休職と復職を繰り返した労働者に対する解雇事件

最近,新聞をみていますと,がんを宣告されても,

その人の治療にあわせて,無理のない範囲で仕事を

継続させる取り組みがあるようです。

 

 

今後,労働人口が減少していく中で,

病気の人も安心して働ける環境の整備が必要になっていきそうです。

 

 

 

 

さて,本日は,病気で休職していた労働者の解雇が

問題になった裁判例を紹介します。

 

 

本日,紹介するのは,12年間休職と復職を繰り返した

営業社員に対する解雇が争われた三洋電機事件です

(大阪地裁平成30年3月29日判決・労働判例1189号106頁)。

 

 

原告の労働者は,自転車通勤の途上で,

自動車との接触事故により,外傷性頚椎・腰椎ヘルニアの傷害を負い,

休職し,併合10級の後遺障害の認定を受けました。

 

 

その後,復職しましたが,頚椎症,腰椎椎間板ヘルニアや

その他の病気を理由に,3回休職と復職を繰り返し,

12年間のうち,原告の労働者が実際に就労したのは,

約2年11ヶ月でした。

 

 

 

 

そうしたところ,被告会社は,原告の労働者に対して,

身体上の故障のため,業務に堪えられないとして,解雇しました。

 

 

原告の労働者は,仕事が原因で,

腰痛が悪化したことから休業していたのであり,

本件解雇は労働基準法19条に違反すると主張しました。

 

 

労働基準法19条には,仕事が原因で労働者が負傷して,

休業している期間,解雇できないと規定されています。

 

 

ところが,原告の労働者は,ほとんど営業活動を行っておらず,

腰痛による体調悪化を訴えていなかったことから,

腰痛の悪化があったとしても,その原因は仕事ではないと判断され,

労働基準法19条による解雇制限は適用されませんでした。

 

 

また,被告の三洋電機は,パナソニックから,

余剰人員の削減をせまられている状況において,

原告の労働者に対して,就労可能と考えられる業務を提示して,

復職を希望する原告の労働者の意向に

最大限応えるように対応してきました。

 

 

そのため,被告は,原告の労働者に対して,

必要とされる配慮を十分に行っていることから,

本件解雇は有効と判断されました。

 

 

病気による休職と復職が問題になる事案では,

医学的な検討が必要になり,復職させるにしても,

どのような仕事ができるのかなどを慎重に判断する必要があります。

 

 

今後,病気になった労働者にも継続して働ける環境の整備が

求められていくことから,企業もどこまで,

労働者に配慮していかなければならないのか

について検討が続きそうです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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