セクハラ被害者の心理状態

会社の上司から異性関係についてしつこく聞かれる,

髪や腰,肩を触ってくるというセクハラの被害があとを絶ちません。

 

 

 

セクハラの被害者は,職場の人間関係が悪化することをおそれて,

被害を訴えることを控えることも多く,

被害が表面化しにくいのです。

 

 

また,セクハラの被害者は,

嫌なことは早く忘れたいという心理が働くことから,

記憶があいまいになっていたり,

混乱していることもあり,真相が分からないこともあります。

 

 

最近は,「#MeToo」運動の動きがありますが,

それでもなかなか,被害者が勇気をもって声をあげくにいのが現状です。

 

 

ニューズウィーク日本版より)

 

セクハラの被害を防止するために,セクハラをしてはならないという禁止規定

を明記した法律を制定することを求める運動も起こっています。

 

 

 

 

セクハラ被害は潜在化しやすいのですが,

勇気をもって裁判に訴え,勝訴を勝ち取った裁判もあります。

 

 

本日は,セクハラ被害者が勝訴した横浜セクハラ事件を紹介します

(東京高裁平成9年11月20日判決・労働判例728号12頁)。

 

 

横浜セクハラ事件では,

①事務所で上司と2人きりのときに,

上司が被害者の肩をたたいたり,

揉んだりしてきたこと,

②上司が被害者の腰を触ってきたこと,

③事務所で2人きりのときに,後ろから抱きついてきて,

キスをし,服の上から胸や下腹部を触ってきたこと

が問題となりました。

 

 

このようなセクハラは当然,密室で行われるため,

目撃者はおらず,セクハラ行為を証明するための

客観的な証拠がありません。

 

 

そのため,被害者の言い分と上司の言い分の

どちらが信用できるかが争点となります。

 

 

その際,加害者は,被害者が明確な拒否反応を示さなかったり,

セクハラ行為後に普段と何も変わらない生活

を送っていたことなどを理由に,

本当にセクハラ被害にあった者の行動

として不自然であると主張し,

セクハラ行為はなかったや合意があったと

反論することが多いです。

 

 

しかし,横浜セクハラ事件の裁判では,

職場のセクハラの場合,職場での上下関係による抑圧や,

同僚との友好的関係を保つための抑圧が働き,

被害者が身体的抵抗をとらなかったとしても,

不自然ではないと判断されました。

 

 

 

 

そして,被害者が,その場から逃げたり,

悲鳴を上げて助けを求めなかったとしても,

被害者の言い分が不自然にはならず,

被害者の言い分が信用できると判断されました。

 

 

このように,セクハラの被害者は,

職場の人間関係が悪化したり,

仕事を失うことを恐れて,

明確に拒否を示せなかったり,

ときには加害者に迎合する態度をとることがありますが,

それによって,セクハラはなかったや

合意があったと認定されるわけではありません。

 

 

セクハラ事件では,被害者特有の心理状態に配慮しながら,

被害者の言動を慎重に判断していくことが重要になります。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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