自治労職員の配転問題

弁護士ドットコムニュースによりますと,

全日本自治団体労働組合(自治労といいます)の

新潟県本部に勤務する男性労働者が,

東京へ転勤を命じられたのは不当配転であるとして,

労働審判を申し立てたようです。

 

 

自治労とは,全国の地方公共団体などの労働組合が

結集された労働組合で,2017年1月時点で

約81万人の組合員が加入しています。

 

 

申立人の男性は,勤務地を新潟に限定することで

入社したにもかかわらず,東京への配転は

無効であると主張しているようです。

 

 

労働者としては,勤務地が限定されているから

入社したにもかかわらず,後から別の勤務地で

働くように命令されても,なかなか納得できません。

 

 

それでは,どのような場合に,労働者は,

勤務地限定の合意があったとして,

配転を拒めるのでしょうか。

 

 

そもそも,配転とは,同一企業内における労働者の

職種,職務内容,勤務場所のいずれかを

長期間にわたって変更する企業内人事異動の一つです。

 

 

 

会社が労働者に対して,配転を命令できるのは,

労働契約や就業規則に配転命令の根拠規定があり,

配転が労働契約の内容になっているからなのです。

 

 

一般的には,就業規則に「業務上の都合により,

出張,配置転換,転勤を命ずることがある」という規定が

設けられていることが多く,このような規定があれば,

会社は,裁量で,労働者に配転を命令することができるのです。

 

 

もっとも,転勤を伴う配転は,

労働者の生活環境が大きく変わり,

労働者の家族にも多大な影響が生じることから,

会社は,無制限に配転を命令できるわけではありません。

 

 

労働契約において,職種や仕事内容,勤務地を

限定する合意がされていれば,会社は,

その合意の範囲を超えて配転を命令することはできません。

 

 

ここで,労働契約を締結するときに,

会社が労働者に交付した労働条件通知書に記載されていた

勤務地が必ずしも勤務地限定の合意になるとは限らないのです。

 

 

労働契約書に勤務地を限定する規定が明確に記載されていたり,

面接の際に,労働者が家族や病気の関係で

他の地域に転勤することはできないことを採用担当者に伝えて,

会社側もこれを了承していた場合に,

勤務地限定の合意が認められるのです。

 

 

 

 

配転命令が争われた裁判例を検討すると,

①労働者に固定された生活の本拠があることが前提とされていること,

②求人票に勤務場所を特定する記載があること,

③同様の配転実績が乏しいこと等が,

勤務地限定の合意を肯定する事情となります。

 

 

逆に,①就業規則の配転条項の適用があること,

②会社において長期的にキャリアを発展させることが予定されていること,

③同様の配転実績があること等は,

勤務地限定の合意を否定する事情となります。

 

 

勤務地限定の合意が否定されたとしても,

配転について,業務上の必要性があったのか,

不当な動機・目的で配転命令がされていないか,

配転によって労働者が通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を被るか,

という要件を検討して,配転が有効か否かが判断されます。

 

 

さて,自治労は,労働者の権利と生活を守る

活動をしている団体ですので,今回,

新潟から東京の配転によって,

一人の労働者の権利と生活が不利益を被ろうとしており,

労働審判において,早期に解決されることを願いたいです。

 

 

サラリーマンには,転勤は宿命的なものでありますが,

理不尽な転勤については,争う余地がありますので,

転勤に納得できないときには,

弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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