バイトテロに対する懲戒処分

昨日のブログに引き続き,本日は,

バイトテロに対する懲戒処分について検討します。

 

 

アルバイトの労働者が,ツイッター,インスタグラムなどの

SNSに勤務先の商品(特に食品)や什器を使用して

悪ふざけを行う様子の動画を投稿して,

それが拡散していった場合,会社は,

そのアルバイトを懲戒処分することができるのかという問題です。

 

 

 

 

まず,会社が労働者を懲戒するためには,

就業規則に懲戒の対象となる事由と懲戒処分の種類が定められ,

その就業規則が周知されていなければなりません。

 

 

そのため,会社の就業規則に,労働者が会社の信用を毀損したり,

会社の器物を損壊した場合には,懲戒処分を科すことができるという

規定が存在していなければ,会社は,労働者を

懲戒処分することができないのです。

 

 

次に,懲戒処分の対象とされた労働者の行為が

就業規則所定の懲戒事由に該当し,懲戒処分に

「客観的に合理的な理由」があると認められることが必要です

(労働契約法15条)。

 

 

この要件で問題になるのは,労働者の私生活上の行動を

理由として懲戒処分ができるかというものです。

 

 

労働者は,労働契約により,勤務時間中は

職務に専念する義務を負っていますが,

勤務時間外の時間をどのようにして過ごすかは,

労働者の自由であり,会社は,仕事に無関係な

職場外における労働者の行為を規制することはできないのです。

 

 

そのため,労働者の私生活上の行動は,

原則として会社の規制に服することはなく,

会社の事業活動に直接関連を有するものや,

会社の社会的評価の毀損をもたらすもののみが

例外的に懲戒の対象となるにすぎないのです。

 

 

 

 

そして,懲戒処分が,「労働者の行為の性質及び態様

その他の事情に照らして」,「社会通念上相当であると」

認められる必要があります(労働契約法15条)。

 

 

ようするに,労働者の懲戒該当事由に対して,

懲戒処分が重すぎてはならないということです。

 

 

これを,懲戒処分の相当性の要件といい,

労働者が懲戒処分を争う際には,

相当性の要件でせめるのが効果的です。

 

 

労働者の私生活上の行動に対する懲戒処分については,

厳格に判断される傾向があり,「当該行為の性質,情状のほか,

会社の事業の種類,態様・規模,会社の経済界に占める地位,

経営方針及びその従業員の会社における地位・職種」を総合判断して,

「会社の社会的評価に影響を及ぼす悪影響が相当重大であると

客観的に評価される」ことが要求されます(日本鋼管事件・

最高裁昭和49年3月15日判決・労働判例198号23頁参照)。

 

 

労働者による不適切な動画の投稿が

勤務時間以外の私生活の中で行われた場合,

動画の内容が会社の業務内容に関するものであり,

会社の社会的評価を毀損するものであれば,

懲戒処分は有効となると考えられます。

 

 

とくに,くら寿司やセブンイレブンのバイトテロの場合,

SNSで拡散された上に,テレビなどのマスコミにとりあげられて,

消費者に対して,くら寿司やセブンイレブンが不衛生であるとの

印象を与えて,信用を毀損したといえますので,

懲戒処分は有効になると思います。

 

 

 

 

もっとも,バイトテロに対して最も重い懲戒解雇とした場合,

当該アルバイトに過去に処分歴がなく,

長時間労働やパワハラを受けるなど劣悪な労働環境であったり,

労働者に対するSNSの利用についての教育が杜撰であった

という事情があれば,場合によっては,

懲戒解雇は重すぎるとして無効になる可能性もあると思います。

 

 

懲戒解雇の一つ手前の諭旨解雇に

とどめておいた方が無難のように思います。

 

 

とにかく,バイトテロは,重い懲戒処分を科される

危険がありますので,労働者は,決して,

バイトテロのような行為はしないようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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