労使協定の争い方~労働者代表の選出手続~

知らないうちに,裁量労働制や変形労働時間制

が採用されていて,会社から残業代は支払わなくても

問題はないと言われることがあります。

 

 

労働者の知らないうちに,

裁量労働制や変形労働時間制が

採用されてもいいのでしょうか。

 

 

 

 

労働者としては,自分の知らないところで

勝手に残業代が支払われなくなるのは納得いきません。

 

 

本日は,裁量労働制や変形労働時間制を導入する際に,

労使協定が締結されるのですが,

労使協定の手続の問題点について解説します。

 

 

労使協定とは,労働組合や労働者の代表者

と会社との書面による協定のことで,

労働基準法が最低基準として定めた労働時間についての

原則を下回る例外を許容するための方策として認められています。

 

 

会社と労使協定を締結するのは,労働基準法において,

労働者の過半数を組織する労働組合か,

労働者の過半数を代表する者(以下「労働者代表」といいます)

であると定められています。

 

 

最近は,労働組合の組織率が低下しており,

地方の中小企業には労働組合がないところも多いので,

労使協定を締結するのは,労働者代表が多くなっています。

 

 

労使協定は,労働基準法の最低基準の例外を認めるものなので,

会社のほとんどの労働者に大きな影響が生じます。

 

 

そのため,労働者代表は,会社のほとんどの労働者に

大きな影響を与える手続に関与する重要な立場に立つことになり,

真に労働者の意思が反映されるように

民主的手続で選出されなければなりません。

 

 

労働者代表を選出する民主的手続とは,具体的には,

労働基準法に規定する労使協定等をする者を選出

することを明らかにして実施される投票,挙手等の方法による手続

をいいます(労働基準法施行規則6条の2第1項2号)。

 

 

 

 

投票,挙手以外でも,労働者の話し合い,

持ち回り決議などの労働者の過半数が

労働者代表の選任を支持していることが

明確になる民主的手続でも大丈夫です。

 

 

ようするに,会社の意向によって選出された者は,

労働者代表ではないのです。

 

 

実務でよくあるのが,社長が,

そこらへんにいる労働者をつかまえて,

この文書にサインしてと依頼して,

労使協定の労働者代表の欄に,

署名押印させるパターンです。

 

 

サインを依頼された労働者は,

社長から何も説明を受けていないので,

よくわかっていないのですが,

社長の依頼を断るわけにもいかず,

わからないまま労使協定に署名押印

してしまっていることがあります。

 

 

 

 

民主的手続を経ないで選出された労働者代表は,

労働者の意思を正確に反映させる資格を有していないので,

このような労働者代表が締結した労使協定は無効になります

(最高裁平成13年6月22日判決・トーコロ事件)。

 

 

労使協定が無効になれば,

裁量労働制や変形労働時間制も無効になりますので,

労働者は,労働基準法に定められた計算方法で,

残業代を請求できるのです。

 

 

裁量労働制や変形労働時間制を争う場合,

労使協定を締結した労働者代表が,

労働基準法施行規則に定められた民主的手続で

選出されているかを検討することをおすすめします。

 

 

会社に入社してから,一度も,

労働者代表を選出するための投票や挙手,

話し合い,持ち回り決議がされたことがない

労働者も多いと思います。

 

 

そのような場合,裁量労働制や変形労働時間制が無効になり,

残業代を請求できる可能性がでてきます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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