休職期間中のテスト出勤のときに賃金を請求できるのか?

うつ病などの精神疾患が発症して,

治療のために一定の期間,

休職していた労働者が職場復帰するために,

テスト出勤をすることがあります。

 

 

一般的に試し出勤,リハビリ出勤などと言われており,

心の健康の問題やメンタルヘルス不調により,

治療のため長期間職場を離れている職員が,

職場復帰前に,職場復帰の可否の判断などを目的として,

本来の職場などに一定期間継続して試験的に出勤することです。

 

 

 

 

テスト出勤を利用し,その期間中の休職者の作業状況を

踏まえて休職理由が消滅したか否かを判断することによって,

休職者の現状や職場の実態に即した

合理的な判断が可能になるのです。

 

 

会社にとっては,休職者の回復状況が

より具体的に把握しやすいというメリットがあり,

休職者にとってもリハビリ効果があり,

職場復帰がしやすくなるというメリットがあります。

 

 

それでは,このテスト出勤を無給で行わせることは

違法にならないのでしょうか。

 

 

会社としては,本来の勤務ではないので,

なるべく多くの給料を支払いたくないと考えますし,

休職者としては,自分なりに働いているので,

給料を請求したいものです。

 

 

本日は,テスト出勤中の給料請求について判断された

NHK名古屋放送局事件を紹介します

(名古屋高裁平成30年6月26日判決・労働判例1189号51頁)。

 

 

この事件のテスト出勤は,

原則24週(6ヶ月)のプログラムで,

前半の12週間でフルタイムの出勤ができるまで

徐々に勤務時間を増やしていき,

後半の12週間はフルタイムの出勤となり,

最後の6週間は職場の実態に合わせて

通常業務を想定した作業を行うことになっていました。

 

 

 

 

このテスト出勤の期間中,

交通費相当額が支給されていましたが,

無給とされていました。

 

 

この事件のテスト出勤は,

休職者のリハビリ目的もありますが,

職場復帰の可否の判断の目的もあり,

休職者はテスト出勤を命じられた場合に

それを拒否することが困難な状況にあり,

会社は,休職者の作業の成果を受け取っていることから,

本来の作業に比べて経緯な作業だからといって,

賃金請求権が発生しないことにはならないと判断されました。

 

 

とはいえ,原告の休職者は,

相応に高度な作業を遂行することを要求されていたものの,

テスト出勤の期間は,軽作業を中心に行ってきたので,

もともと受け取っていた賃金に相当する

対価に見合う労働を提供していたわけではありません。

 

 

そこで,原告の休職者は,休職前の水準の賃金は請求できないものの,

最低賃金で計算された賃金を請求できると判断されました。

 

 

最低賃金法4条によれば,

最低賃金に達しない賃金は無効となり,

無効となった部分については,

最低賃金と同じ定めをしたことになります。

 

 

 

 

まとめますと,無給の合意がされている

テスト出勤の期間中に行われた作業であっても,

会社の指揮監督下においてその作業が行われている場合には,

最低賃金法が適用されて,

最低賃金相当額の賃金を請求できる可能性があるのです。

 

 

休職期間中にテスト出勤する場合には,

最低賃金相当額の賃金が支払われているのかを

チェックするようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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