カルロス・ゴーン氏の逮捕から内部告発を考える

 

日産自動車の代表取締役会長のカルロス・ゴーン氏が,

自身の役員報酬を約50億円過小に申告したとして,

金融商品取引法違反の被疑事実で,

逮捕されたニュースが連日報道されています。

 

 

(ヤフーニュースより抜粋)

 

報道によりますと,東京地検特捜部は,

司法取引によって,執行役員らから,

カルロス・ゴーン氏を立件するための証

拠や情報の提供を受けたようです。

 

 

司法取引とは,被疑者や被告人が他人の犯罪の捜査に

協力することと引き換えに,検察官が被疑者や被告人に対して,

刑事処分について恩恵を与える制度です。

 

 

情報提供した執行役員らもカルロス・ゴーン氏の

犯罪に関与していたようですが,司法取引によって,

刑事処分が軽減される見通しです。

 

 

また,日産自動車の社内において,

内部告発により社内調査をしたところ,

カルロス・ゴーン氏の被疑事実が明らかになったので,

東京地検特捜部の捜査に全面協力することになったようです。

 

 

このように,大企業の犯罪や不祥事は,

会社内部からの情報がないと明らかにされないことが多いです。

 

 

 

 

そのため,会社内部の情報を外部に通報しても,

その通報した人を守る制度がないと,

通報した後の会社からの仕返しが怖くて,

誰も通報しなくなります。

 

 

そこで,刑事手続においては,司法取引によって,

情報提供者に恩恵を与え,労働関係については,

公益通報者保護制度によって,

不利益が生じないようにしているのです。

 

 

それでは,どのような場合に,

内部告発は,公益通報として保護されるのでしょうか。

 

 

まずは,公益通報者保護法に定められている

公益通報」に該当する必要があります。

 

 

公益通報とは,労働者が,不正の目的ではなく,

労務提供先や処分権限を有する行政機関に対し,

犯罪行為が生じまたはまさに生じようとしている

際に通報することをいいます。

 

 

次に,公益通報をする先によって,

以下の要件を満たす必要があります。

 

 

会社の内部で通報する場合には,労働者が,

通報対象事実の発生または切迫性を思料するだけで十分です。

 

 

労働基準監督署などの行政機関へ通報する場合には,

通報対象事実が発生しているか,または,

通報対象事実が発生しようとしていると信じるに足りる相当の理由

が必要になります(真実相当性といいます)。

 

 

その他の外部機関(マスコミなどです)へ通報する場合には,

真実相当性以外に,次のいずれかに該当する必要があります。

 

 

①会社内部や労働基準監督署へ通報すれば,

会社から解雇されるなどの不利益な取扱をうける危険がある場合

 

 

②会社内部で通報すれば,通報対象事実の証拠を隠滅される

おそれがある場合

 

 

③会社から公益通報をしないことを要求されている場合

 

 

④文書で会社に通報したけれども,会社が何も調査をしない場合

 

 

⑤個人の生命または身体に危害が発生する危険が切迫している場合

 

 

今回の日産自動車の場合,役員報酬の過少申告という

通報対象事実が発生しているので,

日産自動車の労働者が東京地検特捜部に通報すれば,

公益通報者保護法の要件を満たすと考えられます。

 

 

 

 

今回の日産自動車の事件で,役員ではない労働者が,

東京地検特捜部に通報したのであれば,

解雇や降格,減給などの不利益な取扱を受けることはありません。

 

 

一人の権力者が長期間に渡り,権力を掌握し続けると,

どこかで歪みが生じて不祥事が起きるものです。

 

 

権力は腐敗するのです。

 

 

企業の不祥事や犯罪事実が闇に葬られることを防止し,

企業が健全な経営をしていくためにも,

内部告発をする労働者が守られる社会

にしていく必要があると考えます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

電話番号076-221-4111
お問合せはこちら
0 返信

返信を残す

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です