 

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

始業時刻前の早出残業は労働時間ではないという会社側の主張に対する効果的な反論とは

1 始業時刻前の早出残業は労働時間ではないのか

 

 

未払残業代請求事件では、会社側から、

始業時刻前の早出残業については、

労働時間とは認められないという主張がされることがあります。

 

 

労働契約書や就業規則で決められた始業時刻よりも前に、

早目に出社した場合には、早目に出社して仕事をしていても

残業とはみなさないという主張です。

 

 

 

終業時刻後の残業については、

労働時間と認められることがほとんどですが、

始業時刻前の残業については、

労働時間と認めないと判断した裁判例もあるので、

会社側は、このような主張をしてくることがあります。

 

 

それでは、始業時刻前の早出残業については、

労働時間と認められないのでしょうか。

 

 

結論としては、事情によっては、

始業時刻前の早出残業についても、

労働時間と認められることはあります。

 

 

2 労働時間の定義と黙示の指示

 

 

まず、労働基準法の労働時間とは、

労働者が会社の指揮命令下に置かれている時間をいいます。

 

 

会社の指揮命令下に置かれているとは、

会社から残業を命じられるという明示の指示がある場合が典型です。

 

 

もっとも、明示の指示以外に、

会社からの黙示の指示に基づく場合でも、

会社の指揮命令下に置かれたことになるのです。

 

 

この黙示の指示については、

労働者が規定と異なる出退勤を行って残業をしており、

そのことを認識している会社が異議を述べていない場合や、

業務量が所定労働時間内に処理できないほど多く、

時間外労働が常態化している場合に認められます。

 

 

3 黙示の指示が認められた裁判例

 

 

具体的な事例でみてみましょう。

 

 

京都銀行事件の大阪高裁平成13年6月28日判決

(労働判例811号5頁)では、

始業時刻は8時35分からになっていたのですが、

8時15分から金庫の開扉の準備作業が行われていたこと、

融得会議などの会議が開催されていたことから、

始業時刻前の8時15分から8時35分までが労働時間と認定されました。

 

 

この事件では、多くの銀行員が8時ころまでに出勤しており、

銀行の業務としては金庫を開きキャビネットを運び出し、

それを各部署が受け取り、業務の準備がなされていたことなどが、

労働時間の認定の際に考慮されました。

 

 

他の労働者の勤務実態や、準備作業と本業との関連性などが、

黙示の指示の判断の際に考慮されるといえそうです。

 

 

 

もう一つ、黙示の指示が認めれた事例として、

東京都多摩教育事務所(超過勤務手当)事件の

東京高裁平成22年7月28日判決

(労働判例1009号14頁)があります。

 

 

この事件では、正規の勤務時間内に完了できない業務を与えられていて、

正規の勤務時間以外の時間や休日に業務を行っていたこと、

時間外勤務が公務の円滑な遂行に必要な行為であったこと、

上司が超過勤務があることを知って容認していたこと、

といった事情が考慮されました。

 

 

決められた勤務時間では終わらない量の仕事を与えられていて、

上司が残業していることを黙認しているような場合には、

黙示の指示が認められやすくなるのです。

 

 

以上まとめますと、始業時刻前の早出残業については、

勤務時間内に処理できないほどの業務量が与えられていたこと、

上司が残業を認識していて異議を述べていないこと、

他の労働者の勤務実態、準備作業が本業と関連していること、

などの事情があれば、黙示の指示に基づく残業として、

労働時間と認定されて、残業代請求が認められることになるのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社から実際の終業時間よりも早くタイムカードを打刻するように指示された場合の対処法

1 実際の終業時間よりも早い時間にタイムカードを打刻せよという業務指示

 

 

未払残業代請求の依頼を受けているクライアントから、

次のような質問を受けました。

 

 

会社に対して、未払残業代を請求したところ、

会社から、今後は、残業をする場合には、

終業時間である17時30分に一旦タイムカードを打刻してから、

残業をするように指示されたのですが、

どうすればよいですか、という質問です。

 

 

この会社の始業時間は8時30分、

終業時間は17時30分、休憩時間1時間で、

1日の所定労働時間が8時間に設定されていましたので、

17時30分にタイムカードを打刻して残業したのでは、

残業をしていたことの証明が困難になります。

 

 

会社は、残業代の支払を免れたいために、労働者に対して、

労働時間を過小に申告するように圧力をかけてくることがよくあるのです。

 

 

このように、会社から、真実の労働時間とは異なり、

所定労働時間でタイムカードを打刻するように指示された場合、

どのように対処すればよいのでしょうか。

 

 

 

結論は簡単で、会社は、違法な指示をしているので、

そのような指示に従う必要はなく、

実際に出社した時刻にタイムカードを打刻し、

実際に退社した時刻にタイムカードを打刻すればいいのです。

 

 

2 労働時間把握義務

 

 

まず、会社は、労働時間を正確に把握する義務を負っています。

 

 

労働安全衛生法66条の8の3で、会社は、

労働者の労働時間の状況を把握しなければならないと規定されています。

 

 

また、厚生労働省が公表している、

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

においても、会社は、労働時間を適正に把握するなど

労働時間を適切に管理する責務を有していると規定されています。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf

 

 

このガイドラインには、会社は、

タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の

客観的な記録を基礎として確認して、

適正に記録することが記載されています。

 

 

タイムカードは、労働者が残業していたかを証明するための

貴重な記録なので、当然、正確に記録させなければ、

会社は、労働時間の適正把握義務に違反することになります。

 

 

そのため、会社が、労働者に対して、

真実の労働時間とは異なる労働時間でタイムカードを打刻するように

指示することは、労働時間の適正把握義務に違反する、

違法な業務指示となるので、労働者は、

違法な業務指示に従う必要はないのです。

 

 

 

このような違法な業務指示に従ってしまうと、

残業していたことを証明することができず、会社に対して、

未払残業代を請求することができなくなりますので、

勇気をもって、きっぱりと、

違法な業務指示を断るようにしてください。

 

 

3 労働時間を記録しよう

 

 

会社がタイムカードの時刻を改ざんするおそれがある場合には、

タイムカードを打刻するごとに、

タイムカードの記録を写真に残しておくのがいいです。

 

 

また、どうしても、タイムカードを実際の終業時間よりも

早く打刻するようにという、会社からの指示に

従わなければならない状況に追い込まれたときには、

会社からの指示を録音や記録しておき、かつ、

自分で正確な労働時間を記録するようにしてください。

 

 

自分で労働時間を記録するときにおすすめなのが、

残業証拠レコーダー」(通称残レコ)というアプリです。

 

 

https://zanreko.com/

 

 

GPS機能を利用して、

自動で残業時間の証拠を確保することができる便利なツールです。

 

 

会社から、実際の労働時間とは異なる労働時間を記録するように

指示されたとしても、きっぱりと断ることが重要です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

職務手当が固定残業代の対価性の要件を満たさず無効とされた事件

1 未払残業代請求事件で固定残業代が争点になる理由

 

 

未払残業代請求事件では、会社がある手当を支払っていて、

その手当が残業代になるので、

未払の残業代はないと反論してくることがよくあります。

 

 

ある手当が定額の残業代として支払われていることを

固定残業代といいます。

 

 

 

残業代の計算は、時間単価×残業時間×割増率で計算されます。

 

 

時間単価は、基礎賃金÷月平均所定労働時間で計算されます。

 

 

この基礎賃金には、基本給や皆勤手当などが含まれるのですが、

固定残業代である手当も含まれるかが争点になります。

 

 

固定残業代である手当が残業代の支払として無効となれば、

固定残業代である手当が基礎賃金に含まれるので、

時間単価の金額が多くなり、結果として、残業代の金額も多くなります。

 

 

また、固定残業代である手当が残業代の支払として無効となれば、

会社は、一円も残業代を支払っていなかったことになりますので、

固定残業代として支払っていた手当とは別に

残業代を支払わなければならなくなります。

 

 

このように、固定残業代が有効になるか否かによって、

請求できる未払残業代の金額が大きく変わるので、

会社は、固定残業代について、激しく抵抗してくるのです。

 

 

2 固定残業代の対価性の要件

 

 

この固定残業代について、

労働者に有利に使える裁判例をみつけましたので紹介します。

 

 

サン・サービス事件の名古屋高裁令和2年2月27日判決です

(労働判例1224号42頁)。

 

 

この事件では、ホテルで働く調理師である原告が、

被告の会社に対して未払残業代を請求しました。

 

 

原告は被告から、深夜・残業手当とみなす職務手当13万円

の支給を受けていたところ、

この職務手当が固定残業代として有効かが争われました。

 

 

固定残業代が有効となるための要件として、

固定残業代とされている手当が、

時間外労働に対する対価として支払われるもの

とされていなければならないという、対価性の要件があります。

 

 

この対価性の要件を満たしているかについては、

日本ケミカル事件の平成30年7月19日最高裁判決において、

労働契約書の記載内容、

会社の労働者に対する当該手当や割増賃金の説明内容、

労働者の実際の労働時間などの勤務状況など

を考慮して判断することが明らかになりました。

 

 

本件事件では、以下の事実から、

職務手当は時間外労働の対価としては認められないと判断されました。

 

 

会社は、勤務時間管理を適切に行っていなかったこと。

 

 

職務手当は80時間の残業代に相当するのですが、

原告は、毎月120時間を超える時間外労働をしており、

実際の時間外労働と大きく乖離していること。

 

 

 

被告会社では36協定が締結されておらず、

時間外労働を命ずる根拠を欠いていること。

 

 

職務手当は、対価性の要件を満たさず、

固定残業代として無効となるので、

職務手当は基礎賃金に含まれることになりました。

 

 

被告会社は、36協定を締結していなかったので、

適法な時間外労働が観念できないことになるので、

職務手当を時間外労働の対価とするには無理があります。

 

 

職務手当が80時間の残業代に相当するとされていたのですが、

過労死ラインに設定されており、この点で無効になるとも考えられます。

 

 

3 通勤手当は基礎賃金に含まれるのか

 

 

また、この事件では、通勤手当が基礎賃金に含まれると判断されました。

 

 

通勤手当は、労働基準法37条5条において、

基礎賃金に含まれないと規定されているのですが、

ここで言う通勤手当とは、

労働者の通勤距離又は通勤に要する実際費用に応じて

算定される手当をいいます。

 

 

労働基準法37条5項の通勤手当は、

原則として実際距離に応じて算定されるものをいい、

一定額まで距離にかかわらず一律に支給する場合には、

実際の通勤距離や通勤に要する実際費用に

応じて定められたものとはいえず、

労働基準法37条5項の通勤手当に該当しないこととなり、

残業代を計算するにあたっての基礎賃金に含まれることになります。

 

 

通勤手当という名目にとらわれることなく、

実質的に検討する必要があるのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社に対する未払残業代請求事件で会社から損害賠償請求の反訴をされたものの400万円を回収した事例

1 暴行のパワハラ事件から始まった

 

 

本日は、未払残業代請求事件で、

400万円を回収した解決事例を紹介します。

 

 

クライアントは、建築会社に勤務していたところ、

社長から外壁材のサンプルで頭部を殴られて、負傷しました。

 

 

 

クライアントは、この暴行事件で、社長に対する恐怖心が強くなり、

会社を退職して、私のところへご相談にこられました。

 

 

クライアントの話を聞いていますと、社長は、

暴行事件以外にも普段から、パワハラを繰り返していたようですが、

パワハラを立証するための録音などの証拠はありませんでした。

 

 

他方で、クライアントは、長時間労働をしているのに、

残業代が支払われていないということがわかりました。

 

 

そこで、暴行事件について、治療費や慰謝料の損害賠償請求をして、

あわせて、未払残業代を請求することにしました。

 

 

このように、パワハラの実態のある会社は、高い確率で、

残業代が未払いとなっていることが多いので、

私は、パワハラの法律相談を受けた際には、

残業代の未払いがないかを確認しています。

 

 

2 タイムカードがなくてもパソコンのログデータで労働時間を立証する

 

 

この事件では、タイムカードで労働時間の管理は

されていなかったのですが、幸いなことに、

クライアントが会社で使っていたパソコンのログデータが

1年半ほど保存されており、それを入手することができたので、

労働時間を証明することができました。

 

 

暴行事件については、相手方の会社も非を認め、

早期に示談が成立しましたが、未払残業代請求については、

激しく抵抗してきましたので、労働審判を申し立てました。

 

 

相手方の会社は、パソコンのログデータでは、

労働時間を認定できないと主張してきました。

 

 

しかし、会社は、タイムカードなどで

労働時間を管理しなければならない義務を怠っていたので、

パソコンのログデータをもとに、

クライアントが手帳に時間をメモしていた記録で補正して、

労働時間を立証しました。

 

 

 

また、6ヶ月ほどパソコンのログデータが残っていなかったのですが、

会社が労働時間把握義務を怠っている場合には、

ある程度概括的に労働時間を推認できるとして、

パソコンのログデータが残っている期間の平均の残業時間で、

パソコンのログデータが残っていない期間の残業代を計算しました。

 

 

3 固定残業代の対価性の要件

 

 

相手方の会社では、給料明細書上は、

所定時間外賃金という名目で毎月4万円が支給されており、

相手方の会社は、この所定時間外賃金は固定残業代であるとして、

残業代は支払済みと主張しました。

 

 

しかし、相手方の会社は、就業規則もなく、

労働契約書もないので、クライアントは、

所定時間外賃金が何時間分の残業に対して支払われているのかという

説明を受けていませんでした。

 

 

そのため、所定時間外賃金という名目で、

給料明細書上では基本給と分けられて支給されていましたが、

所定時間外賃金は、残業に対する対価として

支払われているとはいえませんでした。

 

 

よって、所定時間外賃金は、残業代の支払として認められないので、

相手方の会社は、クライアントに対して

残業代をこれまで支払っていないことになります。

 

4 会社からの損害賠償請求

 

 

他にも、相手方の会社は、クライアントが

仕事上のミスを繰り返したことを理由に、

損害賠償請求をしてきました。

 

 

しかし、労働者のミスは、もともと会社経営に内在化しており、

会社が決定した業務命令自体に内在するリスクとして、

会社が負担すべき側面があることから、

損害の公平な分担という見地から、

労働者のミスを理由とする、会社の労働者に対する損害賠償請求は、

信義則上相当な限度に制限されます。

 

 

そのため、労働者のミスが重過失と評価できる場合には、

会社の損害賠償請求が一定の範囲で認められ、

労働者のミスが軽過失と評価される場合には、

会社の損害賠償請求が認められません。

 

 

そこで、そもそもクライアントにはミスはない、または、

ミスがあったとしても軽過失であるとして、

会社からの損害賠償請求を争いました。

 

 

労働審判では決着がつかず、訴訟に移行しましたが、

相手方の会社から、400万円の解決金を支払ってもらうことで

和解が成立しました。

 

 

パワハラ事件では、未払残業代請求を組み合わせることで、

労働者が満足する結果に結びつくことがあります。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

ワタミの残業代未払い問題は管理監督者が原因か?会社から管理監督者と言われても未払残業代請求をあきらめない

1 ワタミの残業代未払い問題

 

 

先日のブログで、ワタミの175時間の時間外労働についての、

労災認定の解説をしました。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/rousai/202010079712.html

 

 

本日は、ワタミの残業代未払いの問題をもとに、

残業代請求の解説をします。

 

 

報道によりますと、弁当宅配事業のワタミの宅食の

女性営業所長に対する残業代が未払いであったとして、

高崎労働基準監督署がワタミに対して、是正勧告をしたとのことです。

 

 

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4093105.html

 

 

175時間の時間外労働をしていたのに、

残業代が未払いであったことに、

多くの方は、疑問を抱くと思いますが、

未払残業代請求事件ではよくあることです。

 

 

 

2 労働基準法41条2号の管理監督者とは

 

 

労働基準法41条2号の管理監督者に該当すれば、

残業代を支払わなくてよいことになっているので、

経営者が、労働基準法41条2号の適用を誤り、

営業所長などのように立場が上の労働者に対しては、

役職手当などが定額で支払われていて、

それ以外に残業代を支払わなくてよい

取扱にしていることがよくあります。

 

 

しかし、労働基準法41条2号の管理監督者に該当する労働者は、

ほとんどおらず、多くの会社では、違法に適用されていて、

労働基準法41条2号の管理監督者ではない労働者も、

管理監督者であるとして、違法に残業代が未払いとなっているのです。

 

 

管理監督者ではない労働者に対して、

残業代を支払わないことは違法なので、

労働者が、会社に対して、未払残業代を請求すれば、

会社は、未払残業代を支払わなければならないのです。

 

 

それでは、どのような労働者であれば、

労働基準法41条2号の管理監督者といえるのでしょうか。

 

 

3 管理監督者の判断要素

 

 

労働基準法41条2号の管理監督者に該当するかを判断する際には、

以下の3つの要素を総合考慮します。

 

 

①事業主の経営上の決定に参画し、

労務管理上の決定権限を有していること(経営者との一体性)

 

 

②自己の労働時間についての裁量を有していること(労働時間の裁量)

 

 

③管理監督者にふさわしい賃金等の待遇を得ていること

 

 

①については、当該労働者が会社の経営に関する

決定過程に関与しているか、採用や人事考課などの

人事権限が与えられているか、

現場作業にどれくらい従事していたかが検討されます。

 

 

②については、タイムカード等によって

出退勤の管理がされていたかが検討されます。

 

 

今回のワタミのケースにあてはめますと、

①この営業所長は、ワタミの経営には関与しておらず、

配達員の業務管理以外にも、配達の仕事を多く担当していたことから、

経営者との一体性は認められません。

 

 

 

②この営業所長は、配達員が急に仕事を休んだ時に

代役で配達をすることが多く、休みがとれないことが多かったので、

労働時間の裁量はなかったといえます。

 

 

③この営業所長の月額の賃金は26万円と低額であり、

管理監督者にふさわしい賃金とはいえません。

 

 

よって、この営業所長は、管理監督者ではないので、

ワタミに対して、未払残業代を請求できることになります。

 

 

4 労働時間の適正把握義務

 

 

もう一つ、報道によりますと、この営業所長は、

休日に勤務したはずなのに、エリアマネージャーから、

休日勤務の記録を削除されたようです。

 

 

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき

措置に関するガイドライン」には、会社は、

労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する義務

を負うことが規定されています。

 

 

そのため、会社は、労働者の労働時間を正確に記録しなければならず、

当たり前ですが、勤怠記録を改ざんすることはあってはならないことです。

 

 

ワタミのような大手企業でも、いまだに、

残業代が未払いなどの労働基準法違反がありますので、

地方の中小企業でも、残業代の未払いが多いのが現実です。

 

 

私の経験上、残業代が未払いの会社に対して、

未払残業代を請求すれば認められることが多いので、

未払残業代の請求を思い立った場合には、

弁護士に相談するようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社から未払残業代を回収できない場合には社長等の役員に対して損害賠償請求することを検討する

1 会社から未払残業代を回収できないことがあります

 

 

未払残業代請求事件では、裁判をして、

会社に対していくらかの残業代を支払えという、

勝訴判決をもらっても、会社が任意に残業代を支払わないことがあります。

 

 

会社が任意に残業代を支払わない場合、

会社の財産を調査して、預金などの財産がみつかれば、

預金を差し押さえたりして、未払残業代を回収します。

 

 

 

もっとも、会社の預金の差し押さえをしても、

会社に預金がなければ、差し押さえは空振りに終わってしまい、

未払残業代を回収できません。

 

 

また、悪質な会社であれば、財産を隠してしまい、

財産を調査しても、差し押さえるべき財産がみつからないこともあります。

 

 

そうなると、せっかく裁判で勝訴しても、

未払残業代を回収できなくなるという残念な結果になってしまいます。

 

 

2 役員等の第三者に対する損害賠償責任

 

 

このように、会社から未払残業代を回収できないときには、

会社の代表取締役などの役員に対して、損害賠償請求をして、

実質的に未払残業代を回収する方法を検討します。

 

 

会社が未払残業代を支払わないなら、

代表取締役などの役員に代わりに未払残業代を支払ってもらうわけです。

 

 

このときに利用するのが、会社法429条1項の

役員等の第三者に対する損害賠償責任という法律構成です。

 

 

 

役員等の第三者に対する損害賠償責任の趣旨は、

株式会社が経済社会において重要な地位を占めており、

株式会社の活動は、役員等の職務執行に依存していることから、

役員等に法律で定めた特別の責任を課して、

第三者の保護を図ることにあります。

 

 

この第三者には、会社の労働者も含まれます。

 

 

役員等の第三者に対する損害賠償責任が認められるためには、

①役員等が会社に対する任務を懈怠したこと、

②当該任務懈怠について、役員等に悪意または重過失があること、

③第三者に損害が生じたこと、

④損害と任務懈怠との間に相当因果関係があること、

という要件を満たす必要があります。

 

 

3 任務懈怠とは

 

①の任務懈怠とは、役員等が会社の管理・運営を適正に行うことを

確保するために課せられている善管注意義務

(会社法330条、民法644条)や

法令遵守義務(会社法355条)に違反することです。

 

 

善管注意義務とは、役員等は、会社との間で委任関係に立つので、

善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務のことを言います。

 

 

ここで、会社が労働者に対して未払残業代を支払わないことが、

役員等の会社に対する任務懈怠に該当するかが問題となります。

 

 

まず、時間外労働に対して残業代を支払うことは、

労働基準法37条で定められた、

会社の労働者に対する基本的な法的義務であり、

会社がこれに違反した場合には、会社は、

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処せられます

(労働基準法119条1号)。

 

 

そのため、会社の役員等は、会社に対する善管注意義務として、

会社に労働基準法37条を遵守させて、

労働者に対して残業代を支払わせる義務を負っているのです。

 

 

そして、会社が労働者に対して意図的に残業代を支払わない

という事態は、既にそれ自体として、善管注意義務に違反しており、

任務懈怠となります。

 

 

この点については、昭和観光(代表取締役ら割増賃金支払義務)事件の

大阪地裁平成21年1月15日判決(労働判例979号16頁)と、

ブライダル関連会社元経営者ら事件の鳥取地裁平成28年2月19日判決

(労働判例1147号83頁)の裁判例が参考になります。

 

 

次に、②役員等は、残業代を未払であることを認識しているので、

悪意または重過失が認められ、

③労働者に未払残業代が支払われていないという損害が発生しており、

④役員等の任務懈怠と損害の発生との間に

相当因果関係があることになります。

 

 

その結果、労働者は、役員等に対して、

未払残業代相当の損害賠償請求ができることになります。

 

 

会社に財産がなくても、代表取締役などの役員等が財産を持っていれば、

役員等の財産から未払残業代を回収することができるのです。

 

 

回収の場面では、あらゆる方法を考えて実践することが重要になります。

 

 

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会社から休憩時間と言われていても労働時間に該当する場合とは

1 休憩時間とは

 

 

現在、私が担当している未払残業代請求事件において、

休憩時間があったかなかったかが争点となっています。

 

 

会社の就業規則には、お昼の12時から13時の60分が

休憩時間であると規定されていますが、クライアントの主張では、

人手が足りず、昼ご飯を食べながら仕事をしており、

昼にまともな休憩をとったことがないとのことです。

 

 

それでは、どのような場合に、休憩時間があったといえるのでしょうか。

 

 

結論から言うと、休憩時間とは、

労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間をいい、

労働者が会社からの指揮命令を受けており、

労働からの解放が保障されていない場合には、

休憩時間ではなく、労働時間となるのです。

 

 

 

例えば、現実には具体的な作業をしているわけではないのですが、

会社からの指示があれば、直ちに作業にとりかかることができる

態勢で待機している、手待時間については、

労働からの解放が保障されていないので、

休憩時間ではなく、労働時間に該当します。

 

 

2 休憩時間が労働時間と認定された事例

 

 

具体的な事例で検討してみましょう。

 

 

3交代制で24時間営業のガソリンスタンドで勤務していた労働者が、

休憩を現実にとることができず、休憩時間は手待時間であるとして、

残業代請求をした、クアトロ事件の東京地裁平成17年11月11日判決

(労働判例908号37頁)を検討します。

 

 

この事件では、3交代制の勤務において、各勤務の勤務者は

始業時と終業時の各1時間の重なりを除いて、原則として1人でした。

 

 

会社からは、1時間ごとに10分の休憩を取るように

言われていましたが、休憩していたときに、客が来た場合には、

業務を優先するように指示がされていました。

 

 

ガソリンスタンドは、危険物取扱施設であることから、

休憩とされている時間中もガソリンスタンドの敷地から

出ることが許されず、原則として1人体制なので、

持ち場を離れることができず、食事やトイレにも不便をきたしていました。

 

 

 

これらの事実関係からすると、

休息のために労働から完全に解放されることが保障されていないとして、

休憩時間ではなく、手待時間に該当するので、

会社が主張していた休憩時間は全て労働時間とされました。

 

 

休憩時間とされていた時間が労働時間と認定されれば、

9時に出勤して、18時に退勤して、

12時から13時が昼休憩の8時間労働の場合、

12時から13時の昼休憩が労働時間になる結果、

9時間労働となり、1時間の残業時間が発生するので、

この1時間分について、残業代を請求できることになります。

 

 

休憩時間と言われていても、

電話対応や来客対応をしている場合には、

労働からの解放が保障されておらず、労働時間に該当して、

その分の賃金を請求できるわけです。

 

 

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固定給と歩合給とでは残業代の計算が異なる

1 固定給と歩合給

 

 

トラック運転手やタクシー運転手の場合、

歩合給制が取り入れられていることがあります。

 

 

歩合給とは、売上や成績によって

給料の金額が変動する給料のことをいいます。

 

 

売上がよけれは、給料も上がっていいのですが、

売上が低ければ、給料も低くなり、

生活ができなくなるというリスクもあります。

 

 

 

これに対して、固定給の月給制の給料は、

一定時間働けば、一定の給料が毎月支給されるものです。

 

 

固定給の月給制と歩合給とでは、残業代の計算が異なります。

 

 

2 固定給の残業代の計算

 

 

固定給の月給制の場合、毎月の賃金を

1ヶ月の所定労働時間(契約で決められた勤務時間)で割って、

1時間あたりの単価を計算し、1時間あたりの単価に、

1ヶ月の残業時間と割増率(1.25)をかけて、残業代を計算します。

 

 

例えば、固定給30万円の労働者が、

1ヶ月の所定労働時間は170時間、残業時間30時間、

総労働時間200時間、働いたとすると、

残業代は次のように計算されます。

 

 

(30万円÷170時間)×30時間×1.25=66,188円

 

 

3 歩合給の残業代の計算

 

 

他方、歩合給の場合、歩合給の総額を、

賃金算定期間における総労働時間で割って、

1時間あたりの単価を計算し、1時間あたりの単価に、

1ヶ月の残業時間と割増率(0.25)をかけて、残業代を計算します。

 

 

先ほどのケースで検討すると、残業代は次のように計算されます。

 

 

(30万円÷200時間)×30時間×0.25=11,250円

 

 

1時間あたりの単価を計算する時に、

1ヶ月の所定労働時間ではなく、1ヶ月の総労働時間で計算するので、

歩合給の場合、固定給に比べて、1時間あたりの単価が低くなります。

 

 

また、歩合給の場合、残業時間に対する時間当たりの賃金、

つまり、1.0の部分については、既に支払われているとされるので、

割増率は0.25となるので、残業代は、

固定給と比べて、低くなるのです。

 

 

このように、固定給の月給制と歩合給とでは、

残業代の金額が大きく異なってくるのです。

 

 

4 歩合給か固定給の月給制のどちらが適用されるかが争われた事件

 

 

それでは、就業規則には、固定給の月給制で規定されているのに、

会社から歩合給を適用された場合、労働者が残業代を請求する際に、

固定給と歩合給のどちらをベースに残業代を計算すべきなのでしょうか。

 

 

この点が争われたコーダ・ジャパン事件の

東京高裁平成31年3月14日判決(労働判例1218号49頁)

を紹介します。

 

 

この事件では、就業規則に歩合給についての定めはなく、

歩合給について定めた労働契約書もなかったのですが、

歩合給が適用されていました。

 

 

 

裁判所は、就業規則と異なる労働条件を内容とすることは、

就業規則に定められた労働条件の変更にあたるといえるので、

以下の事情を考慮する必要があるとしました。

 

 

①当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度

 

 

②労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様

 

 

③当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容

 

 

そして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと

認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否か

という観点から判断されるのです。

 

 

本件事件では、会社から、残業代についての説明はなく、

就業規則の月給制で賃金が支給される場合との比較について説明がなく、

歩合給による不利益の内容及び程度について

十分な情報提供や説明がなかっとして、原告の労働者が、

自由な意思に基づいて、歩合給を受け入れたと認めるに足りる

合理的な理由が客観的に存在しないと判断されました。

 

 

結果として、就業規則の月給制で残業代が計算され、

1364万円もの未払残業代請求が認められました。

 

 

固定給の月給制と歩合給とでは、残業代が大きく異なりますので、

就業規則や労働契約書をチェックして、

どちらが適用されるのかを吟味する必要があります。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。