シフト表を証拠にして未払い残業代を請求する

「たくさん働いているのに,残業代が支払われていない」,

「サービス残業が当たり前なのはおかしい」

 

 

 

 

このような残業代の未払いについての法律相談は多いです。

 

 

労働者が8時間を超えて働いた場合,

会社は残業代を支払わなければならないのですが,

残業代を支払っていない会社はたくさんあります。

 

 

長時間労働をしているのに

残業代が支払われていないのはおかしいと思ったなら,

まずは,自分が1日何時間働いていたのかをチェックします。

 

 

自分が1日何時間働いていたのかを

チェックするには,タイムカードが最も便利です。

 

 

 

 

タイムカードに始業時刻と終業時刻が

正確に打刻されているのであれば,

労働時間を証明することができます。

 

 

平成29年1月20日に公表された,

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき

措置に関するガイドラインにおいて

会社は,タイムカードなどで,

労働者の労働時間を適正に把握しなければならない

ことが規定されています。

 

しかし,地方の中小企業では,タイムカードがなく,

労働時間を全く把握していないところも多いのが現状です。

 

 

まだまだ,労働時間の把握義務が守られていないのです。

 

 

それでは,タイムカードがない場合に,

どうやって労働時間を証明すればいいのでしょうか。

 

 

タイムカードがなくても,

他に労働時間が記録されているものがあれば,

それを使って労働時間を証明していきます。

 

 

本日は,シフト表を使って労働時間が証明された

岡山地裁平成19年3月27日判決を紹介します。

(セントラルパーク事件・労働判例941号23頁)

 

 

 

 

この事件は,ホテルの料理長が未払い残業代を請求したものです。

 

 

原告の料理長が,料理人の意向を確認して,

自らの判断でシフト表を作成しており,

シフト表の作成にあたり,経営陣に相談したり,

了承をえたりはしていませんでした。

 

 

タイムカードのように時間が記録される

客観的な証拠ではなく,

原告の料理長が自分で作成したシフト表という,

やや主観的な証拠であっても,

労働時間を証明するための証拠として

十分であると判断されました。

 

 

さらに,被告会社は,労働時間を客観的に記録,

把握する仕組みを設けておらず,

労働時間の適正な把握という使用者の

基本的な責務を果たしていないと評価すほかない

として,未払い残業代と同額の付加金の支払いが命じられました。

 

 

付加金とは,残業代を支払わない会社に対して,

支払いが命じられることがある一種の制裁です。

 

 

ようするに,会社は,タイムカードなどで

労働時間を適正に把握していないと,

未払い残業代以外にも,付加金という

制裁を受けるリスクがあるのです。

 

 

タイムカードがなくても,

他にシフト表などの労働時間を証明できる証拠

がないかと知恵を絞ることで,

未払い残業代を請求する突破口がみつかることがあるのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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