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アルバイトの労働条件を確かめよう!キャンペーン

4月は入学式のシーズンです。

 

 

 

フェイスブックのタイムラインを見ていると,

多くの方々がお子様の入学式や入園式の写真をアップしており,

とても微笑ましく,お子様のますますの成長が楽しみになりますね。

 

 

高校生から大学生になると,

アルバイトを始める学生が多いと思います。

 

 

ただ,最近は,学生が学生らしい生活を送れなくなるくらい,

正社員並に働かされて,かつ,労働基準法を守っていない

ブラックバイトが横行しているので,

この4月からアルバイトを始める学生は,

ブラックバイトをしないように気をつけてもらいたいです。

 

 

ブラックバイトの被害を防止しようとして,

厚生労働省が4月1日から7月31日まで

アルバイトの労働条件を確かめよう!

キャンペーンを開始しましたので,本日は,

このキャンペーンを多くの人に知ってもらいたく,

アルバイトの労働問題について解説します。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04047.html

 

 

こちらのチラシには,アルバイトのトラブルの

典型事例が記載されています。

 

 

 

 

まずは,「学校のテストがある日もシフトを入れられてしまいます」

というトラブルです。

 

 

学生は学業が本業なのですが,使用者が勝手にシフト表を作成して,

正社員と同じくらい出勤しなければならなくなり,

大学の試験があるのに,アルバイトに行かなければならず,

試験を受けられずに単位がとれないという問題が生じます。

 

 

しかし,アルバイトの同意なく,使用者がシフト表を

勝手に作成することは,労働契約法に違反しています。

 

 

勤務日や休日,始業時刻や終業時刻といった労働条件を決めるには,

労働者と使用者が「対等の立場」で合意する必要があり

(労働契約法3条1項),労働条件を変更するには,

労働者と使用者の合意が必要になります(労働契約法8条)。

 

 

そのため,使用者は,一方的にシフトを決めることができず,

一方的にシフトを変更することもできないのです。

 

 

使用者には,学生のアルバイトのシフト表を作成する際に,

大学での勉強や試験に支障がないように配慮してもらいたいものです。

 

 

次に,「売れ残った商品を買い取れって言われます」というトラブルです。

 

 

コンビニなどでは,2月の恵方巻きや12月のクリスマスケーキを

自腹で買い取るように押し付けてくることがあるようです。

 

 

しかし,アルバイトには,売れ残った商品を買い取る義務はないので,

買いたくなかったら,きっぱりと断るようにしてください。

 

 

売買契約は,売りますと買いますという意思表示が合致しない限り,

成立しないので,買い手が買うと言わなければ,

売買契約は成立しないのです。

 

 

売れ残った商品を買わないといけない雰囲気があるかもしれませんが,

このような自腹買取をしたくないのであれば,

明確にNOと言うしかないのです。

 

 

 

 

また,アルバイトが売れ残った商品を買ったとしても,

その代金を給料から天引きすることは,

労働基準法24条1項の賃金全額払の原則に違反して,無効となります。

 

 

このようなアルバイトのトラブルから自分の身を守るために,

厚生労働省は,7つのポイントをまとめています。

 

 

 

 

①アルバイトを始める前に,労働条件を確認しましょう

 

②バイト代は,毎月,決められた日に,全額払いが原則

 

③アルバイトでも,残業手当があります

 

④アルバイトでも,条件を満たせば,有給休暇が取れます

 

⑤アルバイトでも,仕事中のけがは労災保険が使えます

 

⑥アルバイトでも,会社都合の自由な解雇はできません

 

⑦困ったときは,総合労働相談コーナーに相談を

 

 

この4月からアルバイトを始める学生に知っておいてほしいことが

端的にまとまっていますので,紹介させていただきました。

 

 

学生が労働法を学んで,ブラックバイトの被害が

撲滅されることを願っています。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

ワークルール教育

昨日,金沢大学法学部の法実務入門

という講義の1コマ90分の時間で,

大学1年生に対して,労働法の講義をしてきました。

 

 

 

 

ブラックバイトとブラック企業の実態から,

労働法の知識を身につけてもらいたいと考えて,講義をしました。

 

 

今からさかのぼること10年前,

2008年のリーマンショックによって景気は一気に冷え切り,

派遣切りが横行して,多くの労働者の仕事が奪われました。

 

 

そして,2008年の年末にショッキングな映像が流れました。

 

 

年越し派遣村です。

 

 

派遣切りにあった多くの労働者が,若者も含めて,

日比谷公園の炊き出しに行列を作っていたのです。

 

 

http://www.asahi.com/special/08016/TKY200812310157.htmlより抜粋)

 

あの映像を見た多くの若者はこう思ったに違いありません。

 

 

派遣社員になったらだめや,正社員にならなきゃ。

 

 

このように,年越し派遣村の映像を見て,

若者たちやその親も,正社員になることを強く望んだのです。

 

 

しかし,リーマンショックで景気は冷え込んでいましたので,

企業はなかなか正社員を雇用したがらず,

調整弁としての非正規雇用労働者を増やしていきました。

 

 

そのため,若者たちは,少ない正社員のいすを

奪い合うことになりました。

 

 

ここに目をつけたのがブラック企業です。

 

 

ブラック企業は,正社員という甘い罠をしかけて,

詐欺的な求人を見て応募してきた若者を大量に雇用します。

 

 

 

 

ブラック企業に就職すると,正社員とは名ばかりで,

昇給も賞与も退職金もなく,残業代なしで長時間労働を強いられます。

 

 

ブラック企業は,使えないと判断した労働者に対して,

意図的に組織的にパワハラを行い,

労働者を精神障害に罹患させて,

自己都合退職に追い込みます。

 

 

会社は,労働者を簡単には解雇できないので,

労働者から自己都合退職させれば,

労働者は会社を辞めることを争えなくなるので,

ブラック企業は,労働者を自己都合退職に追い込むために,

パワハラをしてくるのです。

 

 

ブラック企業に使えると判断された労働者は,

その後も長時間労働が継続し,

いずれは精神を病んでしまうのです。

 

 

まさに,辞めるも地獄,辞めないも地獄なのです。

 

 

こうして,使い潰される若者が増加し,

ブラック企業は,社会問題となったのです。

 

 

若者がブラック企業のえじきにならないためには,

労働法の知識を身に着けて自分の身を自分で守るしかありません。

 

 

 

 

そのため,高校生や大学生が社会に出る前に,

ワークルールを勉強してもらう必要があると考えています。

 

 

昨日の講義では,大学生に対して,次のことを伝えました。

 

 

仕事でミスをしたことが原因で会社から

罰金として給料を減額されることは,

労働基準法24条1項の賃金全額払の原則に違反して無効です。

 

 

パワハラを受けたら,ボイスレコーダーなどで録音して証拠に残し

しんどいときには,有給休暇をとって休みましょう。

 

 

新人でも6ヶ月継続勤務し,8割以上出勤すれば

10日間の有給休暇が取得できます。

 

 

1日8時間を超えて労働すると残業代を請求できるので,

自分の労働時間を記録しましょう。

 

 

サービス残業は労働基準法37条違反なので,

自分の残業代がきちんと支払われているかチェックしましょう。

 

 

働き過ぎると,人は精神を害するか,

過労死するので,しっかり休みましょう。

 

 

会社から,辞めてほしいと退職勧奨をされても,

労働者には退職勧奨に応じる義務がないので,

辞めたくないのであれば,きっぱりと断るようにしましょう。

 

 

受講していた大学生は,ほとんどアルバイトをしていたので,

残業代の話しなどには真剣に耳を傾けてくれていました。

 

 

 

若者が就職する前に,ワークルールをしっかりと学び,

会社からの理不尽な扱いに屈することなく,

権利を主張する力を身につけてもらいたいと願っています。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

日大アメフト部事件からブラック企業を考える

連日,日大アメフト部の悪質タックルの報道をみていて,

日大アメフト部では,ブラック企業と同じことが行われたのだなと感じました。

 

 

 

 

悪質タックルをした選手は,

実戦練習からはずされており,コーチから,

相手を1プレー目で潰せば試合にだしてやるぞ

と言われたようです。

 

 

部活動をする選手にとって,

レギュラーとして試合で活躍するのが,

重要な自己実現になります。

 

 

しかし,選手には,試合にでれるか否かの決定権はありません。

試合に誰を出場させるかを決めるのは監督やコーチです。

 

 

選手が試合に出るためには,

監督やコーチの言うことに従うしかないのです。

 

 

上下関係が厳しく,

しごきが日常となっているような

閉鎖された部活動では,

監督やコーチが絶対的な権力者として君臨して,

下の選手たちは,監督やコーチに逆らうことができない

支配構造が確立されていると考えられます。

 

 

このような支配構造にいると,

選手は,監督やコーチに洗脳されて,

正常な判断ができなくなります。

 

 

だからこそ,日大アメフト部の選手は,

監督やコーチに追い込まれて,逆らうことができずに,

悪質タックルをせざるをえなかったのでしょう。

 

 

日大アメフト部の支配構造は,ブラック企業とよくにています

 

 

ブラック企業は,上司への絶対服従を求め,

指導と称して,不要な暴力や過剰な叱責が日常的に行われて,

いらなくなった労働者を辞めさせるために,戦略的なパワハラが行われます。

 

 

 

 

労働者が自分から辞めていけば,解雇ではないため,

あとから裁判で争う場合,パワハラの証拠がなければ,

損害賠償請求が困難になります。

 

 

解雇の場合は,

労働基準法で厳しい規制があるので,

労働者に有利になります。

 

 

ブラック企業は,解雇による法的紛争のリスク

を回避するために,戦略的にパワハラを行い,

労働者が自分から辞めていく状況に追い込むのです。

 

 

社会経験が浅い若者は,

社会は厳しいと聞いて育ったので,

会社とはこういうものだと思ってしまうと,

ブラック企業に洗脳されて,

パワハラをされても抵抗せず,

どんどん精神的に追い込まれて,

やがてうつ病を発症してしまいます。

 

 

ブラック企業では,

社長や上司の命令は絶対で,

労働者は,パワハラを受けて,

使い潰されていくのです。

 

 

私は,日大アメフト部の事件をみていて,

若者がブラック企業で使い潰されてしまうのは,

学生時代の部活動で,ブラック企業のような支配構造

に順応しているからではないかと思いました。

 

 

部活動がブラックだから,

若者は,ブラック企業へ就職しても,

違和感を覚えることなく,

自然にブラック企業の支配構造に組み入れられてしまう。

 

 

ブラック企業を根絶するためには,

ブラックな部活動を改善する必要があります。

 

 

部活動では,選手を支配するのではなく,

個人として尊重し,

選手が自己成長できる場である必要があります。

 

 

日大アメフト部の事件を契機に,

ブラックな部活動が改善されて,

おかしいことにはおかしいと言える若者

が増えていって欲しいと思います。