ウーバーイーツの配達員は労働組合法の労働者か?

1 ウーバーイーツユニオン結成

 

 

先日のブログで,ウーバーイーツの配達員の

労働法の問題点について記載しました。

 

 

この問題点を改善するために,先月,

ウーバーイーツユニオンという労働組合が結成されました。

 

 

 https://www.ubereatsunion.org/

 

 

 

こちらが,ウーバーイーツユニオンのホームページのURLです。

 

 

オシャレなデザインですね。

 

 

かっこいいデザインにすることで,

労働組合に加入することの抵抗感をなくすように

配慮されていると思います。

 

 

それでは,なぜ,ウーバーイーツユニオンという

労働組合が結成されたのでしょうか。

 

 

2 団体交渉のメリット

 

 

それは,労働組合を結成すれば,会社と団体交渉ができるからです。

 

 

会社から賃金を支給されて働く労働者は,

会社にたてつくと,会社に居づらくなり,

会社を去ることになれば,賃金がもらえず,生活が困窮します。

 

 

そのため,労働者1人では,会社から理不尽な仕打ちをうけても,

何も言えずに,泣き寝入りせざるをえないときがあります。

 

 

しかし,多くの労働者が団結して,会社に対抗すれば,

会社は,労働者の意見を無視できなくなります。

 

 

労働者は,1人では弱いですが,

団結して多数になれば強くなれます。

 

 

労働者が団結して,団体として会社と交渉すれば,

会社は,労働者の要求に応じる可能性が高くなります。

 

 

 

さらに,会社は,労働組合から団体交渉を要求された場合,

これに応じなければなりません。

 

 

これを団交応諾義務といいます。

 

 

この団交応諾義務があることから,労働組合を結成して,

会社と団体交渉して,労働者の要求を実現していけるのです。

 

 

3 労働組合法の労働者とは

 

 

労働組合を結成するには,労働組合の加入者が,

労働組合法の「労働者」でなければなりません。

 

 

労働組合法の「労働者」は,労働組合を結成して

集団的な交渉による保護が図られる者が

幅広く含まれる必要があることから,

労働基準法の「労働者」よりも広く捉えられています。

 

 

労働組合法の「労働者」に該当するかについては,

次の要素を総合考慮して判断されます。

 

 

基本的判断要素

 

 

①事業組織への組み入れ

 

 

②契約内容の一方的・定型的決定

 

 

③報酬の労務対価性

 

 

補充的判断要素

 

 

④業務の依頼に応ずべき関係

 

 

⑤広い意味での指揮監督下の労務提供・一定の時間的場所的拘束

 

 

消極的判断要素

 

 

⑥顕著な事業者性

 

 

これら6つの要素をウーバーイーツの配達員にあてはめてみます。

 

 

①事業組織への組み入れ⇒配達員がいなければ,

飲食店から注文客のもとへ商品を配達できないので,

ウーバー社は,配達員を不可欠な労働力として,

組織内へ組み込んでいるといえます。

 

 

②契約内容の一方的・定型的決定⇒ウーバー社は,

配達員にとって最も重要な労働条件である報酬を

一方的にかつ定型的に決定しています。

 

 

③報酬の労務対価性⇒配達員は,飲食店から注文客のもとへ

商品を配達することで初めて報酬をもらえることができますので,

配達という労務に対する対価として報酬が支払われています。

 

 

④業務の依頼に応ずべき関係⇒配達員は,自分が働きたいときに

アプリをオンにして働くことができるので,

業務の依頼に必ずしも応ずべきとはいえないのかもしれません。

 

 

⑤広い意味での指揮監督下の労務提供・一定の時間的場所的拘束⇒

配達員が,飲食店から注文客のもとへ商品を配達できなかったときに,

ペナルティがかせられるのであれば,

広い意味での指揮監督があったといえますが,

自分が働きたいときに働くという意味では,

時間的場所的拘束は弱いといえそうです。

 

 

⑥顕著な事業者性⇒ウーバーイーツの配達員は,スキマ時間に,

自分の持っている自転車などを利用して働いているので,

事業者とはいえないと考えます。

 

 

まとめると,④と⑤の要素では,労働者性を否定する

方向にはたらきそうですが,①~③,⑥の要素が,

労働者性を肯定する方向にはたらきますので,総合判断すれば,

ウーバーイーツの配達員は,労働組合法の労働者に該当すると考えます。

 

 

 

今後,ウーバーイーツユニオンは,ウーバー社に対して,

交通事故での充実した補償や,適切な報酬の実現を求めていくようです。

 

 

自由な働き方と安心安全に働くこととは十分両立可能なはずですので,

ウーバー社は,ウーバーイーツユニオンの要求に応じてもらいたいです。

 

 

日本で初めてのプラットフォームワーカーの

労働組合の今後の活躍に注目したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

 

 

ウーバーイーツ配達員の労働法の問題点

1 労働者という争点

 

 

先日,岡山で開催された日本労働弁護団の全国総会では,

「労働者性」に関する報告が多くありました。

 

 

学習院大学法学部の橋本陽子教授による

「労働者性の判断要素と判断方法」という講演があり,

コンビニオーナー,公文式の先生,ウーバーイーツの配達員は,

労働組合法の労働者かについて,協議されました。

 

 

本日は,労働弁護団の総会で学んだことをアウトプットするために,

ウーバーイーツの配達員は,労働組合法の労働者なのかについて,

説明します。

 

 

2 ウーバーイーツとは

 

 

ウーバーイーツとは,ライドシェアの最大手の

ウーバーテクノロジー社のフードデリバリーサービスです。

 

 

ウーバーイーツの仕組みは,次のとおりです。

 

 

利用者は,スマートフォンにウーバーイーツのアプリをダウンロードし,

アプリに表示される登録飲食店の料理などを注文します。

 

 

注文がはいると,アプリをオンにしているウーバーイーツの配達員に

配達業務の依頼がきて,配達員は,飲食店に料理を取りに行き,

注文した客に料理を配達するというサービスです。

 

 

 

飲食店としては,出前の配達員を自社で準備する必要がなくなり,

人件費を削減でき,自分達の料理を,店に来てもらわなくても,

提供でき,売上をのばすことができます。

 

 

利用者は,自宅にいながら,

飲食店の料理を楽しむことができます。

 

 

ウーバーイーツのサービスは,現在,

大都市でしか利用できませんが,今後は,

地方都市でも利用できるようになるかもしれず,

ウーバーイーツの配達員が日本中に増えていくかもしれません。。

 

 

ウーバーイーツの配達員は,働きたいときにだけ,

アプリをオンにして,好きなときに働けるというメリットがあります。

 

 

今後,副業が解禁されていくので,サラリーマンが,

仕事が終わった後に,ウーバーイーツの配達の仕事をして,

お小遣いを稼ぐという働き方や,ウーバーイーツの仕事だけで,

好きなときに好きなように働くという働き方がでてくるかもしれません。

 

 

ウーバーイーツで好きなときに自由に働くというのは

魅力的にみえるかもしれませんが,現在,

ウーバーイーツの配達員には,

次のような問題が指摘されています。

 

 

3 ウーバーイーツ配達員には労災保険法が適用されない

 

 

現時点では,ウーバー社は,

ウーバーイーツの配達員を雇用しておらず,

ウーバーイーツの配達員は,

労働基準法の労働者ではないと判断しているようです。

 

 

ウーバーイーツの配達員は,

労働基準法の労働者ではないことになれば,

労災保険法が適用されません。

 

 

労災保険法が適用されないので,

ウーバーイーツの配達員が配達中に交通事故にあっても,

自分のケガに対する補償が受けられません。

 

 

 

労災保険を利用できれば,

治療費は労災保険から全額支給されますし,

ケガで仕事を休まなければならなくなっても,

休業期間中,約8割の給料が補償されます。

 

 

しかし,ウーバーイーツの配達員は,

仕事中にケガをしても,自分で保険に入っていなければ,

治療費は全額自己負担になり,

仕事を休んでいる期間の給料の補償はありません。

 

 

この交通事故の補償について,最近,

ウーバーイーツの配達員に対する傷害補償制度ができました。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASM9Z45CHM9ZULFA01H.html

 

 

ウーバーイーツの配達員に対する補償制度ができたことは,

大変よろこばしいことです。

 

 

ただ,治療費の上限が25万円に設定されていること,

休業補償がないことから,労災保険に比べると,

補償の水準が低いと言わざるをえません。

 

 

4 距離・報酬ちょろまかし問題

 

 

また,ウーバーイーツの配達員の報酬は,

配達先の距離が遠いほど,高くなる仕組みのようです。

 

 

しかし,実際の配達先の距離よりも短い距離で,

報酬が計算されるという「距離・報酬ちょろまかし問題」があるようです。

 

 

例えば,3キロ先の配達先へ料理を配達したにもかからわず,

約1.7キロ分の報酬しか支払われなかったということがあったようです。

 

 

このような問題について,個々の配達員がウーバー社に苦情を言っても,

ウーバー社と配達員個人の間には,交渉力に大きな格差があり,

ウーバー社に聞き入れてもらえないと考えられます。

 

 

 

この交渉力の格差を補い,ウーバー社に対して,

配達員の労働条件に関する適正な要望を聞き入れてもらうために,

ウーバーイーツユニオンが結成されました。

 

 

ウーバーイーツユニオンのことについては,明日以降に記載します。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

宮迫博之氏の記者会見から芸能人の労働組合の必要性を考える2~芸能人労働組合を結成すれば団体交渉ができる~

昨日のブログで記載した,吉本興業の芸能人が,

労働組合法の「労働者」に該当するかについて,

基本的判断要素である

①事業組織への組入,

②契約内容の一方的・定型的決定,

③報酬の労務対価性,

補充的判断要素である

④業務の依頼に応ずべき関係,

⑤広い意味での指揮監督下の労務提供,一定の時間的場所的拘束,

消極的判断要素である

⑥顕著な事業者性

に当てはめて検討してみます。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201907248343.html

 

 

①事業組織への組入について,吉本興業は,

所属している芸能人を,テレビ番組などに出演させて,

収益を得ていると考えられますので,芸能人は,

吉本興業の事業遂行に不可欠ないし枢要な労働力として,

組織内に確保されているといえそうです。

 

 

②契約内容の一方的・定型的決定について,驚くことに,

吉本興業は,芸能人との間で,契約書を締結していないようです。

 

 

通常,会社側が定型的な契約様式を用いていると,

この要素を満たすことになるので,吉本興業の場合は,

この要素は満たさないとも思えます。

 

 

 

他方,契約書の締結がないことによって,

吉本興業と芸能人との間の権利関係が不明確となり,

仕事が欲しい芸能人は,吉本興業の指定してくる

条件に従わざるをえないため,労働条件が一方的に決定されて,

芸能人には,事実上,個別交渉の余地がないと考えられます。

 

 

そのため,②の要素も満たす可能性があると考えます。

 

 

③報酬の労務対価性については,芸能人は,

吉本興業から指示された仕事をして,

興行先から吉本興業に支払われた金銭のうちの何割かを

報酬として受け取っていると思われるので,芸能人の報酬は,

労務提供に対する対価と評価されると思います。

 

 

④業務の依頼に応ずべき関係については,芸能人は,

吉本興業から指示のあった業務を拒否すれば,収入がなく,

食べていけなくなるので,事実上,

業務の依頼に応じなければならないと思います。

 

 

また,吉本興業からの業務の依頼を拒否すれば,

次から仕事をまわしてもらえなくなるという不利益が予想されますので,

吉本興業からの業務の依頼については,

基本的に応ずべき関係にあったといえると考えられます。

 

 

 

⑤広い意味での指揮監督下の労務提供,

一定の時間的場所的拘束について,大物芸能人であれば,

ある程度の裁量を与えられている可能性がありますが,

下っ端の芸能人であれば,吉本興業から指示される業務量や

業務の日時や場所について裁量はないと考えられます。

 

 

そのため,広い意味では,芸能人は,

吉本興業の指揮監督下で仕事をして,

ある程度,時間的場所的に拘束されているといえそうです。

 

 

⑥顕著な事業者性については,

芸能人が常に自分の才能で利益を得て,

リスクを引き受けているとはいえず,やはり,

芸能事務所のマネジメントに従って仕事をしているといえ,

芸能人には,顕著な事業者性は認めにくいと考えられます。

 

 

以上を総合考慮すれば,吉本興業の芸能人は,

吉本興業との交渉力に格差が生じており,

労働組合を組織して集団的な交渉による保護が図れる必要があるので,

労働組合法の「労働者」と判断される余地は十分にあると考えます。

 

 

ちなみに,宮迫博之氏の記者会見によると,

吉本興業の岡本社長から,記者会見するならクビにすると言われたようで,

これが事実であれば,クビ=解雇なので,

岡本社長は,芸能人を労働者として扱っていたと推認できます。

 

 

 

芸能人が,労働組合法の「労働者」に該当すれば,

労働組合を結成して,芸能事務所に対して,

団体交渉を要求できます。

 

 

芸能人が1人で芸能事務所と交渉しても弱いですが,

芸能人が団体で交渉すれば,交渉力は強くなり,

実質的に芸能事務所と対等な立場にたてます。

 

 

さらに,労働組合法7条2号により,使用者は,

正当な団体交渉要求を拒否できないので,

芸能事務所は,芸能人労働組合の要求を無視できなくなります。

 

 

団体交渉によって,芸能人の報酬をどのように設定するかなどについて,

芸能人労働組合と芸能事務所が協議し,

合意内容を労働協約という書面にまとめれば,

労働協約で定められた内容が,

個々の芸能人組合員の労働条件となります。

 

 

宮迫博之氏の記者会見を機に,芸能人の不満が爆発し,

芸能人の権利を守る機運が高まっているので,

ぜひ芸能人労働組合が結成されることを期待したいです。

 

 

そうすると,芸能人の権利が保障される結果,

よりよいエンターテイメントが生まれるような気がします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

宮迫博之氏の記者会見から芸能人の労働組合の必要性を考える

7月20日,雨上がり決死隊の宮迫博之氏が記者会見において,

吉本興業の社長から,記者会見を開こうとしたところ,

「やってもええけど,そしたら全員連帯責任,クビにする。

俺にはお前ら全員クビにする力があるんだ」

と告げられたことを明らかにしました。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASM7N4637M7NUCVL006.html

 

 

吉本興業は,宮迫博之氏に対して,

記者会見をさせないように,

契約解除をほのめかして,

圧力をかけていたようです。

 

 

 

また,ジャニーズ事務所がテレビ局に対して,

元SMAPのメンバーである稲垣吾郎氏,草彅剛氏,香取慎吾氏を

テレビに出演させないように,圧力をかけていた疑いがあるとして,

公正取引委員会がジャニーズ事務所に対して,

独占禁止法違反につながるおそれがあるとして,注意したようです。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190717/k10011996241000.html

 

 

これらの報道をみていると,芸能事務所は,

芸能人に対して,絶大な権力を握っており,

芸能人が芸能事務所の意に反する行動にでようものなら,

たちまちつぶしにかかる実態が明らかになりました。

 

 

おそらく,芸能人が芸能事務所の意に反する行動をすれば,

芸能事務所は,当該芸能人に対して,仕事を与えないような

不利益な取扱いをして,仕事がこなくなった当該芸能人は,

経済的に困窮します。

 

 

 

 

仕事を失いたくない芸能人は,

芸能事務所に逆らうことができず,

芸能事務所と芸能人の間には,

支配従属の関係が成り立っているように思います。

 

 

このような芸能人が,芸能事務所に対抗する手段として,

労働組合を結成して,集団で芸能事務所と交渉するという方法があります。

 

 

 

芸能人一人一人の力は弱くても,みんなで団結して交渉すれば,

芸能事務所も芸能人の集団の意見を無視できなくなり,

芸能事務所に対して,芸能人の意見がとおる可能性がでてきます。

 

 

芸能人は,芸能事務所との間で,

専属マネジメント契約を締結していることが多く,

契約の形式上は労働者とはいえないものの,その実態をみれば,

労働組合法の「労働者」に該当する可能性があります。

 

 

労働組合法3条には,「この法律で『労働者』とは,

職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって

生活する者をいう」と規定されています。

 

 

この労働組合法の「労働者」に該当するかについては,

次の要素を総合考慮して判断されます。

 

 

基本的判断要素

 

 

①事業組織への組入(労務供給者が相手方の事業遂行に

不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか)

 

 

②契約内容の一方的・定型的決定(契約の締結の態様から,

労働条件や提供する労務の内容を相手方が

一方的・定型的に決定しているか)

 

 

③報酬の労務対価性(労務供給者の報酬が労務供給に対する対価

又はそれに類するものとしての性格を有するか)

 

 

補充的判断要素

 

 

④業務の依頼に応ずべき関係(労務供給者が,

相手方からの個々の業務の依頼に対して,

基本的に応ずべき関係にあるか)

 

 

⑤広い意味での指揮監督下の提供,一定の時間的場所的拘束

(労務供給者が,相手方の指揮監督下に労務提供を行っていると

広い意味で解することができるか,労務の提供にあたり,

日時や場所について一定の拘束をうけているか)

 

 

消極的判断要素

 

 

 ⑥顕著な事業者性(労務供給者が,恒常的に

自己の才覚で利得する機会を有し

自らリスクを引き受けて事業を行う者とみられるか)

 

 

芸能人が,これらの要素にあてはまるかについては,

長くなりますので,明日以降に記載したいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

NHKの受信料集金人は労働組合法の労働者か?

昨日,コンビニ店主が労働組合法の労働者にあたるか

についてブログを投稿した関連で,本日は,

NHKの放送受信契約取次受託者,受信料集金人

である地域スタッフは労働組合法の労働者にあたるか

について解説します。

 

 

引越しシーズンがまっただ中なところ,

新居に引越した後,NHKに引越したことを

連絡しないでいると,夜中にピンポーンとインターホンがなります。

 

 

宅急便でも届いたのかなと思って,表へ出ると,

地域スタッフの人がいて,自宅にテレビを設置していますよね,

NHKの放送受信契約を締結してくださいと言ってきます。

 

 

 

 

子供が生まれて,NHKの教育テレビに

子育てを助けられている今なら喜んで受信料を支払っていますが,

大学生のころであれば,NHKを見ていなくても,

ましてやテレビを見ていなくても,テレビを設置しているだけで,

見てもいないのにNHKの受信料を支払うことに納得がいかず,

地域スタッフが自宅アパートにやってきて,

受信料を引き落とすことになって,

残念な気持ちになったのを覚えています。

 

 

地域スタッフは,夜に自宅アパートに戻ってくる

学生の動向などを把握して,テレビは見ていないから

受信料を支払いたくないと文句を言う人達を粘り強く説得して,

受信料を回収しなければならないので,

大変な仕事やなぁと思います。

 

 

このような地域スタッフですが,

NHKと労働契約を締結しているのではなく,

契約期間が定めれている委託契約を締結しており,

地域スタッフが労働者なのかが争われてきました。

 

 

労働基準法の労働者にあたれば,最低賃金が保障されたり,

よほどのことがない限り解雇されず,手厚く保護されるのですが,

高裁レベルでは,地域スタッフは,

労働基準法の労働者ではないという判断が定着しています。

 

 

高裁レベルでは労働基準法の労働者ではない

と判断されているですが,東京高裁平成30年1月25日判決は

(NHK全受労南大坂支部事件・労働判例1190号54頁),

地域スタッフは,労働組合法の労働者であると判断しました。

 

 

 

 

労働組合法の労働者は,会社との交渉上の対等性を確保するための

労働組合法の保護を及ぼすことが必要かつ適切と認められる者

が含まれるので,労働基準法の労働者よりも,範囲が広いので,

労働基準法の労働者ではなくても,

労働組合法の労働者にあたることがあります。

 

 

そして,労働組合法の労働者に当たるかについては,

契約の実際の運用などの実態に即して,

次の要素を総合考慮して判断されます。

 

 

1 基本的判断要素

 ①事業組織への組み入れ

 ②契約内容の一方的・定型的決定

 ③報酬の労務対価性

2 補充的判断要素

 ④業務の依頼に応ずべき関係

 ⑤広い意味での指揮監督下の労務提供・一定の時間的場所的拘束

3 消極的判断要素

 ⑥顕著な事業者性

 

 

NHKの事業収入の約96%が受信料収入で,地域スタッフは,

受診者の転居の移動状況や受信料の支払状況を把握することが

中心的な業務であり,NHKの事業活動の根幹を成す業務の一つを

担当しており,貢献度が高いことから,

NHKの事業の継続にとって不可欠な存在として

事業組織に組み込まれているとされました(①)。

 

 

地域スタッフに求められる契約取次業務の目標数は

NHKが一方的に決め,NHKから支払われる報酬額も

NHKが決めており,地域スタッフには交渉の余地がないので,

契約内容の一方的・定型的決定が認められます(②)。

 

 

地域スタッフの報酬は,基本給的な性格と歩合給的な性格があり,

全体として労務提供の対価として認められました(③)。

 

 

地域スタッフは,目標達成に向けて業務に関する

事細かな指導を受け,目標達成に至らなかったときには,

委託業務の削減や委託契約の解除につながり,

NHKの指揮監督下に置かれていたと判断されました(⑤)。

 

 

 

 

以上より,地域スタッフは,労働組合法の労働者に該当し,

NHKが団体交渉を拒否することは

不当労働行為に該当するとされました。

 

 

この裁判例をみると,地域スタッフは,

労働基準法の労働者にもあてはまるのではないかと思いますが,

高裁レベルでは否定されているが残念です。

 

 

このように,労働組合法の労働者は広く捉えられているので,

コンビニ店主の事件でも,裁判所において,

労働組合法の労働者と判断されることを願います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

コンビニ店主は労働組合法の労働者か2~中央労働委員会命令~

セブンイレブン東大阪上小阪店の店主が,

24時間営業を辞めて,セブンイレブンの本部と対立していた問題で,

セブンイレブン本部は,店主に対して,

時短営業を理由とする契約解除をしないことを伝えたようです。

 

 

 

 

とりあえず,現状は時短営業が事実上追認されたのですが,

セブンイレブン本部は,24時間営業を維持する方針に

変わりはないようで,今後,この問題がどのように

進展していくのか見守っていきたいと思います。

 

 

さて,コンビニ店主の働き方がクローズアップされている中,

3月15日に中央労働委員会において注目すべき命令をくだしました。

 

 

先日,ブログで紹介した,コンビニ店主を

労働組合法の労働者としたセブンイレブンの

岡山県労働委員会の命令と,ファミリーマートの

東京都労働委員会の命令の判断を覆し,

コンビニ店主は,労働組合法上の労働者ではないと判断されたのです。

 

 

 

 

コンビニ店主にとっては,残念な逆転敗訴でした。

 

 

本日は,3月15日の中央労働委員会の命令について説明します。

 

 

労働組合法の労働者は,相手方との個別の交渉において

交渉力に格差が生じ,契約自由の原則を貫いたのでは

不当な結果が生じる場合に,労働組合を組織して

集団的な交渉によって保護が図れるべき者が含まれます。

 

 

そのため,労働基準法の労働者よりも,

保護される範囲が広いのです。

 

 

労働組合法の労働者に該当するかについては,

次の要素を総合考慮して判断されます。

 

 

1 基本的判断要素

 ①事業組織への組み入れ

 ②契約内容の一方的・定型的決定

 ③報酬の労務対価性

2 補充的判断要素

 ④業務の依頼に応ずべき関係

 ⑤広い意味での指揮監督下の労務提供・一定の時間的場所的拘束

3 消極的判断要素

 ⑥顕著な事業者性

 

 

 

コンビニのフランチャイズ契約は,

本部が一方的定型的に定めており,

コンビニ店主が個別交渉で変更することは困難です(②)。

 

 

コンビニ店主は,本部から経営の助言・指導を受けて,

店舗において長時間働いています(⑤)。

 

 

そのため,都道府県労働委員会は,

コンビニ店主を労働組合法の労働者と認めたのでした。

 

 

しかし,中央労働委員会は,コンビニ店主は,

自ら資金調達をして事業の費用を負担し,

損失や利益の帰属主体として,

自らの判断で従業員の雇用や人事管理を行うことで

他人の労働力を活用し,自ら選択した場所で

コンビニの経営を行っているので,

経営者として相当の裁量を有する独立の小売事業者であり,

本部の労働力として組織に組み込まれていないと判断されました(①,⑥)。

 

 

フランチャイズ契約は,コンビニ店主の労働条件というよりは,

店舗経営という事業活動の態様について規定しており,

本部がその内容を一方的に決定していても,

労働組合法の労働者性を根拠付けることにはならず(②),

コンビニ店主が本部から受け取る金員については,

コンビニ店主の労務供給に対する報酬とはいえない(③),

と判断されました。

 

 

結論として,コンビニ店主は,

独立した小売事業者であって,

労働組合法の労働者に当たらず,

本部が,コンビニ店主が加盟する

コンビニ加盟店ユニオンからの

団体交渉申入に応じなかったとしても,

不当労働行為に当たらないと判断されたのです。

 

 

 

コンビニ店主は,コンビニの店舗を経営しているので,

「労働者」と捉えるのは多少違和感があるものの,

本部との間で,交渉力,資金,情報において,

圧倒的に格差があり,事実上長時間労働をしていることから,

コンビニ店主を保護すべき必要性があり,

現行法では,コンビニ店主を保護する仕組みは,

労働組合法以外にはないのです。

 

 

コンビニ店主個人では力がないのですが,

労働組合法の労働者と認められれば,

コンビニ店主が団体で交渉できて,本部は,

交渉に応じなければならず,対等に交渉でき,

本部に対して,自分達の要望を受け入れてもらえる

可能性がでてくるのです。

 

 

コンビニ店主の現状を見ると,

労働組合法の労働者として保護するか,

本部とコンビニ店主の法律関係を規律する

フランチャイズ法などを制定するか,

のどちらかが必要だと考えます。

 

 

コンビニ加盟店ユニオンは,

中央労働委員会の命令を不服として,

行政訴訟を提起するようですので,

裁判所において,コンビニ店主が労働組合法の労働者

として認められるのか,注目していきたいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

コンビニの店主は労働組合法の労働者か

セブンイレブン東大阪南上小阪店の店主が,

人手不足を根拠に24時間営業をやめて,

営業時間を短縮したところ,本部のセブンイレブンジャパンから

フランチャイズ契約の解除と,違約金1700万円の支払いを

求められたことが大きく報道されています。

 

 

 

セブンイレブン本部としては,例外を一つでも作ってしまうと,

なし崩し的に24時間営業が守られなくなり,

24時間営業でがんばっている店主の不満が大きくなり,

コンビニのシステムが維持できなくなることから,

24時間営業を維持したいのだとと考えられます。

 

 

他方,コンビニの店主としては,人手不足が深刻であり,

店主が過労死するくらい働かないと店舗を維持できず,

コンビニが持続していくためには,24時間営業を見直す必要がある

と考えていると思われます。

 

 

そして,コンビニを利用する消費者としては,

店主が過労死するまで働かなければいけないのであれば,

24時間営業でなくても,そこまで不便ではないし,

全ての店舗で24時間営業にしなくてもいいのではないか

と思う人が多いような気がしており,

セブンイレブン東大阪南上小阪店の店主の対応に

共感が広がっているのではないかと考えています。

 

 

一人の店主の意見であれば,一蹴されてしまいますが,

多くの店主や消費者も同じ意見を述べれば,

セブンイレブン本部としても,無視できず,

夜間営業を短縮する実験にのりだしました。

 

 

それに,呼応するように,コンビニ加盟店ユニオンが,

セブンイレブン本部に対して,

24時間営業の見直しを求める団体交渉を求めました。

 

 

 

 

しかし,セブンイレブン本部は,この団体交渉を拒否しました。

 

 

このセブンイレブン本部の団体交渉の拒否は許されるのでしょうか。

 

 

コンビニの店主が,労働組合法の「労働者」といえれば,

セブンイレブン本部は,団体交渉に応じなければならず,

今回の団体交渉の拒否は違法となります。

 

 

コンビニの店主は,コンビニの本部との間で

フランチャイズ契約を締結します。

 

 

フランチャイズ契約とは,店主が本部から商品仕入れや

販売促進の援助という継続的なサービスを受ける代わりに,

店主は,本部に対してロイヤリティーという対価を支払います。

 

 

そして,店主は,アルバイトを雇ったり,

商品の仕入れを行うなど,自分の資金を投入して,

コンビニを経営する個人事業主なので,

労働者とはいえないとも考えられます。

 

 

しかし,個人事業主であっても,コンビニ本部との個別の交渉では,

交渉力に大きな格差が生じており,

契約自由の原則のままでは不当な結果が生じることから,

労働組合を組織して,集団的な交渉によって

保護が図られる必要があります。

 

 

そのため,平成26年3月13日の岡山県労働委員会と

平成27年3月17日の東京都労働委員会は,

コンビニの店主は,労働組合法の労働者であるとして,

コンビニ店主が加盟するユニオンとの団体交渉を拒否したことは

違法であると判断しました。

 

https://www.mhlw.go.jp/churoi/meirei_db/mei/m11368.html

 

https://www.mhlw.go.jp/churoi/meirei_db/mei/m11486.html

 

 

すなわち,コンビニの店主は,コンビニの本部会社の

業務遂行に不可欠で枢要な労働力として,組織内に組み込まれており,

コンビニの本部会社がフランチャイズ契約の内容を一方的,

定型的に決定しており,コンビニの店主の受け取る金員は

労務の供給に対する対価に類する収入の性格があり,

実態上,コンビニの本部会社からの業務の依頼に対して

応じるべき関係にあり,コンビニ店主は,

コンビニの本部会社の指揮監督の下で経営を行っていることから,

労働組合法の労働者と判断されたのです。

 

 

 

 

もっとも,コンビニ本部が,労働委員会の命令に不服を申立てたので,

現在,中央労働委員会で審理が続いており,結論は固まっていません。

 

 

コンビニの店主が労働組合法の労働者であるという

判断が確定すれば,コンビニの店主が団結して,

24時間営業の見直しを求めれば,強い交渉力を発揮でき,

コンビニ本部会社が譲歩してくる可能性が高まります。

 

 

数は力です。

 

 

コンビニの店主は,コンビニ本部会社に対して立場が弱くても,

団結することで交渉力を強くできるのです。

 

 

中央労働委員会において,コンビニの店主に

有利な判断がなされることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

住宅設備機器の修理補修をする個人事業者は労働組合法の労働者か?

昨日のヤマハ英語教室の英語講師は,

労働組合法3条の「労働者」にあたるのか

というブログ記事に関連して,本日は,

労働組合法3条の「労働者」にあたるのかが争われた

INAXメンテナンス事件を紹介します

(最高裁平成23年4月12日判決・労働判例1026号27頁)。

 

 

INAXの子会社であるINAXメンテナンスは,

住宅設備機器の修理補修などの会社であり,

INAX製品の消費者からの依頼で

修理業務に応じる個人事業者である

カスタマーエンジニア(CEといいます)

との間で業務委託契約を締結していました。

 

 

 

 

CEは,受付センターから顧客からの修理依頼の連絡を受け,

直接,修理依頼をしてきた顧客と連絡,打ち合わせをして

修理業務を行い,その報酬は,顧客の代金に,

ランクごとに異なる比率で定められた基準に従って支払われており,

源泉徴収や社会保険料の控除は行われずに,

個人事業の収入として扱われていました。

 

 

CEらが加入する労働組合が,会社に対して,

組合員の契約内容の変更や解除を一方的に行わないこと,

組合員の年収を保障すること(最低年収550万円),

CE全員を労災保険に加入させることを要望し,

団体交渉を申し入れました。

 

 

しかし,会社は,CEは独立した個人事業者であることから,

労働組合法の労働者に当たらないので,

団体交渉に応じる義務はないとして,

団体交渉に応じませんでした。

 

 

そこで,労働組合は,労働委員会に対して,

会社が正当な理由なく団体交渉を拒否しているとして,

不当労働行為の救済を求めたところ,

労働委員会は,会社が団体交渉に応じなかったことは

不当労働行為に該当し,団体交渉に応じることと

謝罪文の交付を会社に対して命令しました。

 

 

 

 

これに対して,会社が,労働委員会の救済命令の

取消を求めて裁判を起こしました。

 

 

このように,労働組合に対する不当労働行為の事件は,

地方労働委員会→中央労働委員会→

地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所という,

事実上5審制になっており,

解決までに長い年月がかかってしまいます。

 

 

さて,最高裁は,昨日ブログで紹介した,

労働組合法上の労働者性の判断基準である

基本的判断要素,補充的判断要素,消極的判断要素

について,次のようにあてはめて判断しました。

 

 

①事業組織への組み入れについて,

INAXメンテナンスは,約590人いるCEを

ライセンス制度などの下で管理し,

全国の担当地域に配置を割り振って

日常的な修理補修の業務に対応させていたので,

CEは,会社の業務遂行に不可欠な労働力として,

その恒常的な確保のため,組織に組み込まれていたと判断されました。

 

 

②契約内容の一方的・定型的決定について,

本件業務委託契約は,「業務委託に関する覚書」によって規律されており,

個別の修理補修の依頼内容をCEが変更する余地がなかったため,

会社が業務委託契約の内容を一方的に決定していたと判断されました。

 

 

③報酬の労務対価性について,

CEの報酬は,商品や修理内容にしたがって

予め決定した顧客に対する請求金額に,

会社が決定した級ごとに定められた一定率をかけて,

これに時間外手当に相当する金額

が加算される方法で支払われていたので,

労務提供の対価としての性質を有すると判断されました。

 

 

④業務の依頼に応ずべき関係について,

CEが仕事の依頼を拒否する割合は1%弱であり,

業務委託契約の契約期間は1年であり,

会社が異議を出せば更新されないことになっていたため,

CEは,会社からの個別の修理補修の依頼に

応ずべき関係にあったと判断されました。

 

 

⑤広い意味での指揮監督下の労務提供,

一定の時間的場所的拘束について,

CEは,原則として午前8時30分から午後7時まで

発注連絡を受けること,会社の制服を着用して作業をし,

会社に報告書を提出していたことから,これも認められました。

 

 

以上より,CEは,労働組合法3条の労働者と判断され,

会社の団体交渉の拒否は不当労働行為に該当するとされました。

 

 

形式的に業務委託契約を締結して個人事業者と扱われていても,

上記の判断要素にあてはめていけば,

実質的に労働組合法上の労働者といえるケースはたくさんあると思います。

 

 

 

 

そのような場合,労働組合を結成して,

会社と交渉することで,組合員の労働条件を

向上させることができるかもしれません。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

ヤマハの英語講師は労働組合法上の労働者なのか?

朝日新聞の報道によれば,

ヤマハミュージックジャパンが運営する

英語教室で働く女性講師14人が労働組合を結成し,

会社に対して,待遇改善を求める団体交渉を申し入れたようです。

 

https://www.asahi.com/articles/ASM1N56MDM1NPTIL00G.html

 

 

ヤマハの英語講師は,ヤマハと労働契約ではなく

委任契約を締結しており,形式上は個人事業主となっているようで,

社会保険が適用されておらず,

残業代の支払いがなく,有給休暇もないようです。

 

 

このように,実態は労働者なのですが,

会社は,労働者であると認めれば,労働基準法に従い,

残業代を支払い,有給休暇を取得させなければならず,

社会保険料も負担しなければならないので,

これらの負担を免れるために,形式的に

委任契約や代理店契約,業務委託契約を締結していることがあります。

 

 

このような事件では,形式的に委任契約等を締結している者が

「労働者」といえるかどうかが争点となります。

 

 

 

そして,「労働者」には,

労働基準法9条に定められている「労働者」と,

労働組合法3条に定められている「労働者」があります。

 

 

ヤマハの英語講師の問題は,

労働組合法3条の「労働者」に該当するかという問題であり,

労働組合法3条の「労働者」に該当すれば,会社は,

労働組合との間で誠実に団体交渉を行う義務を負うことになります。

 

 

では,労働組合法3条の「労働者」といえるためには,

どのような要素を満たす必要があるのでしょうか。

 

 

労働組合法3条には,「労働者」とは,

「賃金,給料その他これに準ずる収入によって生活する者」

と定義されており,会社から使用されていることが

要件となっていないため,失業者も含まれる点において,

労働基準法9条の「労働者」よりも広い概念なのです。

 

 

そして,労働組合法3条の「労働者」は,

自分の労働力を提供して対価を得て生活しているため,

会社との個別の交渉において交渉力に格差が生じていることから,

労働組合を結成し,集団的な交渉による保護が図られるべき者が

幅広く含まれる必要があります。

 

 

そこで,以下の要素をふまえて総合的に判断されます。

 

 

1 基本的判断要素

 

 

①事業組織への組み入れ

(業務遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されており,

労働力の利用をめぐり団体交渉によって問題を解決すべき関係があること)

 

 

②契約内容の一方的・定型的決定

(労務提供者側に団体交渉による保護を保障すべき交渉力格差があること)

 

 

③報酬の労務対価性

 

 

2 補充的判断要素

 

 

④業務の依頼に応ずべき関係

(労働力の処分権を契約の相手方に委ねているかどうか)

 

 

⑤広い意味での指揮監督下の労務提供,一定の時間的・場所的拘束

(人的従属性を推認させ,労働者性を肯定する方向に働く)

 

 

3 消極的な判断要素

 

 

⑥顕著な事業者性

(事業組織からの独立性や契約内容等の交渉可能性等を推認させる事情)

 

 

以上の要素をヤマハ英語教室にあてはめてみます。

 

 

 

まず,①英語教室では英語講師がいないと授業ができませんので,

ヤマハの英語講師は,ヤマハ英語教室の業務遂行に

不可欠な労働力として組織に組み入れられているといえます。

 

 

次に,②ヤマハと英語講師の委任契約の内容はわかりませんが,

おそらく定型的な契約様式が使用されており,

ヤマハが一方的に契約内容を決定していることが予想されます。

 

 

③英語講師は,レッスンの回数などに応じて

報酬が決められていると思われ,

報酬はレッスンの対価といえそうです。

 

 

④英語講師は,ヤマハからレッスンの依頼を断れば,

自分の報酬が減り,生活が苦しくなるので,

ヤマハからの仕事の依頼を拒否することはないと考えられます。

 

 

⑤英語講師は,ヤマハの指定する教室で,

ヤマハの教材を使うように指示されており,

ヤマハの指揮監督下にあるといえそうです。

 

 

⑥英語講師は,他人の労働力を利用できず,

自分の才覚で利得する機会があるといえず,

個人事業主とは評価できないと考えられます。

 

 

以上より,ヤマハの英語講師は,

労働組合法3条の「労働者」に該当すると考えられます。

 

 

 

 

ヤマハが英語講師の組合との団体交渉に誠実に対応し,

英語講師の待遇改善がなされることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。