白鵬関の譴責処分を考える

朝日新聞の報道によりますと,日本相撲協会は,

大相撲春場所の千秋楽の優勝インタビューで三本締めをした

横綱白鵬関に対して,譴責の懲戒処分を行ったようです。

 

https://www.asahi.com/articles/ASM4R7G6XM4RUTQP02D.html

 

 

白鵬関の三本締めが,日本相撲協会のコンプライアンス規程のうちの

「土俵上の礼儀,作法を欠くなど,相撲道の伝統と秩序を損なう行為」

に該当することが,懲戒事由のようです。

 

 

 

本日は,白鵬関の譴責について検討してみます。

 

 

まず,労働契約法15条において,

「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,

当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様

その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,

社会通念上相当であると認められない場合は,

その権利を濫用したものとして,当該懲戒は,無効とする。」

と規定されています。

 

 

この条文から,懲戒処分が有効になるためには,

①懲戒事由及び懲戒の種類が就業規則に規定されて周知されていること,

②就業規則の懲戒規定に該当する懲戒事由があること,

③懲戒処分が社会通念上相当であること,

という要件を満たす必要があります。

 

 

これを白鵬関の三本締めにあてはめてみると,

①日本相撲協会のコンプライアンス規程に,

懲戒事由と懲戒の種類が規定されていると考えられますので,

この要件は問題ないと思います。

 

 

問題は,三本締めが,

「土俵上の礼儀,作法を欠くなど,相撲道の伝統と秩序を損なう行為」

という②懲戒事由に該当するのかということです。

 

 

 

そもそも,「土俵上の礼儀,作法を欠くなど,

相撲道の伝統と秩序を損なう行為」という定義が抽象的なため,

どのような行為がこの定義にあてはまるのか,

恣意的に運用されてしまうリスクがあります。

 

 

悪く言えば,相撲協会側にとって,

力士の気に入らない言動があれば,

この定義にひっかけて懲戒処分を課すことができてしまうわけです。

 

 

おそらく,一般の方々と相撲に長く携わってきた方々ですと,

「土俵上の礼儀,作法を欠くなど,相撲道の伝統と秩序を損なう行為」

の捉え方に違いがあると思います。

 

 

私は,相撲に造詣が深くないので,私個人の見解としては,

春場所の全取り組みが終了した後の優勝インタビューで三本締めをしても,

相撲道の伝統と秩序を損なうまでは至らないのではないかと考えます。

 

 

そのため,三本締めが懲戒事由に該当することついては

疑問を持っています。

 

 

最後に,白鵬関の三本締めが懲戒事由に該当するとして,

③懲戒処分が社会通念上相当か否かについて検討します。

 

 

白鵬関は,以前,優勝インタビューで万歳三唱をしたとして,

厳重注意を受けていました。

 

 

 

 

この厳重注意は,懲戒処分ではなく,

事実上の戒めのためになされるもので,指導監督上の措置です。

 

 

この厳重注意があったのに,同じような行為をしたとして,

今回は,懲戒処分の中で一番軽い譴責処分となったのです。

 

 

要するに,一度注意しているのに,懲りずにまたやったとして,

少し重い処分を課したわけです。

 

 

 譴責処分とは,一般的に,始末書を提出させて将来を戒めるものであり,

労働者に対して,直接的かつ具体的な不利益を与えるものではありません。

 

 

もっとも,譴責処分を受けたという事実が将来の

人事考課,昇給昇格,一時金の支給率決定に際して

不利益に考慮されることがありますので,会社は,

合理的な理由なく安易に譴責処分を発令することを慎む必要があります。

 

 

一度同じようなことで厳重注意を受けているのに,

またやってしまったことと,三本締めをしただけで

そこまで重い懲戒処分はできないということで,

最も軽い譴責処分に落ち着いたというわけです。

 

 

私個人としては,譴責処分といえども

懲戒処分であることには変わりなく,

この譴責処分が将来どのように不利益にはたらくかわからないことから,

三本締めで譴責処分までしなくてもいいのではないかと考えます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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