未払残業代請求事件におけるタイムカードの証拠としての価値

1 会社からタイムカードが信用できないと争われたら

 

 

未払残業代を請求する事件において,

労働者側がタイムカードをもとに労働時間を算出したにもかかわらず,

会社側からタイムカードに手書きの記載があるなどの理由で,

タイムカードは信用できないと反論されることがあります。

 

 

本日は,タイムカードは,未払残業代請求事件の証拠として,

どこまで活用できるのかについて解説します。

 

 

2 タイムカードは証拠として価値が高い

 

 

結論から先に言いますと,タイムカードには特段の事情が無い限り,

労働時間を事実上推定する力があるとする裁判例が多数あり,

タイムカードを証拠として大いに活用できるのです。

 

 

 

例えば,千里山生活協同組合事件の

大阪地裁平成11年5月31日判決(労働判例772号60頁)は,

次のように判断しています。

 

 

「タイムレコーダーは、その名義の本人が作動させた場合には、

タイムカードに打刻された時刻にその職員が所在したといいうるのであり、

通常、その記載が職員の出勤・退勤時刻を表示するものである。

そこで、特段の事情がないかぎり、タイムカードの記載する時刻をもって

出勤・退勤の時刻と推認することができる

 

 

タイムカードに記載された出勤・退勤時刻と

就労の始期・終期との間に齟齬があることが証明されないかぎり、

タイムカードに記載された出勤・退勤時刻をもって

実労働時間を認定するべきである。

 

 

また,京電工事件の仙台地裁平成21年4月23日判決

(労働判例988号53頁)は,次のように判断指摘しています。

 

 

「使用者の側に,労働者の労働時間を管理する義務を

課していると解することができるところ,

被告においてはその管理をタイムカードで行っていたのであるから,

そのタイムカードに打刻された時間の範囲内は,

仕事に当てられたものと事実上推定されるというべきである。

 

 

「仮に,その時間内でも仕事に就いていなかった時間が存在する

というのであれば,被告において別途時間管理者を選任し,

その者に時計を片手に各従業員の毎日の残業状況をチェックさせ,

記録化する等しなければ,上記タイムカードによる勤務時間の

外形的事実を覆すことは困難というべきである。」

 

 

このように,裁判例では,タイムカードの証拠としての価値を

高く認める傾向にあるのです。

 

 

3 会社の労働時間適正把握義務

 

 

そして,労働時間を適正に把握しなければならないのは,

会社の義務なのです。

 

 

 

以前は,「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」において,

会社に労働時間を適切に管理する責務が記載されていました。

 

 

これが,働き方改革関連法が成立し,労働安全衛生法66条の8の3に,

会社は,労働者の労働時間の状況を把握しなければならないと規定されました。

 

 

このように,労働時間を適正に把握しなければならないことが,

法律に明記されたのです。

 

 

そのため,会社は,労働時間を適正に把握する義務

を負っていることから,より一層,

タイムカードなどで客観的に労働時間を管理することが重要になり,

タイムカードの証拠としての価値は,ますます高くなると考えられます。

 

 

会社から,タイムカードが信用できないと反論されても,

恐れることはなく,上記の主張をすれば,

未払残業代請求が認められると考えます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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