就業時間中に私用メールをしたら解雇されてしまうのか

1 私用メールを原因とする解雇

 

 

昨日に引き続き,労働者が勤務時間中に私用メールや

パソコンの私的利用をしたことが問題となった裁判例を紹介します。

 

 

グレイワールドワイド事件の東京地裁平成15年9月22日判決

(労働判例870号83頁)です。

 

 

この事件では,原告労働者が,就業時間中の私用メール,

上司への批判や誹謗中傷などを理由に解雇されました。

 

 

 

まず,就業時間中の私用メールについて,

労働者は会社の指揮命令に服しつつ

職務を誠実に遂行すべき義務を負い,

就業時間中は職務に専念し

他の私的活動を差し控えるべき義務を負っています。

 

 

そのため,就業時間中の私用メールは,

この職務専念義務に違反するリスクがあるのです。

 

 

もっとも,労働者といえども個人として社会生活を送っている以上,

就業時間中に外部と連絡をとることが一切許されないわけではなく,

就業規則に特段の定めがない限り,職務遂行の支障とならず,

会社に過度の経済的負担をかけないなど,

社会通念上相当と認められる限度で

会社のパソコンを利用して私用メールを送受信しても,

職務専念義務に違反することにはなりません。

 

 

この事件では,被告会社は,就業時間中の私用メールを

明確には禁止しておらず,就業時間中に原告労働者が

送受信したメールは1日あたり2通程度であり,

それによって原告労働者が職務遂行に支障をきたしたとか

被告会社に過度の経済的負担をかけたとは認められず,

社会通念上相当な範囲内にとどまるので,

職務専念義務違反は認められませんでした。

 

 

メールの回数頻度や,どのような内容のメールであったか,

会社に私用メールを禁止する就業規則があるか,

といった事情を検討することになります。

 

 

2 解雇を争うポイント

 

 

次に,解雇については,最後手段の原則や将来予測の原則を検討します。

 

 

 

最後手段の原則とは,労働者に落ち度があったとしても,

警告・指導,教育訓練,職種や配置の転換,休職など,

解雇を回避するための措置を講じても,

なお労働者の落ち度が改善されない場合に,

初めて解雇が有効になるということです。

 

 

将来予測の原則とは,労働者の落ち度が将来にわたって

反復継続すると予測されることが必要であるということです。

 

 

要するに,労働者の落ち度が労働契約関係を終了させても

やむを得ない程度に達していることが必要なのです。

 

 

そして,労働者の反省の有無,その他の情状,

他の労働者に対する処分との均衡などの事情を総合考慮して,

解雇という手段を選択することが

社会通念上相当といえるかを判断します。

 

 

この事件では,原告労働者の上司に対する批判は,

会社の対外的信用を害するものとして,

誠実義務の観点から不適切であるものの,

原告労働者は,約22年にわたり被告会社で勤務して,

その間,なにも問題行動をしておらず,

良好な勤務実績をあげて被告会社に貢献してきたことから,

本件解雇は,客観的合理性と社会的相当性がないとして,

無効となりました。

 

 

解雇が有効になるか無効になるかについては,

判断に迷うことが多いのですが,

最後手段の原則,将来予測の原則,社会的相当性を主張して,

解雇が無効になることもあります。

 

 

解雇された場合には,一度,弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

復職時の労働条件の引下げを拒否しても不就労期間の未払賃金が認められることがあります

1 方便的解雇の撤回の問題

 

 

労働者が解雇を争う場合,解雇が無効であるとして,

労働者としての地位があることの確認の請求と,

解雇期間中の未払賃金の請求をすることがほとんどです。

 

 

労働者のこの請求が認められるためには,労働者に,

解雇された会社で就労する意思が認められる必要があります。

 

 

そこで,解雇された労働者は,解雇した会社に対して,

解雇は無効なので,働かせるように求めていきます。

 

 

本音では解雇された会社で働きたいと考える労働者は少ないのですが,

建前として,働かせるように求めるのです。

 

 

 

通常の会社であれば,解雇は有効なので,

戻ってくるなと主張してきます。

 

 

こういう会社であれば,労働者側弁護士としては争いやすいです。

 

 

ただ,中には嫌らしい会社もあり,解雇を撤回するので,

戻ってくるように主張してくる会社もあります。

 

 

解雇が無効になるかもしれないので,

とりあえず解雇を撤回して,

解雇した労働者を会社に戻して,

戦略的にパワハラをして自己都合退職に追い込もうとするのです。

 

 

これを方便的解雇撤回といいます。

 

 

方便的解雇撤回については,労働者側弁護士は争いにくくなので,

どのように対処すべきかについて頭を悩ませます。

 

 

本日は,方便的解雇に対処するにあたり,

参考になる裁判例を見つけたので,紹介します。

 

 

2 休職から復職するときの労働条件引下げを拒否して未払賃金請求が認めれた事例

 

 

一心屋事件の東京地裁平成30年7月27日判決

(労働判例1213号72頁)です。

 

 

この事件は,解雇ではないのですが,

労災事故にあい,休職していた原告の労働者が,

職場復帰する際に,会社から,従前の労働条件から

不利益に変更する内容の労働条件の提示を受けて,

それを拒んだ際に,従前の労働条件をもとに

未払賃金の請求ができるかが争われました。

 

 

被告の会社は,休職から復職するにあたり,

原告の労働者に対して,管理職から平社員とするので,

これまで支給していた様々な手当を支給しないようになるので,

概ね9万円の賃金を減額することを復職の条件として提示しました。

 

 

 

これに対して,原告の労働者は,

被告の会社の復職条件には応じず,

休職前の労働条件での復職を希望しました。

 

 

裁判所は,被告の会社の提案は,

人事権行使の裁量の範囲に留まらない賃金減額を含むもので,

原告の労働者の同意なく一方的に決定できないとしました。

 

 

そして,被告の会社は,

労働条件の不利益変更に関する同意書に署名しない限り,

原告の労働者の就労を受け入れない

との態度を示していたものと評価できるので,

被告の会社には,原告の不就労について,

責めに帰すべき事由があるとして,

原告の労働者の休職前の賃金の金額での

未払賃金の請求が認められました。

 

 

方便的解雇の撤回の場合,会社は,復職の条件として,

労働条件を引下げてくることがありますので,そのような場合には,

会社に責めに帰すべき事由があるとして,復職を拒否しても,

解雇前の賃金の金額での未払賃金の請求が認められることがあるのです。

 

 

実務で問題となる方便的解雇の撤回について,

対応方法を考えるに際して参考になる裁判例でするので,紹介しました。

 

 

新型コロナウイルスの感染が拡大してきたので,今後,

解雇の相談が増えるかもしれないので,参考になると思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

客室乗務員に対する整理解雇が有効となった事例

1 整理解雇が増加しそうです

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞などの影響により,

今年の5月から6月にかけて,解雇や雇止めが増加しています。

 

 

会社の業績悪化を理由とする解雇を整理解雇といい,

今後も,整理解雇が増えていくことが予想されます。

 

 

 

整理解雇に関する労働相談のニーズが増えていくので,

どのような場合に,整理解雇が無効になるのかを

知っておくことが重要になります。

 

 

2 整理解雇の4要件(4要素)

 

 

整理解雇は,会社の経営事情によってされる解雇であり,

労働者には落ち度がないので,整理解雇が有効になるかについては,

次の4要件(4要素)を総合考慮して,厳格に判断されます。

 

 

①人員削減の必要性

 

 

 ②解雇回避努力を尽くしたこと

 

 

 ③人選の合理性

 

 

 ④労働者や労働組合に対する説明・協議

 

 

裁判では,この4つの要件(要素)について,

どのような事実をどのように評価してあてはめるのかが

重要になりますので,裁判例を検討することが有意義となります。

 

 

3 客室乗務員の整理解雇事件

 

 

そこで,本日は,最近の整理解雇の事案である

ユナイテッド・エアーラインズ事件の

東京地裁平成31年3月28日判決

(労働判例1213号31頁)を紹介します。

 

 

この事件は,グアムに本社がある航空会社の

成田ベースで勤務していた客室乗務員が,

成田ベースが閉鎖されることに伴い整理解雇されました

(子会社が親会社に吸収合併される過程で,

成田ベースが閉鎖となりました)。

 

 

 

整理解雇の4要件(要素)の①について,

グアムと成田の路線の旅客数が減少し続けており,

客室乗務員の業務量が減少していたこと,

成田ベースの客室乗務員の業務を

グアムベースの客室乗務員に担当させることで,

約10万ドルを超えるコスト削減が可能であったこと,

から人員削減の高度の必要性があったと判断されました。

 

 

②について,被告会社は,客室乗務員の年収と同じ水準で

地上職のポストを選択肢として示していたこと,

退職金に加えて20ヶ月分の特別退職金を加算して

支払うという早期退職の提案をしていたとして,

相当に手厚い解雇回避努力を尽くしていたと判断されました。

 

 

③について,希望退職や地上職への配置転換に応じない,

成田ベースの客室乗務員が全員,整理解雇の対象になっているので,

人選に不合理な点は見当たらないと判断されました。

 

 

④について,労働組合との交渉経過や

原告らに対する説明を踏まえても,

被告会社の交渉態度に不誠実な点は見当たらず,

説明が不相当であったこともないと判断されました。

 

 

結果として,整理解雇は有効と判断されました。

 

 

会社の経営状態がどこまで悪化していたのかについて,

もう少し検討する必要があったのではないかと考えますが,

成田ベースを閉鎖する経営判断が不合理とはいえず,

退職金を優遇する希望退職などの解雇回避努力がなされていることから,

総合判断として,整理解雇が有効になりました。

 

 

解雇回避努力として,退職金を優遇する希望退職

がとられたかは一つのポイントになります。

 

 

また,事業所が閉鎖されて,事業所にいた

労働者全員を整理解雇する場合には,

人選の合理性が問題となりにくいようです。

 

 

解雇事件については,裁判所のあてはめを知る必要がありますので,

紹介しました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

勤務成績不良を理由とする解雇を争うポイント

1 今後は解雇が増える見込みです

 

 

2020年6月26日時点における,厚生労働省の

「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」

という資料によりますと,解雇などをされそうな見込みのある労働者数は,

全国で28,173人のようです。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000644688.pdf

 

 

石川県では,439人が解雇などをされそうな見込みのある労働者数

として挙げられています。

 

 

首都圏を中心に再び感染者が増加傾向にありますが,

新型コロナウイルスの感染拡大が一応は収まった段階においても,

停滞した経済がすぐに活性化するわけではなく,

経営が悪化した企業は,人件費を削減するために,

解雇や雇止めをしてくることが予想されます。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大時期には,

休業手当の支払や賃金の減額の法律相談が多かったのですが,

今後は,解雇や雇止めの法律相談が増えてきそうです。

 

 

 

経営状況が悪化してきたことから,

これを機にもともと経営者にとって気に入らなかった

労働者を解雇するような動きもあります。

 

 

例えば,経営状況が悪化してきたものの,

リストラをしなければならないほどまでには悪化していないので,

問題のある労働者を解雇するような場合です。

 

 

2 勤務成績不良を理由とする解雇

 

 

勤務成績が悪いことや協調性がないことを理由として解雇するのです。

 

 

このような解雇が無効となるのかを検討するにあたり,

参考になる裁判例を紹介します。

 

 

アルバック販売事件の神戸地裁姫路支部平成31年3月18日判決

(労働判例1211号81頁)です。

 

 

この事件は,争点がたくさんあるのですが,

解雇についの判断部分を紹介します。

 

 

この事件では,原告の労働者の勤務態度や勤務成績が不良

という解雇理由が問題となったところ,

裁判所は,次のように判断しました。

 

 

単に労働者の勤務成績や勤務態度が不良であるという範疇を超えて,

その程度が著しく劣悪であり,会社が改善を促したにもかかわらず,

改善がないといえるか,会社の業務全体にとって相当な支障

となっているかなどの点を総合考慮して判断するとしたのです。

 

 

この事件では,原告の労働者は,

取引先との間でトラブルがあったものの,

取引が破談になったり,会社が取引先を失うなどの

会社に大きな損害が発生したわけではありませんでした。

 

 

また,原告の労働者は,トラブルについて,

謝罪をしたり,トラブルの原因を報告し,

同じ原因によるトラブルを起こしていませんでした。

 

 

そのため,裁判所は,勤務態度や勤務成績を理由とする解雇について,

客観的合理的理由がないと判断しました。

 

 

さらに,被告の会社が主張している解雇理由が

2年前や1年半前の出来事で古く,

次に取引先とトラブルを起こせば,

解雇を予定していることなどを原告の労働者に

明確に示す注意や指導をしておらず,

解雇よりも軽い懲戒処分などの

他の手段を検討していませんでした。

 

 

そのため,被告会社は,解雇までの間に踏むべき

段取りを踏んでいないとして,

社会通念上相当でないと判断されました。

 

 

結果として,解雇は無効と判断されたのです。

 

 

このように,勤務成績が不良であることを理由とする解雇は,

会社に損害が生じていなかったり,

次に問題を起こしたら解雇するという

イエローカードを告知していなかったり,

古い出来事を持ち出した場合には,

無効になる可能性があります。

 

 

 

解雇されてもあきらめずに,自分の主張を貫くことで,

会社に対する金銭請求が認められることがありますので,

解雇された場合には,弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

ロイヤルリムジングループ整理解雇の仮処分手続で和解成立

1 ロイヤルリムジングループ整理解雇事件

 

 

タクシー事業を営むロイヤルリムジングループが,

新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化で大半の事業を休止して,

約600人もの運転手を解雇したため,

タクシー運転手が労働者としての地位確認を求める

仮処分の申立てをした事件で,和解が成立したようです。

 

 

https://mainichi.jp/articles/20200608/k00/00m/040/247000c

 

 

和解において,雇用継続が確認され,

休業手当の支払いや事業再開時の職務復帰が認められたようです。

 

 

ロイヤルリムジングループでは,

一部のタクシー会社ではまだ休業が続いているようですが,

休業手当が支払われることとなり,

事業が再開したときに職場復帰できるのは画期的です。

 

 

 

本日は,この和解について検討します。

 

 

2 整理解雇

 

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響で業績が悪化したことを

理由とする解雇を整理解雇といいます。

 

 

整理解雇では,

①人員削減の必要性,

②解雇回避努力義務,

③人選の合理性,

④労働者への説明などの手続の相当性,

という4つの要件(要素)を総合考慮して,

整理解雇が有効か無効かが判断されます。

 

 

ロイヤルリムジングループの事件では,

新型コロナウイルスの感染拡大によって,

人の移動が制限され,タクシーに乗る人が激減したので,

ロイヤルリムジングループには,

①人員削減の必要性は一定程度あったと考えられます。

 

 

しかし,雇用調整助成金を活用することなく,いきなり,

約600人ものタクシー運転手を解雇したので,

②解雇回避努力義務を尽くしておらず,

④労働者に対して,適切な説明を尽くしていなかったと考えられます。

 

 

そのため,ロイヤルリムジングループの整理解雇は

無効と判断される可能性は十分にありました。

 

 

3 仮処分

 

 

また,この事件は,緊急事態宣言の状況下で進行していたので,

裁判所に早急に審理してもらうために,

仮処分という裁判手続がとられました。

 

 

仮処分では,保全の必要性という要件を満たす必要があります。

 

 

労働事件における保全の必要性とは,

通常の裁判で解雇を争っていたのでは,時間がかかり,

労働者が困窮して生活が危機に瀕する状況になることをいいます。

 

 

労働者が解雇されても,

いくらか貯蓄が残っていたり,

配偶者が働いているので,

当面の生活はなんとかやりくりできるのであれば,

保全の必要性はないとして,

仮処分は認められないことが多いです。

 

 

そのため,労働事件ではあまり,

仮処分を利用することが少ないです。

 

 

もっとも,ロイヤルリムジングループ事件では,

解雇されたのがタクシー運転手で,高齢な方ですと,

新型コロナウイルスの影響で次の就職先を見つけるのが

非常に困難ですので,保全の必要性が認められる余地がありました。

 

 

以上のことから,ロイヤルリムジングループ事件では,

裁判官が,解雇は無効で,保全の必要性もあることから,

仮処分決定を出せる心証を抱いたので,

労働者に有利な和解案を提示して,

和解がまとまったのだと予想されます。

 

 

4 和解

 

 

裁判手続では,最終的に白黒はっきりつける判決や決定に至る前に,

和解で事件が解決することの方が多いです。

 

 

 

判決や決定が出ても,相手方が控訴などをすると,裁判は続き,

解決に時間がかかるのですが,和解であれば,

控訴などはなく,その時点で事件は終結します。

 

 

また,判決や決定では,相手方が任意に支払いに応じない場合には,

相手方の財産を差し押さえるなどの強制執行手続

という別の裁判手続をしなければなりませんが,

和解であれば,相手方も納得しているので,

任意の支払いに応じることが多いです。

 

 

このように,和解には,トラブルを解決するための

時間を短縮できること,支払いの確実性があがることの

メリットがあるので,和解ができるのであれば,

和解で事件を解決することが多いのです。

 

 

労働事件では,一度裁判で争った経緯があるので,

解雇された労働者が職場に復帰するのはなかなか難しいのですが,

ロイヤルリムジングループでは,

多くの労働者が裁判に立ち上がったので,

会社側も,大勢の声を無視することはできず,

職場復帰に応じざるをえなかったのかもしれません。

 

 

会社から酷い仕打ちを受けたときには,

労働者が団結して,会社に対して,

しっかりと物申すことが重要ですね。

 

 

多くの労働者の職場復帰が認められるのは珍しいので,

画期的な和解だと思います。

 

 

今後の解雇事件で活用できる解決の方法だと考えられます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

加賀温泉郷の旅館やホテルの解雇から整理解雇の人員削減の必要性を検討する

1 加賀温泉郷の旅館やホテルで解雇が多発しています

 

 

石川県の加賀温泉郷の旅館やホテルにおける解雇が増えてきています。

 

 

小松市の粟津温泉の老舗旅館の辻のや花乃庄は,

全従業員約50人を6月末で解雇するようです。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/20200603/3020005059.html

 

 

また,加賀市片山津温泉のホテル北陸古賀乃井と,

山代温泉のホテル大のやにおいても,

両旅館の全従業員約70人が,

施設の老朽化により改修を検討する必要があり,

長期休館することから,解雇通告を受けたようです。

 

 

https://www.chunichi.co.jp/article/68748

 

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響で,

休館を余儀なくされている旅館やホテルが多く,

宿泊業における解雇や雇止めが業種別の中で最も多いようです。

 

 

 

2 整理解雇

 

 

このような経営悪化を理由とする解雇を整理解雇といいます。

 

 

整理解雇は,経営側の事情で解雇をするのであり,

労働者には落ち度がないため,厳格に判断されます。

 

 

具体的には,①人員削減の必要性,

②解雇回避努力義務,

③人選の合理性,

④手続の相当性(労働者に対して説明を尽くしたか),

という整理解雇の4要件(要素)を総合考慮して,

整理解雇が無効となるかが判断されます。

 

 

本日は,このうちの①人員削減の必要性について解説します。

 

3 人員削減の必要性

 

 

①人員削減の必要性については,

⑴企業が倒産の危機にある場合,

⑵企業が客観的に高度の経営危機下にある場合,

⑶企業の合理的運営上やむを得ない必要性がある場合,

⑷経営方針の変更等により余剰人員が生じた場合,

など様々な程度があります。

 

 

このように,どの程度の人員削減の必要性があればいいのかについては,

会社の経営判断にかかることですので,なかなか判断が難しいです。

 

 

そこで,人員削減の要否という経営判断の前提となる

事実認識の過程において,どの程度の情報を収集し,

どのような視点からその分析・検討をしたか,及び,

その事実認識に基づき,人員削減の必要性があるとの

経営判断に至った意思決定の推論過程及び内容に,

どの程度の合理性を認めることができるか

という判断基準を設定して検討します。

 

 

すなわち,会社がどういった情報を集めて,

どのような事実を認識し,その認識した事実に基づいて

人員削減が必要との判断に至ったのか,

その具体的プロセスの内容を会社に主張させて,

証明させることがポイントになります。

 

 

 

人員削減の必要性の判断材料になる事情には,

収支や借入金の状態,

取引先との取引量の動向,

資産状況,

人件費や役員報酬の動向,

社員の採用動向,

業務量,

株式配当

などがあげられます。

 

 

例えば,希望退職や退職勧奨が行われて,

既に自己都合退職した労働者がいる場合,

人員削減がある程度達成されていれば,

会社がさらに人員削減をする必要があったのかという

判断のプロセスが厳格に判断されることになります。

 

 

あくまで,人員削減の対象は,その必要性に見合った

適正な範囲であることが要請されますので,

その範囲を超える人員削減は許されないのです。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響による整理解雇の場合でも,

上記の観点から,人員削減の必要性は検討されるべきです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

生出演したテレビでは語り尽くせなかった解雇された場合の対処法

1 NHK金沢放送局のテレビ番組に生出演させていただきました

 

 

5月29日19時30分に放送された,

NHK金沢放送局のいしかわ令和プレミアム

「取り戻せぬ日常~緊急事態宣言解除の裏で~」

という番組に生出演させていただきました。

 

https://www4.nhk.or.jp/P5762/x/2020-05-29/21/50527/8332066/?fbclid=IwAR1UGZqmryLialIIfTTnR_i-cbKHcy4hVIOlQGzcij6orKOTh4JE4q3NTQk

 

 

テレビ番組に生出演する機会はなかなかないため,とても緊張しました。

 

 

 

テレビ番組を作成している方々の大変さがわかり,勉強になりました。

 

 

この番組では,新型コロナウイルスの感染拡大で

雇用が危機的な状況にあることから,

労働者が解雇や雇止めをされた場合に,

どのように対処すべきかについて,

コメントさせていただきました。

 

 

私の出番は,番組の最後で,かつ,生出演なので,

編集がきかないため,詳しく説明することなく,

端的にコメントをしました。

 

 

そこで,本日は,テレビでは説明しきれなかった

解雇されたときの対処法について説明します。

 

 

2 解雇か退職勧奨なのかを確認する

 

 

まずは,本当に会社から解雇されたのかを確認しましょう。

 

 

会社から,文書で解雇を通告されていれば,問題ありませんが,

社長から「辞めてくれないか」と口頭で言われたことを

解雇と早合点してしまう労働者がいらっしゃいます。

 

 

「辞めてくれないか」というのは,退職勧奨という,

会社からのお願いでしかありません。

 

 

そのため,労働者が会社を辞めたくないのであれば,

退職勧奨に応じる必要はなく,きっぱりと断ればいいのです。

 

 

退職勧奨をされただけなのに,解雇されたと早合点して,

会社にいかなくなると,無断欠勤を理由に解雇されるおそれがあります。

 

 

会社に対して,退職勧奨なのか,

解雇なのかを文書で明確にさせるといいでしょう。

 

 

3 解雇理由証明書の交付を求める

 

 

次に,解雇の理由を文書で明らかにさせましょう。

 

 

 

解雇の事件では,会社が主張する解雇理由について,

そのような解雇理由が本当にあったのかや,

そのような解雇理由で解雇することが相当なのか

を争っていくことになります。

 

 

そのため,攻撃対象である,

会社が主張する解雇理由を特定する必要があるのです。

 

 

労働基準法22条により,会社は,

労働者から解雇理由証明書の交付を求められた場合,

遅滞なく,これを交付しなければならないのです。

 

 

解雇理由証明書に記載されている解雇理由に

なっとくできない場合には,弁護士に相談して,

解雇を争うかを検討していくことになります。

 

 

会社から交付された解雇理由証明書に記載されている

解雇理由が抽象的な場合には,具体的にはどのようなことなのかを

文書で明らかにするように求めていきます。

 

 

4 就労の意思を表示する

 

 

弁護士に相談して解雇を争うと決めた場合には,会社に対して,

解雇が無効であることと就労の意思があることを,文書で通告します。

 

 

解雇を争う裁判では,解雇が無効なので,

労働者としての地位があることの確認と,

解雇期間中の未払賃金の請求をするのですが,

それらの請求をするには,労働者に就労の意思があることが

必要だからなのです。

 

 

解雇された会社に復職するつもりはなく,

会社に一矢報いるために金銭的な請求だけをしたい場合であっても,

解雇した会社に対して,就労させるように

求めていくことが重要になります。

 

 

5 解雇予告手当と退職金は請求しない

 

 

突然解雇された場合には,会社に対して,

30日分以上の平均賃金である解雇予告手当を請求できます。

 

 

しかし,解雇を争う場合には,会社に対して,

解雇予告手当を請求してはいけません。

 

 

解雇予告手当を請求すると,退職を前提としているとして,

就労の意思が否定されるリスクがあるからです。

 

 

これと同じように,退職金を請求することも,

退職を前提としているとして,

就労の意思が否定されるリスクがあります。

 

 

そのため,解雇を争う場合には,

解雇予告手当と退職金を請求しないようにしましょう。

 

 

6 失業給付を受給する

 

 

解雇をされると収入を失うことになるので,

当面の生活費を確保するために,

ハローワークに離職票を提出して,

失業給付を受給します。

 

 

 

会社に対して,離職票を請求しても,

解雇を争うこととは矛盾しませんので,

失業給付を受給するために,会社に対して

離職票の交付を求めましょう。

 

 

7 別の会社に就職しても問題はない

 

 

失業給付は,受給期間が限られていますので,

解雇を裁判で争っている期間中,

ずっと無職でいるわけにはいきません。

 

 

そこで,生活費を確保するために,

別の会社に就職しても大丈夫です。

 

 

会社を解雇されて,なっとくできないときには,

弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

雇用調整助成金のさらなる拡充と整理解雇における解雇回避努力

1 雇用調整助成金のさらなる拡充

 

 

4月25日,加藤厚生労働大臣は,全国の中小企業のうち,

緊急事態宣言後に都道府県知事からの休業要請に応じた企業が,

前年の賃金の100%の水準の休業手当を支払う場合に,

国が休業手当の全額を補助することを明らかにしました。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200426/k10012405961000.html

 

 

また,都道府県知事からの休業要請の対象ではない中小企業が,

平均賃金の60%以上の休業手当を支払った場合,

国が60%を超える分について,

全額を補助することになるようです。

 

 

緊急事態宣言後に都道府県知事からの休業要請に応じた会社が,

労働者に対して,休業手当を支払わないリスクを最小限にするために,

国が会社と労働者を守るために,

雇用調整助成金の金額を拡充したようです。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/content/11603000/000625165.pdf

 

 

雇用調整助成金とは,経済上の理由により

事業活動の縮小を余儀なくされた会社が,

労働者に対して,一時的に休業などを行い,

労働者の雇用の維持を図った場合に,

休業手当などの一部を助成するものです。

 

 

コロナ禍の現状においては,会社は,

労働者の雇用を維持するために,会社を休業する場合には,

雇用調整助成金を活用して,労働者に対して,

なるべく多くの休業手当を支払うように努力する必要があります。

 

 

 

2 ロイヤルリムジングループ事件

 

 

他方,この雇用調整助成金を活用せずに,

整理解雇が実施された事件が注目されています。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で業績が悪化したとして,

タクシー運転手約600人が解雇された

ロイヤルリムジングループ事件です。

 

 

ロイヤルリムジングループの代表者は,

労働組合との団体交渉において,

雇用調整助成金を申請しなかったことを認めたようです。

 

 

https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020042001002469.html

 

3 整理解雇における解雇回避努力とは

 

 

コロナ禍における整理解雇では,

雇用調整助成金を活用したかがポイントになると考えます。

 

 

整理解雇は,労働者には落ち度がなく,

会社側の事情による解雇になりますので,

次の4つの要件(要素)を満たす必要があります。

 

 

①人員削減の必要性

 

 

 ②解雇回避努力を尽くすこと

 

 

 ③人選の合理性

 

 

 ④手続の相当性

 

 

従前,②解雇回避努力として挙げられていたのは,

広告費・交通費・交際費等の経費削減,

役員報酬の削減,

残業規制,

従業員に対する昇給停止や賞与の減額・不支給,

ワークシェアリングのによる労働時間の短縮や一時帰休,

中途採用・再雇用の停止,

新規採用の停止・縮小,

配転・出向・転籍の実施,

非正規雇用労働者との間の労働契約の解消,

希望退職の募集などです。

 

 

 

とくに希望退職の募集が解雇回避努力として重視されていました。

 

 

コロナ禍の現状においては,上記のように,国は,

労働者の雇用を維持するために,雇用調整助成金を拡充しています。

 

 

雇用調整助成金については,準備が大変,

時間がかかるなどの不満はありますが,

解雇は最後の手段であることには変わりなく,

会社は,整理解雇の前に,解雇回避努力として,

雇用調整助成金の活用を検討しなければなりません。

 

 

雇用調整助成金を活用しないでした整理解雇は,現状においては,

解雇回避努力を尽くしていないとして無効になる可能性が高いです。

 

 

そのため,労働者は,会社が雇用調整助成金を活用しているかを,

よくチェックするようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

整理解雇における手続の相当性

1 嬉しいニュース

 

 

私のブログ仲間で,お墓クリーニングの専門家である高見義裕さんが,

私のブログを紹介してくれました。

 

 

https://ameblo.jp/yoshihirotakami/entry-12591724622.html?fbclid=IwAR0HDfkCpVkq588S-8GCd1YZ_0gTBZAIfYWuFmR-uA9C11pEWNyU3wqeQpg

 

 

ブログ仲間からの紹介は,本当に嬉しいです。

 

 

私の情報発信が,新型コロナウイルスの影響で困っている

労働者の方々のお役に立てているとわかり,勇気をもらいました。

 

 

今後とも,有益な情報を発信していきますので,

読者の皆様,今後とも,よろしくお願い致します。

 

 

2 ロイヤルリムジングループの整理解雇事件

 

 

さて,新型コロナウイルスの影響による業績悪化を理由に

タクシー運転手約600人が解雇されたロイヤルリムジングループ事件で,

労働組合の組合員81人が,東京地裁に

地位確認の仮処分の申立てをしました。

 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58382630T20C20A4CE0000/

 

 

組合員は,会社が雇用調整助成金を利用するなどして

解雇を回避する努力をしなかったこと,

労働組合や労働者に対して説明を尽くしていないことを理由に,

整理解雇は無効であると主張しているようです。

 

 

整理解雇とは,会社の業績悪化を理由とする解雇のことで,

いわゆるリストラです。

 

 

 

まず,解雇は,労働者やその収入に依存して生活を維持している

家族らの生活の基盤を剥奪するものなので,

よほどのことがない限り,認められません。

 

 

そして,不況のときにおける整理解雇は,

労働者側に何らの責められる理由がないのに,

会社側の理由により一方的に行われるものであり,

不況であればあるほど再就職が困難となり,

再就職しても以前の会社よりも賃金が低くなる場合があります。

 

 

そのため,整理解雇の場合,会社は次の4つの要件(要素)

を満たさないと整理解雇は無効になります。

 

 

①人員削減の必要性があること

 

 

 ②解雇回避努力義務が尽くされたこと

 

 

 ③人選基準とその適用が合理的であること

 

 

 ④労働組合や労働者に対して説明・協議を尽くしたこと(手続の相当性)

 

 

本日は,このうちの④手続の相当性について,解説します。

 

 

3 手続の相当性

 

 

会社は,整理解雇に先立ち,労働組合や労働者に対して,

整理解雇の必要性とその内容(時期・規模・方法),

人選基準などについて,十分な説明を行い,

誠意をもって協議しなければならないのです。

 

 

会社が経営状況などの説明をする際に,単に,

「○億円の赤字だから解雇せざるを得ない」などと

概括的な数字を掲げるだけでは,

説明義務を尽くしたことにはなりません。

 

 

 

会社がより多くの情報を労働者に対して提供し,

より多くの点について協議するほど,

整理解雇の手続が相当であったと評価され,逆に,

会社から事前に開示された情報が少なく,

ほとんど協議する事項がなかったような場合には,

整理解雇の手続が不相当であったと評価されます。

 

 

具体的なケースで見てみましょう。

 

 

北斗音響事件の盛岡地裁昭和54年10月25日判決

(労働判例333号55頁)は,

整理解雇における手続の相当性について,

次のように判断しました。

 

 

会社は,工場閉鎖の理由や解雇の必要性などについて,

会社の決算報告書などの資料を開示して

十分な説明をすべきだったのに,

単に不況を乗り切るためのやむを得ない措置であるとか,

工場閉鎖と解雇は既定の方針であるなどの

抽象的な説明に終始していたとして,

説明義務を尽くしておらず,整理解雇は無効となりました。

 

 

そのため,新型コロナウイルスの影響で会社の業績が悪化したとして,

会社から整理解雇された場合には,会社に対して,

なぜ解雇なのか,他に手段を尽くしたのかについて,

説明を求めるべきです。

 

 

これに対して,会社があいまいな説明しかできず,

労働者が納得できないならば,整理解雇が無効であるとして,

会社に対して,地位確認と未払賃金の請求をすることをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

コロナ解雇を争うために東京地裁で仮処分の申立てがされました

1 ロイヤルリムジングループ事件の仮処分の申立て

 

 

東京のタクシー会社であるロイヤルリムジングループが,

新型コロナウイルスの感染拡大による売上減少を受けて,

タクシー運転手が約600人解雇された事件で,

70代のタクシー運転手が,東京地裁に仮の地位を定める仮処分と

賃金仮払いの仮処分の申立てをしたようです。

 

 

 https://mainichi.jp/articles/20200416/ddm/041/020/064000c

 

 

新型コロナウイルス関係の労働問題が裁判手続に移行するのは

初めてのようで,注目が集まっています。

 

 

 

私と司法修習で同期だった,東京合同法律事務所の

弁護士馬奈木厳太郎先生が代理人をされているので

がんばってもらいたいです。

 

 

さて,本日は仮処分という裁判手続について解説します。

 

 

2 仮処分とは

 

 

通常の裁判手続(通常訴訟または本訴といいます)ですと,

判決がでるまでに最低1年くらいはかかります。

 

 

解雇された労働者は,給料という生活の糧を失ったわけですから,

生活に困窮することになりますので,

1年もの長期間待っていられないわけです。

 

 

なんとか早く事件を解決したい。

 

 

そのようなときに利用するのが仮処分という裁判手続です。

 

 

仮処分の最大のメリットは,手続が早いことです。

 

 

通常訴訟ですと,提訴してから第1回の裁判が始まるまでに

1ヶ月ほどかかりますが,仮処分ですと,

申立てをしてから2週間後くらいに第1回の裁判が始まります。

 

 

仮処分では,2~3週間程度の期間をおいて,

裁判の期日(審尋期日といいます)が繰り返されて,

3~6ヶ月程度で結論(仮処分決定)が出されます。

 

 

そんなに早く進む裁判手続であれば,

どんどん利用すればいいじゃないかと思うかもしれませんが,

仮処分には大きなデメリットがあります。

 

3 保全の必要性

 

 

それは,保全の必要性というものです。

 

 

仮処分では,通常訴訟と同じように,解雇が無効であるとして,

労働者としての地位があることを明らかにすることは共通なのですが,

これに加えて,保全の必要性があることを明らかにしなければなりません。

 

 

保全の必要性とは,労働者に生ずる著しい損害または

急迫の危険を避けるために仮処分が必要であることを言います

(民事保全法23条2項)。

 

 

具体的には,解雇されて会社からの賃金の支払が途絶えるために,

労働者の生計が成り立たなくなる,ということです。

 

 

そのため,仮処分の手続では,労働者が毎月の生活を維持するのに

どの程度の支出があるのか,貯蓄はどれくらいあるのかを,

資料に基づいて明らかにしなければならないのです。

 

 

解雇された労働者に配偶者がいて,

配偶者の収入で生活が維持できたり,貯蓄が十分にあれば,

保全の必要性が否定されることがあります。

 

 

裁判所は,保全の必要性を厳格に判断する傾向にあり,

賃金仮払いは認められても,仮の地位を定める仮処分が

認められることはあまりないようです。

 

 

また,賃金仮払いが認められても,その金額は,

解雇前にもらっていた給料全額ではなく,減額されることもあり,

支払が認められる期間も通常訴訟の一審判決が

言い渡されるまでと制限されます。

 

 

このように,保全の必要性のハードルが高いので,

私は,あまり,仮処分の手続を利用することは少ないです。

 

 

若い労働者ですと,解雇されても次の仕事を見つけて,

当面の生活を維持できるので,

そこまで逼迫した案件が少ないからかもしれません。

 

 

もっとも,ロイヤルリムジングループ事件の場合,申立人は,

70代なので,解雇されると,次の仕事を見つけるのが大変です。

 

 

年金収入だけでは,生活を維持していくのは厳しいかもしれません。

 

 

そして,今は,新型コロナウイルスの感染拡大が続いていて,

どこも人手を減らしているので,仕事を見つけるのが困難ですし,

そもそも,裁判所も裁判の期日を早急に入れてくれません。

 

 

 

そこで,保全の必要性が認められる見込みがあり,

早急に裁判をすすめていく必要があることから,

ロイヤルリムジングループ事件では,

仮処分を選択するのが合理的です。

 

 

この仮処分手続で,労働者が勝訴することを祈念しています。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。