明石市市長のパワハラ発言~録音の威力~

兵庫県明石市の泉房穂市長が,国道の拡幅事業をめぐり,

建物の立ち退き交渉の担当職員に対して,

暴言をはくパワハラをしたとして,

謝罪したことがニュースになりました。

 

https://www.fnn.jp/posts/2019012912171803KTVより)

 

 

この事件が発覚したのは,暴言をはかれた担当職員が,

市長の暴言を録音していたからです。

 

 

録音データによると,市長は,

次のような暴言をはいたようです。

 

 

「7年間,何しとってん。ふざけんな。

何もしてないやろ。お金の提示もせんと。あほちゃうかほんまに。」

 

 

「立ち退きさせてこい,お前らで。今日,火つけてこい。

今日,火つけて捕まってこい,お前。燃やしてしまえ。

損害賠償,個人で負え。当たり前じゃ。」

 

 

市長の発言が,新聞に文章として記載されており,

これを読めば,誰が見ても,これはパワハラだと理解できますが,

少し法的に分析してみます。

 

 

パワハラの定義については,これから法律で定められる予定ですが,

労働政策審議会では,次の3つの要素を満たすものを

パワハラと定義しています。

 

 

 

 

①優越的な関係に基づく

 ②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により

 ③労働者の就業環境を害すること

(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)

 

 

①市長は,部下である担当職員に対して,

業務命令を指示しますので,

明らかに優越的な地位にあります。

 

 

②国道の拡幅事業に関するやりとりの中の発言であるものの,

「あほちゃうかほんまに」という発言は,

担当職員の人格を否定するものであり,

「火つけてこい」と犯罪行為を命令し,

「損害賠償,個人で負え」と担当職員が個人では

負担できない責任を負わせようとしていることから,

市長の言動は,業務上必要かつ相当な範囲を超えています。

 

 

③市長からこのような暴言を浴びせられれば,

担当職員は,多大な精神的苦痛を感じ,市長に恐怖を覚え,

過大なストレスによって仕事がすすまなくなります。

 

 

というわけで,市長の発言は,

上記3つの要素を全て満たすので,

パワハラと認定できます。

 

 

今回の市長のパワハラ発言を聞いて,私が感じたのは,

やはりパワハラの立証には録音が重要であるということです。

 

 

市長は,NHKディレクター,弁護士,

旧民主党の衆議院議員を経て,明石市の市長に就任し,

子育て支援に関する政策で市民から好評価を得ていたので,

そのような経歴の方が,上記のような暴言をはくとは,

通常考えがたいことです。

 

 

録音がなければ,「え~,あの市長がそんな暴言をはくはずがない」

と捉えられたかもしれません。

 

 

しかし,市長のパワハラ発言がバッチリ録音されていたので,

市長は,言い逃れができませんでした。

 

 

パワハラ発言の録音がなければ,

「そのような発言をした記憶はございません」や

「厳しく叱責したかもしれませんが,

そのようなひどい発言はしていません」

と言い逃れをされた可能性があります。

 

 

さらに,録音データの場合,発言者の口調や声の大きさ,

声のトーンの全てが記録されて再現できるので,

パワハラの実態がリアルに伝わります。

 

 

 

 

NHKのニュースを視聴したかぎりでは,

市長のパワハラ発言は,ヤクザが脅すように,

語気鋭く,まくしたてるように,激しい口調でなされていたので,

市長の発言を誰が聞いてもパワハラであると判断できるものでした。

 

 

パワハラ発言をメモして,それを証拠にする方法もあるのですが,

パワハラの実態をリアルに証明するためには,

やはり録音するしかないと実感しました。

 

 

言葉の暴力によるパワハラを受けた場合は,

スマホやボイスレコーダーでパワハラ発言を

録音するようにしましょう。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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1 返信
  1. 匿名希望です
    匿名希望です says:

    初めまして。明石市長でググっていたら、こちらの記事にたどり着きました。
    さて、明石市長を刑事告発(幹部職員への脅迫罪)した人がいるそうですが、次のような事情からすると、用地担当者への名誉棄損などが成立する余地はないでしょうか?

    先月29日の謝罪会見での市長の説明は以下のとおりです。
    「金額の提示すらしていない、つまり交渉にすら入っていなかったことに対して、7年も経っているのに交渉に入っていなかったことに対して、激高しました。」

    しかし、実際は用地交渉はかなり進んでいました(神戸新聞1月31日など)。
    概算での提示をして交渉しています。
    公共用地買収の場合、正式な金額提示から半年以内に契約しないと税が安くなる特例を受けれなくなることから、概算金額で交渉するそうです。
    細かなことを言えば、2012年度の事業開始から7年ではなく5年です(市長の暴言は2017年6月)。
    土地36筆、建物27件、権利者42人の事業の最後の1件で、これだけに5年かけたわけでもないとのことです。

    市長の説明の結果、多くの人が「用地担当職員が7年間も放置していた」と頭から信じてしまいました。

    2月1日の辞職記者会見では、市長は「職員はきちんと仕事をしています」と述べ、このことが新聞では「職員をかばった」と評されていますが、自分が勘違いして激高したことを述べていないので、視聴者には何のことだか伝わっていません。用地担当職員は相変わらず「7年も仕事をさぼっていた公務員」とネットで批判されています。

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