セクハラ被害における心理的監禁状態とは

現在,セクハラの損害賠償請求の裁判を担当している関係で,

セクハラ被害者の心理状態について,勉強しています。

 

 

その過程で,NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会の

性犯罪者の被害者心理への理解を広げるための全国調査グループがまとめた

なぜ逃げられないのか~継続した性暴力の被害者心理と対処行動の実態~

という文献を読みましたので,アウトプットします。

 

 

セクハラの被害は,第三者が目撃することができない密室で発生します。

 

 

 

そのため,セクハラ行為があったことを

立証できるかが最初のハードルとなります。

 

 

次に,セクハラ行為を立証できたとしても,加害者からは,

被害者の合意があったという反論があります。

 

 

加害者からは,合意の上での恋愛関係であった,その証拠に,

被害者から加害者に対して好意を抱いているようなメールを送っている,

という反論をしてくることが多いです。

 

 

この被害者の合意が第2のハードルとなります。

 

 

セクハラ行為について,被害者の合意があったか否かについては,

被害者の主張と加害者の主張のどちらが信用できるか

によって判断されます。

 

 

このとき,被害者の主張する,被害者の言動が,

一般の人にはなかなか理解できないことがあります。

 

 

例えば,セクハラ被害にあったにもかかわらず,その後に

「今日も来てくれてありがとう」,「会えないとさみしい」

などの加害者に対して好意的なメールを送っていることがあります。

 

 

 

このメールを一般の人が読むと,被害者は,加害者に対して,

好意を抱いていたのではないか,だから,

被害者の合意があったに違いないと考えてしまがちです。

 

 

しかし,一見不合理に見える被害者の言動ですが,

フェミニストカウンセラーが,セクハラ被害者の

一般的な心理や行動から分析すれば,

セクハラ被害者の言動として自然であるといえます。

 

 

セクハラ被害者は,心理的監禁状態に陥ることがあります。

 

 

心理的監禁状態とは,物理的に監禁されているわけではないのに,

現実には逃げることができなくなってしまう状態です。

 

 

 

職場におけるセクハラの場合,上司や経営者といった

支配的地位を利用して,被害者が加害者の言いなりにならなければ,

仕事の関係で様々な嫌がらせをして,報復行為をすることがあります。

 

 

被害者は,加害者からの報復行為を避けるために

常に加害者の顔色をうかがいます。

 

 

このように,被害者は,加害者のマインドコントロール下に

置かれてしまいます。

 

 

被害者が心理的監禁状態のもとで生き延びるためには,

加害者に逆らわないばかりでなく,加害者のよい面をみようとし,

加害者に迎合的な態度をとるのもやむなしという心境になっていきます。

 

 

心理的監禁状態では,被害者は,一定の精神的安定を保つために,

加害者に迎合して2人の関係を荒立てないようにして,

周りに関係がばれないように気配りをすることがあるのです。

 

 

このように心理的監禁状態に置かれたセクハラ被害者の

心理状態や対処行動を理解すれば,

被害者の言動を合理的に説明することができます。

 

 

そのため,セクハラ事件では,通常人の常識を捨てて,

セクハラ概念を判断枠組みとして,被害者の行動の全体を捉えて,

被害者の言動をもうひとつの物語として語ることで,

説得力をもたせることができるのです。

 

 

セクハラ事件を担当するうえで,セクハラ被害者の心理を

理解することが重要であることを痛感しました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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