教師の労働時間規制

昨日の医師の労働時間の規制に関連して,

本日は,教師の労働時間の規制について解説します。

 

 

12月7日に,教師の働き方改革を議論している

中央教育審議会の特別部会が,

教師の長時間労働の解消策に向けた答申素案を公表しました。

 

 

 

 

このブログで何回か記載しましたが,教師の残業については,

「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する法律」

給特法といいます)が,非常に大きな問題となっていました。

 

 

給特法では,基本給の4%に相当する

教職調整額が支給される代わりに,どれだけ残業しても,

残業代が支払われない取り扱いとなっています。

 

 

この基本給の4%という水準は,

給特法が成立した1971年当時の

平均的な教師の残業時間をもとに設定されているようです。

 

 

時代が変化し,学校における保護者対応が複雑になっており,

ICTを活用した授業や,アクティブラーニングなどの

新しい学習法に対応しなければならないなど,

教師の仕事が増えているにもかかわらず,

給特法の取り扱いは変わらないまま続けられてきたのです。

 

 

どれだけ働いても基本給の4%以上の残業代が

発生しないのであれば,教師に対する労働時間の管理が甘くなり,

生徒のためにとがんばる教師の善意に依存した結果,

教師に長時間労働が蔓延したのです。

 

 

その結果,過労死ラインと言われている

1ヶ月の時間外労働が80~100時間を超えて

働いている教師が増え,教師の過労死や過労自殺の

原因になっているのです。

 

 

 

 

この悪循環を断ち切るための政策が求められていたところ,

ようやく教師の労働時間についての規制が動き出したのです。

 

 

今回の答申素案では,原則として,

1ヶ月の時間外労働が45時間を超えないこと,

1年間の時間外労働が360時間を超えないこととされました。

 

 

例外的に,児童生徒に係る臨時的な特別の事情により

勤務せざるを得ない場合についても,

1ヶ月の時間外労働が100時間未満であること,

連続する複数月の1ヶ月あたりの平均の時間外労働が

80時間未満であること,1年間の時間外労働が

720時間を超えないこととされました。

 

 

ただし,この例外的な場合に残業時間の上限を超えて残業しても,

教師の雇用主である自治体に罰則は科せれられません。

 

 

この点が,民間企業と異なるところです。

 

 

働き方改革関連法の成立によって,民間企業で,

上記の上限を超えて労働者に残業をさせた場合,

会社には,6ヶ月以下の懲役または

30万円以下の罰金が科せられます。

 

 

また,教師が校内に在校している時間を,

基本的には労働時間とし,校外での勤務についても,

職務として行う研修への参加や児童生徒の引率の職務に

従事している時間については,職務命令に基づくもの以外も含めて

外形的に把握して,労働時間とすることになりました。

 

 

さらに,タイムカードによる記録や

電子機器の使用時間の記録などの客観的な方法によって,

労働時間を適正に把握することになりました。

 

 

 

 

給特法そのものが廃止されておらず,

残業の罰金付上限規制が導入されていない点で不十分なのですが,

教師の労働時間を適切にしていくための第一歩として評価できます。

 

 

これを機に,教師の働き方が見直されて,

教師の労働時間が削減されて,

教師の過労死や過労自殺が減少していくことを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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