パワハラ事件では証拠の確保が重要です

労働施策総合推進法の改正によって,

法律にパワハラの定義が規定されたり,

会社に対するパワハラ防止措置義務が明記されました。

 

 

また,ILOにおいて,仕事の世界における

暴力やハラスメントを撤廃するための条約が採択されました。

 

 

このように,パワハラを防止していこうという

機運がいまだかつてないくらいに高まっています。

 

 

 

しかし,実際にパワハラで裁判をするには,

まだまだハードルが高いのが現状です。

 

 

パワハラの裁判のハードルが高いのには3つの理由があります。

 

 

1つ目は,パワハラを立証できるのかというハードルです。

 

 

問題となるパワハラのほとんどが,

言葉による暴力なのですが,言葉の暴力は,

録音をしておかないと,言った言わないの問題となり,

パワハラの被害者が,言葉の暴力があったことを証明できないと,

裁判では負けてしまいます。

 

 

2つ目は,違法なパワハラといえるのかというハードルです。

 

 

パワハラの定義は,①優越的な関係に基づく,

②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により,

③労働者の就業環境を害すること,とされています。

 

 

このうち,適法な業務指導か違法なパワハラかについて,

②の要件にあてはまるかが問題となります。

 

 

3つ目は,慰謝料の金額というハードルです。

 

 

パワハラの慰謝料は,そこまで高くはなく,

費用対効果を考えると,パワハラで損害賠償請求をすることに

二の足を踏んでしまいます。

 

 

 

実際に,労働者のパワハラの損害賠償請求が否定された

裁判例を見てみましょう。

 

 

コンチネンタル・オートモーティブ事件の

東京高裁平成29年11月15日判決と

横浜地裁平成29年6月6日判決です

(労働判例1196号63頁)。

 

 

この事件では,上司の原告労働者に対する言動が

違法なパワハラにあたるかが問題となりました。

 

 

原告労働者は,上司から

「人事を巻き込んで何かと思えば,プロジェクトの話か。

プロジェクトの失敗で責任を取らせることはないが,

パフォーマンスが出ていないので,それで首にすることはあり得る」,

「お前,今すぐちゃんとやるかどうか決めろ」,

「お前の期待値は20パーセントだ」

と言われたと主張しました。

 

 

これに対して,上司は,原告労働者に対して,

プロジェクトがうまくいかなかっただけで解雇にならないと説明し,

原告労働者のパフォーマンスが悪く,

期待値の20パーセント程度しか発揮できていない

として注意,指導したと主張しました。

 

 

裁判所は,上司の主張を採用し,この上司の言動は,

業務上の注意指導の範囲を逸脱していないとして,

違法なパワハラではないと判断しました。

 

 

パワハラの定義の②の要件を満たさないと判断されたわけです。

 

 

パワハラの損害賠償請求の裁判では,

損害賠償請求をする人に,パワハラの事実が存在したことを

証明する責任があるので,裁判所は,

原告労働者と上司の主張を対比して,

概ね合致しているところで,

事実を認定したのだと考えられます。

 

 

パワハラの被害者の主張と,加害者の主張が

真っ向から対立する場合,録音などの証拠がないと,

パワハラ被害者の主張が認められるのは困難だと言えます。

 

 

 

パワハラ事件では,やはり,

パワハラの言動を録音するなどして,

証拠化しておくことが重要なのです。

 

 

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