パソコンのログデータで労働時間を証明する

残業代を請求したり,過労死の労災申請や

損害賠償請求をする事件の場合,

労働者側が何時から何時まで働いたのかを

証明しなければなりません。

 

 

労働者が労働時間を証明できないと,

残業代は認められませんし,

過労死の認定も困難になります。

 

 

それでは,労働者は,どうやって自分の

労働時間を証明すればいいのでしょうか。

 

 

もっとも手っ取り早いのはタイムカードです。

 

 

 

 

タイムカードで労働時間の管理がされている職場であれば,

タイムカードを入手できれば,

タイムカードで労働時間を証明することができます。

 

 

では,タイムカードがない職場では,どうすればいいのでしょうか。。

 

 

会社には労働時間を適正に把握する責務があることが,

厚生労働省のガイドラインで定められていますが,

これが守られていない中小企業も多いです。

 

 

タイムカードがなくても,パソコンでデスクワーク

をしている労働者であれば,パソコンの起動時刻と

終了時刻のログデータで労働時間を証明することができます。

 

 

パソコンには,自動的に,起動時刻と終了時刻

のログデータが保存されています。

 

 

 

パソコンでデスクワークをしている労働者であれば,

まず出社すれば,パソコンの電源をいれて,パソコンを立ち上げます。

 

 

そして,パソコンをつけっぱなしにしたまま,

パソコンで文書を作成したり,検索エンジンを利用して調べ物をして

,仕事が終わるときに,パソコンをシャットダウンします。

 

 

そのため,パソコンでデスクワークをする労働者の場合,

自分が使っていたパソコンのログデータを入手できれば,

パソコン起動時刻に出社して,パソコン終了時刻に退社した

と証明できるのです。

 

 

実際,残業代を請求する事件で

パソコンのログデータが活用されています。

 

 

東京地裁平成18年11月10日判決

(PE&HR事件・労働判例931号65頁)は,

「デスクワークをする人間が,通常,パソコンの立ち上げと

立ち下げをするのは出勤と退勤の直後と直前であることを

経験的に推認できる」として,

パソコンのログデータをもとに労働時間を認定しました。

 

 

労働者が会社を辞めてから会社のパソコンの

ログデータを入手するのは困難ですので,

会社を辞める前に自分でログデータを確保しておく必要があります。

 

 

自分でパソコンのログデータを調べる方法については,

次のサイトが非常に参考になります。

 

 

https://pentan.net/win10-kidou-jikoku/

 

 

このサイトのとおりに,自分のパソコンを操作すれば,

ログデータを入手することができます。

 

 

実際に私も自分のパソコンでためしてみましたが,

そんなに難しくない作業です。

 

 

また,パソコンのログデータは,

放って置くと消えていく可能性がありますので,

早目にログデータを確保しておく必要があります。

 

 

未払残業代は2年前までさかのぼって請求できますが,

古いログデータほど消えている可能性が高いので,

早目にログデータを確保するべきです。

 

 

タイムカードがなくても,

他の証拠で労働時間を証明できる場合がありますので,

未払残業代を請求する場合には,

専門家に相談することをおすすめします。

電話番号076-221-4111
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