使用者は労働者の勤務時間を一方的に変更できるのか?

ある日,アルバイト労働者が,雇用主から,

勤務時間を1時間削減すると言われたとします。

 

 

労働契約書には,平日の勤務時間が9時から17時で

1時間の休憩時間ありと記載されていますが,

これが10時から17時に変更になると言われました。

 

 

 

 

月給制の正社員の場合,勤務時間が1時間削減されても,

もらえる給料の金額が変わらないのであれば,

少ない労働時間で同じ給料がもらえることになり,

時間単価があがり,メリットになります。

 

 

しかし,アルバイト労働者の場合,時給制であるため,

勤務時間が1時間削減されると,その分時給が削減されるので,

給料が減ってしまいます。

 

 

さらに,アルバイト労働者は,年収が低いので,

給料が減らされてしまえば,

生活が困窮することになってしまいます。

 

 

労働契約書に定めれている勤務時間を一方的に変更されることに

納得のいかないアルバイト労働者は,

勤務時間を1時間削減することに反対したのですが,

最後は,雇用主から,決まったことですと言われて

押し切られてしまいました。

 

 

 

 

このような場合,1時間の勤務時間が

削除されてしまうのでしょうか。

 

 

本日は,労働条件の変更についての合意について解説します。

 

 

労働契約法8条には,次のことが記載されています。

 

 

労働者及び使用者は,その合意により,

労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

 

この条文を反対解釈すれば,労働者と使用者の合意がない限り,

労働条件を変更することができないことになります。

 

 

そのため,アルバイト労働者と雇用主が,

勤務時間を1時間削減することに合意すれば,

勤務時間を1時間削減することができるのですが,

アルバイト労働者が,勤務時間を1時間削減することに

合意していないので,雇用主が一方的に

勤務時間を1時間削減することはできないのです。

 

 

次に,労働契約書に,「本契約で定める勤務日,休日,勤務時間は,

業績,経済情勢などにより雇用主の判断により変更することがある。」

という条項があった場合,雇用主は,アルバイト労働者の合意なく,

勤務時間を1時間削減できるのでしょうか。

 

 

労働契約法3条1項には,「労働契約は,

労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し,

又は変更すべきものとする。」と規定されており,

このような事前の包括的な変更の合意は,

対等の立場で合意されたとはいえないので,

労働者が反対しているのであれば,

このような事前の包括的な合意に基づいて,

雇用主が一方的に労働条件を変更することはできません。

 

 

さらに,賃金や退職金といった重要な労働条件の変更についての

合意については,労働者の自由な意思に基づいてされたものと

認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することが必要となります

(山梨県民信用組合事件・最高裁平成28年2月19日判決)。

 

 

アルバイト労働者が勤務時間を1時間削減されれば

賃金を削減されることにつながるので,

アルバイト労働者の合意については,

慎重に判断されることになります。

 

 

 

 

このように,雇用主は,労働者の合意なく,

一方的に労働条件を変更することはできないので,

労働条件の変更に納得のいかない労働者は,

安易に合意しないようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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