自動車メーカー大手が無期雇用回避

朝日新聞の報道によれば,トヨタ自動車やホンダといった,自動車メーカーの大手が,有期雇用労働者が,無期労働契約への転換を求める権利を行使できないようにするために雇用ルールを変更したようです。

 

http://www.asahi.com/articles/DA3S13213011.html

 

労働契約法18条1項において,2以上の有期労働契約の通算期間が5年を超えた場合,有期雇用労働者は,会社に対して,無期労働契約への転換の申込ができ,会社は,無期労働契約への転換を拒めないことになっています。

 

しかし,労働契約法18条2項において,2以上の有期労働契約の間に,6ヶ月の空白期間がある場合,以前の有期労働契約の契約期間を5年の通算期間に算入できず,リセットされてしまう結果,有期雇用労働者は,無期労働契約への転換の申込ができなくなり,有期雇用労働者のままとなります。

 

そもそも,非正規雇用は,契約期間満了で雇止めされれば,すぐに失職し,雇用が不安定であることから,有期労働契約の契約期間が長くなった場合,有期労働契約から無期労働契約へ転換して,雇用を安定させることを目的にして,労働契約法18条は立法されました。

 

今回,自動車メーカー大手が,有期労働契約の空白期間を1ヶ月や3ヶ月だったのを6ヶ月に変更して,有期雇用労働者が無期労働契約へ転換できなくしました。労働契約法18条の立法趣旨が没却させられたことになります。

 

空白期間を6ヶ月にする企業が増えれば,有期雇用労働者が無期労働契約に転換できず,雇用が不安定なまま固定されるおそれがあります。他の業界に,空白期間6ヶ月が波及しないことを望みます。

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