専門業務型裁量労働制におけるプロデューサーやディレクターの仕事とは?

いきものがかりが所属する芸能事務所キューブにおいて,

裁量労働制が適用されていたのですが,

業務遂行に裁量が認められておらず,

裁量労働制は無効であるとして,

渋谷労働基準監督署が是正勧告をしました。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASM2G5QBMM2GULFA021.html

 

 

マスコミの報道によりますと,20代男性労働者は,

音楽アーティストのアシスタントマネージャーとして,

ライブやラジオ収録に同行し,

打ち合わせの同席やSNSでの情報発信,

衣装の用意や買い出しなどの補助業務をしていたものの,

アーティストの活動方針やスケジュールは上司が決定し,

集合や解散の時間,業務の進め方も上司の指示に従っていたようです。

 

 

芸能事務所は,この20代男性労働者が

専門業務型裁量労働制の「プロデューサー」,「ディレクター」

の対象業務に従事しているとして,裁量労働制を適用していました。

 

 

 

また,6月16日のブログで紹介しましたが,

スポーツ動画配信サービス「DAZN」を運営する

Perform Investment Japanが,

動画編集担当をしていた従業員に対して,

専門業務型裁量労働制を違法に適用したとして,

三田労働基準監督署から是正勧告を受けました。

 

 

https://mainichi.jp/articles/20190604/k00/00m/040/225000c

 

 

おそらく,動画編集の仕事が,

「プロデューサー」や「ディレクター」に該当するとして,

専門業務型裁量労働制が違法に適用されていたのだと思います。

 

 

本日は,専門業務型裁量労働制における

プロデューサーやディレクターの業務

について説明したいと思います。

 

 

専門業務型裁量労働制とは,

労働基準法38条の3に基づく制度であり,

業務の性質上,業務遂行の方法,時間配分等を大幅に

労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として,

法令等により定められた19業務の中から,

対象となる業務を労使協定で定めて,

労働者を実際にその業務に就かせた場合,

労使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度です。

 

 

この専門業務型裁量労働制が適用されると,

労使協定でみなし時間が8時間に設定されていれば,

実際に1日11時間労働したとしても,

8時間だけ労働したものとみなされて,

8時間を超える3時間分の残業代を

請求することができなくなるのです。

 

 

専門業務型裁量労働制が適用される業務は,

労働基準法施行規則24条の2の2第2項に記載されており,

その5号に「放送番組,映画等の制作の事業における

プロデューサー又はディレクターの業務

が対象業務として記載されています。

 

 

 

この条文だけでは,どのような業務が対象となるか分からないので,

行政解釈を見てみると,次のように記載されています。

 

 

「『放送番組,映画等の制作』には,

ビデオ,レコード,音楽テープ等の制作及び

演劇,コンサート,ショー等の興行等が含まれるものであること」

 

 

「『プロデューサーの業務』とは,

制作全般について責任を持ち,

企画の決定,対外折衝,スタッフの選定,

予算の管理等を統括して行うことをいうものであること」

 

 

「『ディレクターの業務』とは,

スタッフを統率し,指揮し,

現場の制作作業の統括を行うことをいうものであること」

 

 

この行政解釈を読むと,テレビ局の放送番組や映画会社の映画の

制作の仕事が対象になることは分かるのですが,

プロデューサーやディレクターが抽象的に記載されているため,

どのような仕事が対象になるのかわかりにくいです。

 

 

 

 

私は,プロデューサーと言われて思い浮かべるのは,

小室哲哉氏や秋元康氏で,当然,

このクラスの方々が会社に勤務していたら,

専門業務型裁量労働制が適用されても納得できるのですが,

他のプロデューサーが専門業務型裁量労働制の対象になるか,

と言われると正直よくわからないです。

 

 

よくわからないということは,制度を悪用されやすいわけです。

 

 

実際に,芸能事務所キューブやDAZNの運営会社でも,

仕事内容は,若手社員が上司から指示されて,

よくやるような雑多な仕事だったにもかかわらず,

プロデューサーやディレクターと称して,

専門業務型裁量労働制を違法に適用していたのだと思います。

 

 

労働者も,会社から「君には専門業務型裁量労働制が適用されるので,

残業代はでないんだよ」と説明されても,

「ふーん,そうなんだ」と言って,

素直に受け入れている可能性があります。

 

 

そもそも,専門業務型裁量労働制は,

適用対象となる労働者に業務の遂行方法について

裁量が認められていなければ,適用できないのですが,

会社が残業代を支払いたくないために,

形式的にプロデューサーやディレクターと称して,

裁量のない仕事をさせている実態がありそうです。

 

 

もし,プロデューサーやディレクターであるとして,

専門業務型裁量労働制が適用されていた場合,

自分の仕事は,本当に裁量があるのかを見直してみて,

残業代を請求できないか検討してみるのもいいと思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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