解雇なのか合意解約なのか

2日前のブログで,解雇なのか自己都合退職なのかが

争われる事件について紹介しました。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201905158032.html

 

 

これに関連して,本日は,解雇なのか合意解約なのかが

争われるケースについて解説します。

 

 

解雇とは,使用者による一方的な労働契約の解約のことです。

 

 

 

解雇には,よほどのことがない限りできない

という厳しい規制があります。

 

 

他方,労働者からの一方的な労働契約の解約の意思表示を辞職といい,

労働者の都合で退職することを自己都合退職といいます。

 

 

自己都合退職については,退職することを会社に伝えてから

2週間が経過すれば,原則自由に退職できます。

 

 

もう一つ,労働契約の合意解約があります。

 

 

例えば,会社から退職を勧奨されて,

労働者がこれに応じて退職した場合,

会社の辞めてほしいという意思表示と,

労働者の辞めますという意思表示が合致して,

労働契約が会社と労働者の合意によって解約されるのです。

 

 

労働者が解雇が無効であると争った場合,会社は,

解雇はしておらず,退職勧奨をしたら,労働者が勝手に辞めたので,

合意解約が成立すると反論してくることがあります。

 

 

 

この場合,2日前のブログで記載しましたが,

使用者の解雇したという言動や,

労働者の退職したという言動の有無についての

事実認定が問題になります。

 

 

そして,使用者や労働者の言動が認定された場合でも,

使用者の言動がそもそも解雇の意思表示にあたるのか,

労働者の言動が退職の申込みにあたるのか,

という当該言動の評価の問題がでてきます。

 

 

この解雇や退職についての言動の評価について,

乙山法律事務所経営者事件の裁判例は

(東京地裁平成27年3月11日・判例時報2274号73頁),

次のように判断基準を提示しました。

 

 

長いのですが,重要ですので引用します。

 

 

「労働者にとって雇用契約は、

生活の糧を稼ぐために締結する契約であり、かつ、

社会生活の中でかなりの時間を費やすことになる

契約関係であることからすれば、

かかる雇用契約を解消するというのは、

労働者にとって極めて重要な意思表示となる。

 

 

したがって、かかる雇用契約の重要性に照らせば、

単に口頭で合意解約の意思表示がなされたとしても、

それだけで直ちに合意解約の意思表示がなされたと

評価することには慎重にならざるを得ない。

 

 

特に労働者が書面による合意解約の意思表示を明示していない場合には、

外形的にみて労働者が合意解約を前提とするかのような

行動を取っていたとしても、労働者にかかる行動を取らざるを得ない

特段の事情があれば、合意解約の意思表示と評価することはできない

ものと解するのが相当である。」

 

 

労働者から,退職届のような文書が提出されていない場合には,

労働契約の合意解約は慎重に判断されるのです。

 

 

 

この事件では,雇用主からもう来なくて良いと言われ,

言い分が聞き入れてもらえなかったので,

原告は事務所を立ち去るしかなかったので,

原告が「こんなとこ働けんわ」と言って事務所を立ち去っているのですが,

労働契約の合意解約があったとは認められず,

解雇であったと判断されました。

 

 

また,同じく,解雇か合意解約かが争われたゴールドルチル事件でも,

合意解約ではなく,解雇と判断されました

(名古屋高裁平成29年1月11日決定・労働判例1156号18頁)。

 

 

すなわち,この事件では,労働者が

「やはり首ですよね?はっきりしないと仕事を探すにも探せません」,

「首ですね?」,「会社を辞めないといけませんけど」

と伝えたところ,会社は「仕事探してみてはいかがですか」,

「雇用保険受付してもいいですよ」と回答したという事実関係において,

労働者が当面の生活費に困っている中で

金銭給付を受けるためにされたものであるとして,

労働者は労働契約の合意解約の意思表示をしていないと判断されました。

 

 

裁判では,解雇か,自己都合退職か,

労働契約の合意解約かが争われた場合,

使用者側の言動,労働者の離職の経緯,

労働者が自分の意思で退職する動機の有無,

離職後の労働者の態度,使用者が労働者の労務提供の受け取りを

拒否する意思の表れとみられる事情の有無などをもとに

事実認定されます。

 

 

傾向として,やや労働者に有利に判断されると感じますので,

会社から,勝手に辞めただろうと反論されても,

丁寧に事実を主張立証していけば,

解雇と認定される可能性がでてきますので,

労働者は,不当解雇に泣き寝入りしないでもらいたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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