セクハラ被害者の言い分が信用されるポイント

セクハラ事件では,加害者が被害者に対してセクハラ行為を

したのか否かが激しく争われることがあり,

被害者と加害者のどちらの言い分が

信用できるかが争点になることが多いです。

 

 

セクハラ行為は,密室で行われることが多く,

被害者の言い分以外に,セクハラ行為を証明するための

客観的な証拠が残っていないことがほとんどです。

 

 

 

それでは,被害者と加害者の言い分のどちらが

信用できるかについて,どうやって判断していくのでしょうか。

 

 

この論点について,セクハラの被害者の言い分が信用できる

と判断された秋田県立農業短期大学事件を紹介します

(仙台高裁秋田支部平成10年12月10日判決・労働判例756号33頁)。

 

 

この事件の被害者は,短期大学の研究補助員で,

加害者は,被害者が所属する研究室の教授でした。

 

 

被害者は,加害者とともに学会出席のために出張した際に,

宿泊先のホテルの室内において,加害者からベッドに押し倒されて,

胸を触られるなどのわいせつ行為を受けたとして,

加害者に対して,損害賠償請求をしました。

 

 

 

 

これに対して,加害者は,被害者の部屋を訪れて,

室内で2人きりになり,被害者の体に触れたことは認めましたが,

これは,被害者の日頃の仕事に対する協力への感謝と励ましの気持ちを

伝えるつもりで,被害者の肩に軽く両手をかけたものであると主張しました。

 

 

このように両者の言い分は,真っ向から対立していました。

 

 

このような場合,被害者の言い分が,

具体的かつ詳細であり,また,一貫性がある場合に

信用できると判断されやすくなります。

 

 

本件では,被害者の「加害者の手をつかんで,

止めさせようと思ったけれども,

加害者の手が汚らわしく感じられて,

手を引っ込めた」という言い分が,

体験した者としての臨場感を感じさせるとして,

信用できると評価されました。

 

 

また,加害者は,事件直後に,被害者が加害者と一緒に朝食をとり,

学会に参加して,学会の最中に加害者とともに

写真におさまっていることから,

セクハラ被害者の行為として不自然であると主張しました。

 

 

しかし,加害者が職場の上司の場合,

職場の友好関係を保つための抑圧が働くため,

被害者が仕事を続ける限り,

今後も日常的に加害者と付き合っていかなければならないので,

性的被害を受けても,ことを荒立てずに

その場を取り繕う方向で行動することがあるので,

被害者の行動は不自然ではないと判断されました。

 

 

 

 

ようするに,性的被害者は,被害の後に加害者を避ける

行動をとるはずだ,という発想は間違いなのです。

 

 

セクハラ事件では客観的な証拠は少ないのですが,

被害者の言い分が信用できると判断されることがありますので,

セクハラの被害にあわれたのであれば,

専門家へ早目にご相談することをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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