無期転換後の解雇通告

朝日新聞の報道によれば,日立製作所が,

5年を超えて有期労働契約を締結して働き,

無期労働契約への転換を求めた女性労働者に対して,

解雇を通告したようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASM3Q5FYDM3QULFA01X.html

 

 

本日は,この無期転換後の解雇通告の問題について解説します。

 

 

 

 

まず,有期労働契約とは,契約社員,嘱託社員,派遣社員

といった非正規雇用労働者のように,契約期間が

6ヶ月や1年などに区切られている労働契約のことです。

 

 

契約期間が満了になると原則として,

労働契約は終了し,労働者には,仕事がなくなります。

 

 

会社が労働契約を更新しれくれれば,

引き続き働き続けることができますが,

更新するか否かは,会社の意向によりますので,

雇用が不安定なのです。

 

 

これに対して,無期労働契約は,正社員のように,

契約期間の区切りがないので,会社から解雇されない限り,

労働者は,働き続けることができるのです。

 

 

そして,非正規雇用労働者は,正社員と比べて,

待遇が低く,雇用が不安定であることから,

これを是正するために,労働契約法18条で,

無期転換ルールが定められたのです。

 

 

無期転換ルールとは,有期労働契約が2回以上,

通算5年を超えて更新された場合には,

非正規雇用労働者の申し込みによって,

無期労働契約へ転換させる制度です。

 

 

ちなみに,「ムキテンカンの歌」というユーチューブ動画があります。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=ZzDSmipMylk

 

 

 

現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に,

非正規雇用労働者が,会社に対して,無期転換の申し込みをすれば,

有期労働契約が終了する日の翌日から無期労働契約に転換されます。

 

 

無期転換の申し込みは,口頭でもできますが,

会社から聞いていないと言われるリスクがありますので,

文書で申し込みをするようにしましょう。

 

 

5年の通算契約期間ですが,途中に育児休業期間や休職期間

があった場合でも,通算契約期間にカウントされます。

 

 

無期転換後ですが,労働条件については,

契約期間が有期から無期に変わるだけで,

その他の労働条件は,従前の有期労働契約のままとなります。

 

 

 

 

もっとも,無期転換の際に,会社との間で,

賃金を正社員並に近づけるような「別段の定め」を締結できれば,

有期労働契約の労働条件を改善することが可能となります。

 

 

無期転換後であれば,労働契約の契約期間はなくなりますので,

労働者は,解雇されない限り,働き続けることができるのですが,

日立製作所は,無期転換後に解雇をしてきたのです。

 

 

会社が労働者を解雇するためには,

客観的合理的理由があり,

社会通念上相当でなければできません。

 

 

ようするに,会社側に解雇を正当化できるよほどの根拠があり,

解雇以外に他に手段がなかったといえない限り,

解雇は無効になるのです。

 

 

よほどのことがない限り,解雇できないのですから,

日立製作所の無期転換後の解雇は,

無期転換を回避するための解雇であると批判されています。

 

 

実際に,解雇する理由があったか否かは,

最終的には裁判で決着することになるのですが,

無期転換後にすぐに解雇したのであれば,

無期転換逃れのための解雇ではないかと疑いたくなります。

 

 

無期転換後の解雇が安易に認められたのでは,

非正規雇用労働者の雇用を安定させるという

無期転換ルールの趣旨がないがしろにされてしまいます。

 

 

日立製作所の事件については,団体交渉において,

無期転換後の解雇が撤回されることを期待したいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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