トラック運転手の過労事故死問題

過重労働を強いられて過労状態で車の運転を誤り,

交通事故で死亡したとして,トラック運転手の遺族が,

勤務先の運送会社に対して,損害賠償請求の裁判を起こすようです。

 

 

朝日新聞の報道によれば,死亡したトラック運転手は,

1週間に6日間,夜8時30分に出勤して,

翌日昼に帰宅する勤務状態であり,交通事故発生前の6ヶ月間の

時間外労働は1ヶ月102時間,最長で132時間だったようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/DA3S13694507.html

 

 

1ヶ月の時間外労働が平均80時間を超えると,

脳や心臓の病気を発症して過労死するリスクが高まります。

 

 

 1ヶ月の時間外労働が平均100時間を超えると,

うつ病などの精神疾患を発症して過労自殺するリスクが高まります。

 

 

長距離トラック運転手は,労働時間が長く,

運送業界は,どの業界よりも一番過労死が発生しているのです。

 

 

 

 

死亡したトラック運転手は,バイパスを走行中,

前方で停車していた車に追突したようで,

死亡したトラック運転手と追突された人の

過失割合は100対0となります。

 

 

交通事故の被害者であれば,加害者が任意保険にはいっていれば,

加害者に対して損害賠償請求することで,

賠償金を取得することができます。

 

 

しかし,今回の事故の場合,死亡したトラック運転手の過失が

100のため,交通事故の相手方に対して

損害賠償請求することが困難なのです。

 

 

 

 

そこで,会社に過酷な労働を強いられて,

過労状態で交通事故を起こして死亡した「過労事故死」の場合,

会社が労働時間短縮などの措置を怠ったなどの

安全配慮義務違反を根拠に,会社に対して

損害賠償請求をすることが考えられます。

 

 

最近,過労事故死の損害賠償請求で注目されたのが,

グリーンディスプレイ事件の和解です

(平成30年2月8日横浜地裁川崎支部決定・労働判例1180号・2頁)。

 

 

この事件は,過労状態で原付バイクで帰宅途中に,

労働者が電柱に追突して死亡した自損事故ついて,

遺族が,会社に対して損害賠償請求をしたものです。

 

 

死亡した労働者は,深夜や早朝の不規則な勤務で

重い荷物の積卸しをするという身体の負担が重い業務を行い,

事故日前1ヶ月間の時間外労働が91時間となっていました。

 

 

 

 

本来,通勤は労働者の自由に任せられているにもかかわらず,

通勤時における交通事故について,会社の安全配慮義務違反

を認めた点において画期的でした。

 

 

さらに,裁判所は,若くして亡くなった労働者の無念さ,

遺族の悲痛な心情に思いを致し,

過労事故死を防止するための先例としての意義が高い

という熱いメッセージを発信し,再発防止のために,

詳細かつ適切な和解勧告を公表しました。

 

 

このグリーンディスプレイ事件の和解勧告が公表されたことで,

これまで放置されてきた過労事故死について,救済の道が開かれたのです。

 

 

おそらく,死亡したトラック運転手の遺族は,

グリーンディスプレイ事件の和解勧告に勇気づけられて,

提訴をふみきることができたのだと推測されます。

 

 

裁判所における紛争の解決が,社会を動きを変えるという

重要さを再認識し,そのような仕事に携わる責任の重さを感じて,

改めて身を引きしめていこうと思いました。

 

 

トラック運転手の過労事故死の裁判で

どのような解決がなされるのか注目していきます。

 

 

本日もお読みいただき,ありがとうございます。

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