ハラスメントの境界線2~企業の懲戒処分の決め方とハラスメント通報窓口~

昨日に引き続き,

ハラスメントの境界線~セクハラ・パワハラに戸惑う男たち~

という新書のアウトプットを行います。

 

 

 

この新書の中で,著者の白河桃子先生と

弁護士の五味祐子先生の対談において,

企業は,パワハラやセクハラに対して,

どのようにして懲戒処分をくだすのか,

パワハラやセクハラの通報窓口はどうあるべきかなどについて,

説明がされています。

 

 

私は,労働者側で労働事件を担当していますので,

企業内部の懲戒処分の決め方や通報窓口について,

詳しく知らなかったので,とても勉強になりました。

 

 

まず,ハラスメントに該当するかについては,

どのような行為だったのかという客観面と,

被害者がどのように受け止めたか,

周囲で見聞きしている人がどのように受け止めたかという主観面を加えて,

多方面から検討することになります。

 

 

 

 

もう少し具体的にすると,

加害者と被害者の関係性,

ハラスメント行為に至る経緯,

ハラスメント行為の期間・回数・表現,

指導目的との関連性,

ハラスメント行為の具体的状況

といった客観的事実が重視されます。

 

 

そのため,被害者がハラスメント行為を

どのように感じたかも重要ですが,むしろ,

客観的な事実からハラスメント行為に該当するのかを検討するので,

被害者の感じ方次第で決まるものではないのです。

 

 

次に,企業は,懲戒処分を次のような流れで決めていきます。

 

 

どのようなハラスメント行為があったのか調査を行い,

懲戒処分の対象となる事実を確定し,

懲戒処分案を検討します。

 

 

懲戒審査委員会が設置されている企業では,

懲戒審査委員会で処分案を審議し,

最終的に代表取締役が懲戒処分を決定します。

 

 

この過程において,懲戒処分の対象となっている者に

弁明の機会を与えます。

 

 

ハラスメント行為に対する懲戒処分の場合,

内容にもよりますが,通常は,

いきなり懲戒処分をくだすのではなく,

1回目は注意,2回目は厳重注意,3回目は懲戒処分

という段階をふんで,懲戒処分へつなげていきます。

 

 

 

 

企業がハラスメント被害を察知するルートの一つに,

ハラスメント通報窓口があります。

 

 

セクハラについては,男女雇用機会均等法11条において,

企業は,労働者からの相談に応じ,

適切に対応するために必要な体制の整備や

必要な措置を講じなければならないと規定されています。

 

 

パワハラについては,現時点では,

セクハラのように企業の措置義務を定めた法律はなく,

今年の通常国会で,企業にパワハラについての措置義務を課す

法律が成立する予定です。

 

 

これを受けて,企業には,ハラスメントの通報窓口

を設置しているところがあります。

 

 

しかし,このハラスメントの通報窓口が

十分に機能しているのかといいますと,

どうやらそうではないようです。

 

 

被害者がハラスメントの被害を報告しないのは,

①報告をしても被害者が損をするのが予想できる

(例えば,相談員から,「君にも落ち度があったのではないか」

などと言われる二次被害を受けたり,

被害者が会社の調和を乱すとして人事異動で不利益な取扱を受けるなど),

②そもそも窓口自体が有効ではない

(あるかどうかも分からない,あっても相談しにくい)

といったことが原因のようです。

 

 

そのため,被害者が安心して相談できるためにも,

ハラスメント通報窓口は,企業からの独立性や,

被害者の秘密を守ることを徹底しなければなりません。

 

 

 

そして,企業は,第一に被害者を守り,

被害者が報復されないように,

報復禁止措置を徹底する必要があるのです。

 

 

とりあえず,形だけハラスメント通報窓口を作ったのでは,

「仏作って魂入れず」と同じでだめなのです。

 

 

信頼できるハラスメント通報窓口があってはじめて,

被害者は相談してみようと思うものであり,

被害者が安心して相談できないと,

ハラスメントによる退職者が増えたり,

思わぬところから情報が流れて,

ハラスメントが発生しているブラック企業である

という風評がたってしまうリスクがあります。

 

 

企業は,安心して相談できるハラスメント通報窓口を

設置することが重要になると思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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