管理監督者や裁量労働制は過労死や過労自殺を助長する

1 三菱電機の子会社における過労自殺事件

 

 

三菱電機の子会社であるセルコセミコンダクタエンジニアリングの

技術職の40代男性労働者が,長時間労働が原因で過労自殺し,

今年の10月に労災認定されていたことが明らかになりました。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASMCP53YLMCPULFA025.html

 

 

被災労働者は,三菱電機の別の子会社メルコパワーデバイスに出向し,

豊岡工場で勤務していたときに,管理監督者として扱われ,

時間外労働が1ヶ月100時間を超える長時間労働をさせられたそうです。

 

 

そして,福岡市の事業所へ異動した後に自殺したようです。

 

 

福岡市の事業所へ異動した後には,

裁量労働制が適用されていたようです。

 

 

管理監督者として扱われたり,裁量労働制が適用されると,

労働時間の管理が杜撰になり,長時間労働となって,

過労死や過労自殺が発生するリスクがあることを

物語っているニュースです。

 

 

 

本日は,管理監督者や裁量労働制と

過労死・過労自殺の関係について解説します。

 

 

2 管理監督者

 

 

労働基準法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」

に該当すれば,労働者は,会社に対して,残業代を請求できなくなります。

 

 

労働者が会社に対して,残業代を請求できなくなるので,

会社としては,残業代の計算をする必要がなくなり,

労働時間の管理が杜撰になってしまいます。

 

 

しかし,管理監督者として扱われるためには,

次の3つの要件を満たす必要があります。

 

 

 

①会社の経営に関する決定に参画し,

労務管理に関する指揮監督権限を認められていること

 

 

 ②自己の出退勤をはじめとする労働時間について

裁量権を有していること

 

 

 ③一般の労働者と比較して,

その地位と権限にふさわしい賃金上の処遇が与えられていること

 

 

この3つの要件を満たすのはなかなか難しく,

いわゆる名ばかり管理職として,

残業代が違法に支払われていないことが多いです。

 

 

3 裁量労働制

 

 

次に,裁量労働制とは,仕事の性質上その遂行方法を大幅に

労働者に委ねる必要がある場合に,実労働時間とは関係なしに,

労使協定や労使委員会の決議で定めた時間を労働時間とみなす制度です。

 

 

すなわち,実際には12時間働いたとしても,

みなし労働時間が8時間と定められていた場合,

8時間しか労働していないとみなされて,

4時間分の残業代を請求できないのです。

 

 

裁量労働制には,専門業務型裁量労働制と

企画業務型裁量労働制の2つがあります。

 

 

専門業務型裁量労働制は,法令で定められた

専門的な職種に対してのみ適用される裁量労働制です。

 

 

企画業務型裁量労働制は,事業運営に関する事項についての

企画,立案,調査及び分析の業務に対して適用される裁量労働制です。

 

 

裁量労働制については,みなし労働時間が8時間に設定されていれば,

8時間を超えて労働しても残業代が発生しないので,会社は,

残業代の計算をする必要がなくなり,労働時間の管理が杜撰になるのです。

 

 

4 管理監督者や裁量労働制は長時間労働の温床

 

 

このように管理監督者も裁量労働制も,

労働者に対して残業代を支払わなくてもよくなる制度なので,

会社の労働時間の管理が杜撰になって,長時間労働が蔓延し,

過労死や過労自殺につながるのです。

 

 

三菱電機の子会社の過労自殺については,

管理監督者や裁量労働制が適用されて,

1ヶ月100時間を超える長時間労働があり,かつ,

豊岡から福岡へ転勤した出来事があるので,

心理的負荷が強となり,労災と認定されたのだと考えられます。

 

 

三菱電機では,ここ最近,男性労働者5人が長時間労働が原因で,

精神障害や脳疾患を発症したとして労災認定されています。

 

 

過労死や過労自殺を繰り返さないために,

労働時間を適切に把握して,残業代を支払うようにして,

長時間労働をなくしていくべきです。

 

 

また,企画業務型裁量労働制については,要件を緩和して,

適用される労働者を拡大していく動きがありますが,

三菱電機の事件でもわかるとおり,

裁量労働制は過労死や過労自殺を助長するので,

そのような規制緩和には反対です。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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