残業代請求をして,会社からサボっていただろうと言われたら・・・

労働者が,会社に対し,未払い残業代を請求すると,

会社から次のような反論がされることがよくあります。

 

 

会社は,残業を命じていないのに

労働者が勝手に残業をしていただけである。

 

 

パソコンゲームで遊んでいたり,

席を離れて仕事以外のことで時間を潰していたので,

労働時間ではなく休憩時間である。

 

 

 

 

ようするに,労働者は働かずにサボっていたのであるから,

残業代を支払わなくてよいという反論です。

 

 

それでは,労働者が勝手に残業していた,

遊んでいた等の会社の主張は認められるのでしょうか。

 

 

結論としては,このような会社の主張は

認められないことがほとんどです。

 

 

この点について判断された裁判例をいくつか紹介します。

 

 

まずは,株式会社ほるぷ事件を紹介します

(東京地裁平成9年8月1日判決・労働判例722号62頁)。

 

 

この事件では,会社は,土曜休日労働の指示をしていないのに,

労働者が勝手に土曜休日労働をしていたと主張していました。

 

 

裁判所は,通常の勤務日のみでは

仕事の全部を処理することが不可能な状況であり,

労働者は,土曜休日に通常の勤務日に処理できない

仕事をしていたのであり,タイムカードで会社に管理され,

会社は,労働者がこれらの仕事をしていたことを

十分に認識しながら,仕事を中止するように

指示を出さなかったのであるから,会社による

黙示の指示によって土曜休日出勤がなされたと判断しました。

 

 

 

 

ようするに,会社は,労働者が残業していることを知っていて,

残業を中止する指示をしていないのであれば,

黙示の指示で残業をさせていたことになるのです。

 

 

次に,山本デザイン事件を紹介します

(東京地裁平成19年6月15日判決・労働判例944号42頁)。

 

 

この事件では,会社は,労働者がパソコンやインターネットで

遊んでいたと主張していました。

 

 

裁判所は,作業と作業の合間に空き時間があるとしても,

その間に次の作業に備えて調査したり,待機していたので,

空き時間も会社の指揮監督下にある労働時間であり,

そのような時間を利用してパソコンで遊んでいたりしても,

これを休憩時間と認めることはできないと判断しました。

 

 

仮に,遊んでいる時間があったとしても,

労働から完全に解放されていないと,

休憩時間ではなく,労働時間になるのです。

 

 

最後に,京電工事件を紹介します

(仙台地裁平成21年4月23日判決・労働判例988号53頁)。

 

 

この事件では,会社は,労働者が勤務時間後に

パソコンゲームに熱中し,席を離れて仕事以外のことに

時間をつぶしていたと主張していました。

 

 

 

裁判所は,タイムカードに打刻された時間の範囲内は,

仕事に当てられていたものと事実上推定され,

会社において別途時間管理者を選任し,

その者に時計を片手に各労働者の毎日の残業状況をチェックさせ,

記録化する等しなければ,タイムカードによる勤務時間の推定を

覆すことができないと判断しました。

 

 

すなわち,パソコンゲームに熱中したり,

会社を離れて仕事に就いていなかった時間が

相当あることがうかがわれても,

タイムカードの範囲の時間中,

働いていたと推定されるのです。

 

 

以上3つの裁判例を紹介しましたが,

勝手に残業していたやサボっていたという

会社の反論は認められないことが多いのです。

 

 

そのため,労働者は,会社から勝手に残業していたや

サボっていたと言われても,臆することなく,

未払い残業代を請求するべきなのです。

 

 

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