タクシー乗務員の勤務成績不良による雇止め

タクシー乗務員が,勤務成績不良により,雇止めにあったので,本件雇止めは無効・違法であるとして,被告タクシー会社に対して,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と損害賠償請求をした事案で,雇止めが有効と判断されました(札幌高裁弊政29年9月14日判決・労働判例1169号・5頁・札幌交通事件)。

 

原告は,被告タクシー会社からの無線による配車指示について,キャンセルボタンを押してこれに応じないことが多く,原告の売上目標が平均の半分に満たないことが多かったことから,被告タクシー会社から,勤務成績を向上させるように指導を受けていましたが,原告の勤務成績は変わりませんでした。

 

ところで,雇止めについては,当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められれば,従前と同一の労働条件で当該有期労働契約が更新されることがあります(労働契約法19条)。

 

本件事件では,①原告の労働条件通知書には,「契約の更新はしない」または「会社が特に必要と認めた場合契約の更新をすることもある」との記載があること,②本件有期労働契約が2回更新されたにとどまっていたこと,③被告タクシー会社が労働組合に対して,嘱託労働者の契約は原則更新するが,欠勤が多く業務に支障を来す者についてはその限りではないとの説明をしていたこと,④勤務成績が悪く指導による改善がみられなかった乗務員が雇止めされた前例があること,⑤原告の勤務成績が非常に良くないものであり指導に従わなければ雇止めもありうる旨が伝えられていたことから,原告に対して,本件有期労働契約が更新されると期待することに合理的理由が認められないとされて,本件雇止めは有効となりました。

 

通常,雇止めの判断は,有期労働契約が更新されると期待することに合理的理由があったのかという第1ステージと,雇止めが客観的合理的理由があり,社内通念上相当だったのかという第2ステージがあり,勤務成績が不良か否かの判断は,第2ステージで判断されていました。しかし,この判例では,勤務成績が不良か否かを第1ステージで判断しています。

 

このように,本件判例は,雇止めについて珍しい判断をしたことと,実務でよく問題となる勤務成績不良の従業員への対処法について判断されていることから紹介します。

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