パワハラ6類型の個の侵害とは?

1 パワハラ・セクハラ対策セミナー

 

 

昨日,金沢弁護士会主催の

「待ったなし!パワハラ・セクハラ対策 経営者が今なすべきことは何か?」

というセミナーに参加してきました。

 

 

 

金沢弁護士会が主催するセミナーは,毎回,

広報がうまくいかなかったり,

会場に駐車場がないなどの理由からか,

あまり人が集まらないことが多いです。

 

 

しかし,今回のセミナーは,平日の午後の時間帯であるにもかかわらず,

多くの弁護士以外の方が参加してくれました。

 

(パワハラの講義を担当された粟田真人先生)

 

やはり,それだけ,ハラスメントの問題が

社会に広く認知されてきていると感じました。

 

(セクハラの講義を担当した当事務所の渡邊智美弁護士)

 

2 個の侵害とは?

 

 

さて,昨日のセミナーで,次のような質問がありました。

 

 

パワハラの6類型の1つに,個の侵害というものがあります。

 

 

労働者の私的なことに過度に立ち入ることをいい,

労働局のパンフレットには,具体例として,

不在時に,机の中を勝手に物色される,と挙げられています。

 

 

担当者が不在時に,机の中にある資料を探すことも,

個の侵害に当たるのかという質問でした。

 

 

 

確かに,労働局のパンフレットの記載では,

事前に労働者の許可なく,机の中を探すのは,

個の侵害に該当するような記載になっています。

 

 

しかし,実際には,担当者が不在時に,

他の労働者が業務で必要な資料を

担当者の机の中から探すことはよくありますし,

それは許容されるべきだと思います。

 

 

業務上の必要性があり,やむを得ず,不在時に,

机の中を探すことは,個の侵害にはあたらず,

何の理由もなしに,不在時に,勝手に机の中を物色することは,

個の侵害にあたると考えます。

 

 

このように,どのような場合に,パワハラに該当するのかは,

ケースバイケースで検討する必要があります。

 

 

3 豊前市事件の裁判例

 

 

ここで,個の侵害が問題になった豊前市事件の

福岡高裁平成25年7月30日判決(判例タイムズ1417号100頁)

を紹介します。

 

 

この事件では,自治体の職員である原告が,

若い女性職員と交際していたことについて,

上司が原告に対して,次のような発言をしました。

 

 

「入社して右も左も分からない若い子をつかまえて,だまして。

お前は一度失敗しているから悪く言われるんだ」

 

 

「お前が離婚したのは,元嫁の妹に手を出したからだろうが。

一度失敗したやつが幸せになれると思うな。

親子くらいの年の差があるのに常識を考えろ。

お前俺をなめているのか。

俺が野に下ったら,お前なんか仕事がまともにできると思うなよ」

 

 

また,この上司は,原告の交際相手の若い女性職員に対して,

次のような発言をしました。

 

 

「あいつ(原告)は,危険人物だぞ。

これまでもたくさんの女性を泣かせてきた。

豊前市のドン・ファンだ」

 

 

職場の上司が,ここまで露骨に,部下の職場恋愛に介入するのは,

明らかにいきすぎであり,この上司の言動は,

誹謗中傷,名誉毀損,私生活に対する不当な介入に該当するとして,

原告の人格権侵害を認めて,慰謝料30万円が認められました。

 

 

 

この事件では,交際相手の女性の日記に,

上司の言動が記載されており,

上司のパワハラの言動を立証することができました。

 

 

ここまで露骨な私生活への介入であれば,

個の侵害と容易に言えるのですが,それ以外のケースでは,

判断に迷うことも多いでしょうし,

そもそも証拠がなくて証明できないことも多いと思います。

 

 

やはり,パワハラ事件には,

①立証の難しさ,

②ケースバイケースで様々な事実を総合考慮して判断する難しさ,

③慰謝料が低額である,

という3つのハードルがあるのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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