年棒制だと残業代は支払われないのか?

入社するときに,

うちは年棒制だから,年俸の中に残業代が含まれている

と会社から説明を受けて,

労働者もそのように理解していることが多いです。

 

 

年棒制とは,年間の賃金総額や支給方法を予め合意しておく制度です。

 

 

しかし,年俸の中に残業代が含まれていると

労働者も会社も信じているために,

どれだけ働いても残業代が支払われず,

長時間労働をしているわりに,

給料はずっと安いままです。

 

 

そのうち,長時間労働による疲労が蓄積していき,

健康を害することにつながりかねません。

 

 

 

 

それでは,会社が年棒制を採用している場合,

残業代が支払われなくてもいいのでしょうか。

 

 

結論としては,年棒制だからといって,

直ちに残業代を支払われなくてもよいことにはなりません。

 

 

この点,以前ブログで紹介した医療法人財団康心会事件の

最高裁平成29年7月7日判決において,

年棒制と残業代について判断基準が示されています。

 

 

すなわち,「労働契約における基本給等の定めにつき,

通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを

判別することができることが必要である

という判断基準が示されました。

 

 

ようするに,年俸の中に残業代が含まれているというだけでは,

労働者は,労働基準法で定められている計算方法で

残業代を計算した場合に,

適法な残業代が支払われているのかをチェックできないので,

労働者は,年俸の他に残業代を請求できるのです。

 

 

 

 

康心会事件では,年俸1700万円の中に

時間外労働に対する割増賃金が含まれていると

合意されていましたが,このうち時間外労働に対する

割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかったので,

未払い残業代請求が認められたのです。

 

 

そのため,単に年俸の中に残業代が含まれるというだけでは,

会社は,残業代を支払ったことにはならず,

何時間分の残業代としていくらの金額が年俸に含まれている

などと明確に区分されていない限り,会社は,

残業代を支払わなければなりません。

 

 

なお,年棒制の場合,賞与

年俸の中に含まれていることがあります。

 

 

 

 

この場合,年俸者の賞与は,支給額が予め確定していることから,

割増賃金の算定基礎となる賃金に含まれますので,

年俸額を12ヶ月で割り,そこから,

未払い残業代の基礎となる時給を計算していくことになります。

 

 

年棒制だから残業代は支払われないのは

仕方がないという考えは,完全に誤解です。

 

 

年棒制であっても,未払い残業代を請求できることが

ありますので,気になる方は,弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

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