産婦人科医の未払残業代請求

本日,ありがたいことに,私の2人目の子供が誕生しました。

 

 

元気な男の子です。

 

 

 

 

生まれたばかりの長男の産声を聞いたら,

生きることへの力強さを感じ,感動しました。

 

 

がんばった妻へ感謝しかありません。

 

 

さて,本日の手術(帝王切開)は午前8時30分からだったので,

産婦人科医は,おそらく手術の準備のために,

もっと前から出勤して仕事をしているのだと考えられます。

 

 

産婦人科医の労働時間はどうなっているのだろうかと

気になったものでして,本日は,産婦人科医の労働時間が

争点となった奈良県医師割増賃金事件を紹介します

(大阪高裁平成22年11月16日判決・労働判例1026号144頁)。

 

 

 

 

この事件では,奈良県が設置運営する病院の

産婦人科に勤務する医師が残業代請求をしたものです。

 

 

この病院では,産婦人科医は,所定労働時間以外に

交代で宿日直勤務をしており,宿直が平日休日を問わず

午後5時15分から翌朝8時30分まで,

日直が土日祝日の午前8時30分から午後5時15分までで,

1回につき2万円の宿日直手当が支給されていました。

 

 

この事件では,産婦人科医の宿日直業務が,

労働基準法41条3号の「断続的労働」

に該当するかが争われました。

 

 

労働基準法41条3号には「監視又は断続的労働に従事する者で,

使用者が行政官庁の許可を受けたもの」については,

労働基準法の労働時間規制が適用されないと規定されており,

残業代が請求できなくなります。

 

 

断続的労働とは,休憩時間は少ないものの

手待ち時間が多いものをいいます。

 

 

断続的労働の場合に,残業代が請求できないのは,

労働密度が薄く,精神的肉体的負担も小さいことから,

当該労働時間は,全て会社の指揮命令下にある

労働時間であることを前提に,労働基準監督署の許可

を受けることを条件として,労働時間規制の適用を免れるからです。

 

 

そして,労働基準監督署では,医療機関の宿日直について,

労働基準法41条3号の「断続的労働」として許可をするのは,

当該労働者の本来業務は処理せず,

構内巡視,文書・電話の収受又は

非常事態に備えて待機するものであり,

常態としてほとんど労働する必要のない勤務としていました。

 

 

病室の定時巡回,少数の要注意患者の定時検脈など,

軽度又は短時間の業務のみが行われる場合に,

宿日直は「断続的労働」として許可されるのです。

 

 

被告病院では,産婦人科医の不足から近隣病院で

夜間の救急受け入れが困難になり,

1日平均3.95人の救急外来患者を受け入れ,

1日平均1.1件の分娩処理をすることが予定されていたので,

原告の産婦人科医は,宿日直においても本来業務をしていました。

 

 

 

 

また,助産師や看護師からの患者の容態についての

頻繁な連絡や応答,患者や家族に対する説明などもありますので,

軽度又は短時間の業務のみが行われることにはなりません。

 

 

そのため,産婦人科医の宿日直について,

労働基準法41条3号の「断続的労働」とは認められず,

宿日直についての未払残業代が認められました。

 

 

他にも,本件事件では,通常の勤務時間外に必ず自宅にいて,

呼び出しがあればすぐに病院に急行して診察に当たるという

宅直という制度について,労働時間かが争われました。

 

 

この宅直で病院に呼び出される回数は年間6~7回であること,

産婦人科医がプロフェッショナル意識に基づいて始めた

自主的な取り組みであることから,宅直については,

病院の黙示の指揮命令があったとはいえず,

宅直の時間について,労働時間とは認められませんでした。

 

 

宅直の場合,医師は,自宅を離れられず,

飲酒を控えるなどの負担が生じるのですが,

呼び出される回数が少なく,呼び出された場合に

残業代が支払われていれば問題がないといえます。

 

 

宅直の際に頻繁な呼び出しがあれば,

労働から解放されていないとして,

労働時間と判断される可能性はあります。

 

 

産婦人科医の宿日直の仕事は,労働時間なので,

適正な残業代が支払われるようになってもらいたいです。

 

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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