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複数の職場で働く労働者の労災について複数の職場の給付基礎日額が合算され、労働時間も通算されます

1 複数の職場で働く労働者の労災における給付基礎日額の合算

 

 

昨日のブログでは、今年9月に公表された

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」において、

副業の労働時間が長すぎて本業に支障がでたり、

副業の勤務先が本業と競業するライバル会社であったり、

といった場合以外には、原則として副業が認められることを記載しました。

 

 

この副業の原則解禁にあわせて、労災保険の分野においても

重要な改正がなされましたので、本日は、

複数の職場で働く労働者の労災保険給付について解説します。

 

 

 

まず、雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)

において、労災保険における給付を計算する際に用いる

給付基礎日額については、複数事業で働く労働者を使用している事業

ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を

合算した額を基礎とすることになりました。

 

 

給付基礎日額とは、労災事故が発生した日の直前3ヶ月間の

賃金の総支給額を日割り計算したものをいいます。

 

 

労災事故にあい、治療のために会社を休んでいる期間に

支給される休業補償給付や、

労災事故による負傷のために後遺障害が残った場合に

支給される障害補償給付については、

給付基礎日額をもとに支給額が計算されるのです。

 

 

今回の改正では、給付基礎日額を計算するにあたり、

複数の職場における給付基礎日額が合算されることになりましたので、

給付基礎日額の金額が増加することになりますので、

労災事故にあった労働者に支給される

労災保険からの給付が増加することになります。

 

 

この改正は労働者にとって有利です。

 

 

今後は、複数の職場で働いている労働者が労災事故にあった場合には、

労働基準監督署に対して、複数の職場で働いていることを申告して、

複数の職場における給付基礎日額を合算して

計算してもらうようにしてください。

 

 

2 精神障害の労災認定基準において複数の職場における労働時間が通算されます

 

 

次に、今年の8月21日に、精神障害の労災認定基準である

「心理的負荷による精神障害の認定基準について」が改正され、

複数の職場における心理的負荷の強度について、

労働者に有利に改正されました。

 

 

仕事が原因でうつ病を発症して労災申請をする場合、

労働者が体験した出来事の心理的負荷が「強」と判断されれば、

労災と認定されます。

 

 

例えば、1ヶ月に100時間を超える時間外労働をして、

上司から厳しい叱責を受けた場合、総合評価の結果、

心理的負荷は「強」と認定されます。

 

 

精神障害の労災認定基準では、

1ヶ月100時間を超える時間外労働が認められれば、

労災と認定されやすくなります。

 

 

この1ヶ月100時間の時間外労働を判断するにあたり、

異なる事業における労働時間や労働日数は通算することが、

精神障害の労災認定基準に明記されました。

 

 

 

例えば、A社で1ヶ月70時間の時間外労働を行い、

B社で1ヶ月30時間の時間外労働を行った場合、

A社とB社の労働時間が通算されるので、

時間外労働は合計100時間となり、

労災認定されやすくなります。

 

 

今後、長時間労働が原因で、精神障害を発症した場合、

複数の職場で働いていたのであれば、労働基準監督署に対して、

複数の職場の労働時間を調査するようにはたらきかけるのがよいでしょう。

 

 

また、複数の職場における労働時間を立証できるように、

複数の職場のタイムカードをしっかり打刻したり、

スマホの労働時間管理アプリで労働時間を記録するようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

ワタミにおける175時間の残業と精神障害の労災申請

1 ワタミにおける長時間労働

 

 

外食大手のワタミ株式会社の弁当宅配事業「ワタミの宅食」の

営業所長に対する残業代の未払いがあったとして、

高崎労働基準監督署が、ワタミに対して、是正勧告をしたようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASN9Y6WKMN9YULFA047.html

 

 

報道によりますと、この営業所長は、

長時間労働が原因で精神疾患を発症したようで、

発症前1ヶ月の残業時間は175.5時間もあり、

27日連続勤務だったようです。

 

 

ワタミについては、2008年に女性社員が過労自殺をして、

過酷な労働実態が明らかとなり、ブラック企業というバッシングを受けて、

大問題になりました。

 

 

 

そのワタミについて、再び、

過酷な長時間労働の実態が明らかとなったのであり、

非常に残念です。

 

 

なお、今回のワタミの長時間労働と残業代の未払いについては、

こちらの記事が詳しいです。

 

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20200928-00200433/

 

 

この営業所長は、現在、精神疾患が原因で、休職しているようで、

精神疾患を発症したのは、長時間労働が原因であるとして、

労災申請をしているようです。

 

 

本日は、この営業所長の労災申請について検討します。

 

 

2 精神障害の労災認定基準

 

 

長時間労働やパワハラによって、

労働者に強い心理的負荷(ストレス)がかかり、

精神疾患を発症した場合、労災保険を利用できないかを検討します。

 

 

うつ病などの精神疾患を発症した場合、

回復するのに長期間かかることが多いので、

その間の治療費や会社を休んでいる期間の休業補償が、

労災保険から支給されるので、安心して治療に専念できるのです。

 

 

仕事による心理的負荷によって精神疾患を発症したとして、

労災と認定されるためには、厚生労働省が公表している、

精神障害の労災認定基準に記載されている要件を満たす必要があります。

 

 

精神障害の労災認定基準の要件とは次の3つです。

 

 

①対象疾病である精神障害を発病していること

 

 

②対象疾病の発病前おおむね6ヶ月の間に、

業務による強い心理的負荷か認められること

 

 

③業務以外の心理的負荷及び個体側要因により

対象疾病を発病したとは認められないこと

 

 

実務でよく問題になるのは②でして、

労働者が体験した出来事の心理的負荷が

「強」といえるのかが問題となります。

 

 

3 精神障害の労災認定基準における長時間労働の評価

 

 

精神障害の労災認定基準では、

1週間で40時間を超える時間外労働の数で、

長時間労働の心理的負荷が評価されます。

 

 

まず、精神疾患の発症前1ヶ月間におおむね160時間を超える

長時間労働がある場合、極度の長時間労働として、

心理的負荷は「強」と判断されます。

 

 

 

次に、精神疾患の発症前の連続した2ヶ月間に、

1ヶ月あたりおおむね120時間以上の時間外労働や、

精神疾患の発症前の連続した3ヶ月間に、

1ヶ月あたり100時間以上の時間外労働を行い、

業務内容が通常その程度の労働時間が必要であった場合には、

心理的負荷は「強」と判断されます。

 

 

また、精神疾患の発症前6ヶ月間のどこかに

1ヶ月あたりおおむね100時間以上の時間外労働があり、

心理的負荷の強度が「中」の出来事が1つあれば、

総合評価で心理的負荷が「強」と判断されます。

 

 

例えば、2週間(12日)以上にわたって連続勤務を行った場合には、

心理的負荷の強度が「中」となり、それに加えて、

精神疾患の発症前6ヶ月間のどこかに、

1ヶ月あたり100時間以上の時間外労働があれば、

心理的負荷は「強」と判断されるのです。

 

 

以上を今回のワタミの事件にあてはめますと、この営業所長は、

精神疾患の発症前1ヶ月間に175.5時間の時間外労働をしていたので、

1ヶ月160時間を超える極度の長時間労働をしていたとして、

心理的負荷は「強」と判断されると考えます。

 

 

また、この営業所長は、27日連続で勤務しており、

2週間以上にわたって連続勤務を行ったので、

この出来事の心理的負荷の強度は「中」となり、その他に1ヶ月あたり、

100時間以上の時間外労働が認められるので、

総合評価として心理的負荷は「強」と判断されると考えます。

 

 

結果として、この営業所長の労災申請については、

労災と認定されて、治療費や休業補償が支給されると考えます。

 

 

労災保険からは、慰謝料が支給されませんので、今後、

この営業所長は、労災保険では支給されない損害について、

ワタミに対して、損害賠償請求をすることが考えられます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

海外出張中に新型コロナウイルスに感染して死亡した労働者について労災認定されました

1 海外出張中に新型コロナウイルスに感染した場合の労災認定

 

 

2020年7月17日,厚生労働省は,

海外出張中に新型コロナウイルスに感染した

卸売・小売業の企業の労働者が死亡したことについて,

労災と認定したようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASN7K62X5N7KULFA03B.html

 

 

新型コロナウイルスに感染して死亡した労働者が

労災認定されるのは初めてのようです。

 

 

まずは,海外出張中に新型コロナウイルスに感染した場合の

労災認定について解説します。

 

 

これについては,2020年2月3日に

厚生労働省から通達がでています。

 

 

この時期は,中国武漢で新型コロナウイルスが

猛威を振るっていた時期であり,武漢に海外出張して,

新型コロナウイルスに感染した場合を想定して

通達がだされたと考えられます。

 

 

 

この通達によりますと,新型コロナウイルス感染症が流行している

武漢などの地域に出張し,商談などの業務で

新型コロナウイルス感染者と接触し,

仕事以外では感染源や感染機会がなかった場合には,

労災と認定されます。

 

 

他方,新型コロナウイルス感染症が流行している

武漢などの地域に出張しても,

仕事以外のプライベートな旅行の最中に

新型コロナウイルス感染者と接触するなどして

感染したことが明らかであれば,

労災とは認定されません。

 

 

そのため,今回,新型コロナウイルスに感染後に死亡した被災労働者は,

海外渡航が禁止される前に,武漢などに出張して,

商談中に新型コロナウイルスに感染したのだと想像されます。

 

 

2 遺族補償年金

 

 

次に,新型コロナウイルスに感染後に死亡して労災と認定されれば,

労災保険から遺族に対して,遺族補償給付が支給されます。

 

 

遺族補償給付には,労災保険法で定める

一定の遺族に支給される遺族補償年金と,

遺族補償年金の対象となる遺族がいない場合などに

その他の遺族に支給される遺族補償一時金があります。

 

 

遺族補償年金の受給資格者は,被災労働者の死亡の当時

その収入によって生計を維持していた

配偶者,子,父母,孫,祖父母,兄弟姉妹で,

妻を除いて,年齢や障害の要件を満たした者となります。

 

 

そして,実際に遺族補償年金を受給できるのは,

受給資格者のうちの最先順位者です。

 

 

死亡した男性労働者に妻と18歳未満の子供が2人いれば,

妻が最先順位者となり,受給権者となります。

 

 

遺族補償年金の金額は,遺族の人数で決定され,

遺族の人数は,遺族補償年金の受給権者と

受給権者と生計を同じくしている受給資格者の人数で決まります。

 

 

先ほどの例ですと,妻と18歳未満の子供2人なので,

遺族の人数は3人になります。

 

 

遺族の人数が3人の場合,遺族補償年金の金額は,

給付基礎日額(被災労働者の労災事故発生前3ヶ月の賃金を

日割り計算したもの)の223日分となります。

 

 

遺族補償年金の他に,遺族特別支給金として300万円,

被災労働者が賞与の支給を受けていれば,

遺族特別年金が支給されます。

 

 

3 遺族補償一時金

 

 

遺族補償一時金は,被災労働者の死亡の当時に

遺族補償年金を受けることができる遺族がいないときに支給されます。

 

 

遺族補償一時金の金額は,給付基礎日額の1000日分です。

 

 

被災労働者が賞与の支給を受けていれば,

遺族特別一時金も支給されます。

 

 

このように,仕事中に新型コロナウイルスに感染した後死亡して,

労災と認定されれば,残された遺族には,

労災保険から遺族補償給付が支給されて,

今後の生活の支えになりますので,

労災申請をすることをおすすめします。

 

 

 

なお,厚生労働省は,医療従事者等の労働者が

新型コロナウイルスに感染して労災申請した件数が633件で,

支給決定された件数が125件と公表しました。

 

 

 https://www.mhlw.go.jp/content/000627234.pdf

 

 

まだまだ,労災申請の件数は少ないので,

仕事中に新型コロナウイルスに感染した労働者が

労災保険を利用できることを,

多くの方に知ってもらいたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

新型コロナウイルスに感染して労災と認定された事例が公表されました

1 仕事で新型コロナウイルスに感染したら労災保険を利用できる場合があります

 

 

ここ最近,首都圏を中心に新型コロナウイルスの

感染が増加してきました。

 

 

新宿のシアターでクラスターが発生するなど,

都市部では感染拡大が懸念されています。

 

 

新型コロナウイルスの感染が拡大してくると,

仕事をしているときに新型コロナウイルスに

感染する確率が高くなってきます。

 

 

 

仕事をしていて新型コロナウイルスに感染した場合には,

労災保険を利用できます。

 

 

労災保険を利用すれば,治療費が全額国から支給され,

仕事を休んでも,給料の約8割が国から支給されるので,

安心して治療に専念することができます。

 

 

2 新型コロナウイルスの労災の通達

 

 

新型コロナウイルスの労災については,今年4月28日に,

厚生労働省から通達が出されております。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/content/000626126.pdf

 

 

この通達では,医療従事者や介護従事者が

新型コロナウイルスに感染した場合には,

仕事以外で感染したことが明らかである場合を除いて,

原則として労災と認定されることが記載されています。

 

 

医療従事者や介護従事者以外の労働者の場合には,

新型コロナウイルスに感染した経路を特定する必要があります。

 

 

この感染経路の特定をどうするのかという問題があります。

 

 

3 新型コロナウイルスによる労災認定の事例

 

 

この問題について,厚生労働省は,7月10日,

医療従事者や介護従事者以外の労働者であって,

感染経路が特定された場合の事例を紹介しました。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/content/000647877.pdf

 

 

厚生労働省は,感染経路が特定された事例として,

飲食店店員と建設作業員をあげました。

 

 

飲食店店員は,働いていた店舗に新型コロナウイルス感染者が

来店しており,同時期に複数の同僚労働者が感染するなど

クラスターが発生していたことから,

仕事中に感染したという感染経路が特定されたとして,

労災と認定されました。

 

 

 

建設作業員は,作業車に同乗した同僚労働者が

新型コロナウイルスに感染しており,

当該同僚労働者以外の感染者との接触は確認されなかったことから,

仕事中に感染したという感染経路が特定されたとして,

労災と認定されました。

 

 

また,4月28日の通達では,

医療従事者や介護従事者以外の労働者であって,

感染経路が特定されていなくても,

感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下で

仕事をしていた労働者が新型コロナウイルスに感染した場合には,

個々の事案に即して適切に判断するとされています。

 

 

具体的には,クラスターが発生した職場で働いていた場合や,

小売業の販売業務,バスやタクシーなどの運送業務,

育児サービス業務など,

顧客との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務です。

 

 

この感染経路が特定されていなくても,

労災と認められた事例として,

厚生労働省が公表したのは次のような事例です。

 

 

ある小売店販売員は,新型コロナウイルスの感染経路を

特定できなかったものの,日々数十人と接客して商品説明等をしており,

感染リスクが相対的に高い仕事をしていたようです。

 

 

私生活での外出は,日用品の買い物や散歩などで,

私生活での感染リスクは低かったようです。

 

 

そして,医学専門家からは,

接客中の飛沫感染や接触感染が考えられるなど

仕事中に感染した蓋然性が高いという意見がされたようです。

 

 

その結果,この小売店販売員は,感染経路は特定されないものの,

顧客との近接や接触が多く労働環境下で仕事をしており,

仕事で新型コロナウイルスに感染した蓋然性が高いとして,

労災と認定されました。

 

 

この厚生労働省の事例を分析するに,

顧客との接触する回数が多く,

私生活で感染のリスクが低い場合には,

感染経路が特定できなくても,

わりと柔軟に労災と認定される可能性があると考えます。

 

 

そのため,感染経路が特定できなくても,

あきらめずに労災申請をしてみるのがいいと思います。

 

 

仕事で新型コロナウイルスに感染するリスクがある場合には,

自分の行動履歴を日記などに記録しておくことが有益です。

 

 

新型コロナウイルスの感染者数に比べて,

労災認定件数が圧倒的に少ないので,

労災保険を利用できることをもっと多くの人に知ってもらいたいです。

 

 

厚生労働省の労災認定の事例はとても参考になるので,

今後も積極的に情報開示をしていただきたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

新型コロナウイルスで死亡した医師の労災

1 新型コロナウイルスに関連する過重労働の相談

 

 

6月20日に実施されたパワハラ・コロナ労災・過労死110番では,

全国で新型コロナウイルスに関連する労働問題の相談が寄せられました。

 

 

会社の新型コロナウイルス対策の関係で,

女性社員が早く帰るようになり,休みがなくなり,

1ヶ月の時間外労働が160時間を超えるようになった。

 

 

 

コロナのために営業店舗数が縮小され,

遠くの店舗への出勤を命じられて

通勤時間が往復で約2時間増えた。

 

 

このように,新型コロナウイルスに関連する

過重労働の問題が生じている現状があることがわかりました。

 

 

このような過重労働については,

無理せずに年次有給休暇を取得するなどして,

しっかりと休むことが重要です。

 

 

働き過ぎると健康を害するので,会社は,

労働者が過重労働に陥らないように仕事量を調整するべきです。

 

 

2 新型コロナウイルスに感染した医師の死亡

 

 

さて,新型コロナウイルスに関連して,

大阪の医師3名が新型コロナウイルスに感染して死亡したようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASN6Q747WN6QPTIL03H.html

 

 

報道によりますと,患者を診察した際に,

新型コロナウイルスに感染したようです。

 

 

死亡した医師が勤務医であれば,

仕事中に新型コロナウイルスに感染したとして,

労災認定されます。

 

 

今年の4月28日に厚生労働省から公表された通達によれば,

医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合,

仕事以外で感染したことが明らかである場合を除いて,

原則として労災保険給付の対象となります。

 

 

通常であれば,仕事をしていて新型コロナウイルスに感染した

という感染経路を特定しなければ,労災と認定されないのですが,

新型コロナウイルスは症状がなくても感染を

拡大させるリスクがあることから,

感染リスクがとくに高い医療従事者を保護するために,

医療従事者に労災保険が適用されやすくしたのです。

 

 

 

大阪の新型コロナウイルスで死亡した医師も,

患者が新型コロナウイルスに感染していたとは知らずに診察して,

感染したようですので,医師が勤務医であれば,労災保険が適用されます。

 

 

3 遺族補償給付

 

 

この場合,死亡した医師のご遺族は,

労働基準監督署に対して,労災申請をすることで,

遺族補償給付を受けられます。

 

 

遺族補償給付には,遺族補償年金と遺族補償一時金があります。

 

 

遺族補償年金は,次の要件を全て満たす遺族が受給できます。

 

 

①被災労働者が死亡した当時その収入によって生計を維持していたこと

 

 

 ②被災労働者の配偶者,子,父母,孫,祖父母または兄弟姉妹であること

 

 

 ③年齢要件を満たしていること

 

 

これらの受給要件を満たすご遺族に対して,

ご遺族が1人の場合には,

被災労働者の直近3ヶ月間の賃金の総支給額を日割り計算した

給付基礎日額の153日分が年金として支給されます。

 

 

また,ご遺族の中に遺族補償年金を受けるご遺族がいない場合には,

遺族補償一時金が支給されます。

 

 

その他にも,葬儀費用として,労災保険から葬祭料が支給されます。

 

 

このように,残されたご遺族にとって,

生活保障となる給付が支給されますので,

今後の生活のために,労災申請をすることをおすすめします。

 

 

特に,ご遺族から申請しないと,

労災手続は何も進まないことには注意が必要です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

新型コロナウイルスに感染した看護師か労災認定されました

1 院内感染の看護師労災認定

 

 

新型コロナウイルスのクラスターが発生した

東京都中野区の病院に勤務し,新型コロナウイルスに感染した

看護師について,新宿労働基準監督署が労災認定したようです。

 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60131190Z00C20A6CE0000/

 

 

労災の申請をしてから約3週間で労災認定されたようで,

迅速に審査がすすんだようです。

 

 

労災認定された看護師は,病院から労災についての説明がなく,

弁護士に教えてもらうまで労災手続を知らなかったとコメントしています。

 

 

 

他方,6月10日時点で,医療機関での

新型コロナウイルスの集団感染が102件起きており,

約550人の医療従事者が新型コロナウイルスに感染したようです。

 

 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/34903?rct=national

 

 

多くの医療従事者が新型コロナウイルスに感染したにもかかわらず,

労災申請まですすんだケースは少ないと思われます。

 

 

その理由として,医療従事者の方々や病院側が

労災についてよくわかっていないことがあげられます。

 

 

2 新型コロナウイルスに感染した医療従事者の労災申請

 

 

そこで,新型コロナウイルスに感染した

医療従事者の労災申請について解説します。

 

 

今年の4月28日に厚生労働省から重要な通達がでました。

 

 

「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」

と題する通達でして,医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合,

仕事以外で感染したことが明らかである場合を除いて,

原則として労災保険給付の対象となるとされました。

 

 

通常,仕事中に新型コロナウイルスに感染して

労災と認定されるには,仕事中に新型コロナウイルスに

感染した径路を特定する必要があります。

 

 

しかし,感染経路を特定することは非常に困難でして,

新型コロナウイルスの治療の最前線にいる医療従事者に,

感染経路の特定を求めていたのでは,

適切な補償がないまま仕事をさせることになりますので,

医療従事者については,新型コロナウイルスに感染した場合,

原則として労災認定されることになったのです。

 

 

新型コロナウイルスは症状がなくても

感染を拡大させるリスクがあるので,

医療従事者が新型コロナウイルスに感染した

患者を診療していなくても,労災認定されます。

 

 

そのため,医療従事者がプライベートな活動で

新型コロナウイルスに感染するようなことをしていないのであれば,

新型コロナウイルスに感染すれば,

労災認定されますので,労災申請をすべきです。

 

 

労災認定されれば,治療費が全額,労災保険から支給されますし,

仕事を休んでも,給料の約8割分が休業補償給付として支給されるので,

安心して治療に専念することができるのです。

 

 

 

3 労災申請をするには

 

 

医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合,

まずは,ご自身が勤務している医療機関に対して,

労災申請の手続をとるように求めましょう。

 

 

勤務先の医療機関が労災申請の手続をしてくれない場合には,

自分で労災申請をすればいいです。

 

 

インターネット上にある労災申請に必要な書式に必要事項を記載して,

労働基準監督署に提出すればいいのです。

 

 

労災申請書には,勤務先である事業主の証明欄があり,

勤務先に証明をしてもらいます。

 

 

勤務先か証明欄に署名押印してくれないのであれば,

そのことを労働基準監督署に説明すれば,

労働基準監督署は受け付けてくれますので,問題ありません。

 

 

私が所属している過労死弁護団全国連絡会議では,

6月20日土曜日10時~15時に,

全国一斉の新型コロナウイルスに関する労災の電話相談を実施します。

 

 

石川県の担当は,当事務所ですので,

6月20日10時から15時の時間帯に

076-221-4111にお電話いただければ,

弁護士が無料で電話相談に応じます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

取締役でも労災認定される場合がある

1 名ばかり役員の労災認定

 

 

東京都内のビルメンテナンス会社の取締役であった男性が,

職場で脳出血を発症したのは,長時間労働が原因であったとして,

労働基準監督署が労災認定をしました。

 

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/e1c1391fc54d008fe96d08e99420eed33c81b783

 

 

報道によりますと,被災した男性は,取締役という肩書でしたが,

勤務実態から,労働者と認定されて,労災と認定されたようです。

 

 

労災保険による補償を受けるためには,

被災者が労災保険法が適用される労働者に該当する必要があります。

 

 

他方,取締役は,通常,会社の経営者として業務執行権をもち,

賃金ではなく役員報酬を受け取っているので,

労働者に該当しないのが原則です。

 

 

もっとも,取締役という肩書がついていても,

単に代表取締役の指揮命令のもとで働いていたにすぎない場合には,

名目的な取締役であるとして,労働者に該当し,

労災保険法が適用されることがあります。

 

 

それでは,どのような場合であれば,

取締役であっても,労働者であるとして,

労災保険法が適用されるのでしょうか。

 

 

 

労働者とは,使用者との使用従属関係のもとに労務を提供し,

その対価として使用者から賃金の支払を受ける者とされています。

 

 

もっとも,この定義では抽象的なので,実務では,

さまざまな事情を総合考慮して,労働者か否かが判断されます。

 

 

2 取締役でも労災保険法が適用されることがある

 

 

ここで,専務取締役であった被災者が労働者と認定された,

大阪中央労基署長(おかざき)事件の

大阪地裁平成15年10月29日判決(労働判例866号58頁)

を紹介します。

 

 

この事件では,次の事情を総合考慮して,

専務取締役であった被災者が労働者と判断されました。

 

 

①18年間にもわたって営業の仕事を担当し,この限りで,

使用従属関係のもとで,労務を提供していたこと

 

 

②専務取締役に就任しても,営業の業務内容に変化はなかったこと

 

 

③被災者は,事務所の掃除を行うことがあったこと

 

 

④他の従業員と同様に社長から叱責を受けていたこと

 

 

⑤会社では取締役会が通常開かれていなかったこと

 

 

他方で,この事件の専務取締役であった被災者は,

取締役として登記されていたこと,

従業員の採用や賃金の決定に関与していたこと,

社長不在時には決済を代行していたこと,

社長と同額の報酬をもらい,

労働時間管理を受けていなかった,

などの労働者であることを否定する方向の事情もありました。

 

 

 

それでも,以上の事情を総合考慮して,

専務取締役であった被災者は,

労働者に該当するとされました。

 

 

冒頭のビルメンテナンス会社の労災事件においても,

取締役就任前後で仕事内容に変化がなかったこと,

役員報酬ではなく,給与の支給であったこと,

雇用保険の資格を取得していたこと,

などの事情から,総合的に労働者に該当するとされました。

 

 

そのため,取締役が労働災害にまきこまれた場合,

実態をよく調査して,労働者に該当する事情があれば,

あきらめずに,労災申請をすることをおすすめします。

 

 

取締役であっても,労働者として労災認定されれば,

治療費は労災保険から全額支給されますし,

後遺障害が残った場合には,後遺障害に関する補償を受けられますので,

労災保険を利用できるメリットは大きいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

新型コロナウイルスで初の労災認定がでました

1 少ない労災申請

 

 

厚生労働省は,新型コロナウイルス感染症の労災について,

5月14日までに39件の労災申請があり,

2件について,労災と認定したようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASN5H5W77N5HULFA020.html

 

 

労災認定された2件のうち,1件は医療従事者,

もう1件は生活関連サービス従事者のようです。

 

 

労災申請が39件というのは,率直に言って少ないです。

 

 

日々の新型コロナウイルスに関する報道を見ていますと,

一定数の医療従事者が新型コロナウイルスに感染したという

情報が流れているので,仕事中に新型コロナウイルスに感染しても,

労災申請をしていない人が多いように感じます。

 

 

おそらくですが,仕事場で新型コロナウイルスに感染したことが

発覚すれば,2週間ほどの休業に追い込まれたり,

風評被害が発生することをおそれて,

仕事中に新型コロナウイルスに感染しても,

労災申請をするのをためらったり,

職場で労災申請を控えさせる雰囲気ができているのかもしれません。

 

 

 

そのためか,厚生労働省は,日本医師会に対して,

医師や看護師など医療従事者が感染した場合には,

労災申請を勧めるよう,協力の要請をしたようです。

 

 

新型コロナウイルスに感染したのは仕事が原因であったとして,

労災認定されれば,治療費の全額が労災保険から支給され,

治療のために仕事を休んでいた期間の給料のおおむね8割が

休業補償給付として支給されますので,安心して,

治療に専念できるメリットがあります。

 

 

そのため,医療従事者など仕事が原因で,

新型コロナウイルスに感染した方は,

積極的に労災保険を活用してほしいと思います。

 

 

さて,先日,日本労働弁護団の新型コロナウイルスと労災

に関するオンラインの勉強会に参加しましたので,

そこで学んだことをアウトプットします。

 

 

2 医療従事者の新型コロナウイルス感染症の労災申請

 

 

以前ブログに記載しましたが,新型コロナウイルスの労災に関して,

4月28日に重要な通達が出されました。

 

 

4月28日の通達には,「患者の診療若しくは看護の業務又は

介護の業務等に従事する医師,看護師,介護従事者等が

新型コロナウイルスに感染した場合には,

業務外で感染したことが明らかである場合を除き,

原則として労災保険給付の対象となること」と記載されています。

 

 

ようするに,医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合には,

基本的に労災と認定されるということです。

 

 

医療従事者に,安心して働いてもらうために,

労災の要件を大幅に緩和したのです。

 

 

先日の勉強会で学んだことは,

この通達に記載されている「患者」とは,

新型コロナウイルスに感染した,

または感染の疑いのある患者に限定されていないことです。

 

 

新型コロナウイルスは,症状がなくとも感染を

拡大させるリスクがあるので,

感染の疑いのある患者を特定することができないため,

新型コロナウイルスに感染しているかわからない患者を診療して,

医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合にも,

労災と認定されるようにしたのです。

 

 

また,患者の診療をする医療従事者は,

感染症科や内科の医療従事者に限定されず,

全ての診療科の医療従事者が該当します。

 

 

 

全ての診療科において,新型コロナウイルスに

感染した疑いのある患者を診療する可能性があり,

医療従事者は患者と近接して診療行為を行うので,

どの診療科においても感染のリスクがあるからです。

 

 

そのため,医療従事者が患者の診療行為をしていて

新型コロナウイルスに感染すれば,原則として,

労災と認定されるので,医療従事者には,

積極的に労災保険を活用してほしいです。

 

 

3 感染経路の特定

 

 

他方,医療従事者や生活関連サービス業の従事者以外の労働者の場合は,

感染経路を特定するのが困難となり,労災認定のハードルは高くなります。

 

 

新型コロナウイルスは,症状がなくても感染を拡大させるリスクがあり,

PCR検査を容易に受けられないので,

誰が陽性で,誰が陰性かほとんど判別がつかない状況で,

皆働いていますので,どうしても感染経路を特定するのは困難となります。

 

 

 感染経路を特定するには,日々の行動を日記などに記録したり,

スマホの位置情報の記録などを保存しておくことが重要になると考えます。

 

 

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仕事中に新型コロナウイルスに感染しても会社が労災申請に協力してくれない場合の対処法

1 コロナ労災・過重労働110番を実施しました

 

 

5月8日に,過労死弁護団全国連絡会議が主催する

「コロナ労災・過重労働110番」の電話相談を実施しました。

 

(2020年5月9日北陸中日新聞朝刊より抜粋)

 

 

石川県では,2件の電話相談があり,

まだ新型コロナウイルスに感染していないけれども,

仕事中に感染した場合に,労災申請をするには

どうすればいいのかという相談でした。

 

 

新型コロナウイルスに感染した場合に,

どのような補償がなされるのかについて,

不安に思っている方がいらっしゃるのがよくわかりました。

 

 

また,この電話相談について,NHKの報道があり,

興味深い指摘がありました。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200508/k10012421741000.html

 

2 新型コロナウイルスの労災申請が少ない理由

 

 

労災申請ができなかった看護師のインタビューがあり,

勤務先に労災申請の相談をしたところ,

労災申請に必要な書類の作成に協力してくれなかったようです。

 

 

勤務先では,感染の事実を外にもらさないように

と指示があったからのようです。

 

 

新型コロナウイルスの感染による労災の申請件数は,

全国でたったの4件にとどまっているようです。

 

 

 

背景には,労働者が新型コロナウイルスに感染したことが公になれば,

会社を2週間ほど閉鎖しなければならなくなったり,

風評被害が発生することをおそれて,

会社が労災隠しをしている可能性が考えられます。

 

 

それでは,勤務先が労災申請に協力してくれない場合は

どうすればいいのでしょうか。

 

 

3 労災隠しの対処法

 

 

それは,自分で労災申請をすればいいのです。

 

 

労災申請書に必要事項を記載したら,会社に提出して,

会社が後の申請手続をしてくれることが多いのですが,

これは,会社が労災申請を代行しているだけにすぎません。

 

 

労災申請できるのは,労災事故にあった被災労働者なのです。

 

 

会社が請求するのではなく,

被災労働者が労働基準監督署に労災申請をするのです。

 

 

労災保険法施行規則23条1項には,

被災労働者が自分で労災申請をするのが困難な場合には,

会社は,労災申請に助力しなければならないと記載されているので,

会社は,労働者から労災申請の相談を受けたなら,

協力しなければならないのです。

 

 

また,労災事故が発生した場合,会社は,

遅滞なくそのことを労働基準監督署に報告する義務を負っています

(労働安全衛生法100条,労働安全衛生規則97条)。

 

 

そのため,会社は,労災隠しをしてはならず,

労災申請にあたって,労働者に協力しなければならないのです。

 

 

労災申請書には,事業主の証明の欄があり,

労災申請に協力してくれない会社は,

この証明を記載してくれないことがあります。

 

 

その場合には,会社が証明を拒否したことを文書にまとめて,

労働基準監督署に提出すれば,労災の手続をすすめることができます。

 

 

 

4 感染経路を特定するために日々の行動を記録する

 

 

仕事中に新型コロナウイルスに感染したとして,

労災申請する場合には,感染経路を特定する必要がありますので,

どのような仕事をしたのか,誰とあったのか,

などを日記などに日々記録に残しておくのがいいです。

 

 

場合によっては,スマホの行動履歴をとっておくと,

感染経路の特定に役立つと思います。

 

 

労災隠しはあってはならないことなので,

仕事中に新型コロナウイルスに感染した場合には,

会社は,労災申請に協力すべきですし,

迅速に労災認定がされるべきだと考えます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

新型コロナウイルス感染症の労災認定基準の緩和

1 新型コロナウイルスと労災

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず,

病院や介護施設でクラスターが発生しているところもあります。

 

 

 

医療従事者や介護従事者が仕事をしていて,

新型コロナウイルス感染症を発症した場合,

労災保険を利用することが考えられます。

 

 

労災保険を利用すれば,治療費は労災保険から全額支給されますし,

仕事を休むことになっても,給料のおおむね8割の休業補償給付が

支給されますので,安心して治療に専念できます。

 

 

労災と認定されるためには,仕事が原因で

新型コロナウイルスに感染したといえなければなりません。

 

 

業務に内在する危険が現実化したものによると認められること

と言われる業務起因性が認められなければならないのです。

 

 

要するに,業務と新型コロナウイルス感染症との間に,

相当因果関係が認められなければならないのです。

 

 

この点,4月28日に新型コロナウイルス感染症についての

労災認定基準の考え方が公表されましたので,解説します。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html#Q4-1

 

 

2 労災認定基準の緩和

 

もともと,厚生労働省は,新型コロナウイルス感染症について,

個別の事案ごとに感染経路,仕事との関連性などの実情をふまえて,

労災と認定するかを判断するとしていました。

 

 

感染経路の特定というのがやっかいで,

仕事以外のプライベートな活動で感染しておらず,

仕事中に感染したと証明しなけばなりませんでした。

 

 

 

感染経路の特定にこだわっていたのでは,

迅速な労災保険給付に支障が生じるという問題がありました。

 

 

そこで,一定の職種について,要件を緩和する必要があり,

4月28日の労災認定基準が公表されたのです。

 

 

医師や看護師などの医療従事者,介護従事者が

新型コロナウイルスに感染した場合,

仕事以外で感染したことが明らかである場合を除き,

原則として,労災と認定されます。

 

 

院内感染が多発している現状をふまえて,

医療従事者や介護従事者を保護するために

要件が緩和されたと考えられます。

 

 

また,感染経路が特定されていなくても,

感染リスクが高いと考えられる業務に従事していた場合には,

潜伏期間内の業務従事状況や一般生活状況を調査して,

個別に業務起因性を判断します。

 

 

感染リスクが高いと考えられる業務とは,

①複数の感染者が確認された労働環境下での業務,

②顧客などとの近接や接触機会の多い労働環境下での業務

(小売業の販売業務,バス・タクシーなどの運送業,育児サービス業など)

です。

 

 

感染経路が特定されていなくても,

①と②の業務をしていた労働者の場合には,

救済の余地が示されましたので,諦めずに,

労災申請をしてみる必要があります。

 

 

このように,4月28日の労災認定基準では,

新型コロナウイルス感染症の労災認定の要件を

緩和する方向になりましたので,

仕事が原因で新型コロナウイルスに感染したと考えられる場合には,

労災申請をするようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。