通算契約期間で結論がわかれた労働契約法20条違反の裁判例~日本郵便(非正規格差)事件~

昨日は,1日家族サービスをしたので,

本日,ブログを更新することになりました。

 

 

8月2日に,全国労働基準関係団体連合会主催の

トラブルのない明るい職場を目指す労働判例・政策セミナー

で講師をさせていただくことになり,その準備のために,

労働契約法20条に関する裁判例を検討しております。

 

 

 

本日は,その経緯で,日本郵便(非正規格差)事件の

大阪高裁平成31年1月24日判決を紹介したいと思います

(労働判例1197号5頁)。

 

 

この事件は,日本郵便との間で,雇用期間の定めがある

労働契約を締結した契約社員である労働者が,

正社員との間で,8つの手当と2つの休暇に関する

労働条件に違いがあることが,労働契約法20条に違反するとして,

損害賠償請求をしたという事件です。

 

 

労働契約法20条では,非正規雇用労働者と正社員との

労働条件の相違が,「労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度,

当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して」,

不合理であってはならないと規定されています。

 

 

大ざっぱに言うと,非正規雇用労働者が正社員と

同じ仕事をしているにもかからわず,

労働条件が不合理に違うのは許されませんということです。

 

 

この事件で争点となった年末年始勤務手当について,

次のとおり判断されました。

 

 

正社員には,年末年始勤務手当が支給されており,

原告ら契約社員には,年末年始勤務手当が支給されていませんでした。

 

 

この年末年始勤務手当は,年賀状の配達の関係で,

年末年始が最繁忙期になるという郵便事業の特殊性から,

多くの労働者が休日として過ごしているはずの

年末年始の時期に業務に従事しなければならない

正社員の苦労に報いる趣旨で支給されています。

 

 

 

 

年末年始に最繁忙期となり,

その時期に働かなければならないことは,

正社員も契約社員も同じなので,上記の趣旨からすると,

正社員にだけ年末年始勤務手当を支給し,

契約社員に年末年始勤務手当を支給しないことは,

労働契約法20条に違反しそうです。

 

 

他方で,契約社員は,原則として短期雇用を前提として,

各郵便局の判断で,柔軟に労働力を補充,確保するための雇用区分であり,

実際に,年末年始の期間に採用が増加すること,

契約社員の5割以上が1年以内に,

7割以上が3年以内に退職すること,

正社員の待遇を手厚くすることで

有為な人材の長期的確保を図る必要性や,

労働条件が労使協議を経て設定された事情があります。

 

 

これらの事情は,労働契約法20条の「その他の事情」として,

重みがあるものであり,正社員と契約社員との間で,

年末年始勤務手当の支給に相違があることは

直ちに不合理とはならないとされました。

 

 

もっとも,契約社員であっても,有期労働契約を反復更新して,

契約期間が長期間に及んだ場合には,正社員と契約社員との間で,

年末年始勤務手当の支給に相違を設定する根拠は弱くなり,

もはや不合理と認められます。

 

 

そして,労働契約法18条において,

契約期間を通算して5年を経過すると,

非正規雇用労働者が正社員に転換できると規定されていることから,

契約期間を通算して5年を超えている契約社員に,

年末年始勤務手当を支給しないことは不合理であると判断されました。

 

 

同じりくつで,祝日給,夏期冬期休暇,病気休暇

の正社員と契約社員の相違について,

契約期間を通算して5年経過している契約社員との相違は,

不合理であると判断されました。

 

 

そして,不合理とされた部分について,

損害賠償請求が認められたのです。

 

 

無期転換ルールを定めた労働契約法18条を引用して,

通算契約期間が5年を超える契約社員との相違が

不合理であるとした点に特徴があります。

 

 

 

 

私としては,契約期間に関係なく,

手当や休暇の趣旨を個別に検討して,

不合理か否かを検討したほうがわかりやすいと考えます。

 

 

争われている手当や休暇ごとに判断が異なってきますので,

労働契約法20条に関する裁判例をこまめに

チェックしていくことが大切ですね。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

 

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