大学の准教授に対する雇止め事件

1 雇止めとは

 

 

有期労働契約の契約期間が満了して,労働契約が更新されず,

労働契約が終了することを雇止めといいます。

 

 

正社員は,契約期間の定めのない無期労働契約を締結しているので,

解雇されるか,自分から退職しない限り,

労働契約が継続するので,雇用が安定してます。

 

 

他方,有期雇用労働者は,労働契約の契約期間が定められているので,

契約期間が満了したら,労働契約が終了してしまうリスクがあるので,

雇用が不安定です。

 

 

 

有期雇用労働者は,雇止めされると,明日からの仕事がなくなり,

生活が不安定になることから,雇止めが無効であるとして,

裁判になることがよくあります。

 

 

本日は,雇止めについて,学校法人梅光学院ほか事件の

広島高裁平成31年4月18日判決を紹介します

(労働判例1204号5頁)。

 

 

この事件は,大学の特任准教授である原告が,

1年間で労働契約を終了させられたのは,無効であるとして,

労働者の地位にあることの確認を求めて,裁判を起こしました。

 

 

2 雇止めが無効になるには

 

 

雇止めが無効になるためには,

労働契約法19条の要件を満たす必要があります。

 

 

すなわち,第1の要件として,有期労働契約が

更新されるものと期待することについて合理的な理由があること。

 

 

第1の要件が満たされれば,第2の要件として,

雇止めに客観的合理的理由がなく,社会通念上相当でない場合に,

雇止めが無効になるのです。

 

 

多くの雇止めの事件では,

第1の要件が中心的な争点になることが多いです。

 

 

第1の要件については,以下の事情を総合考慮して判断されます。

 

 

 ①雇用の臨時性(仕事の内容が臨時的・補助的か,基幹的か)

 ②更新の回数

 ③雇用の通算期間

 ④契約期間管理の状況(契約書を毎回締結しているか,

手続が形式的となっていないか)

 ⑤雇用継続の期待をもたせる会社の言動の有無

 

 

本件事件では,契約期間1年で雇止めにあったので,

②③の事情は原告にとって不利でしたが,以下の事情から,

当然に有期労働契約が更新されることを前提に契約を締結していたとして,

第1の要件を満たすとされました。

 

 

・被告では,1年で雇止めにあった例が原告以外にないこと。

 

 

・原告は,学生の授業アンケートで高い評価を受けており,

1年で3つの論文を執筆し,学外の講演の講師をするなど

豊富な業務量をこなしていたこと。

 

 

・被告の代表者が雇止めをしないと繰り返し原告に発言していたこと。

 

 

そのため,原告には,有期労働契約が更新されると

期待することについて,合理的な理由があると判断されました。

 

 

そして,被告の募集要項には,更新は最大2回,

最長3年と記載されていましたが,就業規則には,

通算した契約期間が5年を超えるときには更新しないとされていて,

5年までは更新しえることと,

実際に契約更新が最大3年として運用されていないことから,

5年間契約が更新されると期待することについて,

合理的な理由があると判断されました。

 

 

その結果,原告は,第1と第2の要件を満たしていたので,

雇止めは無効となりました。

 

 

一度も更新されていなくても,格別の意思表示や特段の支障が無い限り,

当然に更新されることを前提に契約を締結していた場合には,

契約更新への合理的期待が生じているとして,

雇止めが無効になる可能性があるのです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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